アパート経営で想定する収益を得るためには、適切にアパートを管理していくことが重要です。しかし、アパートの管理はどのようなことから始めたらいいのか、よくわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、アパートを取得した後にオーナーがまず何から始めたらいいのか、解説していきます。アパート経営を検討している方、これから始められる方はご参考ください。
目次
- アパートの管理業務とは
- アパートを管理する2つの方法
2-1.自主管理のメリットとデメリット
2-2.委託管理のメリットとデメリット - 自主管理・委託管理に向いている人の特徴
- アパートを取得した後にやるべき管理とは
4-1.自主管理の場合にやるべきこと
4-2.委託管理の場合にやるべきこと - まとめ
1 アパートの管理業務とは
アパートの管理は様々な業務がありますが、主には「入居者募集」「トラブル対応」「家賃回収」「契約更新および退去」「建物管理」といった項目に分けることができます。それぞれの業務内容を下記の表で確認してみましょう。
管理業務 | 主な内容 |
---|---|
入居者募集に関わる業務 | 入居者募集、入居者の選定、賃貸借契約の締結 |
トラブル対応に関わる業務 | 入居者間および近隣トラブルへの対応、設備や機器の故障などへの対応 |
家賃回収に関わる業務 | 家賃回収、滞納者への催促 |
契約更新および退去に関わる業務 | 契約更新および退去手続き、敷金の精算、室内クリーニングおよび原状回復工事 |
建物管理に関わる業務 | 定期的な清掃およびメンテナンス、法定点検、設備の修理・修繕、大規模修繕工事 |
アパート経営を始めるのであれば、ますはこれらの管理業務を一人で全部するのか、管理会社に委託するのかを決めておきましょう。次の項目では管理業務の2つの方法と、それぞれのメリットとデメリットを紹介していきます。
2 アパートを管理する2つの方法
アパートを経営する際の管理業務は、すべてを自分で行う「自主管理」と管理会社に委託する「委託管理」があります。どちらを選んだらいいのか、メリットとデメリットを見てみましょう。
2-1 自主管理のメリットとデメリット
自主管理は専業の大家さんに多い傾向がありますが、サラリーマンなどの本業を持ちながらアパートの自主管理を行っている大家さんもいます。
代表的なメリットとデメリットは下記のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
・管理費用が発生しない ・自分の思い通りにアパートを経営することができる ・入居者との信頼関係が築かれ、長期間入居してもらえることもある ・物件の変化に気づきやすい |
・時間と手間がかかる ・クレームやトラブルの対応をする必要がある ・施設や設備の専門知識が必要になる ・空室対策や入居者の満足度を上げるためのアイデアが必要になる |
2-2 委託管理のメリットとデメリット
委託管理とは管理会社に管理業務を任せることです。業務の一部を委託するケースと、すべてを委託するケースがあります。また一部のハウスメーカーなどで行っている一括借り上げ(サブリース契約など)も委託管理に含まれます。
代表的なメリットとデメリットは下記のようになります。
メリット | デメリット |
---|---|
・知識がなくてもアパートの管理ができる ・オーナーの手間と労力は少ない ・空室対策に対する実績がある ・入居者の満足度向上に向けたノウハウを持っている |
・管理費用がかかる ・適切に管理をしているのか、見えないときがある ・担当者との相性の良し悪しによって管理に影響が出る ・思い通りの管理業務にならないこともある |
3 自主管理・委託管理に向いている人の特徴
それぞれのメリットとデメリットを確認し、自分がどちらが向いているのか判断することになります。自主管理と委託管理を検討しやすい人の特徴をそれぞれ見てみましょう。
自主管理が向いている人の特徴
- 管理業務を自分でできる時間がある
- 物件の近くに住んでいる
- 物件に思い入れがある
- コミュニケーション能力に自信がある
委託管理が向いている人の特徴
- 管理業務をする時間がない
- 物件の近くに住んでいない
- 物件を増やしていく予定がある
- 本業が別にあり、手間をかけられない
管理業務は入居者の満足度を高めつつ、物件の状態を適切に保つことが重要になります。アパート経営を成立させる重要な要素でもありますので、どちらか慎重に選ぶようにしましょう。
ただし、「自主管理を半年やってみたが、大変だったので委託管理にした」といったように、途中で変えることも可能です。自身の状況に照らし合わせながら、検討してみましょう。
4 アパートを取得した後にやるべき管理とは
