アパート経営の入居率を向上させるには?プロが教える5つのアイデア・方法

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不動産投資において、入居率の向上は重要な課題の一つです。入居率が高いほど一つの物件からの賃料収入が増えて、投資効率や収益性の向上に繋がります。入居率を高めるためには適切な修繕・メンテナンスやニーズの高い設備の拡充、賃料の調整などが有効です。

今回の記事では、アパート経営において入居率を向上させるための5つの方法・アイデアを紹介します。アパート経営における空室の発生を心配している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

  1. 不動産投資の入居率の基本的な考え方
    1-1.入居率の基本的な定義
    1-2.入居率が重要な理由
    1-3.入居率を高めるカギは早期に入居者を獲得すること
  2. 入居者獲得に苦戦する原因
    2-1.物件自体に問題がある
    2-2.入居者獲得のためのマーケティングが不充分
    2-3.賃料が割高である
    2-4.内見で好印象を獲得できていない
  3. 入居率を高めるための5つの方法・アイデア
    3-1.外観や共用部分をメンテナンスする
    3-2.内装を修繕する、魅力的な設備をつける
    3-3.集客力・内見スキルの高い管理会社を利用する
    3-4.セキュリティを強化する
    3-5.サブリースを利用する
  4. 入居率の維持や入居者獲得に強い不動産会社
    4-1 シノケンプロデュース
    4-2 アイケンジャパン
  5. まとめ

1 不動産投資の入居率の基本的な考え方

不動産投資においては、入居率(もしくはその逆の概念である空室率)が、投資の成否を大きく左右します。入居率の高さが賃料収入の水準を左右し、さらには資産価値にも影響を与える可能性があるためです。

1-1 入居率の基本的な定義

入居率とは、物件全体の部屋数に対して埋まっている部屋数の割合を示す指標です。現在の入居率は以下のとおり比較的簡単に計算できます。

現在の入居率=埋まっている区画数÷物件全体の区画数

たとえば、8区画あるアパートにおいて、6区画が埋まっていれば75%、8区画全て埋まっていれば100%という具合です。入居率100%の状態を「満室稼働(中)」という場合もあります。

賃貸経営を継続するうえでは、一定期間の平均的な入居率も重要です。今この瞬間は満室稼働でも、近いうちに転居者が現れて、入居率が下がる可能性もあるためです。

年間稼働率は、各部屋が365日のうち何日入居者がいたかを合計し、物件全体の日数(部屋数×365日)で割って算出します。全ての部屋が365日通して入居者がいた場合に、入居率は100%となります。

稼働日ベースの入居率=(各部屋の入居者がいた日数の和)÷(部屋数×365日)

稼働日ベースの入居率データを数年間確認して高水準であれば、その物件は平均的に稼働率が高いと考えられるため、投資判断でもプラスに評価できるポイントとなるでしょう。

1-2 入居率が重要な理由

入居率は、大きく分けて以下の2つの点に影響を与えるため、結果的に投資成績を大きく左右する可能性があります。

  • 月々のキャッシュフロー
  • 物件の資産価値・売却価格

入居率は、月々のキャッシュフローや物件の資産価値に直接影響します。例えば、物件全体の年間賃料収入に入居率を掛けることで実際の収益を算出できます。

年間賃料収入=(物件の年間の賃料総和) × (稼働日ベースの入居率)

入居率が高いほど賃料収入が増えて、満室稼働であればその物件で手に入る賃料収入の最大額を獲得できます。また、賃料収入の多寡は、資産価値や売却時の売値にも影響を与えます。居住需要が旺盛で入居者が見つかりやすい物件の方が、市場で高く評価される可能性があります。

潤沢な賃料収入が期待できる物件の方が、購入需要が出やすくなります。さらに、賃料収入が安定した物件は、銀行の担保評価にも好影響なため、融資審査を有利に進めやすくなる点も、資産価値や売却価格を引き上げる要因です。

1-3 入居率を高めるポイントは早期に入居者を獲得すること

入居率を高めるには、空室期間を短縮するために迅速な入居者獲得がポイントとなります。これには、賃料相場を見て適切な賃料設定を行ったり、物件の魅力がしっかりと伝わるよう原状回復を徹底するなど、それぞれの状況に合わせた具体的な対策が必要です。

また、入居率を維持する方法としては退去者を減らす事も検討できますが、転勤や別の地域での就職、結婚や出産などのライフイベントによって、どんなに住みよい物件でも転居せざるをえない状況になることがあります。そのため、退去リスクを抑えるのには限界があるのです。

入居率を高めるために重要なことは、退去が発生したときにできるだけ短期間で次の入居者を獲得する事にあります。この点を理解しておかないと、入居率を上げるための工夫の優先順位を見誤ってしまう恐れがあるので、注意しましょう。

