空き家再生投資に必要なリフォームは?7つのチェックポイントと費用も

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これから空き家といった築古戸建不動産の投資を検討している方で気になるのは、必要なリフォームの事例や費用の目安などではないでしょうか。

空き家再生を行う投資でのリフォームは高額な修繕費になることもあり、費用が掛かりすぎてしまう物件を選択すると、大きな損失につながるリスクもあります。

このような失敗を未然に防ぐためにも、空き家再生投資を行うリフォームで押さえておきたい7つのチェックポイントや費用の相場感を当コラムでは紹介していきます。

目次

  1. 空き家再生投資に必要なリフォームにおける考え方
    1-1.DIYという選択肢
    1-2.外注・職人への依頼
  2. 空き家再生投資に必要なリフォームで押さえておきたい7つのチェックポイント
    2-1.上下水道の形式
    2-2.家の傾き
    2-3.屋根・屋根裏の状態
    2-4.シロアリの有無
    2-5.外壁・基礎の状態
    2-6.物理的・心理的瑕疵の有無
    2-7.ガスの形式
  3. 空き家再生投資でリフォーム以外でも押さえておきたい注意事項
    3-1.再建築可能物件かどうか
    3-2.残置物の量
  4. 空き家再生投資に必要なリフォームの一例
    4-1.内装塗装・クロスの張り替え
    4-2.外壁塗装・外壁修理
    4-3.キッチン・風呂設備交換
    4-4.トイレの洋式化
  5. まとめ

1.空き家再生投資に必要なリフォームにおける考え方

1-1.DIYという選択肢

空き家再生投資のリフォーム費用を最低限に押さえ、高い利回りを期待できるリフォーム方法としてDIYがあります。DIYとは「Do It Yourself(ドゥ・イット・ユアセルフ)」の略称で、プロに任せずに自身で修復や物作りを行うことです。

外注を行う際に発生する高額なリフォーム修繕費用の内訳の大部分は人件費のため、自身を労働力としてDIYを行うことで大幅な経費削減を実現することが可能です。そのため初めて築古不動産投資を行う方や、最低限の投資額で高利回りを実現したい方にとって、DIYは人気の高いリフォーム手法の一つになっています。

ただし、DIYではプロより仕上がりが劣ってしまったり、時間や手間がかかる、実際に入居するまでの時間が伸びるといったデメリットがあります。水道の配管、電気の配線などの専門的な知識を必要とする箇所もあるため、全て自身で行うのではなく、適宜判断することも大切です。

1-2.外注・職人への依頼

DIYと別に空き家再生投資のリフォームとして選択肢となるのは、職人・便利屋さんなど業者への作業発注です。業者への発注は自身の手を動かす必要がないため、時間的な余裕を生み出してくれる点がメリットとなります。

また前述したDIYと併用することで、ポイントごとに依頼したい箇所を分け、修繕における工期を短縮することができるのも業者へ発注を行うメリットの1つとなります。

例えばクロスやフローリングといった作業を業者依頼している間に、自身は別の作業を行うなど複数人の体制で作業を進めることが可能です。リフォーム依頼項目の中でもクロスは比較的安価で作業を依頼できる修繕項目なので、工期を1日でも短くしたい方は選択肢となるでしょう。

部分ごとに分けて外注することで、入居まで収入が発生しない期間を短縮し、DIYのデメリットであるリフォーム期間の長さを短くすることができます。ただし業者への発注はDIYより費用が高くなるため、DIYを行う時間の確保が難しい方や投資資金に余裕がある方が選択肢となるリフォーム手法でしょう。

2.空き家再生投資に必要なリフォームで押さえておきたい7つのチェックポイント

2-1.上下水道の形式

空き家再生投資で押さえておきたい項目の1つが、上下水道の形式です。

上水道には主に、上水道と井戸の2種類が存在します。井戸水は水道代が負担費用として入居者にかからないメリットがある反面、水質検査の費用負担やポンプの修繕費といったデメリットを抱えています。

井戸水の物件は賃貸契約時に原則飲用禁止と契約書に記載し、入居者へ説明を行うといった対策が求められる点に注意が必要です。

また下水道には、大きく分けると以下の3種類が存在します。

  • 汲み取り式
  • 簡易水洗
  • 浄化槽
  • 下水道

特に購入価格が安価な空き家再生投資では、汲み取り式や簡易水栓トイレであることもあり、これらは下水の中では最も注意が必要です。汲み取り式トイレや簡易水栓は臭気が漂ってしまっていたり、定期的にバキュームカーの汲み取り費用が固定費として掛かるなどデメリットを多く抱えています。

