愛媛県は、みかんやいよかん、今治タオルなどの特産品、養殖真鯛生産量日本一などで知られている瀬戸内海に面した県です。四国地方で最も広い5,676k㎡の面積を持ち、県内は中予、東予、南予の3地域に分けることができます。県庁所在地の松山市を含めて20市町村があり、2023年9月1日時点で四国地方で最も多い1,292,324人(602,277世帯)が暮らしています(出典:愛媛県ホームページ)。
今回のコラムでは、このような特徴を持つ愛媛県で不動産を売却する際に活用できる不動産一括査定サイト4社を比較しながら紹介していきます。また、愛媛県の中古マンションおよび中古一戸建ての不動産市場の傾向や、愛媛県の不動産を売却する際の注意点も合わせて解説していきます。
※2023年10月時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
- 愛媛県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
1-1.SUUMO不動産売却
1-2.LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
1-3.HOME4U
1-4.RE-Guide - 愛媛県の不動産売却の傾向
2-1.愛媛県の中古マンション売買の傾向
2-2.愛媛県の中古一戸建て売買の傾向 - 愛媛県で不動産売却をする際の注意点
3-1.専有面積が60㎡未満の中古マンションは在庫になりやすい
3-2.高い省エネ性能がポイントになる可能性がある - まとめ
1 愛媛県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
不動産売却をスムーズに進めるには、市場の動向を反映した価格設定が重要です。そのため、不動産市場に精通した不動産会社に査定をしてもらい、販売価格を設定します。このとき、複数の不動産会社に査定をしてもらうことで下記のようなメリットがあります。
- 物件価格の相場が分かりやすくなる
- より高く売却できる可能性がある
- 不動産会社を選ぶ際の参考になる、など
ただし、査定を依頼する不動産会社を探すには時間も手間もかかります。そこで便利なのが不動産一括査定サイトです。物件や依頼者の情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社に査定を依頼することができます。
下記の表は、2023年10月時点の情報をもとに、愛媛県の不動産を売却する際に活用できる代表的な4つの不動産一括査定サイトについてまとめたものです。
サイト名 | 参加企業数 | 同時依頼可能数 | 運営会社 |
---|---|---|---|
SUUMO不動産売却 | 約2,000店舗 | 10社 | 株式会社リクルート |
LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス | 4,520社 | 6社 | 株式会社LIFULL |
HOME4U | 2,100社 | 6社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング |
RE-Guide | 900社以上 | 10社 | 株式会社ウェイブダッシュ |
それぞれのサイトについて特徴を解説していきますので、比較する際の参考にしてください。
1-1 SUUMO不動産売却
- 株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイトSUUMOのサービスの一つ
- 提携数は約2,000店舗
- 利用者満足度は91%(2021年3月調査会社調べ、448人を対象)
- 同時に依頼できる不動産会社の数は最大10社
- 愛媛県で不動産査定を依頼できる不動産会社は6社(店)
SUUMO不動産売却は、不動産に関わる幅広いサービスを提供する不動産ポータルサイトSUUMO(スーモ)の不動産一括査定サービスです。運営は、株式会社リクルートが行っています。提携企業数は全国各地の約2,000店舗に及び、大手不動産会社から各地域の中小不動産会社まで幅広く掲載されているのが特徴です。愛媛県の物件を査定してもらう場合は、2023年10月時点で6社(店)の不動産会社が対応可能になっています。
情報を入力する際はチャット形式になっており、質問に答えることで簡単に入力が完了します。「開店10年以上」「買い取り制度あり」といった項目で検索をすることができるのも特徴で、細かな意向に合わせて不動産会社の絞り込みをすることができます。