2 入居者獲得に苦戦する原因

入居者獲得に苦戦するよくある原因は、次の通りです。

  • 物件自体に問題がある
  • 入居者獲得のためのマーケティングが不充分
  • 賃料が割高である
  • 内見で好印象を獲得できていない

それぞれの症状について、詳しく解説します。

2-1 物件自体に問題がある

物件自体に入居者を獲得するうえで不利な条件がある場合があります。まず考えられるのは立地です。不便な場所に物件があれば、それだけで入居者の獲得には逆風要因となります。

また、競合物件が多く、その中で劣後しているケースです。他に似た条件の物件が複数あれば、付帯設備のクオリティや築年数などで差がついてしまうでしょう。

ニーズと物件の構造が合っていないケースも考えられます。ファミリー層が多く居住する郊外に、単身用アパートがあっても、なかなか入居者を獲得できない可能性があるでしょう。

2-2 入居者獲得のためのマーケティングが不充分

管理会社や仲介会社が、十分な客付け活動を行っていない場合も入居者獲得が難航します。具体的には、Webポータルサイトへの物件掲載がされていない、広告の質が低い、または現地案内の対応が不十分であることが原因となります。

仮にポータルサイトに掲載されていても、掲載ページの質が低く魅力がうまく伝わらない場合もあるでしょう。物件自体が魅力的でも、マーケティングのやり方が不充分では、入居者の獲得は難しくなります。

2-3 賃料が割高である

賃料が高いほど、入居者獲得のハードルは高くなります。毎月の支出となる賃料は、多くの方に取って入居を判断する重要な要件の一つです。物件の立地や品質に比して割高に感じられれば、たちまち入居者が出にくくなります。

なお、単純な賃料だけでなく、共益費や管理費、敷金・礼金で差が付くこともあるので注意しましょう。物件自体の品質が同程度なら、当然ながら安いほど入居者は獲得しやすくなります。

2-4 内見で好印象を獲得できていない

内見の印象が悪く、入居者を獲得できていないケースもあります。物件自体の品質には申し分がなく、内見希望者は現れるのに、なぜか契約に至らない場合には、内見に問題があると考えられます。

物件の魅力をうまく伝えられていない、不動産会社の印象が悪い、共用部の隅の汚れなど、ネガティブな部分が不用意に見られてしまっているなどの原因が想定されます。

3 入居率を高めるための5つの方法・アイデア

入居者を高めるためには、次のような対策を実践してみると良いでしょう。

  • 外観や共用部分をメンテナンスする
  • 内装を修繕する、魅力的な設備をつける
  • 集客力・内見スキルの高い管理会社を利用する
  • セキュリティを強化する
  • サブリースを利用する

それぞれの対策について、詳しく紹介していきます。

3-1 外観や共用部分をメンテナンスする

外構や共用部分をメンテナンスして、内見者にとって魅力的な物件でアパート経営を行いましょう。物件の居住性を高めるうえで、部屋の中の修繕やメンテナンスを重視しがちです。しかし、内見のときには共用部分や外構も確認します。

こうした部分でマイナスなイメージをもたれれば、入居者の獲得が難航するでしょう。室内と同等かそれ以上に外構や共用部分を清潔かつ不具合の状態を保って、内見で好印象を得られるようにしましょう。

3-2 内装を修繕する、魅力的な設備をつける

内装を小まめに修繕して、住環境を維持するのも大事な要件です。賃貸物件の品質は年々向上していくため、放置するとあっという間に周辺の物件に劣後してしまいかねません。破損や汚れ、設備の不具合などは早めに直して、自信をもって内見者に紹介できる状態にしておきましょう。

また、設備の更新を適切に行うのも大切です。浴室乾燥機やシャワートイレ、IoT設備などは、近年導入する物件が増えてきています。競合の物件の設備を調べて、設備で見劣りしないように更新を進めてください。

ただし、あまりに設備にコストをかけすぎると、賃料を上げざるを得なくなり逆効果です。費用対効果の高い設備から、優先順位をつけて設置しましょう。

3-3 集客力・内見スキルの高い管理会社を利用する

集客や内見において力のある管理会社、不動産仲介会社を利用するのも重要です。Webポータル上で印象に残る紹介ができて、さらに店舗来訪者に魅力を適切に伝える能力のある会社を選びましょう。内見においてもプレゼンテーション能力が高く、短所を目立たせずに長所をしっかりと伝えられる会社とリレーションを構築しましょう。

自身の物件を積極的に入居希望者に売り込んでもらうためには、不動産会社や管理会社との関係性も重要です。

3-4 セキュリティを強化する

セキュリティを重点的に強化するのも有効です。女性やファミリー層はセキュリティ性の高さを基準に物件選びをするケースも少なくありません。また、学生も親が物件選びにかかわる場合が多く、やはりセキュリティ性を気にする方が多く見られます。

オートロックや防犯カメラ、宅配ボックス、室内物干しなど、セキュリティを高める修繕や設備更新のポイントは複数あります。セキュリティ性を高めて、安心して暮らせる物件であることをアピールして、入居者を獲得していきましょう。