アパートを取得した後に、オーナーが具体的に何をしていくのか見ていきましょう。
4-1 自主管理の場合にやるべきこと
自主管理で管理をスタートさせる場合は、取得した物件が新築アパートと中古アパートで異なります。入居者がいるケースと、いないケースがあるからです。
新築アパートを取得した場合は入居者募集から行う
新築アパートの場合は入居者がいませんので、まずは入居者の募集を行います。通常は完成の3〜6ヵ月前から募集を始めますが、仲介会社および仲介店舗の選定はさらにその前に行います。仲介会社や仲介店舗をめぐり、家賃などの募集内容を伝えて仲介を依頼します。
また入居者が決まると、賃貸契約を締結する流れになります。アパートが10部屋あると、10部屋分の賃貸契約を結び、敷金や礼金などの経理に関わる業務をすることになります。
自主管理を行う場合、入居者との賃貸契約書をどのように締結するのか、仲介会社への募集依頼をどのように進めていくのかという募集段階の業務に加えて、原状回復の業者選定など運営中の管理業務についても、自身で進めていく必要があります。
中古アパートを取得した場合は建物の状態のチェックから行う
空室がある場合は入居者募集のために、仲介店舗との交渉をする必要がありますが、まずはアパート内外の清掃をしながら建物の状態をチェックしていきます。その際、年数によって異なりますが、下記の項目について問題がないか、重点的に確認していきます。
- ドアの開け閉め
- 共有部分の照明
- 掲示板や郵便受けなどの状態
- 共有部分の廊下や階段の状態
- 雨漏りやひび割れなど外観の状態
- テレビアンテナやWi-Fi設備などの状態、など
入居者の満足度を向上させるためにも建物の状態を把握し、メンテナンスや修理および修繕によって改善できるものからしていきましょう。
チェック項目がかなり多いので、専門家によるインスペクション(住宅診断)を受けることも検討しましょう。中古の場合では購入前にインスペクションを受けるのも一つの方法です。
また引き渡し前に、入居者にアパートオーナーが変更する告知をしますが、改めてオーナーがそれぞれの入居者に挨拶をするケースもあります。
4-2 委託管理の場合にやるべきこと
一方、委託管理でアパートの管理をはじめる場合は、管理会社の選択から行います。管理会社を選ぶ際のポイントを以下で確認していきましょう。
仲介店舗を展開している
アパート経営にとって、収入源である入居者を確保することは優先しておきたいポイントです。そのため、適切な入居者募集および空室対策を行ってくれる管理会社であるかどうか、というポイントが重要になります。
中でも仲介店舗を展開しているケースは入居者募集を行う際に、より多くの入居検討者へアプローチできる可能性があります。仲介店舗を展開していない場合でも、多くの仲介店舗と良好な関係を築いている管理会社を選んでみると良いでしょう。
管理費用が適切な設定になっている
入居率の高いアパート経営が出来ていても、管理費用が他より高ければ費用対効果に問題が出てきます。通常管理の場合、相場はおおよそ家賃の3〜7%程度となります。
また、原状回復のリフォーム費用についても管理会社がすべて決めてしまっている場合、相場よりも高い価格設定をしているケースがあります。委託後もできるだけアパートのメンテナンスにかかる費用を確認しておき、定期的に相場と乖離していないか調査をしてみましょう。
担当者の対応
管理会社の担当者の対応力も判断しておきたいポイントです。また管理会社の担当者は、オーナーだけではなく、入居者や仲介店の担当者とも接します。その際の態度や姿勢が良くなければ、アパートが良くても契約が得られないことも考えられます。
業務内容
管理会社によって、管理業務の内容が大きく異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。またオーナーが管理業務の一部を行いたい場合に、どこまでできるのかも確認が必要です。
これらを確認してご自身の経営スタイルにふさわしい管理会社を選択してみましょう。選ぶ際は2〜3社くらいを比較検討すると良いでしょう。
ただし、管理会社と契約をしても経営的な判断を求められることもあります。アパートの取得後もアパート経営について情報収集し、適切な管理を心がけておくことが大切です。
まとめ
アパート経営を始める際は、管理を自分で行うのか、管理会社に行ってもらうのかをまず決めましょう。その方法によって、オーナーとしてやるべきことが変わってきます。
管理業務はアパート経営を左右する重要な業務です。適切な管理ができるよう日々の情報収集を怠らず、自身の状況に合わせてアパート管理に取り組んでみましょう。
倉岡 明広
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