円安を背景に活発化する海外からの不動産投資。海外投資家に人気のエリアやその理由、今後のエリア選定戦略も

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長期的な視点で見ると、日本の為替市場は円安局面が続いています。この円安は、海外投資家にとって日本の不動産が割安になるため、投資需要を喚起する一因と考えられています。

海外投資家は、日本人投資家以上に立地や交通利便性、国際的な知名度を重視する傾向があります。また、インバウンド(訪日外国人旅行)需要が見込めるエリアも、主要な投資対象として注目されています。

本記事では、海外投資家から見た日本不動産の魅力や人気の投資先エリアを分析します。あわせて、海外からの投資需要を踏まえた、今後のエリア選定における戦略的ポイントを解説します。

目次

  1. 海外投資家が日本の不動産市場に着目する理由
    1-1.国際的に見た不動産価格の割安感
    1-2.円安による価格面の魅力向上
    1-3.インバウンド需要の回復と成長
    1-4.ポートフォリオにおけるリスク分散効果
    1-5.外国人に対する不動産取得規制の少なさ
  2. 海外投資家に人気のエリアとその背景
    2-1.東京|国際的なブランド力と市場の安定性
    2-2.大阪|万博開催とインバウンド需要の拡大
    2-3.京都|世界的な観光魅力と都市機能の融合
    2-4.北海道|国際的リゾート地と札幌の都市機能
  3. 海外需要を考慮した今後のエリア選定戦略
    3-1.東京・大阪:主要都市の地位はより強固になる可能性
    3-2.地方都市:海外需要がエリア選別の新たな判断軸に
    3-3.交通インフラ:空港・公共交通へのアクセス性がさらに重要に
    3-4.リゾート投資:一過性の需要を見極める必要性
  4. エリア選定に関して相談できる不動産投資会社
  5. まとめ

1. 海外投資家が日本の不動産市場に着目する理由

海外投資家が日本の不動産市場に注目する背景には、主に以下の5つの要因が挙げられます。

  • 国際的に見た不動産価格の割安感
  • 円安による価格面の魅力向上
  • インバウンド需要の回復と成長
  • ポートフォリオにおけるリスク分散効果
  • 外国人に対する不動産取得規制の少なさ

各要因について、具体的に見ていきましょう。

1-1. 国際的に見た不動産価格の割安感

日本の不動産価格は、世界の主要都市と比較して相対的に低い水準にあると評価されています。一般財団法人日本不動産研究所は、為替変動の影響を調整した価格指数を用いて、世界の都市間での不動産価格を比較分析しています。

同研究所の「第24回 国際不動産価格賃料指数(2025年4月現在)」によると、東京・港区元麻布のハイエンドクラスマンション価格を100とした場合、ニューヨークは152、ロンドンは205という結果が示されています。アジア圏においても、香港、上海、台北、シンガポールなどが東京を上回る価格水準です。
東京圏は、都市別GDPにおいてニューヨークに次ぐ世界第2位(2023年時点、約8,224億ドル)の経済規模を誇ります(出所:FinCity.Tokyo「TOKYO’S STRENGTH FINANCIAL AND ECONOMIC STRENGTH」)。世界有数の大都市でありながら不動産価格に割安感がある点が、海外投資家の関心を集める一因と考えられています。

1-2. 円安による価格面の魅力向上

一時期1ドル160円台に達した水準からは調整が見られるものの、米ドル/円の為替レートは長期的に見れば円安水準にあります。

米ドル/円 為替レートの推移

米ドル円為替レートの長期推移を示すグラフ出所:日本銀行「時系列統計データ検索サイト

円安は、外貨を基軸とする海外投資家にとって、日本の不動産をより安価に取得できることを意味します。例えば、5,000万円の物件を購入する場合、1ドル=100円の時点では50万ドルが必要ですが、1ドル=150円の時点では約33.3万ドルで購入可能です。

このように、現在の為替水準は海外投資家にとって日本の不動産投資を有利に進めやすい環境を提供しています。

1-3. インバウンド需要の回復と成長

近年、訪日外国人客数は著しい増加傾向にあります。2010年頃と比較すると4倍から5倍の水準に達しており、2025年は上期(1〜6月)だけで2,152万人に達し、年間では史上初の4,000万人が視野に入っています。

