2019年の不動産投資はどう動く?2018年の不動産投資市場の振り返りと今後の予測

2018年は、不動産投資市場のトレンドにおいて転換点となるニュースがいくつもありました。2019年に不動産投資を検討している方や売却タイミングを見極めている方に向けて、HEDGE GUIDE編集部が2018年の主な動きをまとめてみましたので、一緒に振り返っていきましょう。

  1. 不動産投資市場の2018年の動向
  2. ソーシャルレンディングの2018年の動向
  3. 不動産投資クラウドファンディングの2018年の動向
  4. Jリートの2018年の動向
  5. 海外不動産の2018年の動向
  6. 民泊投資の2018年の動向
  7. 経済全体の2018年の動向
  8. 2019年の不動産投資市場の見通しまとめ

不動産投資市場の2018年の動向

まずは不動産投資市場の動向やアパートローンなどの動向について振り返っていきたいと思います。

2018年の首都圏の新築マンション平均価格はほぼ横ばい

不動産経済研究所の調査によると、2018年1月~11月までの首都圏の新築マンションの平均価格(5,864万円)は、2016年全体の新築マンションの平均価格(5,884万円)に比べてほぼ横ばいとなっています。(※1)

※1首都圏・近畿圏マンション市場予測―2019年の供給予測―((株)不動産経済研究所調べ)

2018年11月時点の東京23区の中古マンション価格は前年比5.1%上昇

一方、東京23区内の中古マンション価格については、2018年11月時点の価格は前年比104.4%に上昇、東京都下では5.1%の上昇となりました。

参考記事:「LIFULL HOME’S PRICE INDEX 2018年11月 月次レポート

都内の中古マンション価格が上昇し続けている背景として、都内の新築マンションの価格が高止まりしており、中古マンション購入を選択肢に入れる検討者が増えていること、2019年10月の消費税増税や2020年の東京オリンピックなどのイベント、2020年以降の都内人口増加や東京再開発計画などの見通しなどに加えて、融資環境面でもマイナス金利政策による低金利局面が続いているといったことなどが考えられます。

また、2018年4月にホームインスペクション(住宅診断)が義務化されたことで、中古物件の購入後のリスクが以前よりも軽減されたと考えられるため、中古マンション市場はさらに拡大の方向に進むものと考えられます。

2018年11月時点の東京都のマンション賃料は前年比5.4%上昇

2018年のマンション賃料は中古マンションの価格と同水準の上昇トレンドとなっています。

2017年11月16日 三大都市圏・主要都市別/分譲マンション賃料月別推移(東京カンテイ)

2018年に入り、アパートローンは引き締めのトレンドに

1棟投資の領域では、年初からのスルガ銀行の不正融資問題などを背景に、金融庁の監視強化や地方銀行を始めとする金融機関のアパートローンの審査が厳格化したことで、「購入したくても、融資が通らない」といった方が増えています。

2017年頃までは年収500万円台の方でもアパートローンの融資審査を通過することができていましたが、2018年の後半以降は年収700万円~1,000万円以上の方でないと審査も通りづらくなってきています。マイナス金利政策などにより大幅に緩和されていた融資審査の姿勢が、本来あるべき融資状況に戻ったと言えるでしょう。

不動産投資家「買い時だが、融資が厳しくなった」

一方、不動産投資家側のローンに対する感覚としても、野村不動産アーバンネット株式会社が2018年5月に実施した不動産投資に関する意識調査において、約6割が「買い時」と回答しながらも、半数近くが「融資が厳しくなった」と回答をしています。

2018年の貸家の着工件数は前年比5.3%のマイナス

また、国土交通省が発表している「住宅着工統計」において、投資用不動産を表す「貸家」の2018年1月~10月までの着工件数は、前年比5.3%の減少となっています。

直近10年で「貸家」の着工件数が最も多かった月は2017年3月の44.1万戸で、リーマンショック後の2009年頃は月28万戸前後、それに対して2018年10月時点は38.1万戸ですので、前年比で減少はしながらも、依然として件数は高水準にあるといって良いでしょう。

ソーシャルレンディングの2018年の動向

ソーシャルレンディング(貸付型クラウドファンディング)は、大型の不動産開発プロジェクトなどに小口融資という形で投資できるという手法で、投資額に対して5~8%と高い利回りと不動産投資よりも投資を始める前での手間や投資後の手間が少なくて済むということで、年々注目が高まっています。

