フィリピンは経済発展の著しい国の一つです。フィリピンの中でもセブ島は有名なリゾートエリアであり、不動産投資先として検討する方も少なくありません。
しかし、セブ島のようなリゾート地での不動産投資は、都市部とは異なるニーズがあり、リゾート地ならではのメリットとデメリットがあります。これらの点に注意して、投資を検討することが大切です。
この記事ではセブ島の不動産に投資するメリットに加え、要注意のデメリットやリスクなどについて解説します。
目次
- セブ島とは
- セブ島で不動産投資をするメリット
2-1.高属性の入居者を見つけやすい
2-2.人口増加率が高く不動産の値上がり益を期待できる
2-3.不動産価格の上昇傾向が緩やか - セブ島で不動産投資をする時に注意すべきリスクやデメリット
3-1.セブ島内のエリアをミクロ視点で見ると特徴が異なる
3-2.人口や経済が海外の景気動向に左右されることもある
3-3.短期間でのキャピタルゲインは狙いにくい - まとめ
1.セブ島とは
セブ島はフィリピンの南部に位置する島で、リゾートとして有名なエリアです。不動産投資の対象エリアとしては、大きくセブシティエリアとマクタン島エリアとに分かれています。
マクタン島にはマクタン・セブ国際空港があり、日本を含む世界各国から国際便が離発着しています。首都マニラからの移動にも飛行機が使われることは多く、マニラからの移動時間は約1時間です。
2.セブ島で不動産投資をするメリット
セブ島の物件に投資するメリットとして代表的なのは、人口増加による値上がり益を狙えることと、バブルと言えるほどは不動産市場が過熱していないことなどです。
2-1.高属性の入居者を見つけやすい
セブ島はフィリピンの中でも外国人駐在員が多く集まっているエリアです。フィリピンではビジネスアウトソーシングの産業分野に注力していることや、英語も公用語に指定されていることから、セブ島には海外企業のIT関連の拠点が多くなっています。
また、セブ島は英語の留学先としても有名で、英語圏外からの留学生を多く受け入れています。セブ島には、海外留学生に加えて、海外のIT企業から派遣されてきた外国人駐在員も多く住んでいるのが特徴的です。
外国人駐在員は会社から居住費の補助を受けられることもあり、家賃が多少高くても、気に入った物件に入居する傾向があります。このため、ターゲットにする入居者の好みを捉えられれば、属性の高い外国人駐在員の入居も狙えるのがセブ島で不動産投資をするメリットの1つです。
2-2.人口増加率が高く不動産の値上がり益を期待できる
セブ島はフィリピンの中でも中央ビサヤ地方に属しており、中央ビサヤ地方全体の人口は2021年の推計で約800万人です。
セブ州の2021年推計人口は約516万人で、中央ビサヤ地方全体の人口のうち、約65%がセブ州に住んでいる計算になります。なお、セブ州の予測人口推移は以下グラフの通りです。
2025年までのフィリピン政府統計局の推計では、セブ州では順調に人口が増加すると見られており、2021年の推計人口増加率は1.55%で、2025年になっても1.14%と1%を上回ることが予測されています。
人口が増加するエリアでは住宅需要が拡大するため、住宅価格の上昇を期待できます。セブ島の不動産投資では物件価格の値上がり益を期待できる点も、大きなメリットの1つです。
2-3.不動産価格の上昇傾向が緩やか
フィリピンのような新興国で人口増加とともに不動産価格が上昇していると聞くと、不動産バブルが起きていると懸念する人もいるのではないでしょうか。
実際に、フィリピンの中でもマニラを含む首都圏では大幅に住宅価格が急速に上昇しています。首都圏のコンドミニアム価格指数を見ると、2019年末から2020年にかけて乱高下するような値動きも見られました。
しかし、首都圏以外のエリアでは、コンドミニアム価格の上昇は緩やかであるものの、2021年までそれほど極端な値動きは見られません。
フィリピンの首都圏を除く地方では、2014年以降コンドミニアムの価格が約1.5倍まで上がってきています。今後急な値下がりがないとは言い切れませんが、市場が段階的に成長傾向にある点は、投資のリスクヘッジを重視している投資家にとってメリットといえるでしょう。
3.セブ島で不動産投資をする時に注意すべきリスクやデメリット
セブ島で不動産投資を検討するのであれば、メリットだけでなくリスクやデメリットについてもしっかり確認しておきましょう。セブ島の不動産投資では、エリアごとの違いや経済動向に要注意です。
3-1.セブ島内のエリアをミクロ視点で見ると特徴が異なる
セブ島では、セブシティエリアとマクタン島エリアとで特徴が異なっています。セブ島には海外から進出してきたIT企業などの拠点が集まっていますが、海外企業が集中しているのはセブシティエリアとなっています。
マクタン島エリアはリゾートエリアの色合いが強く、ホテルなどが多くなっています。マクタン島エリアでは入居者を募集して長期の賃貸借契約を結ぶ運用よりも、ホテル運用をする方が利益を得られる可能性があります。
また、運用の合間に物件の自己利用を考えている場合にも、マクタン島エリアの物件は有効です。セブ島の不動産投資で失敗しないためには、どういった方針で賃貸運用したいのか、自らの希望を明確にしてから不動産エージェントに相談することが重要になります。
3-2.人口や経済が海外の景気動向に左右されることもある
セブ島の主要産業は、観光業と海外企業を中心としたIT産業です。どちらも海外の景気動向に左右される点には注意を要します。
また、フィリピンの国全体で見ても、経済が海外の景気動向に影響されやすい性質を持っています。フィリピンでは海外へ出稼ぎに行く労働者が非常に多く、海外からフィリピンへの仕送りは、フィリピンのGDPのうち約1割を占めているためです。(※参照:世界銀行「Personal remittances, received (% of GDP) – Philippines」)
感染症拡大や海外景気の縮小は観光業に打撃を与えるほか、外国人駐在員が帰国する原因になります。セブ島の不動産市場は不安定性が強い一面も持っている点に要注意です。
3-3.短期間でのキャピタルゲインは狙いにくい
フィリピン首都圏以外のエリアにおけるコンドミニアムについて、四半期ごとの価格指数変動率を見ていくと、2016年以降の平均変動率は1.6%です。2017年の上半期に約10%の上下動があったものの、それ以外の時期では2%~3%前後で落ち着いています。
セブ島で不動産投資をする場合は、投機的な戦略だけでなく、数年以上の長期的な計画に基づいて運用していくような戦略が重要となります。
まとめ
セブ島の不動産投資ではエリアごとの特徴が明確に分かれているため、投資目的や運用のスタイルによってエリアを選びやすいメリットがあると言えます。
しかし、主要産業が海外企業や景気動向による影響を受けやすい点には要注意です。フィリピン全体の特徴としても、経済が先進国を中心とした世界全体の景気に影響されやすいと言えます。
セブ島での不動産投資を検討するのであれば、これらのデメリットやリスクにも注意しながら、投資判断をすることが大切です。投資をする目的を整理して、慎重に検討してみましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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