特徴が把握しやすいように店舗所在地や営業時間などのほか、不動産会社の詳細ページには「店舗の特徴」「売却実績」「スタッフ紹介」「購入希望者」「売却Q&A」といったコーナーも用意されています。使いやすさや提供される情報の精度などから、利用者の顧客満足度は91%となっています。
1-2 LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
- 株式会社LIFULLが提供する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sのサービスの一つ
- 2023年10月時点で4,520社が参加
- サービスを利用した方は2023年9月時点で1,000万人
- 情報の入力はチャット形式でできる
- 愛媛県で不動産査定を依頼できる不動産会社は17社(店)
LIFULL HOME’S不動産売却査定サービスは、累計1,000万人が利用している不動産一括査定サイトです。不動産に関わる多彩な情報を揃えた不動産ポータルサイトLIFULL HOME’S(ホームズ)のサービスの一つです。2023年10月時点では4,520社が参加しており、愛媛県の不動産査定を依頼する場合は17社(店)から選択可能でした。
不動産会社の情報が細かく記載されているほか、「ひとことアドバイス」や「ココが強み」、取り扱いプランもわかる「トピック」などのコーナーによって特色が分かりやすくなっており、比較する際も便利なサイトデザインになっています。
1-3 HOME4U
- NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営
- 累計売却査定数は2022年11月時点で50万件
- 2,100社の優良企業を掲載
- 年間1,400万人が利用
- 情報の入力はチャット形式でできる
- プライバシーマークを取得している
HOME4Uは、2001年に日本で初めてサービスを開始した不動産一括査定サイトです。情報サービス業界最大手NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営しており、2022年11月には査定実績50万件を突破しています。
2,100社を数える掲載企業は、NTTグループ独自の厳格な審査をパスしている優良企業ばかりです。大手不動産会社に加えて地域に密着した企業も掲載しており、47都道府県すべてに対応しているのも特徴です。
入力はチャット形式を採用しており、オペレーターの質問に回答していく形で物件や依頼者に関する情報を入力していきます。プライバシーマークを取得し、個人情報の管理を厳格に行っているのもNTTグループならではです。
1-4 RE-Guide
- 大手不動産会社から中小不動産会社の900社以上が参加
- 同時に査定を依頼できるのは最大10社
- 独自の審査で掲載企業を厳選
- 日々、プロの目でサービスをチェック
- 愛媛県で不動産査定を依頼できる不動産会社は11社(店)
- 愛媛県の不動産査定依頼実績:一戸建て62.89%、マンション2.52%、土地23.58%
RE-Guide(リガイド)は、2006年に「SBI不動産ガイド」としてスタートした不動産一括査定サイトです。独自審査によって不動産会社を厳選しており、現在の提携企業は900社以上となっています。大手不動産会社から地域の中小不動産会社まで幅広く掲載しており、愛媛県の不動産を査定する場合は2023年10月時点で11社(店)が対応可能です。
特徴的なのはYahoo!やFacebookのユーザー情報を自動入力することができることで、入力の際に煩わしさを感じることはないでしょう。同時に査定依頼できる不動産会社は最大10社となっており、査定結果が多く欲しいといった意向がある方は特にメリットを感じる仕組みになっています。
2 愛媛県の不動産売却の傾向
不動産の売却は不動産市場の動向にも左右されるため、スケジュールにある程度の余裕があれば、不動産事情についても確認されておくと良いでしょう。
この項目では、東日本レインズ(公益社団法人東日本不動産流通機構)が公表している市況レポートから、愛媛県の中古マンションと中古一戸建ての成約状況を確認していきます。不動産をスムーズかつ適切な価格で売却するために、傾向を把握しましょう。
2-1 愛媛県の中古マンション売買の傾向
下記の表は、東日本レインズ(公益社団法人東日本不動産流通機構)の「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、愛媛県における2022年の中古マンションの成約動向を月別にまとめたものです。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 11件(−8.3%) | 1,790万円(73.0%) |