訪日外国人客数の推移

訪日外国人客数の長期推移を示すグラフ出所:日本政府観光局「訪日外客統計

訪日客の増加は、ビジネスや投資の対象としての日本の認知度向上にも寄与します。日本への渡航や滞在を通じて不動産投資に関心を持つ層や、駐在・定住する外国人の増加による賃貸需要の拡大も期待されます。インバウンド需要の成長は、海外投資家が日本の不動産市場へ積極的に参入する動機の一つとなっています。

1-4. ポートフォリオにおけるリスク分散効果

海外投資家にとって、日本の不動産は国際的な資産ポートフォリオにおけるリスク分散の対象としても魅力的です。多くのグローバル投資家は、ニューヨークやロンドンといった欧米の主要都市に資産を配分していますが、特定の地域への投資集中は地政学リスクを高める要因となります。

欧米は中東やロシアといった地域と地理的・政治的に密接な関係にあり、情勢不安の影響を受けやすい側面があります。一方、日本は地理的に離れており、世界的に見ても政治が安定している国と評価されています。そのため、欧米の情勢が悪化した場合の資産保全や損失緩和を目的として、日本の不動産が組み入れられるケースがあります。

1-5. 外国人に対する不動産取得規制の少なさ

2025年現在、日本では原則として外国人の不動産取得・保有に対する法的な規制がありません。国籍を問わず、日本人とほぼ同様の手続きで土地や建物を所有することが可能です。
これは国際的に見ても特徴的であり、多くの国では外国人による不動産保有に何らかの制限を設けています。

諸外国における不動産取得規制の例

  • シンガポール:外国人が住宅用不動産を購入する際、高率の追加印紙税(ABSD)が課される。
  • カナダ:一部地域で、非居住者による住宅用不動産の購入を一時的に禁止。
  • オーストラリア:外国人は、原則として投資目的で中古住宅を購入することができない。

こうした国々と比較して、日本の不動産市場は参入障壁が低く、海外投資家にとって投資を検討しやすい環境が整っています。

2. 海外投資家に人気のエリアとその背景

海外投資家から特に人気を集めるエリアとして、以下の4つが挙げられます。

  • 東京|国際的なブランド力と市場の安定性
  • 大阪|万博開催とインバウンド需要の拡大
  • 京都|世界的な観光魅力と都市機能の融合
  • 北海道|国際的リゾート地と札幌の都市機能

それぞれのエリアが持つ魅力と人気の背景を解説します。

2-1. 東京|国際的なブランド力と市場の安定性

東京、特に都心部は、国内外の投資家にとって主要な投資対象とされています。世界第2位の経済規模を誇る東京は、国際的なブランド力と知名度において世界有数の都市です。

羽田・成田という大規模国際空港を有し、都心部へのアクセス網も高度に発達しているため、交通利便性は高く評価されています。また、日本の少子高齢化が進む中でも人口が増加傾向にあり、安定した賃貸需要が見込める点も投資の安定性を支える要因です。

国内市場では価格高騰が指摘されますが、国際比較では依然として割安感があるため、海外投資家にとっては許容範囲内と捉えられることが多いようです。物件の流動性が高く、投資対象を見つけやすい点も、海外からの投資を促進しています。

2-2. 大阪|万博開催とインバウンド需要の拡大

東京に次ぐ人気エリアとして、大阪が注目を集めています。大阪は、近年のインバウンド増加の恩恵を特に大きく受けている都市です。全国の訪日客数に占める大阪府への訪問率は年々上昇傾向にあります。

全国・大阪の訪日客数と全国に占める大阪の訪問率の推移

全国と大阪の訪日客数および大阪の訪問率の推移を示すグラフ出所:日本政府観光局「訪日外客統計

2025年に開催されている大阪・関西万博は、国際的な注目度をさらに高める契機となるでしょう。大阪府・市は2025年に訪日外国人客数1,700万人という目標を掲げており、達成されればインバウンド関連の不動産需要は一層拡大すると予測されます。

また、東京に次ぐ大都市圏として安定した経済基盤を持ち、将来的にはリニア中央新幹線の開業も控えていることから、長期的な発展性も評価されています。

2-3. 京都|世界的な観光魅力と都市機能の融合

世界的な観光地としてのブランド力と、近代的な都市機能が両立している点から、京都を高く評価する海外投資家も少なくありません。歴史的な寺社仏閣が数多く現存する京都は、世界的に著名な観光地であり、インバウンド需要の高まりとともにその都市ブランドは一層強化されています。

