栃木県は、全国で20番目、関東地方では最も大きな県です。6,408.09㎢の総面積に、全国で3番目に大きな日光市など14市11町があります。2023年8月1日時点の人口は1,896,784人(815,526世帯)で、約4分の1にあたる51万人が県庁所在地の宇都宮市で暮らしています(出典: 栃木県ホームページ」)。
今回のコラムでは、このような特徴を持つ栃木県で不動産を売却する際に活用できる不動産一括査定サイト4社を比較しながら紹介していきます。また不動産市場の傾向、売却時の注意点も合わせて解説していきます。
目次
- 栃木県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
1-1.SUUMO不動産売却
1-2.LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
1-3.HOME4U
1-4.RE-Guide - 栃木県の不動産売却の傾向
2-1.栃木県の中古マンション売買の傾向
2-2.栃木県の中古一戸建て売買の傾向 - 栃木県で不動産売却をする際の注意点
3-1.二重サッシまたは複層ガラス採用の住宅が増えている
3-2.建物面積が広い中古一戸建ては売却しにくい傾向がある - まとめ
1 栃木県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
不動産を売却するには不動産会社に査定をしてもらい、販売価格を設定するのが通常の流れです。その際のポイントは、複数の不動産会社に査定をしてもらうことです。「物件価格の相場が分かりやすくなる」「不動産会社を選ぶ際の参考になる」といったメリットがあります。
ただし複数の不動産会社に査定を依頼するのは手間と時間がかかります。そこで便利なのが、一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できる不動産一括査定サイトです。
下記の表は、栃木県内の不動産を売却する際に活用できる代表的な4つの不動産一括査定サイトについて、2023年9月時点の情報をもとに作成したものです。
サイト名 | 参加企業数 | 同時依頼可能数 | 運営会社 |
---|---|---|---|
SUUMO不動産売却 | 約2,000店舗 | 10社 | 株式会社リクルート |
LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス | 4,102社 | 6社 | 株式会社LIFULL |
HOME4U | 2,100社 | 6社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング |
RE-Guide | 900社以上 | 10社 | 株式会社ウェイブダッシュ |
次の項目から、それぞれのサイトについて特徴を解説していきます。
1-1 SUUMO不動産売却
SUUMO不動産売却は、株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイトSUUMO(スーモ)の不動産一括査定サービスです。提携している企業は、大手不動産会社から地元で展開している中小不動産会社までと幅広く、提携企業数は全国で約2,000店舗となっています。このうち栃木県の物件の場合、査定を依頼できる不動産会社は10社(店)となっています。
主な特徴は下記になります。
- 株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイトSUUMOのサービスの一つ
- 提携数は約2,000店舗
- 同時に依頼できる不動産会社の数は最大10社
- 栃木県で不動産査定を依頼できる不動産会社は10社・店(HEDGE GUIDE調べ)
物件や依頼者の情報を入力した後に依頼できる不動産会社が表示される仕組みで、同時に依頼できる最大不動産会社は10社です。「開店10年以上」「買い取り制度あり」といった項目で検索をすることも可能なので、ご自身の意向に沿った不動産会社の絞り込みができます。
不動産会社の詳細ページには店舗所在地や営業時間などのほか、「店舗の特徴」「売却実績」「スタッフ紹介」「購入希望者」「売却Q&A」といったコーナーも用意されています。特徴を把握したり、他社と比較する際に役立ちます。
1-2 LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
LIFULL HOME’Sは、不動産ポータルサイトLIFULL HOME’S(ホームズ)が提供する不動産売却査定サービスです。2023年9月時点で4,102社が参加しており、サービスを利用した方は累計で1,000万人を数えています。
主な特徴は下記になります。
- 株式会社LIFULLが提供する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sのサービスの一つ
- 2023年9月時点で4,102社が参加
- サービスを利用した方は2023年9月時点で1,000万人
- 不動産会社の情報が見やすいサイトデザイン
- 栃木県で不動産査定を依頼できる不動産会社は20社・店(HEDGE GUIDE調べ)
サイトデザインが見やすく、査定を依頼できる不動産会社の情報が細かく掲載されているのが特徴的です。「ひとことアドバイス」や「ココが強み」というコーナーのほか、取り扱いプランもわかるトピックなど特色がわかりやすくなっており、幅広い情報から不動産選びをすることができます。
なお、栃木県の物件の場合、査定を依頼できる不動産会社は20社(店)となっています。
1-3 HOME4U
HOME4Uは、情報サービス業界最大手NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営する不動産一括査定サイトです。2001年に日本で初めてサービスを開始した不動産一括査定サイトで、2022年11月時点で50万件の査定実績を築いています。
主な特徴は下記になっています。
- NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営