2022年2月 | 9件(−43.8%) | 1,851万円(6.3%) |
2022年3月 | 11件(−42.1%) | 1,143万円(−38.4%) |
2022年4月 | 19件(46.2%) | 1,513万円(−17.0%) |
2022年5月 | 13件(85.7%) | 1,235万円(−41.2%) |
2022年6月 | 9件(−40.0%) | 1,859万円(13.7%) |
2022年7月 | 13件(44.4%) | 1,726万円(0.0%) |
2022年8月 | 8件(0.0%) | 1,628万円(9.3%) |
2022年9月 | 19件(35.7%) | 1,798万円(41.3%) |
2022年10月 | 13件(44.4%) | 1,730万円(−24.1%) |
2022年11月 | 18件(12.5%) | 1,890万円(27.2%) |
2022年12月 | 13件(85.7%) | 1,455万円(−1.6%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
2022年における愛媛県の中古マンションは、月に8〜19件の間で売買が成約となっています。12月のうち7月が前年同月より増加となっており、9月から12月までは4カ月連続で増加です。総数でも、2021年の145件から2022年は156件となっており、11件の増加(前年比107.6%)となっています。
一方、成約価格の前年同月比はプラスが6月、マイナスが5月となっています。月別中央値では下落傾向が鮮明で、2021年の1,660万円に比べて2022年は1,635万円と、25万円の下落(前年比98.5%)となっています。
2-2 愛媛県の中古一戸建て売買の傾向
この項目では、中古一戸建ての売買について確認していきます。同じく、東日本レインズの「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、愛媛県の中古一戸建ての成約件数と成約価格を抜粋したのが下記の表です。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 15件(−48.3%) | 1,132万円(−6.8%) |
2022年2月 | 18件(−14.3%) | 1,717万円(26.0%) |
2022年3月 | 17件(−29.2%) | 1,709万円(−8.1%) |
2022年4月 | 9件(−40.0%) | 1,427万円(6.5%) |
2022年5月 | 17件(54.5%) | 1,903万円(22.2%) |
2022年6月 | 23件(64.3%) | 1,873万円(13.4%) |
2022年7月 | 16件(−5.9%) | 1,700万円(−3.1%) |
2022年8月 | 21件(40.0%) | 1,495万円(2.9%) |
2022年9月 | 20件(53.8%) | 1,615万円(−3.4%) |
2022年10月 | 20件(42.9%) | 1,648万円(13.2%) |
2022年11月 | 13件(8.3%) | 1,679万円(16.6%) |
2022年12月 | 17件(70.0%) | 1,505万円(9.3%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
2022年の愛媛県における中古一戸建ての成約件数は、増加傾向が見られます。月別の前年同月比は12月のうち7月で増加しており、総数でも2021年の195件から2022年は206件と11件の増加(前年比105.6%)となっています。8月から12月まで5カ月連続で前年同月比増になっており、中古マンションの成約状況と同様の傾向が見られます。
中古マンションとは反対に、売買が活発になっている傾向が成約価格の動向からも見てとれます。前年同月比は12月のうち8月で上昇しており、月別中央値も2021年の1,511万円から2022年は1,617万円と、106万円の上昇(前年比107.0)となっています。
3 愛媛県で不動産売却をする際の注意点
次に、愛媛県での不動産売却における注意点についても見ていきましょう。
3-1 専有面積が60㎡未満の中古マンションは在庫になりやすい
下記の表は、東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、2022年の中古マンションに関して成約物件と在庫物件の平均専有面積を抜粋したものです。
年月 | 成約物件の平均専有面積 | 在庫物件の平均専有面積 |
