東京23区のマンションの人気エリアや売り時は?物件価格や購入検討者の推移から検証

※ この記事は三井のリハウスより提供された情報をもとに作成しています

「東京23区」とひとくくりにされることがありますが、それぞれの区では特徴が異なり、マンションなどの不動産価格にも大きな差があります。また、不動産価格は経済状況などの影響を受けて日々変動しています。

そこで今回のコラムでは、東京23区のマンションについて「三井のリハウス」が公開している「平均価格」や「購入検討者数」など、2022年11月15日から2023年11月20日までのデータを参照し、人気エリアや売り時を検証します。

三井のリハウス

三井のリハウスの不動産査定・売却三井のリハウスは、三井グループの不動産会社「三井不動産リアルティ」が行っている不動産コンサルティング事業の名称です。大手不動産会社ならではのネットワークを全国に構築しており、2023年4月時点で北海道から九州まで287店舗を展開しています。全国売買仲介取扱件数は1986年度から2023年度まで38年連続ナンバーワンを獲得しており、1975年の売買仲介業務開始以来の累計取扱件数は100万件を超えています。

個人向け不動産の売却、購入、賃貸に関するさまざまなサービスを提供しており、不動産売却の際には「現地調査」を基本に不動産売買のプロによる無料査定を提供しています。査定後に売却するかどうか判断しても構わないため、「まずは価格を知りたい」「売却するか活用するか悩んでいる」という方でも利用しやすいサービスです。

※本記事は、三井のリハウスで公開されている2022年11月15日から2023年11月20日までの不動産情報を基に執筆しています。東京の不動産市場は流動性が高く、売出情報のデータも日々変動があるため、最新情報についてはご自身でもお調べのうえご検討ください。

目次

  1. 東京23区のマンション売買に関するランキング(2023年11月時点)
  2. 1年間の変動から見た東京23区の人気エリア
    2-1.マンション平均価格の上昇額・上昇率から見た人気エリア
    2-2.マンション購入検討者の増加数・増加率から見た人気エリア
  3. 1年間の推移から見た東京23区のマンションの売り時
    3-1.マンションの購入検討者数・平均価格・売出物件数の推移を検証
    3-2.東京都全体の人口推移
    3-3.マンションの実際の売り時を知るには査定依頼も検討する
  4. まとめ

1 東京23区のマンション売買に関するランキング(2023年11月時点)

マンション売却に関して東京23区内の人気エリアを検証するため、マンションの区別「平均価格」「購入検討者数」の上位5番目までをまとめたのが下記の表です。

平均価格ランキング(2023年11月20日時点)

順位 2023年11月20日時点の平均価格
1位 千代田区 1億8,516万円
2位 港区 1億8,410万円
3位 渋谷区 1億4,485万円
4位 中央区 1億51万円
5位 文京区 8,535万円

不動産価格は需要と供給の関係で、購入したいという人が多いほど価格は上昇します。そこで平均価格の上位5番目までを確認すると、千代田区、港区、渋谷区、中央区、文京区の順番になっています。いわゆる都心3区と言われ、高級マンションも多い千代田区、港区、中央区が上位を占めていることもわかります。

ただし、高額物件が多い地域に人気が集中しているとは限りません。そこで、購入を検討している方の区ごとのデータをまとめたのが下記の表です。

購入検討者数ランキング(2023年11月20日時点)

順位 2023年11月20日時点の購入検討者数
1位 世田谷区 3,719人
2位 港区 3,603人
3位 渋谷区 3,162人
4位 江東区 2,823人
5位 千代田区 2,696人

「平均価格」とともに上位5番目までに入っているのが、港区、渋谷区、江東区の3区です。一方、1位となった世田谷区のマンションの平均価格(2023年11月20日時点)は6,350万円で、東京23区では12番目に位置しています。