同時に、京都は交通利便性や都市規模の面でも優位性を持ちます。東海道新幹線が停車し、東京や名古屋へのアクセスは良好です。また、JR新快速を利用すれば大阪駅まで約30分で移動できるため、大阪の広域通勤圏としての役割も担っています。

政令指定都市としてオフィスや教育機関が集積しており、安定した居住需要も見込めるため、観光地としての魅力と都市としての実需が、投資対象としての魅力を高めています。

2-4. 北海道|国際的リゾート地と札幌の都市機能

国内外から人気の旅行先である北海道も、有力な投資対象です。国土交通省観光庁の調査(2024年)によると、延べ宿泊者数で北海道は東京、大阪に次ぐ全国第3位となっています。

特にニセコや富良野といったエリアは、その豊かな自然環境から国際的な高級リゾート地として認知されており、別荘やコンドミニアムへの投資が活発です。一方、道庁所在地である札幌市も、新千歳空港からのアクセスが良く、海外からの投資需要を集めています。

札幌は北海道観光の拠点であると同時に、多くの企業や教育機関が集まる経済の中心地でもあり、リゾート需要と安定した居住需要の両面から投資機会を提供しています。

3. 海外需要を考慮した今後のエリア選定戦略

海外からの投資需要を考慮に入れると、不動産投資のエリア選定において以下の視点が重要になります。

  • 東京・大阪:主要都市の地位はより強固になる可能性
  • 地方都市:海外需要がエリア選別の新たな判断軸に
  • 交通インフラ:空港・公共交通へのアクセス性がさらに重要に
  • リゾート投資:一過性の需要を見極める必要性

これらのポイントに基づき、長期的に安定した不動産投資を実現するためのエリア選定について考察します。

3-1. 東京・大阪:主要都市の地位はより強固になる可能性

都市部への投資において、東京や大阪の優位性は、海外からの資金流入によってさらに強固なものになる可能性があります。東京は、国内需要だけでも人口が増加傾向にあり、日本の経済・文化の中心として長期的な発展が見込まれるエリアです。

東京に次ぐ大都市圏である大阪は、万博開催や旺盛なインバウンド需要を背景に、海外からの注目度が特に高まっています。都道府県別の外国人訪問率(2024年)を見ても、大阪府は39.6%で第2位と、高い人気を誇ります。

海外からの投資・居住需要は、これら二大都市の不動産市場の安定性と成長性を下支えする重要な要素となるでしょう。

3-2. 地方都市:海外需要がエリア選別の新たな判断軸に

地方都市への投資を検討する際、海外からの需要はエリアの将来性を見極めるための重要な判断材料となります。多くの地方都市では人口減少や高齢化が課題となっており、国内需要のみで持続的な成長が期待できる地域は限定的です。

そのような状況下で、インバウンドや外国人居住者による需要は、地域経済を活性化させる貴重な要素となり得ます。海外からの注目度が高い観光地や、外国人コミュニティが形成されている都市は、他の地方都市に比べて不動産価値を維持・向上させやすい可能性があります。したがって、地方投資では、海外需要を取り込めるポテンシャルがあるかどうかが、有効な戦略の一つと考えられます。

3-3. 交通インフラ:空港・公共交通へのアクセス性がさらに重要に

海外需要を考慮する場合、空港や主要駅からのアクセスといった交通インフラの重要性はより一層増します。日本国内で自家用車を自由に利用できる外国人は限られており、観光・居住のいずれにおいても公共交通機関への依存度が高くなるためです。

国際空港から公共交通機関でスムーズにアクセスできる都市は、海外からの需要を取り込みやすいという明確なアドバンテージを持ちます。リゾート地においても、最寄りの空港や新幹線の駅からの二次交通(バス、タクシー等)が整備されているかどうかが、投資の成否を左右する要因となり得ます。

3-4. リゾート投資:一過性の需要を見極める必要性

インバウンド需要を背景としたリゾート地への投資には、需要の変動リスクに注意が必要です。訪日客の増加に伴い、特定のリゾート地で不動産価格が急騰するケースが見られます。適切なタイミングで投資できれば高いリターンを得る機会もありますが、注意も必要です。

リゾート地の多くは都市部から離れており、本来、不動産経営の難易度が高いエリアも少なくありません。一時的なブームによって価格が高騰している場合、高値で購入してしまうリスク(高値掴み)も考慮すべきです。ブームが沈静化した後に、宿泊・賃貸需要が急減する可能性も否定できません。