- 累計売却査定数は2022年11月時点で50万件
- 2,100社の優良企業を掲載
- 年間1,400万人が利用
- 情報の入力はチャット形式でできる
物件や依頼者に関する情報の入力を、チャット形式で行うのが特徴的です。オペレーターの質問に回答していく形で入力していくことができ、不安なく作業をすることができます。
NTTグループならではの独自の基準を設けているのが特徴で、掲載企業は厳格な審査をパスした大手不動産会社から地域に精通した中小不動産会社までの2,100社となっています。
1-4 RE-Guide
リガイド(RE-Guide)は、2006年に「SBI不動産ガイド」としてスタートした不動産一括査定サイトです。査定を同時依頼できる企業の数は最大10社となっており、多くの不動産会社に査定をしてもらいたい場合は特に便利なサイトです。
主な特徴は下記になっています。
- 大手不動産会社から中小不動産会社の900社以上が参加
- 同時に査定を依頼できるのは最大10社
- 独自の審査で掲載企業を厳選
- 日々、プロの目でサービスをチェック
- 栃木県で不動産査定を依頼できる不動産会社は15社・店(HEDGE GUIDE調べ)
- 栃木県の不動産査定依頼実績:一戸建て62.52%、マンション2.76%、土地30.40%
独自審査によって掲載企業を厳選しており、現在は大手不動産会社から中小不動産会社の900社以上が参加しています。栃木県の物件の場合、査定を依頼できる不動産会社は15社(店)となっています。
情報を入力する際は、Yahoo!やFacebookのユーザー情報を自動入力することができるため、簡単に入力できるのも特徴です。
2 栃木県の不動産売却の傾向
スケジュールにある程度の余裕があれば、不動産事情がどういう状況なのかについても確認されておくと良いでしょう。
この項目では、栃木県ではどのような不動産が取引されているのか、東日本レインズ(公益社団法人東日本不動産流通機構)が公表している市況レポートから、傾向を解説していきます。情報を把握することで、不動産をスムーズに、また適切な価格で売却できる可能性が高くなります。
2-1 栃木県の中古マンション売買の傾向
栃木県での中古マンション売買の傾向を確認するために、東日本レインズ(公益社団法人東日本不動産流通機構)が公表している市況レポートを紹介します。下記の表は、「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、2022年の月別の成約動向を抜粋したものです。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 19件(26.7%) | 1,593万円(11.2%) |
2022年2月 | 10件(−33.3%) | 2,049万円(−0.9%) |
2022年3月 | 13件(−35.0%) | 1,615万円(11.3%) |
2022年4月 | 19件(18.8%) | 1,852万円(18.7%) |
2022年5月 | 12件(9.1%) | 1,927万円(1.2%) |
2022年6月 | 13件(18.2%) | 1,921万円(2.8%) |
2022年7月 | 18件(−10.0%) | 2,161万円(45.9%) |
2022年8月 | 11件(−45.0%) | 2,617万円(39.3%) |
2022年9月 | 18件(0.0%) | 2,158万円(39.7%) |
2022年10月 | 9件(−50.0%) | 2,332万円(24.5%) |
2022年11月 | 14件(−17.6%) | 2,012万円(52.4%) |
2022年12月 | 18件(80.0%) | 2, 164万円(38.2%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
2022年における栃木県の中古マンション売買は、成約件数が毎月9〜19件の間で変動しています。前年同月比は12月のうち7月でマイナスとなっており、成約件数は減少傾向にあることがわかります。総数でも、2021年の191件から2022年は174件となっており、17件の減少(前年比91.1%)となっています。
一方、成約価格は、12月中11月で前年同月比がプラスとなっており、上昇傾向が見られます。月別中央値も、2021年の1,663万円から2022年は2,033万円と、370万円の上昇(前年比122.2%)となっています。
2-2 栃木県の中古一戸建て売買の傾向
次は中古一戸建ての売買について見ていきましょう。同じく、東日本レインズの「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、栃木県の中古一戸建ての成約件数と成約価格の平均値を抜粋したのが下記の表です。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 46件(2.2%) | 1,405万円(−5.2%) |
2022年2月 | 46件(39.4%) | 1,477万円(−1.2%) |
2022年3月 | 45件(−25.0%) | 1,644万円(5.0%) |
2022年4月 | 60件(13.2%) | 1,891万円(21.1%) |
2022年5月 | 57件(29.5%) | 1,479万円(−0.9%) |
2022年6月 | 51件(−3.8%) | 1,526万円(3.2%) |
2022年7月 | 43件(−2.3%) | 1,601万円(6.6%) |
2022年8月 | 42件(−12.5%) | 1,657万円(0.3%) |
2022年9月 | 51件(0.0%) | 1,681万円(−11.7%) |
2022年10月 | 55件(3.8%) | 1,690万円(2.5%) |
2022年11月 | 32件(−33.3%) | 1,545万円(0.4%) |
2022年12月 | 38件(2.7%) | 1,704万円(20.4%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