このことから世田谷区は、1億円を超える高額物件を求めている方以外からも人気を集めていると考えられます。

この他、購入検討者が多いもののマンションの平均価格が上位ではないのは、杉並区(購入検討者7位、平均価格15位)、中野区(購入検討者11位、平均価格13位)、練馬区(購入検討者12位、平均価格20位)などがあります。

2 1年間の変動から見た東京23区の人気エリア

次に検証するのは、直近1年間でどの区が人気を集めるようになったかです。そのため物件価格がどれくらい上昇したのか、購入検討者数がどれくらい増加したのかを確認していきます。

2-1 マンション平均価格の上昇額・上昇率から見た人気エリア

まずはマンション平均価格の1年間の上昇額と上昇率のランキングです。データを集計した2022年11月15日と2023年11月20日の1年間でどのくらい変動したか見てみましょう。

東京23区のマンション平均価格の上昇額ランキング

順位 2022年11月15日 2023年11月20日 上昇額
1位 千代田区 1億3,092万円 1億8,516万円 5,424万円
2位 渋谷区 1億8,45万円 1億4,485万円 3,649万円
3位 港区 1億5,644万円 1億8,410万円 2,766万円
4位 文京区 6,592万円 8,535万円 1,583万円
5位 新宿区 6,327万円 7,825万円 1,498万円

東京23区のマンション平均価格は、1年間で23区のうち18区で上昇しており、下落したのは5区です。中でも最も下落したのは品川区で、8,938万円から7,847万円へ1,091万円の下落となっています。一方、上昇額が1位なのは5,424万円上昇した千代田区です。

東京23区のマンション平均価格の上昇率ランキング

順位 2022年11月15日 2023年11月20日 上昇率
1位 千代田区 1億3,092万円 1億8,516万円 141.4%
2位 渋谷区 1億845万円 1億4,485万円 133.6%
3位 新宿区 6,327万円 7,825万円 123.7%
4位 文京区 6,592万円 8,535万円 122.8%
5位 港区 1億5,644万円 1億8,410万円 117.7%

上昇率の上位5番目までは、上昇額と同じです。ただし新宿区が3位で、港区が5位となっています。また6番目は台東区(115.5%)、7番目は豊島区(111.2%)と続きます。

マンション平均価格の上昇に関する2つの表からは、千代田区、渋谷区、新宿区、文京区、港区の上昇幅が大きく目立ちます。

2-2 マンション購入検討者の増加数・増加率から見た人気エリア

次は、購入検討者数の視点で、人気のエリアを見ていきましょう。下記の表は、データを集計した2022年11月15日と2023年11月20日の1年間で、購入検討者の増加数と増加率をランキングにしています。

東京23区のマンション購入検討者増加数ランキング

順位 2022年11月15日 2023年11月20日 増加数
1位 中央区 1,873人 2,252人 403人
2位 港区 3,299人 3,661人 318人
3位 千代田区 2,420人 2,704人 310人
4位 台東区 1,105人 1,278人 238人
5位 渋谷区 2,965人 3,139人 220人

マンションの購入を検討している方の増加数も、都心3区が上位3位までを独占しており、強さを見せています。中でもこの1年間での増加数が最も多いのは中央区です。母数はもともと多くありませんが、購入検討者数は1,000人台から2,000人台になっています。

東京23区のマンション購入検討者増加率ランキング

順位 2022年11月15日 2023年11月20日 増加率
1位 台東区 1,105人 1,278人 122.7%
2位 中央区 1,873人 2,252人 121.3%
3位 墨田区 1,091人 1,254人 118.8%
4位 葛飾区 621人 703人 116.3%
5位 豊島区 1,007人 1,152人 114.4%

購入検討者数の増加数で4位にランクインしていた台東区が、増加率では1位になっています。台東区のマンション平均価格は2023年11月20日時点で6,441万円となっており、東京23区内では10番目に位置しています。2022年11月15日時点では5,579万円で、6番目に相当する862万円の上昇となっていることから、価格面でも人気が上昇傾向にあることがわかります。