市場全体の動向としては、ソーシャルレンディング市場は急拡大を続けており、矢野経済研究所の市場規模調査によると、2017年度の市場規模は約1534億円となっています。2018年度もソーシャルレンディングを含む国内クラウドファンディング市場全体で前年度比20.3%増の市場拡大が見込まれています。

2018年10月には大手ソーシャルレンディング会社の1社であるSBIソーシャルレンディングがBS放送でテレビCMを放送を開始するなど、一般認知の拡大に向けた取り組みも始まっています。

なお、こうした拡大路線の一方で、制度面での整備も求められており、2018年6月に金融庁からソーシャルレンディング会社に向けて、投資家保護の観点でこれまで匿名だった融資先の社名を公開する通達が行われました。これにより2019年は「どの会社に融資をしているか分からない」というソーシャルレンディングの大きな課題が解消されていくことが期待されます。

不動産投資クラウドファンディングの2018年の動向

ソーシャルレンディング以上に大きな動きがあったのが不動産投資型クラウドファンディングの分野です。不動産投資型クラウドファンディングは、金融庁管轄のソーシャルレンディングとは異なり、国土交通省の管轄となっているため、情報開示のレベルや投資家保護の仕組みなどが様々な点で異なります。たとえば投資型クラウドファンディングでは、投資対象の不動産の情報が詳細に公表できる点や、運用終了時のキャピタルロスなどを一定割合までクラウドファンディング会社が負担をする優先劣後スキームなどを採用しているサービスが多いなどの特徴があります。

2018年下期には不動産投資型クラウドファンディングへの新規サービスの参入が相次ぎ、投資家の注目を集めました。

  • 2018年7月26日:Renosyクラウドファンディング、サービス開始
  • 2018年8月10日:オーナーズブックにて投資型案件の募集開始
  • 2018年10月29日:ファンタス・ファンディング、サービス開始
  • 2018年11月13日:CREAL、サービス開始

不動産投資型クラウドファンディングの案件は、ソーシャルレンディングと比べると4%~5%と利回りが低めの案件が多いのですが、1万円から不動産投資ができることや投資手続きが簡単なこと、詳細な情報開示や優先劣後スキームなどによるリスクを軽減する仕組みが充実していることなどに加え、案件数がまだまだ少ないことも相まって、投資家からの人気は非常に高い状況です。

たとえば上場企業のロードスターキャピタル社が運営するオーナーズブックでは、投資型クラウドファンディングの一号案件で2億6,500万円の募集が開始数分で完了したことなどが大きな話題となりました。

また、2018年12月3日には、CREALが都内のホテルへの投資案件で募集額8.8億円を設定するなど、案件の多様化や大型化の動きも見られます。

Jリートの2018年の動向

Jリート指数は、年初の1月4日始値1,664.13から、12月21日終値時点で1,758.01(年初から5.6%上昇)、現在の予想分配金利回りは4.2%となっています。また、2018年は新しく4つの投資法人が上場しており、株価の動きに左右されながらもJリート市場は1年を通して比較的堅調な動きが続いています。

Jリートのなかで4割以上の資産規模を占めるオフィスのマーケット環境についても、オフィス仲介大手の三鬼商事の発表数値によれば、2018年11月時点の東京ビジネス地区の平均空室率は1%台に低下しており、東京における高いオフィス需要が伺えます。

海外不動産投資の2018年の動向

国内の不動産価格上昇や利回り低下、年初からの対ドルでの円高の動きなどから、海外不動産への投資にも昨年から引き続き注目が集まっています。クレアスライフが実施した不動産投資家208人に対して今年8月31日~9月7日に実施した調査では、「日本以外で不動産投資を検討してみたいと思うか」という設問には「すでに行っている」「条件次第で検討しても良い」が31.7%となり、不動産投資家の3人に1人が海外不動案に関心を持っている結果となりました。

投資環境としても、ドル円は2015年12月末時点では120円台でしたが、2016年12月末に116円後半、2017年12月末に112円半ばに、2018年12月21日時点では111円台前半まで円高が進んでおり、こうした為替面での動きも海外不動産への投資意欲の高まりに寄与しているものと考えられます。

