アメリカ不動産投資は、外貨建て利益の獲得によって資産分散できるほか、経済成長を背景にした不動産価格の上昇によって利益の拡大を狙えるメリットがあります。
しかし、アメリカの国土は広く、不動産価格の上昇率はエリアによって異なります。アメリカ不動産投資を検討する際は、それぞれのエリアごとの特徴について把握しておく事が大切です。
この記事では、アメリカ不動産の価格が上昇している背景を、全米および複数のエリアに分けて解説します。
目次
- アメリカ不動産の価格推移
1-1.各地で中長期的に不動産価格が上昇中 - アメリカは経済・人口ともに成長中
2-1.アメリカのGDP推移
2-2.アメリカの人口推移 - アメリカで不動産価格が上昇中のエリア
3-1.カリフォルニア州ロサンゼルス
3-2.ハワイ州ホノルル
3-3.テキサス州ダラス
3-4.ジョージア州アトランタ - まとめ
1.アメリカ不動産の価格推移
中長期的に見てアメリカ不動産の価格はどう推移しているのか、全米および各都市の不動産価格を検証します。
1-1.各地で中長期的に不動産価格が上昇中
アメリカ不動産の価格について、アメリカ全体および複数のエリアをピックアップして、推移を検証します。
アメリカの2012年1月から2020年11月までの不動産販売価格中央値を見ると、アメリカ不動産の価格は中長期的に右肩上がりで推移しています。(※参照:Redfin「Housing Market Data」
一方、カリフォルニア州のロサンゼルスでは、値上がり傾向が特に顕著です。2012年2月には販売価格中央値が$300,000でしたが、2020年11月には$720,000まで上がっています。約9年で不動産価格が2.4倍まで上がった計算です。
アメリカ全体で見ても、2012年2月の$161,000から2020年11月には$336,000まで上がっているので、不動産価格は約2倍に上がったことが分かります。
2.アメリカは経済・人口ともに成長中
アメリカで不動産価格が上昇している背景について、経済と人口の動向から検証します。
2-1.アメリカのGDP推移
アメリカ政府が発表している四半期ごとの実質GDP成長率は以下の通りです。
※引用:アメリカ政府統計「Gross Domestic Product」
2020年はコロナウイルスの感染拡大によって成長率をマイナスに下げていますが、2019年第4四半期までは成長率がプラスで推移しています。期によって多少の増減はありますが、アメリカ経済は成長傾向にあることが分かります。
なお、2020年第2四半期に大きく経済成長率を下げた反動で、第3四半期は大幅に成長率が上がっています。産業別の成長率を見ると、最も成長率が高いのは医療関係分野です。次いで耐久消費財の製造分野が成長しています。
2-2.アメリカの人口推移
つづいてアメリカの人口について推移を検証します。
※参照:US Census「Explore Census Data」
2010年から約10年間に渡りアメリカの人口は順調に増え続けており、毎年の人口増加率平均は0.66%となっています。
なお、総務省の統計によると、日本では2008年をピークに人口は減少しており、2050年には人口が1億人を下回ると予測されています。(※参照:総務省「人口減少の現状」)
人口は不動産需要に直結するため、人口が減少傾向にあると不動産価格が下落に向かう可能性が高まります。日米における人口推移を比較すると、アメリカは日本よりも堅調に人口が増加していると言えるでしょう。エリアを選べば、アメリカ不動産投資には物件の値上がり益も期待できます。
アメリカの年齢別人口分布(2019年)
2019年におけるアメリカの年齢別人口分布は以下の通りです。
※参照:US Census「Explore Census Data」
生産年齢人口となる20歳〜54歳の人口は約1億5,000万人で、総人口の半分弱を占めています。生産年齢人口の多さから、アメリカ不動産は今後も活発な取引を期待できると言えます。
3.アメリカで不動産価格が上昇中のエリア
アメリカの中でも4つのエリアをピックアップし、人口推移など不動産価格が上昇している背景について解説します。
3-1.カリフォルニア州ロサンゼルス
カリフォルニア州ロサンゼルスは、カリフォルニア州の中でも中心都市の1つであり、不動産価格の値上がりも顕著なエリアです。ロサンゼルスの人口推移を検証します。
※参照:US Census「Explore Census Data」
ロサンゼルスの人口推移を見ると、2010年〜2015年は毎年大きく人口が増加していたことが分かります。しかし、2015年以降は人口増加の勢いが弱まり、2017年以降は減少に転じている状況です。
その一方で、すでに解説した通り、ロサンゼルスの不動産価格は右肩上がりで上昇を続けており、2020年は一段と急激に価格が上昇しています。不動産価格が上がったのは、同じカリフォルニア州のサンフランシスコから引っ越している人が増えているためと考えられます。
サンフランシスコは全米の中でも特に不動産価格が高いエリアです。しかし、コロナの影響で広くて安価な家を求める人が増えています。