また、3位の墨田区のマンション平均価格は2023年11月20日時点で4,936万円(23区中16番目)、4位の葛飾区は3,953万円(23区中21番目)となっており、平均価格の低いエリアではこの2区が特に人気を集めていると言えます。

3 1年間の価格推移から見た東京23区のマンションの売り時

3-1.マンションの購入検討者数・平均価格・売出物件数の推移を検証

マンションを売却するにはタイミングを見極めることが重要なポイントとなります。ただし、マンションの売り時を考えるには1つの側面だけでなく、多角的な視点から検証して検討していくことも大切です。

この項目では、「購入検討者数」「平均価格」「売出物件数」の1年間の推移から検証してみましょう。

東京23区のマンション購入検討者数の1年間の推移

調査日 購入検討者数 平均値(前月比)
2022年11月15日 42,565人 1,826.4人(98.6%)
2022年12月15日 41,621人 1,809.6人(99.1%)
2023年1月16日 41,011人 1,783.1人(98.5%)
2023年2月15日 40,857人 1,776.4人(99.6%)
2023年3月15日 40,700人 1,769.6人(99.6%)
2023年4月16日 41,244人 1,793.2人(101.3%)
2023年5月25日 41,527人 1,805.5人(100.7%)
2023年6月15日 42,040人 1,827.8人(101.2%)
2023年7月15日 42,208人 1,835.1人(100.4%)
2023年8月18日 42,156人 1,832.9人(99.8%)
2023年9月15日 42,025人 1,827.2人(99.7%)
2023年10月17日 42,396人 1,843.3人(100.9%)
2023年11月20日 42,384人 1,842.8人(99.97%)

マンションの売買では「3月〜4月の引っ越しシーズンに合わせて増える」「夏は少なくなる」などの特徴があります。

実際のデータを参照すると、購入検討者の総数で言えば最低が40,700人(2023年3月)で最高が42,565人(2022年11月)となっています。11月頃から年明けの購入を目指して購入検討者が増え始め、3月には購入が決定して検討者数が減ったと考えられます。

東京23区のマンション平均価格の1年間の推移

調査日 平均価格の中央値 前月比
2022年11月15日 6,736.1万円 99.8%
2022年12月15日 6,762.1万円 100.4%
2023年1月16日 6,687.8万円 98.9%
2023年2月15日 6,824.5万円 102.0%
2023年3月15日 6,791.3万円 99.5%
2023年4月16日 6,818.8万円 100.4%
2023年5月25日 6,899.4万円 101.2%
2023年6月15日 6,985.9万円 101.3%
2023年7月15日 7,054.4万円 101.0%
2023年8月18日 7,127.6万円 101.0%
2023年9月15日 7,221.1万円 101.3%
2023年10月17日 7,308.7万円 101.2%
2023年11月20日 7,453.7万円 102.0%

マンション平均価格で見ると、東京23区のマンション平均価格自体が上昇しているため、1年1ヶ月間のうちで10ヶ月については前月比上昇となっています。下落したのは11月、1月、3月です。

3月に平均価格が下落した要因の一つとして、売り時を逃さないために「販売価格を下げた」などの影響も考えられます。1月から2月にかけて、適正価格で売却することがポイントとなってくるでしょう。

東京23区のマンション売り出し物件数の1年間の推移

調査日 売り出し物件数 平均値(前月比)
2022年11月15日 3,968件 172.5件(102.2%)
2022年12月15日 4,017件 174.7件(101.3%)
2023年1月16日 4,117件 179件(102.5%)
2023年2月15日 4,227件 183.8件(102.7%)
2023年3月15日 4,164件 181.0件(98.5%)
2023年4月16日 4,100件 178.3件(98.5%)
2023年5月25日 3,990件 173.5件(97.3%)
2023年6月15日 3,774件 164.1件(94.6%)
2023年7月15日 3,847件 167.3件(102.0%)
2023年8月18日 3,903件 169.7件(101.4%)
2023年9月15日 3,715件 161.5件(95.2%)
2023年10月17日 3,673件 159.7件(98.9%)
2023年11月20日 3,666件 159.4件(99.8%)