民泊投資の2018年の動向

2018年は訪日客数がはじめて3,000万人を突破し、政府の掲げる「2020年までに4,000万人」の目標達成に向けて弾みがつきました。2019年はラグビーワールドカップの日本開催を控え、訪日客数は過去最高となる3,500万人超が見込まれています。

今年の6月15日には住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、また70年ぶりに旅館業法も改正されるなど、民泊業界にとって激動の1年となりました。新法施行を控えたタイミングにはAirbnbから違法民泊が削除されたことにより、Airbnbに掲載されていた民泊物件数が約52,000件から約12,000件になるなど8割程度減少したものの、その後適法な民泊物件数は増加し続け回復基調となっており、来年以降も民泊物件数は増加することが予想されます。

経済全体の2018年の動向

日経平均株価は9月28日に2万4286円10銭を記録し、1991年11月以来の27年振りの高値となりました。その後、米中貿易摩擦などを始めとして様々な政治的・経済的リスクへの懸念などから日経平均株価は下落を続け、12月21日時点では20,166円と2万円に接近をしており、下落相場に入ったとの見方が強くなってきています。

経済の減速や株価下落は、不動産市場にとってはマイナス要因となり得るため、今後の経済情勢や株価の動きなどには注視が必要と言えるでしょう。

2019年の不動産投資市場の見通しまとめ

2019年のマンション価格は、2018年と同様に東京23区で新築で横ばいかやや下落、中古マンション価格は上昇が続くなかで、物件の物色は短期的には都下や郊外へと向かうと考えられます。ただ、中長期的には都下や郊外の物件は下落リスクが大きいため慎重な判断が必要です。また、都内の好立地(都心・複数路線利用可・駅徒歩10分以内など)の中古マンションについては、築年数が20年~30年以上の築古物件も多くなってきているため、購入後のリノベーションなども進む可能性が高いでしょう。

アパートローンは2019年以降もさらに引き締めの傾向が続くと想定されるため、融資環境の厳しさを背景にアパート価格は引き続き下落に向かっていくと考えられます。これからアパート投資やマンション1棟投資を検討されている方は、属性の改善や自己資金の用意、融資ノウハウなどに関する情報収集などに取り組んでおくことが大切です。

一方、ソーシャルレンディングや投資型クラウドファンディングなどの小口投資の分野は、2019年も拡大が続くと予測されます。ソーシャルレンディングでは10%を超える利回りの案件については、ハイリスク・ハイリターンと認識し、特に注意をして判断することが大切です。また、サービス選定の際には、信頼できる事業者が運営しているかどうかや、案件の情報開示のレベル、多様な案件を扱っているかなども注目のポイントになってくると考えられます。なお、2019年1月には、国内初のオンライン貸付ファンド「Funds(ファンズ)」がサービスを開始しており、既存のソーシャルレンディングにはなかったミドルリスク・ミドルリターンの投資機会も創出されますので、ぜひ注目をしていきたいポイントです。

Jリートについては、このまま景気減速や株価低迷などが続くと、連れ安となり下落局面を迎えることになるでしょう。ただ、足元のオフィスマーケット状況は好調なので、下落したとしても下落幅は限定的ではないかと考えられます。ちなみに、Jリートは価格が下がれば利回りが上がることになりますので、下落傾向が続きそうな場合はドルコスト平均法などを用いて平均取得価格を下げながら、再び上昇するまで4%半ばのインカムゲインを狙うという投資戦略で臨むのもありでしょう。

海外不動産の投資については、国内不動産市場で2019年も堅調に推移する可能性が高く、利回りが低い状態が続くという点と、円高状況が維持される見通しが強いという点から、海外不動産の物色が進むと想定されます。

民泊領域では、2019年も大手企業の民泊市場参入や提携、新しい民泊関連サービスの登場などが予想されますので、所有物件の民泊運用や物件へのサービス・設備の導入などはもちろん、クラウドファンディング分野での民泊投資・インバウンド投資などの機会も狙ってリターンを狙っていくと良いでしょう。

2019年は10月に消費税増税などを控え駆け込み需要なども見込まれる一方、その反動での景気減速も懸念されます。来年はオリンピックまでの最後のチャンスとなりますので、リスクをしっかりと回避しながらリターンを逃さぬよう、年末年始は入念に情報収集をして素敵な新年をお迎え下さい。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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