3-5 サブリースを利用する

これまでに紹介したポイントとは別の対策として、サブリースで空室の影響を緩和する方法があります。サブリースとは、不動産会社などに一括で借り上げてもらい、不動産会社が責任を持って入居者を募る方法です。

不動産会社とオーナー間では、実際の入居率にかかわらず、一定期間にわたりあらかじめ決められた賃料が入ります。当面は空室リスクを気にしなくてよくなる契約形態です。

ただし、サブリースは定期的に賃料を見直すケースが多く、実際の空室が多ければ、賃料の減額の材料とされる可能性があります。サブリースといっても管理会社や物件の品質にはこだわってアパート経営を進めるようにしましょう。

4 入居率の維持や入居者獲得に強い不動産会社

4-1 シノケンプロデュース

シノケンの不動産投資セミナー
シノケンプロデュースは、土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供するアパート建築会社です。一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとしても知られており、アパート供給棟数は自社施工で7,000棟を超えています。「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」(全国賃貸住宅新聞)の「年間アパート開発棟数部門」では、9年連続No.1の実績があります。

グループ会社のシノケンファシリティーズの管理戸数は47,000戸以上(2023年12月末時点)、入居率98.56% (2023年年間平均入居率)となっています。このような入居率の高さは、5,000店舗以上(2024年5月時点)の仲介業者と提携し、良好な関係を築いていることも要因の一つです。

多数の金融機関と提携

シノケングループは、1990年の創業以来30年以上にわたり金融機関との取引実績を築いており、新築アパート経営において日本で初めて独占提携ローンを提供したことでも知られています。オーナーの属性によっては、金利1%台、RC物件と同程度の35年の返済期間などでの紹介実績もあります。

デザイン性と機能性ともに優れたハーモニーテラス

シノケングループのアパートの基幹ブランドは「ハーモニーテラス」といい、デザイナーが一棟ごとに、オリジナルのデザインをほどこしています。洗練された外観はもちろんのこと、快適に暮らせる工夫を土地や立地の事情に合わせて積極的に取り入れています。

シノケングループでは、セキュリティや設備についてもこだわっているのが特徴です。小規模な物件でもオートロック式の物件が多くみられます。また、2019年以降の開発物件では全戸でIoTを導入しています。スマホでの施錠や照明ON/OFF、空調設定などが可能です。

4-2 アイケンジャパン

株式会社アイケンジャパンアイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をモットーに「グランティック」「レガリスト」などのアパートブランドを全国で展開する不動産会社です。2023年12月末時点で、アパート開発棟数1257棟の実績があります。

賃貸管理の実績として9,136戸(2023年12月時点)の管理を行っており、入居率99.3%(2023年年間実績)となっています。オーナーの負担が大きく、効果が一時的なフリーレントや家賃の値下げを行わずに高い入居率を維持しているのも特徴です。

2017年3月以降に完成したすべての物件で劣化対策等級が最高レベルの等級3の評価を第三者機関より獲得しています。2世代から3世代にわたって引き継ぐことが可能です。

融機関との提携が強み

アイケンジャパンも、これまでの物件販売や不動産会社としての経営実績に定評があります。とくに地元福岡の金融機関と強固なリレーションを築いています。

  • 福岡銀行
  • 西日本シティ銀行
  • みずほ銀行
  • 福岡中央銀行
  • オリックス銀行
  • 七十七銀行
  • 十八親和銀行

金融機関探しや融資交渉なども、提携している金融機関を活用すれば手間なく進められることが期待できます。特に福岡でアパート経営を手がけるときには、複数の金融機関と融資に関する相談が可能です。

社会人の女性をターゲットとしている

アイケンジャパンは「社会人の女性」をメインターゲットとしてデザインや機能性、立地などにこだわって物件開発を行っているのが特徴です。駅から徒歩15分以内の利便性の高い土地を取得してアパートを建設し、オートロック完備・防犯カメラの設置や屋内共用階段など、安心して暮らせる設備・構造をとりいれています。

さらに、全戸角部屋を基本とすることにより防音性の向上を実現させているのも特徴です。プライバシーが守られる物件であるため入居需要を獲得しやすく、家賃の下落を抑える効果も期待できます。

5 まとめ

入居率は、堅実なアパート経営を続ける上で重要な指標の一つです。アパート経営は長期で行う方が多いため、いまこの瞬間の空室率だけでなく、年間稼働率ベースの入居率をしっかりとチェックするようにしましょう。入居率を維持する上では、退去者を減らすよりも入居者を早期に獲得することの方が重要です。

なかなか入居者が見つからないという方は、今回紹介した原因と対策を参考にして、自分の物件でできることがないか考えてみましょう。また、入居者の維持に不安を感じる初心者の方は、サブリースを利用したり、入居者獲得に強い不動産会社を利用するのも一案です。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。