【知っておきたい不動産売却の話】なぜ不動産仲介会社は、不動産を安く売ろうとするのか?

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不動産投資において、保有する不動産をいかに高く売却するかというのは、非常に重要なテーマです。しかし、不動産購入よりも不動産売却に関する情報は少なく、契約した仲介会社の言う通りに大幅な値下げをしてしまい、売却後に「これで良かったのだろうか?」「もっと高く売れたのでは?」と感じている方も少なくありません。この記事では、そういった不動産売却のお悩みに応えるべく、不動産売却の仕組みと不動産を値下げしなくて済むポイントについて詳しく解説していきたいと思います。

  1. 不動産を売却するまでの流れ
  2. 知っておきたい仲介手数料の仕組み
  3. 仲介会社は売却価格を値下げしたほうが儲かる?
  4. 過去の取引価格事例を知るには?

不動産を売却するまでの流れ

まずは、不動産売却の全体像を知るために、不動産を売却するまでの大まかな流れについて把握をしておきましょう。

  • 不動産の仲介会社に査定を依頼する
  • 仲介会社と媒介契約を結ぶ
  • 物件の販売用の図面を作成する
  • レインズ(不動産流通標準情報システム)に登録する
  • 広告を展開する
  • 内見に対応する
  • 不動産の売買契約を結ぶ
  • 不動産を引き渡す

売り主サイドとしては、仲介会社に査定を依頼し、査定結果に納得できれば仲介会社と契約を結び、内見などの状況を見ながら、売却価格を調整していくという流れになります。このとき、仲介会社から売却状況に関する報告を受けるのですが、どのような販売活動・広告活動が行われているか、売却価格をいくらに設定するのが適切かといったことがブラックボックスになりがちなポイントです。

そのため、売却価格の値下げを提案された時に、それが本当に必要なのかどうかについて判断をすることが難しく、結局はよく分からないまま大幅な値下げに踏み切ってしまうというのがよくある失敗例です。これを回避するために、以下では仲介手数料の仕組みと仲介会社の行動原理、自分で売却価格を設定する方法などを見ていきましょう。

知っておきたい仲介手数料の仕組み

不動産売却において、仲介会社は必ずしも売り主の味方になってくれるとは限りません。その理由は、仲介手数料の仕組みにあります。

不動産の売買を仲介する際の仲介手数料は、売却価格の3%+6万円が上限とされています。これだけを見ると、「不動産の売却価格が高ければ高いほど仲介手数料が多くなるから、仲介会社も高く売ろうと頑張ってくれるはず」と思ってしまいますが、残念ながらそううまくはいきません。

なぜなら、不動産売買時の仲介手数料は、売り主だけではなく、買い手からも取ることができるためです。仲介会社が自分たちで買い手を見つけてきて、売り主と契約させることを「両手仲介」と呼びますが、これが不動産売却の話を複雑にしてしまうのです。

仲介会社は売却価格を値下げしたほうが儲かる?

両手仲介の仕組みを踏まえて、具体的な売買ケースを考えてみましょう。たとえば3000万円で売り出した物件があったとします。仲介会社は3000万円で成約した時に、売り手から仲介手数料として次の金額を受け取ることができます。

売却価格3000万円×3%+6万円=96万円(片手仲介の手数料)

さらに仲介会社が自社で買い手を見つけて来た場合には、手数料は上記の倍額となります。

(売却価格3000万円×3%+6万円)×2=192万円(両手仲介の手数料)

厄介なのはここからです。仲介会社は、他の仲介会社を経由して買い手がついてしまうと、仲介手数料が片手仲介の金額96万円となってしまいますので、レインズという不動産流通のシステムに物件が掲載されて他の仲介会社から問い合わせが殺到する前に、できるだけ早く自分たちで買い手を見つけようとするインセンティブが働くのです。

たとえば、極端な話ではありますが、売り主に「今の価格では買い手がまったくつきません。思い切って大幅に値下げをしてみましょう」と打診を行い、売却価格を2000万円に下げる了承を得たとします。この時の仲介会社の両手仲介の手数料はいくらになるかを計算してみると、次の金額となります。

(売却価格2000万円×3%+6万円)×2=132万円(値下げ後の両手仲介の手数料)

つまり、仲介会社としては、物件の売却価格を1000万円値下げしたとしても、両手仲介で決めたほうが案件の利益は多くなるのです。これにより、仲介会社は物件を高く売ることよりも、素早く値下げをして売り抜けることにインセンティブが働くということになります。

仲介会社と結ぶ契約を媒介契約と言いますが、この契約の期間は3ヶ月となりますので、この3ヶ月の間に大幅な値下げの提案がある場合には、安易に値下げを行わずに3ヶ月後に他の会社に依頼をするということも検討をしたほうが良いでしょう。

過去の取引価格事例を知るには?

不動産売却を仲介会社に依存しないためには、正しい情報を手元に集めることが大切です。たとえば、ざっくりと取引価格の事例を知っておけば、仲介会社からの値下げ提案が妥当かどうかを判断することができます。過去の取引事例を掲載しているサイトとしては、先ほどのレインズが消費者向けに提供している「レインズ・マーケット・インフォメーション」というサイトが参考になります。

レインズ・マーケット・インフォメーション

このサイトでは、エリア、最寄り駅、駅からの距離、平米あたりの単価、専有面積、間取り、築年数、成約時期などを指定して、過去の取引事例を参照することが可能です。具体的なマンション名や住所まではわからないものの、近隣の類似条件の物件取引事例を知ることができるため、おおよその売却金額に関する相場感をつかむことが可能です。

仲介会社に相談する際に「あらかじめ自分のほうでも、レインズ・マーケット・インフォメーションというサイトで調べてみたんですが~」と伝えておくことで、仲介会社としても「この顧客は、無理に値引き提案をしないほうが良いな」と思わせることができますので、有効な自衛策となります。

まとめ:適切な売却価格設定で、納得の不動産投資を!

不動産投資は、保有する不動産を売却してはじめて利益が確定します。不動産売却に関する知識を何も持たないまま、仲介会社の言いなりになってしまうと、大損をしてしまうことにもなりかねません。不動産投資に限らず、投資の成功・失敗はどれだけ正しい情報を手元に集めることができるかどうかに大きく左右されます。仲介手数料の仕組みや仲介会社の思惑をしっかりと理解して、満足のいく価格で不動産売却を進めていきましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」