---|---|---|
2022年1月 | 81.24㎡ | 58.58㎡ |
2022年2月 | 70.54㎡ | 58.12㎡ |
2022年3月 | 68.90㎡ | 56.95㎡ |
2022年4月 | 70.44㎡ | 56.76㎡ |
2022年5月 | 55.11㎡ | 57.87㎡ |
2022年6月 | 69.59㎡ | 58.89㎡ |
2022年7月 | 69.90㎡ | 59.76㎡ |
2022年8月 | 70.14㎡ | 59.38㎡ |
2022年9月 | 70.81㎡ | 58.53㎡ |
2022年10月 | 62.84㎡ | 59.63㎡ |
2022年11月 | 74.29㎡ | 59.43㎡ |
2022年12月 | 64.94㎡ | 60.57㎡ |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
成約物件の平均専有面積が60㎡以下になっているのは5月だけで、在庫物件の平均専有面積が60㎡以上になっているのは12月だけです。また中央値を見てみると、成約物件は69.06㎡、在庫物件は58.68㎡となっており、10㎡以上の差があることがわかります。
これらのことから愛媛県で専有面積が60㎡以下の中古マンションを売却する際は、専有面積以外の特徴を打ち出す必要があると考えられます。
3-2 高い省エネ性能がポイントになる可能性がある
愛媛県は瀬戸内海に面しており、温暖な気候が特徴ですが、2014年に厚生労働省が発表した「人口動態統計都道府県別・死因別・月別」をもとに作成された資料によると、愛媛県は冬季死亡増加率が下記の表のように全国4位、西日本では1位となっています。冬の寒さに対する備えが低い都道府県で死亡率が高くなる傾向があり、全国平均の17.5%に対して愛媛県は23.0%です。
順位 | 都道府県 | 割合 |
---|---|---|
1位 | 栃木県 | 25.0% |
2位 | 茨城県 | 23.5% |
3位 | 山梨県 | 23.3% |
4位 | 愛媛県 | 23.0% |
5位 | 三重県 | 22.8% |
※出典:国土交通省「断熱改修等による居住者の健康への影響調査概要 (スマートウェルネス住宅等推進事業)」より抜粋
また、2018年にRinnaiが発表した「日本人の入浴習慣について全国47都道府県別徹底調査」では、「愛媛県民は日本で最も暑いお風呂に入っている」「ヒートショックになりやすい予備軍が全国で3番目に多い」と報告しています。熱いお風呂に入ることに加えて、脱衣所や浴室に暖房設備がない、住宅の断熱性能が低いといったことなどが要因とされています。
愛媛県の「住宅における省エネ対策について」では、約5,000戸の住宅ストックのうち省エネ基準に適合している住宅は2018年時点で約13%、無断熱住宅は約29%と報告されています。このような背景から、高い断熱性能や省エネ性能などが備わっている住宅は、売却時にも強く訴求できるポイントと言えるでしょう。
このような傾向がある愛媛県で住宅を売却する際は、不動産市場の傾向や県民性などを把握している不動産会社に任せたいものです。
不動産会社を選ぶ際は下記の点がポイントになります。
- 物件のあるエリアに精通している
- スピーディーな対応をしている
- 売却する物件タイプを得意としている
- 豊富な実績がある
- 親身になって相談に乗ってくれる
- 知識に基づいたアドバイスをしてくれる
- 行政処分歴がない、など
不動産会社を探す場合は、前述した不動産一括査定サイトを利用するなどして、効率的に不動産会社を比較されると良いでしょう。一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼することができるので、査定価格や不動産会社の対応力を比較する際に便利に活用することができます。
まとめ
愛媛県では、専有面積の狭い中古マンションは売却しにくいといった傾向があり、このような事情を熟知した上で売却活動を行うことでスムーズな売却ができる可能性があります。
不動産会社を選ぶ際は、一度に複数の不動産会社に査定を依頼することができる不動産一括査定サイトを利用することで、不動産会社の比較がしやすくなります。今回ご紹介した不動産一括査定サイトは、それぞれ使い方やサービス内容、提携している不動産会社などが異なるため、ご自身が使いやすい不動産一括査定サイトを選ぶようにしましょう。
また、すべて無料で利用することができるため、複数のサイトを使い分けたり、並行して利用することも可能です。
倉岡 明広
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