SRE不動産は、ソニーグループのSREホールディングスが提供する不動産サービスです。特徴的なのはソニーグループの先進的な技術と不動産コンサルティングを融合させていることで、特にAI査定では高い評価を獲得しています。
今回のコラムでは、SRE不動産のAI査定の仕組みを解説し、メリットとデメリットについても紹介していきます。
目次
- SRE不動産(旧ソニー不動産)とは
- SRE不動産(旧ソニー不動産)のAI査定
2-1 SRE不動産のAI査定の仕組み
2-2 SRE不動産のAI査定と他社のAI査定の違い
2-3 SRE不動産のAI査定のメリット・デメリット - SRE不動産(旧ソニー不動産)のAI査定以外のAIサービス
3-1 マンションAIレポート
3-2 AIFLAT(アイフラット) - まとめ
1 SRE不動産(旧ソニー不動産)とは
SRE不動産は、ソニーグループのSREホールディングスが展開する不動産テック事業の一つです。SREホールディングスの主事業は不動産テック事業とAIクラウド&コンサルティング事業の2つで、宅地建物取引業者として不動産の売却や購入サポート、賃貸管理などを行っています。現在の事業形態に移行したのは2019年のことですが、2014年にソニー不動産として設立されています。
項目 | 内容 |
---|---|
商号 | SREホールディングス株式会社 |
設立日 | 2014年4月14日 |
事業内容 | 不動産テック事業、AIクラウド&コンサルティング事業 |
所在地 | 東京都港区赤坂1-8-1赤坂インターシティAIR14階 |
代表取締役 | 西山和良 |
資本金 | 4,088,600千円(2022年3月31日現在) |
主要株式 | ソニーグループ株式会社 |
不動産サービスにおける大きな特徴は、「売却エージェント制度(片手仲介)の採用」と「AIの活用」です。不動産売買では、同じ不動産会社が売主と買主の仲介業務を担当する「両手仲介」が行われることもありますが、SRE不動産では売主側の立場で交渉を行えるよう、原則として片手仲介で行っています。
これは米国型のエージェント制にならったもので、幅広い購入検討者へアプローチできる方法として売主にもメリットの大きい取引形態となります。出来るだけ良い条件で不動産売却を行っていきたい方にとって、プラスに評価できるポイントと言えます。
一方の「AIの活用」については次の項目から詳しく見てみましょう。
2 SRE不動産(旧ソニー不動産)のAI査定
SRE不動産では、豊富なデータによるAI査定と通常の不動産取引で行われる取引事例比較法での査定を組み合わせて価格査定を行っています。具体的な仕組みを解説していきます。
2-1 SRE不動産のAI査定の仕組み
SRE不動産が提供するAI査定の大きな特徴は、ソニーグループ株式会社R&Dのディープラーニング(深層学習)技術と、SREホールディングスが有する不動産査定のノウハウを組み合わせた不動産価格推定エンジンを活用したものです。
SRE独自のマーケットデータを豊富に揃えており、さらに最先端のAI技術を融合することによって、高精度かつ根拠のある価格査定を行っています。
例えば、下記のようなビッグデータを保有しており、個別の案件によって査定価格を算出していきます。
- 同じマンション内の流通状況、市場動向
- 階数、専有面積、築年数、間取り、バルコニー方向などの住居条件
- 駅からの距離などの立地条件
- 住居中、空室、賃貸中などの入居状況、など
SRE不動産のAI査定では、これらの不動産に関わるビッグデータをもとに、独自の価格推定アルゴリズムによって不動産の成約価格を推定しています。推定価格・推定精度については週1回の頻度で更新し、最新のデータを自動的に学習しているため、常に最新の推定価格を算出できるのが特徴です。また、アルゴリズムの改善も継続的に行っています。
不動産価格推定エンジンの他には、類似物件検索エンジン、物件検索マップ、不動産賃料推定エンジンなども連携させており、査定価格の精度を高めることに成功しています。
なお、SRE不動産の不動産価格推定エンジンの推定精度は、2023年2月7日時点でMER5.5%となっています。(東京都23区内の1980年以降築のマンションを対象としたMER)
MERとは機械学習の分野において推定結果の正確さを示す指標であり、MERの値が小さいほど推定精度が高いことを意味しています。例えば、MERが5%であればすべての物件のうち半数の物件が5%以下の誤差率で推定できていることになります
2-2 SRE不動産のAI査定と他社のAI査定の違い
AI査定を提供するサイトがありますが、SRE不動産ではより成約価格に近い査定価格を算出しています。その違いは、売却エージェントによる取引事例比較法での査定を組み込んでいるからです。
通常、AI査定は過去の取引事例などのデータから相場価格の算出を行います。そのため、個別の案件に関する条件は反映されにくい仕組みとなっています。従来のAI査定の弱みとしては、大まかな市場動向や相場を把握するのには優れている反面、物件の状態など直接確認しないとわからないこと、また売主の希望なども査定価格に反映されないという点が挙げられました。
それに対してSRE不動産の査定は、AI査定に加えて、日当たりや眺望、オプション設備、室内の状態といった部屋の個性、売主の要望や事情などAIでは判断できない要素を売却エージェントが確認し、査定価格に反映させていきます。
そのため、より高精度で、売主も買主も満足感の高い査定価格を算出することができるという点がメリットとなります。AI査定と取引事例比較法の2つを組み合わせて査定を行っているのは、SRE不動産の大きな特徴と言えるでしょう。
SREホールディングスでは、こうした不動産事業に関する知見やデータの蓄積により、不動産テック事業を内包した革新的なSaaSプロバイダーとして多様な業界のDXや事業拡大を推進に貢献しています。