不動産市場に売りに出されている物件数から売り時を探ると、11月から12月にかけて市場で販売される物件数が増え始め、ある程度、売買が終了した3月には物件数が減り始めています。これは、購入検討者数の推移にも連動していると考えられます。また、もう一つの引っ越しシーズンでもある10月までの売却を目指して、7月と8月に物件数が増えているのも見てとれます。

これらの3つのデータを検証すると、11月頃から翌年3月頃まで不動産市場が活性化されていることがわかります。ただし物件の特徴によっては、購入検討者が多い時期に売りに出した方がいい、市場に物件が少ない時期に売り出した方がいいなどの戦略が必要なこともあります。

3-2.東京都全体の人口推移

不動産購入を検討する方は、実際に住む「実需」目的ではなく、賃貸物件として貸し出す「投資」目的として購入される方もいます。購入検討者が増えていても、全体の人口が減少しているエリアでは、不動産価格の下落が起きるリスクが高くなります。

東京都「東京都の統計」によると、東京23区の人口は2023年10月1日時点で9,783,988人(5,371,490世帯)となっており、2022年10月1日時点の9,720,389人(5,331,364世帯)から63,599人(40,126世帯)の増加となっています。

2020年に起きた新型コロナウイルスの感染拡大の影響により一時期は人口減少に転じていた東京ですが、2023年時点では人口増加傾向が続いています。人口・世帯数の増加によってマンションなどの住居に対する需要も増え、平均価格の上昇、購入検討者の増加などの傾向が見られます。

3-3 マンションの実際の売り時を知るには査定依頼も検討する

ここまでデータを参照しながらマンションの売り時について検証してきましたが、これらは全体的な傾向であり、個別性の強いマンションの売買においては必ずしも当てはまらないケースがあります。

例えば、区全体のマンション価格が上昇傾向にあっても、修繕積立金が高騰していたり、駅から遠いなど立地条件の悪いマンションでは価格が横ばい、もしくは下落していることも少なくありません。加えて、不動産は経年劣化によって徐々に資産価値を低下させていく特徴があるため、土地値が大きく高騰しないかぎり基本的に徐々に値を下げる傾向があるのです。

このような不動産の個別事情については全体的な市場傾向から読み取ることができません。マンションの個別事情を加味しながら売り時を探るには、実際に不動産査定を依頼したり、売り出しを検討してみるのも一案です。

今回データを参照した三井のリハウスでは、売却に迷っている段階でもマンションの査定依頼をすることが可能です。また、実際に売り出しを実行したとしても、希望価格に届かない場合には売る必要がなく、媒介契約の契約期間を経過した後は売却自体を取り下げることも可能です。

東京23区のマンション価格は上昇傾向にあり、全体傾向としては一つの売り時と見ることができます。売却に迷う場合には、情報収集の手段の一つとして査定依頼を検討されてみると良いでしょう。

まとめ

今回は三井のリハウスが公表しているデータから、東京23区のマンションについて人気エリアや売り時の検証をしました。東京23区では全体傾向としてマンション価格や購入検討者の推移を見るに、一つの売り時として見ることができます。

ただし、これらの情報は全体傾向であり、個別事情が大きく売買に影響するマンションにおいて必ずしも当てはまらないことがあります。マンションの売り時を検証する際は、不動産査定を受けて実際の価格を調査することも大切なポイントです。

マンションを売却では、不動産市場の動向に詳しく、売買の実績が豊富で、地域の特性を把握している不動産会社に強みがあります。不動産査定は何社でも依頼することができるため、情報収集の手段として不動産査定を検討されておくと良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。