田舎の土地を相続するメリット・デメリットは?相続放棄の判断基準も解説

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人口減少が続く日本において、田舎の土地を相続するのは慎重に検討したい問題の一つです。例えば、「田舎の土地を相続したものの、どうしたら良いか分からず維持費がかさんでゆく」「売却したいが買い手がつかずに困っている」という事例も少なからず見られるためです。

相続のメリット・デメリットを知り、比較検討した後に受け継ぐことで、このような事態になるリスクを回避できます。田舎の土地を相続しない場合には、売却や寄付、相続放棄などの方法などが選択肢として考えられるでしょう。

本記事では田舎の土地の相続のメリット・デメリット、相続放棄を行う際の判断基準について詳しく解説していきます。

目次

  1. 田舎の土地を相続するメリット
    1-1.地価が上がる可能性がある
    1-2.土地活用ができる
  2. 田舎の土地を相続するデメリット
    2-1.維持管理のためのコストや手間がかかる
    2-2.土地の形状・エリアによっては活用ができない
    2-3.次世代に負担がかかる可能性がある
  3. 田舎の土地の相続放棄をする場合の判断基準
    3-1.相続放棄をする場合
    3-2.相続放棄をしない場合
  4. 土地の相続放棄をしない場合の対処方法
    4-1.相続した土地を売却する
    4-2.相続した土地を寄付する
    4-3.相続した土地を活用する
  5. まとめ

1.田舎の土地を相続するメリット

  • 地価が上がる可能性がある
  • 土地活用ができる

1-1.地価が上がる可能性がある

現在は地価が低いエリアでも、観光地として人気が出る、再開発が行われるなどの要因で地価が上がる可能性はゼロではありません。

例えば北海道の倶知安町は人口約1万5千人の町ですが、観光地として開発が進められており、2021年の地価公示で商業地・住宅地共に全国1位の上昇率となりました。北海道新幹線の延伸による利便性の向上も要因の1つとなっています。(※参照:国土交通省「令和3年の地価が公示されました」)

ただし倶知安町のような事例は珍しく、全国的に大都市圏では人口が増加し地価は上昇傾向にある一方、地方は人口減少により下落の傾向にあります。

1-2.土地活用ができる

相続した土地を活用することで、収益を見込めるというメリットがあります。郊外の土地では、駐車場・トランクルーム経営・太陽光発電装置などの活用方法など、様々な活用方法が検討できます。

駐車場・トランクルーム経営などは「エリアに需要があるか」という点が重要なポイントとなります。少ない初期費用で始められる点がメリットですが、需要が無い場合は赤字になってしまう可能性があります。収支シミュレーションを行った上で活用に踏み切りましょう。

太陽光発電装置の設置は、FIT制度という太陽光発電により生じた電力を国に20年間(10kw未満は10年間)一定の価格で買い取って貰い収益を得る仕組みがあります。

ただし、買い取り価格は年々下がっており、必ずしも見込んだ収益を得られるとは限らず、初期投資を回収できないリスクがあります。装置を設置する前に収支の試算を行いましょう。また、土地の日当たりが悪く思ったより電力が得られない可能性や自身や地滑りなどの事故に巻き込まれるリスクがあります。

それぞれの活用方法のメリット・デメリットを把握し、慎重に検討しましょう。

2.田舎の土地を相続するデメリット

  • 維持管理のためのコストや手間がかかる
  • 土地の形状・エリアによっては活用ができない
  • 次世代に負担がかかる可能性がある

2-1.維持管理のためのコストや手間がかかる

土地を空き地として放置しておくと、自治体から「特定空き家等」に認定される恐れがあります。特定空き家等に認定されると指導が入り、固定資産税・都市計画税が高くなる可能性があります。また、行政が代わりに雑草を除去したり木の伐採などが行われた場合、最終的には所有者に費用が請求された事例もあります。(※参照:国土交通省「空家等対策特別措置法について」)

所有者は維持・管理を行う義務がありますので、自身で行う場合には手間と時間がかかり代行を依頼する際にはコストが発生してしまいます。そのため遺産分割協議で「誰が相続するか」で揉めてしまうケースも存在します。

2-2.土地の形状・エリアによっては活用ができない

土地の形状が楕円形である時には駐車場経営を行う事は難しく、エリアの需要が少ない場合は赤字経営になってしまいます。土地活用を行うためには形状やエリア、接している道路なども重要となり活用ができないケースもあります。

土地活用を検討するのであれば、まずはどのような方法が検討できるのか、活用が可能である場合にはどのような方法が適しているのかの確認が必要です。初期投資を回収できない可能性もあるため、慎重な判断が重要となります。

2-3.次世代に負担がかかる可能性がある

土地を相続し、所有した方が亡くなった際には子供や孫などが土地を再び相続する事になります。資産価値の低い土地の場合、コストの発生・管理義務などにより子孫に負担となってしまうことがあります。

3.田舎の土地の相続放棄をする場合の判断基準

相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄を申し立てる事で土地を含む全ての相続財産を放棄する事が可能です。以下、相続放棄を検討する際に注意しておきたい判断基準やポイントを解説します。

3-1.相続放棄をする場合

相続財産が土地のみであったり、土地の資産価値が低く不要な場合には相続放棄を検討できます。相続放棄を行うことで、マイナスの資産を受け継がず、土地の管理責任を負わずに済みます。