その一つが、AI査定の仕組みを「SRE AI査定CLOUD」として全国の不動産会社に提供していることです。そのためデータの蓄積量がより膨大になっており、査定価格の精度がさらに高まっているのです。これも他社のAI査定との違いです。
こうした取り組みが各方面で高い評価を集めており、2021年には経済産業省と東京証券取引所から「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」および「DXグランプリ2021」に選定されています。
2-3 SRE不動産のAI査定のメリット・デメリット
SRE不動産のAI査定の仕組みについて把握できたところで、メリットとデメリットについても確認しましょう。
SRE不動産のAI査定のメリット
SRE不動産のAI査定は、2種類の方法を融合させて査定を行っています。これは業界唯一の仕組みです。そのため、高精度かつ納得感のある査定価格を算出することができます。
また査定作業にかかる時間は、従来方式では180分程度とされていますが、最短で10分に短縮することができるようになっています。査定価格の提示まで時間短縮が見込めるため、早急に売却したい場合などは特にメリットを感じるでしょう。
SRE不動産のAI査定のデメリット
AI査定では取り扱える物件タイプとして、分譲マンション、土地、戸建の3つの物件に限定されるのがデメリットの一つです。SRE不動産の本来の取り扱い物件種別は下記のようになります。
- マンション(1室、複数)
- 一戸建て(2世帯住宅含む)
- 土地
- 駐車場
- 収益用不動産(アパート、マンション、ビル、店舗など)
上記に記載されているうち、一棟アパートや一棟マンションなどの投資用不動産をAI査定してもらうことはできません。またマンションリストによるマンション査定を行うため、リストにないマンションの場合、査定が困難なことも考えられます。
対応しているエリアが限られているのもデメリットの一つです。SRE不動産のサービスエリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県となっており、順次拡大していく予定ですが、2023年2月時点、上記以外の不動産には対応していません。また、サービスエリア内でも取り扱いできないケースや地域もあります。
ただし、不動産査定ツール「SRE AI査定CLOUD」は、47都道府県の不動産に対応しています。そのため、「SRE AI査定CLOUD」を導入している全国の不動産会社では、SREホールディングスのAI査定を利用できる可能性があります。
3 SRE不動産(旧ソニー不動産)のAI査定以外のAIサービス
SRE不動産では、AI査定以外にもAIを駆使したサービスを多彩に提供しています。そこでこの項目では、AI技術を駆使した2つのサービスを紹介していきます。
3-1 マンションAIレポート
「マンションAIレポート」とは、SREホールディングスが運用するwebサイトです。ソニーグループ株式会社のAI技術と、SRE不動産が有する不動産査定のノウハウを活用して共同開発した不動産価格推定エンジン、不動産賃料推定エンジンをもとにしたもので、マンションの売買の際や、貸したい人にとって参考になる情報をさまざまな切り口で提供しています。
代表的な情報は次の4つです。
- マンションの売却価格帯、賃料価格帯
- マンション売却推定価格ランキング
- 築年数ごとのマンション購入価格の変動
- AIが算出するマンション賃料推定価格ランキング
売却したいマンションの情報や、購入したいマンションの情報などがさまざまな角度からわかるため、価格設定や価格交渉といった不動産売買のさまざまなシーンで役立ちます。
3-2 AIFLAT(アイフラット)
「AIFLAT(アイフラット)」はソニーグループのIoT技術とAI技術を、マンションなどの住宅に装備していくことを目指した事業です。第1弾として企画されたのが、ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社のスマートホームサービス「MANOMA(マノマ)」を採用した物件です。
MANOMAとは、安心、快適、感動の新たなライフスタイルをフルパッケージされたスマートホームサービスです。「セキュリティ」、「オートメーション」、「ニューライフスタイル」を軸にソニー製のホームゲートウェイと室内カメラを配備し、さらにパーソナライズされたさまざまなサービスによって自宅をより快適な生活空間にすることができます。
「AIFLAT」ブランドの賃貸マンション開発も行っており、「AIFLAT Dokanyama」(東京都荒川区)、「AIFLAT方南町」(東京都中野区)、「AIFLAT中目黒」(東京都目黒区)、「AIFLAT両国」(東京都墨田区)などをリリースしています。
まとめ
生活を豊かにしてくれる最先端のAI技術ですが、SRE不動産ではよりよい不動産取引のためにAIによるさまざまなサービスを提供しています。
そのうちAI査定では多彩なデータにより、成約価格に近い査定価格を算出しています。AIでは判断しにくい物件の個性などを、売却エージェントが確認して査定に反映させるのも特徴で、より適切な価格で売却できる可能性があります。
SRE不動産では無料査定ページから申し込み可能な不動産の無料査定を行っています。現在の不動産価格を知ってから売却を検討していきたい方や、出来るだけ良い条件で売却をして行きたい方などは、利用を検討されてみるのも良いでしょう。
【関連記事】SRE不動産(旧ソニー不動産)の評判・口コミは?メリット・デメリットや申し込み手順も
倉岡 明広
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