なお、Redfinの統計によると、サンフランシスコの不動産価格は2020年11月時点で$1,400,000です。多くの人がサンフランシスコから周辺のロサンゼルスもしくはアリゾナ州のフェニックスなどへ引っ越しています。
2020年におけるロサンゼルスの急激な不動産価格上昇は、コロナの影響による一時的なものとも考えられるため、今後の不動産価格には注意が必要です。
3-2.ハワイ州ホノルル
ハワイ州のホノルルについて解説します。ホノルルの人口推移は以下の通りです。
※参照:US Census「Explore Census Data」
ホノルルでは2013年までは人口増加が顕著でしたが、2013年〜2016年の間は増加ペースが緩やかです。また、2016年以降は人口減少に転じています。
ホノルルの不動産価格は上下動が激しいものの、長期的に見ると右肩上がりで推移しています。2012年〜2020年の間に約1.5倍まで値上がりしました。また、人口が減少に転じた2016年以降も、不動産価格は変わらず上昇基調を維持しています。
なお、ハワイは世界的なリゾート地であり、ハワイの主要産業は観光業です。ハワイの不動産マーケットは、アメリカの中でも他のエリアとは違った特徴を持っていると言えます。
ハワイの不動産には、一般的な賃貸用の住宅とは別に、ホテル運用できるホテルコンドミニアムというタイプの物件もあります。このため、人口の他に観光業の動向もハワイの不動産に影響します。
2020年4月にはハワイへの訪問者数が前年同月比で99.4%減るなど、ハワイの産業はコロナの影響を大きく受けています。ハワイの不動産マーケットが今後どのような動向を見せるか、注意が必要です。
【関連記事】ハワイ不動産、コロナショックの影響は?観光客や不動産価格のデータを検証
3-3.テキサス州ダラス
テキサス州のダラスについて解説します。ダラスの人口推移は以下の通りです。
※参照:US Census「Explore Census Data」
ダラスも順調に人口増加を続けていることが分かります。2017年以降は増加ペースが少し緩やかですが、2019年までは変わらず人口増加が続いている状況です。
ダラスの人口が上記のような増加を続けてきた理由に、テキサス州の税制上のメリットとダラスの位置関係に要因があると考えられます。
アメリカには、連邦税と州税という2種類の税金があり、州税については税金の種類や税率が州によって異なります。2020年時点では、テキサス州では法人税および所得税が課税されません。このため、テキサス州は税制上のメリットから事業を拡大しやすいエリアであると言えます。
また、東西の位置関係を見ると、テキサス州は全米の真ん中に位置しています。ダラスから東のニューヨークおよび西のロサンゼルスまでは、距離がほぼ同じです。このため、ダラスにあるダラスフォートワース空港は、2016年時点では世界で3番目に便数が多い空港となっています。
ダラスは交通の便が良いので、ダラスに物流の拠点を構えるメリットが大きいと考える企業も少なくなく、ダラスには全米各地から企業が集まっています。
これら二つの要因から様々な企業がダラスに集まり、企業の集積が人口の増加を促すことで不動産需要が喚起されてきたと考えられます。
3-4.ジョージア州アトランタ
次に、ジョージア州のアトランタについて解説します。アトランタの人口推移は以下の通りです。
※参照:US Census「Explore Census Data」
アトランタでは、これまでご紹介してきた都市と比較するとまだ人口が少ないエリアです。しかし、人口が少ない分、人口増加のペースは他の都市よりも高い水準を維持しています。
なお、アトランタの不動産価格は、まだアメリカ全体の不動産価格よりも低くなっています。人口が安定的に増加している一方で、不動産価格は比較的に安価であると言え、アトランタは将来的な値上がり益を狙えるエリアとして注目されています。
アトランタがこのような発展を続けてきた背景には、優秀な大学が集まっていることなどがあります。例えば、アトランタに位置するジョージア工科大学は優秀な学生を輩出していることで有名です。
まとめ
アメリカでは、中長期的に見て人口が増加を続けており、2019年まではGDP成長率もプラスで推移してきました。経済と人口の成長を背景として、アメリカの不動産価格は上昇傾向にあります。
都市別に人口を見ると、人口の推移には各都市で違いがあります。しかし、詳しいデータを見ていけば、ジョージア州アトランタなど、大きな可能性を持った都市もあります。
このようなデータを確認しながら各都市を比較することで、より自身の希望に沿ったエリア選定を行える可能性が高まります。アメリカ不動産投資を検討するのであれば、このようなエリアごとの人口推移や経済動向にも注目してみましょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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