相続放棄は単独で行うことができるため、遺産分割協議など相続に関する手続きの手間を省ける、という点もメリットと言えるでしょう。

ただし、相続放棄を行っても相続人の全員が相続放棄を行った場合、土地の管理義務が残ることになります(民法第940条)。この場合、だれがどのように管理を行うのか、検討する必要があります。

3-2.相続放棄をしない場合

相続放棄は相続財産全てを放棄することになりますので、土地の他にプラスの相続財産がある場合や、受け継ぎたい財産があるケースでは慎重に検討しましょう。また、前項で解説したように、相続人全員が相続放棄を行った場合には管理責任が残ることになります。

その他、被相続人(故人)の債務がどの程度あるか不明であり,財産が残る可能性もある場合は、相続人が相続によって得たプラスの財産に対して被相続人の債務(マイナスの資産)の負担を受け継ぐ「限定承認」という方法があります。(※参照:裁判所「相続の限定承認の申述」)

相続放棄がプラス・マイナス両方の資産の相続を放棄する方法に対して、限定承認はプラス・マイナスのバランスを取った相続が可能となります。受け継ぎたい遺産がある場合には検討できる相続方法と言えるでしょう。

なお、限定承認は相続人全員の合意が必要であることや申述後の清算手続きが必要となり、相続放棄と比較して大きな手間がかかります。これらの手続きは煩雑であるため、弁護士等の専門家への依頼も検討されてみると良いでしょう。

4.土地の相続放棄をしない場合の対処方法

田舎の土地を相続する場合には、メリット・デメリットを把握した上でコスト面や手間などを考慮し検討する事が重要です。以下、3つの対処法について見て行きましょう。

  • 売却
  • 寄付
  • 土地活用

4-1.相続した土地を売却する

相続放棄を検討する前に、まずは売却を検討しましょう。相続放棄を検討している土地の場合、需要が少なく売却に時間がかかる可能性が高いと言えます。まずは複数の不動産会社へ査定を依頼し、売却が可能であるかどうか相談をしてみると良いでしょう。

以下、複数の不動産会社へ査定依頼ができる不動産一括査定サイトの一覧です。

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4-2.相続した土地を寄付する

売却が難しい場合に検討できるのが、土地を国や自治体に寄付する方法です。国や自治体では行政目的に利用できる土地のみを受け付けていますので、寄付できない可能性があります。相続財産を管轄する自治体に問い合わせてみましょう。

なお、自治体以外の寄付の選択肢として、以下の3つが挙げられます。

  • 認定地縁団体に寄付する
  • 個人に寄付する
  • 法人に寄付する

認定地縁団体とは、町内会や自治会などです。市区などの地方自治体に受け入れてもらえなかったとしても、市よりも小さな単位である町内会や自治会などでは寄付を受け入れてくれる可能性があります。

相続した土地は知人や近隣住民といった個人に寄付することも可能です。しかし、個人への寄付は税法上贈与として扱われるので注意しましょう。(※参照:国税庁「財産をもらったとき」)

寄付は個人だけでなく法人に行うことも可能です。しかし、寄付するのが営利法人もしくは公益法人なのかによって税金の扱いが異なります。営利法人に相続した土地を寄付した場合は、寄付した側に譲渡所得税が課される可能性があります。(※参照:国税庁「公益法人等に財産を寄附した場合の譲渡所得等の非課税の特例のあらまし」)

4-3.相続した土地を活用する

資材置き場や駐車場・トランクルーム経営・太陽光発電装置設置などの土地活用を行い、収益を得る方法です。賃貸住宅やオフィスビルを建設、運営する事も出来ますが、田舎では空室率が高い傾向にあるため注意が必要です。

土地活用ではエリアの需要を見極め、収支シミュレーションを行ってから活用を行う事が重要です。土地活用を検討する際は一つの活用方法だけにこだわらず、複数の活用方法を比較して慎重に検討しましょう。どのような土地活用でも投資金や維持費が回収できないリスクがあり、このようなリスクは土地の特徴によって大きく差が出てくるためです。

HOME4U(土地活用)

HOME4U 土地活用複数の活用方法を比較する際は、「HOME4U」の利用を検討してみましょう。HOME4Uではマンション経営やアパート経営、駐車場経営、賃貸併用住宅、大規模施設など土地の活用方法を選択することで、最大7社からの収益最大化プランを比較することが可能です。

また、土地の利用規制についてもHOME4Uを通して無料で診断できるため、土地調査の手間を省くことが出来ます。「どのような活用手段があるのか知りたい」「複数の活用手段を比較したい」という場合には、利用を検討してみると良いでしょう。

まとめ

田舎の土地のメリットには、エリアによっては土地活用や貸し出しが可能であることが挙げられます。一方、デメリットは相続の手続き・管理・維持の手間とコストがかかる、エリアや形状によっては活用ができない可能性があり、慎重に検討したいポイントとなります。

相続放棄を考えるのであれば、まずは土地の資産性を確認し、プラス・マイナス両方の資産を確認することが大切です。受け継ぎたい特定の遺産があるのであれば、限定承認という方法も検討できますが、手続きが煩雑となるため、弁護士等の専門家への依頼も検討すると良いでしょう。

この記事を参考にメリット・デメリットを把握し、3つの対処法を比較・検討していきましょう。

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田中 あさみ

経済学部在学中に2級FP技能士(AFP)の資格を取得。ライターとして不動産投資を含む投資や年金・保険・税金等の記事を執筆しています。医療系の勤務経験がありますので、医療×金融・投資も強みです。HEDGE GUIDEでは不動産投資を始め、投資分野等を分かりやすくお伝えできるよう日々努めてまいります。