中古一戸建ての成約件数は、12月のうち6月で前年同月比がプラス、5月でマイナスとなっており、わずかながら増加傾向が見られます。総数でも、2021年の566件から2022年は569件と、3件の増加(前年比100.5%)となっています。
一方の成約価格は、12月のうち8月でプラスとなっています。月別中央値も上昇傾向が見られ、2021年の1,551万円から2022年は1,597万円と、46万円の上昇(前年比103.0%)になっています。
3 栃木県で不動産売却をする際の注意点
次に、栃木県での不動産売却における注意点についても見ていきましょう。
3-1 二重サッシまたは複層ガラス採用の住宅が増えている
下記の表は、「栃木県住宅マスタープラン2021〜2030」から、「二重サッシまたは複層ガラス」を採用している住宅について、建設年次別の割合をまとめたものです。
建設年次 | 割合 |
---|---|
2016年〜2018年(9月まで) | 64.4% |
2011年〜2015年 | 65.2% |
2006年〜2010年 | 56.7% |
2001年〜2005年 | 54.2% |
1996年〜2000年 | 41.8% |
1991年〜1995年 | 24.1% |
1986年〜1990年 | 19.4% |
※出典:栃木県「栃木県住宅マスタープラン2021〜2030」より抜粋
栃木県では、住宅を建築する際に二重サッシや複層ガラスなどを採用するケースが1990年代後半から急増しています。最も新しい数値である2016年〜2018年9月までの統計では、半数以上の64.4%の住宅で取り入れられていることがわかります。
総務省統計局の「平成30年住宅・土地統計調査 調査の結果」によると、「二重以上のサッシ又は複層ガラスの窓あり」の住宅は全国平均が29.0%ですが、「栃木県住宅マスタープラン2021〜2030」では栃木県は循環器系疾患の冬季死亡増加率が全国上位となっており、断熱性の向上のため二重サッシや複層ガラスなどが浸透してきているとしています。
こうした背景から、売却活動の際には住宅の断熱性の向上などを見直すことも一つの方法と考えられます。
3-2 建物面積が広い中古一戸建ては売却しにくい傾向がある
栃木県では、建物面積が広い中古一戸建ては売却しにくいという傾向があります。
下記の表は、東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、2022年の成約物件と在庫物件の建物面積を抜粋したものです。
年月 | 成約物件の平均建物面積 | 在庫物件の平均建物面積 |
---|---|---|
2022年1月 | 109.43㎡ | 122.34㎡ |
2022年2月 | 106.19㎡ | 122.97㎡ |
2022年3月 | 120.30㎡ | 123.67㎡ |
2022年4月 | 114.40㎡ | 124.87㎡ |
2022年5月 | 110.43㎡ | 122.10㎡ |
2022年6月 | 111.61㎡ | 122.61㎡ |
2022年7月 | 113.19㎡ | 125.08㎡ |
2022年8月 | 117.45㎡ | 124.17㎡ |
2022年9月 | 122.88㎡ | 123.85㎡ |
2022年10月 | 118.74㎡ | 123.30㎡ |
2022年11月 | 111.48㎡ | 123.49㎡ |
2022年12月 | 111.97㎡ | 124.16㎡ |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
表を見て分かる通り、成約物件の平均建物面積は109〜122㎡の間で中央値は114.01㎡、在庫物件の平均建物面積は122〜125㎡の間で中央値は123.55㎡です。
栃木県「平成30年住宅・土地統計調査結果_栃木県の概要」によると、栃木県の1住宅あたりの敷地面積は、2003年は411.00㎡だったのが2018年では351.77㎡となっており、約60㎡の減少となっています。
このような背景から、栃木県では建物面積が大きい住宅は売却しにくい傾向があると言えます。そのため、敷地面積や建物面積の大きな一戸建て住宅を売却する際は、そのほかの強みを前面にして売却活動をするといったように工夫が必要と考えられます。
不動産会社を探す際は、こうした栃木県の不動産市場の傾向を把握している不動産会社を慎重に選ぶことが重要です。前述した不動産一括査定サイトを利用するなどして、効率的に不動産会社を比較されると良いでしょう。一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼することができるので、査定価格や不動産会社の対応力をしっかり調査する際に便利に活用することができます。
不動産会社を選ぶ際は下記の点がポイントになります。
- 物件のあるエリアに精通している
- スピーディーな対応をしている
- 売却する物件タイプを得意としている
- 豊富な実績がある
- 親身になって相談に乗ってくれる
- 知識に基づいたアドバイスをしてくれる、など
また宅地建物取引業免許を確認したり、行政処分歴がないかチェックすることで、より信頼のおける不動産会社を選ぶことができます。
まとめ
不動産を売却する際に便利なのが不動産一括査定サイトです。複数の不動産会社に一度の入力で査定依頼ができる上に、査定を通じて複数の不動産会社と接することで、不動産会社選びに役立てることもできます。
栃木県では、二重サッシなどの断熱性能が高い設備・仕様の導入が進んでいる、面積の広い一戸建ては売却しにくいといった傾向があります。このような不動産事情に精通している不動産会社を慎重に選ぶようにしましょう。
今回ご紹介した不動産一括査定サイトは全て無料で利用することができるため、複数サービスを並行して利用することも可能です。使い方やサービス内容、提携している不動産会社などにも違いがあるため、比較しながら使いやすい不動産一括査定サイトを選びましょう。
倉岡 明広
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