浄化槽や下水道への工事が必要ですが、目安として100万円前後の高額な工事費用が発生することも珍しくありません。なお、浄化槽を導入費用として補助金を利用することができる自治体も中にはあり、30〜50万円の費用を負担してくれることもあります。

補助金を利用したとしても自己負担額が高額になりやすいため、下水の形式は特に注意したいチェック項目の1つでしょう。

2-2.家の傾き

家の傾きについても、空き家再生を行う上で特に注意が必要なリフォーム項目の1つです。家の傾きは高額な修繕費用が発生しやすく、場合によっては修繕費用だけで、他の安価な不動産を購入できるような規模になることもあります。

家の傾きが発生する原因は、地震による地盤沈下や土地の液状化、シロアリ被害などが主な原因となります。これら傾きの原因の解消は非常に難しく、修繕で対策を行ったとしても再発してしまうリスクもあります。

また傾いたままの家は健康被害に繋がる恐れがあり、入居者からの苦情にも繋がります。そのため空き家再生投資では、高額な修繕費用が発生する家の傾きが発生している物件は注意が必要です。

内見時に傾いている家を見分ける特徴として、窓やドアが開けにくいといった特徴で判断することが可能です。またビー玉を持参し床に撒いてみると傾き具合をおおまかに把握することができるので、内見時にはチェックしておくと良いでしょう。

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2-3.屋根・屋根裏の状態

屋根や屋根裏の状態も、空き家再生投資を行う上で高額修繕費用が発生する恐れのあるチェックポイントです。屋根工事は瓦屋根の一部分であればDIYでも修繕が可能ですが、範囲が広くなるほど高額な修繕費用へと繋がります。

業者が安全を確保するための足場設置といった負担が大きく、高額な修繕費用になりやすい項目です。また防水シートや屋根材の状態が悪い場合、葺き替え(ふきかえ:屋根材を新しいものに取り替えること)などの大掛かりなリフォームが発生すると数百万円以上の出費が必要になります。

屋根の状態は屋根裏から直接アクセスし、屋根の裏側に貼ってある防水シートの劣化状態を見ることで大まかな判断を行うことが可能です。防水シートの状態が悪く劣化が著しいときには、将来的に高額な修繕費用が発生するリスクがある点に注意しましょう。

2-4.シロアリの有無

「2-2.家の傾き」でも解説したように、シロアリの被害についても注意が必要です。シロアリの駆除は15万円〜30万円ほどと、比較的安価に済ませることができます。

一方で木材の腐食により物件の強度を低下させることで引き起こされる、二次被害による修繕が高額となりやすい点には要注意です。シロアリは湿気の多い環境を好むため、風呂場やキッチンといった湿気がたまりやすい床下が発生しやすい場所となります。

シロアリが発生していると、蟻道と呼ばれる土壌や木材のカスにシロアリの排泄物・分泌物を練り合わせたセメントのような形状の通り道があります。茶色い土のようなトンネル道が、地面から基礎の表面に伸びている場合には、蟻道の可能性があるので注意しましょう。

床下に潜って行うシロアリのチェックが確実ですが、ヤッケに着替える必要があるなど内見時では現実的ではありません。内見時でも簡単に行える方法として、畳の裏をめくることでシロアリの存在を大まかにチェックしておくと良いでしょう。

一度シロアリ被害にあった柱は中がスカスカの状態になり、物件の強度を下げ寿命を大幅に縮めてしまいます。結果として家の傾きなどの高額修繕費を発生させてしまう要因となるため、シロアリ被害の有無も多額のリフォーム費用を見極めるチェックポイントの1つです。

2-5.外壁・基礎の状態

外壁や基礎の状態も、空き家不動産投資で押さえておきたいチェックポイントです。外壁は高所に修繕が必要な箇所が発生していると、足場の設置費用負担が発生し、高額な修繕費につながります。

足場の設置費用は物件の広さや高さによっても異なりますが、目安として戸建は20万円以上の負担が必要です。また基礎の大きなクラックは家の傾きや、雨水の侵入による建物内部の傷みなど、様々な欠陥の要因にもなります。

