米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は1月14日、検討中の自己管理型ウォレットに対する規制案について、パブリックコメントの募集期間を延長する方針を明らかにした。追加で45日間の募集期間を設けるという。
FinCENは2020年末より、金融活動作業部会(FATF)より勧告されているトラベルルールを背景に、自己管理型ウォレットの規制強化に乗り出していた。これは、取引所からの3,000ドルを超える暗号資産の出金の際に、本人確認(KYC)の済んでいないウォレットには送金できないようにするものである。
この規制案に対して、CoinbaseやKraken、Squareといった企業を中心に業界各所より非常に多くの反対声明が寄せられていた。反対声明の趣旨としては、自己管理型ウォレットが重要な役割を担っているDeFi市場などのイノベーションを阻害する点や、対応コストが大きすぎる点などがあげられている。
中でも、今回の規制案についてのパブリックコメント募集期間が短すぎる点が指摘されていた。通常、パブリックコメントの募集期間は60日に設定されることが多くなっている。
しかしながら本件に関してはわずか15日間しか用意されず、またクリスマスや年末年始をまたいだものとなっていた。これについてKrakenは、「今回の動きは、米国連邦政府が国民からの幅広い意見を受け入れることを義務付けている『行政手続法』に反している可能性が高い。」と厳しく批判している。
暗号資産メディアDecryptによると、本件について寄せられたパブリックコメントの数は65,000を超えているという。そしてその大部分は、規制案に対する反対意見であるとのことだ。こういった反応を受けて、FinCENはパブリックコメントの募集期間を延長することを決定している。
今回の決定では、新たに45日間の募集期間が設けられることになった。つまり、通常通り計60日間の募集期間となった形である。
米国では、政権交代のタイミングでFinCENを管轄する財務長官も任期満了の時を迎えることになっている。現長官のムニューシン氏としては、自身の任期中に規制案を可決させる方針であったが、強硬策に出たことがかえって裏目に出てしまったといえるだろう。
【参照記事】FinCEN Extends Comment Period for Rule Aimed at Closing Anti-Money Laundering Regulatory Gaps for Certain Convertible Virtual Currency and Digital Asset Transactions
【参照記事】FinCEN Extends Comment Period for Proposed Crypto Rules
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