リゾート地への投資を検討する際は、その需要が持続可能かどうかを慎重に見極めた上で、長期的な視点から判断することが賢明です。

4 エリア選定に関して相談できる不動産投資会社

ここではエリア選定と用地仕入れに強みがある不動産投資会社2社をご紹介します。

4-1.シノケンプロデュース

シノケンの評判
  • 駅徒歩10分以内の土地にこだわり、入居率98.75% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
  • 管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の豊富な管理実績
  • 初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」

シノケンプロデュースは、東京・福岡・大阪・名古屋・仙台の都市圏で投資用アパートの販売を中心に行っているシノケングループのグループ企業です。管理戸数50,000戸以上(2024年12月末時点)の実績があり、直近10年の入居率は98%超の実績があります。初回の入居が成約になるまで家賃を100%保証する「100%初回満室保証」や、入居者からの家賃の支払いが遅れた場合の家賃滞納保証などオーナーが安定した収益を生むための保証制度も充実しています。購入者の半数以上がリピーターとなっており、会社員・公務員からの評判も良い会社です。

さらに、シノケンは24時間365日・8カ国語対応の入居者向けコールセンターを設置し、外国人や高齢者など多様な入居者層に手厚いサポートを提供しています。このサービスにより、高齢者の安否確認や、外国籍の方との円滑なコミュニケーションが期待できます。オーナーにとっては、入居者層の拡大や将来の賃貸需要への対応といったメリットにつながります。

【関連記事】シノケンのアパート経営の評判は?営業、融資、物件、入居率の評判・口コミ

4-2.アイケンジャパン

株式会社アイケンジャパン
  • 入居者のターゲットを社会人女性に絞り、入居率99.3% (2024年年間平均/自社企画開発物件)
  • 入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」
  • 女性入居者に合わせた高い防犯性を備えている点も特徴的

アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトに掲げる不動産投資会社で、2006年の創立から1000棟以上の開発・引渡し実績があります。

アイケンジャパンのアパートは、対象エリアを主要駅10分圏内(首都圏は15分圏内)、入居者のターゲットは物件選びの目線が厳しい社会人女性に絞って、防音性・防犯性・デザイン性・コストパフォーマンスなどを追求し、入居率99.3%(2023年年間実績)を実現しています。事業計画の設定家賃に対しても、10年以上経っても98.7%(2024年6月末時点)の高い収益率を達成できており、オーナーからの紹介・リピート率も高い会社です。

さらに、オーナーに対する保証やサポートが手厚いのもアイケンジャパンの特徴です。家賃滞納保証や管理代行サポートなども利用できるため、初心者の方でもアパート経営に取り組むことができます。建物完成後は全部屋に入居者が決まるまで無期限で家賃保証が行われる「初回満室保証」があり、地盤の問題や構造上の欠陥についても、建物引渡日の翌日から20年以内に不同沈下が発生し、建物に被害が出た場合、建物と地盤の修復工事を行う「宅地地盤保証」という保証があります。

また、アイケンジャパンの入居者のターゲットとして想定しているのは「社会人女性」のため、①オートロック・カラーモニターフォン、②共用廊下・共用階段が屋内となるように設計、③バルコニー前をライトで照らすなど、④高さのあるベランダにする、⑤防犯シャッター、⑥防犯カメラの設置など、ターゲットから求められる高い防犯性を備えている点も特徴的です。

5. まとめ

海外投資家が日本の不動産に注目する背景には、国際的に見た価格の割安感、円安による購入メリット、インバウンド需要の拡大、そして政治的な安定性などが挙げられます。本記事で紹介した東京・大阪・京都・北海道は、それぞれの経済規模、ブランド力、観光資源、交通利便性などを理由に、海外投資家から高い人気を集めています。

今後の不動産投資においては、この海外からの投資・居住需要をエリア選定の重要な判断基準の一つとすることが求められます。東京や大阪のような大都市では市場の安定性をさらに高める要因となり、地方においては地域の盛衰を左右する一要素となる可能性があります。

国内の人口減少が見込まれる中、海外からの需要を戦略的に取り込めるエリアを選定することは、長期的に安定した不動産投資を実現するための有効なアプローチといえるでしょう。

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伊藤 圭佑

資産運用会社に勤める金融ライター。証券アナリスト保有。 新卒から一貫して証券業界・運用業界に身を置き、自身も個人投資家としてさまざまな証券投資を継続。キャリアにおける専門性と個人投資家としての経験を生かし、経済環境の変化を踏まえた投資手法、投資に関する諸制度の紹介などの記事・コラムを多数執筆。