2-6.物理的・心理的瑕疵の有無

瑕疵物件とは物件取引や賃貸契約の際に、告知事項が義務付けられている物件のことです。

本来物件が備えておかなければいけない品質や機能に、重大な不具合や欠陥があるときには物理的瑕疵として考えることができるでしょう。例えば、大きな傾きやシロアリ被害といった欠陥がある物件は、物理的瑕疵物件の1つとして取り扱われます。

心理的瑕疵は不動産の購入者や入居者が契約を行う際に心理的抵抗が発生する恐れがあるため、告知事項が必要な物件です。一例としては自殺や殺人事件により、物件内で人が亡くなった経歴がある不動産は心理的瑕疵物件の1つとなります。

また遺体の発見が遅れたことにより発生した臭いや汚れを除去するために特殊清掃が施された物件は、心理的・物理的瑕疵物件の両方を持つ物件として考えることもできるでしょう。

ただし、病死や老衰により死後にすみやかに遺体が発見されたケースでは自然死として取り扱われ、物件の売却や賃貸契約時の説明は必要ないケースがあります。

物理的瑕疵・心理的瑕疵物件は、賃貸契約時の告知事項として説明が必要なため、どちらも相場より売却価格や賃料を下げる必要があります。また売却時にも忌避されるため出口戦略も取りにくく、空き家再生投資対象としては慎重な判断が求められる物件です。

一方で条件の良い物件が割安で入手できるといったメリットもあるため、投資家の戦略によっては有望な選択肢の1つとなります。

2-7.ガスの形式

ガスの種類には主にプロパンガスと都市ガスの2種類が存在します。プロパンガスは利用料金がやや高く、入居者からも敬遠されやすいため、空き家再生投資ではチェックしておきたい項目の1つです。

なお、プロパンガスのメリットとしては以前のガス業者との契約が切れていれば、再契約時にガス業者の特典を利用できることがあります。

ただし、以前の家主がガス業者との利用契約を結び、特典を利用する際に結んだ契約が切れていないときには引き継ぎが必要な物件も存在します。ガスの形式だけではなく、過去に利用したガス業者の契約引き継ぎが必要かどうかも確認しておきましょう。

空き家再生投資家のガス契約の実体験

ガス業者では長期契約を条件に、給湯器やエアコン、浴槽などを特典として無料で導入してくれる業者が多くあります。

実際に築古不動産投資を行っている筆者も、数十万円近くに及ぶ特典に加え、ゴミ処分といったサービスも受けることができました。こちらのケースでは、無料特典を利用するためガスをプロパンへ変更し給湯器交換・浴槽・インターホンといった設備の導入を行っています。

※プロパンガスの無料特典で浴槽の改修を行った

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3.空き家再生投資でリフォーム以外でも押さえておきたい注意事項

3-1.再建築可能物件かどうか

再建築不可物件とは、建築基準法が改正されたことで現行の法律に適さなくなり、新築や建て替えができない物件のことです。土地(更地・古家付き土地)および築年の古い戸建物件で目にすることが多くあります。

現行の建築基準法において、建物が建築できる土地の条件は主に以下の通りです。

  • 道路に2m以上接している
  • 建築基準法上の道路に面している

それぞれ建築基準法の42条と43条に詳細が記載されており、道路とは幅員4m以上(4m未満でも道路としてみなされる場合がある)のものを指します。これらの道路に2m以上接していることが建築条件となっています。

再建築不可物件は経年劣化によって傷んだ建物を取り壊して土地を再利用することが出来ないため、売却値段が低くなるといったデメリットを抱えています。

一方、再建築可能物件であれば売却時に値段が下がりにくく、空き家投資の運用後に、土地として売却するといった出口戦略を選択肢の1つとして考えることができるでしょう。

なお、再建築不可物件は物件購入費用が安くなるといったメリットもあります。利回りや築年数、物件の傷み具合などを勘案しあえて投資を検討する方もいますが、保有し続けなければならないリスクもあるため、経験者向けの投資対象と言えるでしょう。

3-2.残置物の量

物件内に存在する残置物についても注意が必要です。残置物の量が多いほど処分に伴う費用額が発生するため、ゴミの量が多いほど費用と時間がかかります。

洗濯機や冷蔵庫などリサイクル料金が発生する家電は、1台で6,000円前後の高い処分費用が必要になることもあります。大量の残置物がある場合には、残置物の除去だけでなく、室内の床や壁の傷みが激しくなっていることも多く、多額のリフォームを求められることがあります。

大量の残置物はリフォーム費用だけではなく、処分費用も量に比例して高額になる点に注意しましょう。

4.空き家再生投資に必要なリフォームの一例

4-1.内装塗装・クロスの張り替え

空き家再生で積極的に施しておきたいリフォームとして、内装塗装やクロスの張り替えがあります。特に内装塗装は白く塗り上げるだけでも部屋全体が明るい印象になり、初心者でも比較的簡単にDIYで取り組むことができます。

また、古い印象が強くなる砂壁も、シール材で固めるかサンダーなどで削ることで塗装を施すことも可能です。また、以前の所有者や入居者によるタバコのヤニ汚れも、塗装やクロスの張り替えで綺麗な印象に仕上げることができます。

ペンキとクロスは使用する面積により費用対効果が変わるので、使用する面積と材質を考慮してみましょう。

4-2.外壁塗装・外壁修理

空き家として放置されている期間の長い物件は外壁のダメージが大きくなりやすく、リフォームが必要になります。

外壁塗装は新築のような外観が蘇るだけではなく、塗料が家に侵入する水分を最前線で防ぐバリアの役割もあり、建物の寿命を伸ばすことが可能です。外壁塗装は平屋以外の物件では足場の設置が必須となりますが、同時に外壁・屋根の修繕が必要な場合には一度に済ませることも検討しておくと良いでしょう。

足場を設置する都合上、一度の施工費用が高額になる修繕項目ですが、空き家再生では優先してリフォームを施しておきたいポイントの1です。

4-3.キッチン・風呂設備交換

キッチンや風呂設備の交換といったリフォームも、空き家再生投資では検討したい修繕項目の1つです。特に大きくて綺麗なキッチンはファミリー向けの戸建物件を賃貸として運用する際、入居率を大きく向上させる要因となることがあります。

ファミリー向け物件の場合、女性が入居の決定権を持つケースも多く、使いやすいキッチンが判断材料として大きな影響を与える傾向があるためです。

また風呂設備のリフォームについても、優先度を高めに検討しておくと良いでしょう。バランス釜の場合は取扱が難しく事故に繋がりやすいため、給湯設備の導入を行うのも選択肢として取り入れたい項目となります。

4-4.トイレの洋式化

和式トイレの場合は、洋式化へのリフォームを検討してみましょう。なお、汲み取り式トイレから浄化槽や下水への工事はDIYでは限界があるため、業者への発注が必要になります。

汲み取り式トイレで和式が採用されている物件では、上から被せるだけで利用できる簡易水栓トイレなども、費用面とバランスを取りながら検討されてみましょう。

4-5.和室の洋室化

和室は原状回復の難易度が上がるなど賃貸に向いていない条件が多くあるため、洋室への変更を検討してみましょう。内装塗装やクロス施工と比較すると難易度は上がりますが、和室の洋室化はDIYを行うことで修繕費用を最低限に済ませることもできます。

また従来の和室の雰囲気を生かした、現代風の和モダンなリフォームを施すといった工夫も、空き家投資再生でリフォーム費用を抑えるポイントとなります。

まとめ

初期費用が安価なケースが多い空き家再生投資は、思わぬ高額なリフォーム費用や出費により撤退を余儀なくされるケースも珍しくありません。

空き家再生投資を検討する際は、入居者ターゲット層のニーズに合わせて優先度の高い項目からリフォームを検討し、場合によってはDIYも取り入れながら工夫されていくと良いでしょう。

また、物件探しの際はこれらのリフォーム費用を加味して判断することも大切です。今回ご紹介した事前に押さえておきたいリフォーム・チェック項目を把握した上で慎重な物件選びをして行きましょう。

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HIROTSUGU

過去に屋根工事・防水塗装・リフォーム業へ携わった現場経験を元に、20代で中古戸建物件を購入し初期費用を安価に済ませるDIYで不動産賃貸業を開始。不動産投資の他に暗号資産や投資信託、FXなど多彩な資産運用経験を元にフリーライターとして執筆活動を行なっています。