成長著しい東南アジアの中でも、近年ベトナムの存在感が増しています。数ある海外不動産投資の対象エリアの中でもベトナムは発展著しく、不動産投資を検討するのに適したエリアと言えます。
特に、ベトナムのホーチミンは日本の企業が集まっていることもあり、初めてベトナム不動産投資を検討する際に選択肢として上がるエリアです。
今回はホーチミンの人口や不動産価格の推移に加え、投資先としての特徴について解説します。ベトナム不動産投資を検討していた方はご参考下さい。
目次
- ベトナムとホーチミンの人口推移
1-1.ベトナム全体の人口推移
1-2.ホーチミンの人口推移 - ベトナム・ホーチミンの住宅マーケットについて
2-1.ホーチミンの住宅価格推移
2-2.ホーチミンに住む賃貸世帯の割合 - ベトナム・ホーチミンには日系企業と在留邦人数が多い
- まとめ
1.ベトナムとホーチミンの人口推移
ベトナムは国全体で人口増加を続けていますが、ホーチミンでは、ベトナム全体の増加率を上回るペースで人口が増加しています。
1-1.ベトナム全体の人口推移
世界銀行の統計によると、ベトナム全体の人口は以下グラフのように推移しています。
※参照:世界銀行「Population, total – Vietnam」
ベトナムでは、2011年以降はきれいな右肩上がりで人口が増加してきました。また、人口増加率の推移を検証すると、2011年〜2017年の期間は1%以上で推移しています。2018年は0.99%で、2019年は0.96%です。
国際連合の統計によると、日本における2015年〜2020年の年間平均人口増加率は-0.2%となっており、アメリカでの同期間の年間平均人口増加率は0.6%です。
ベトナムの人口増加率は日米両国よりも高く、先進国よりも高く推移していることが分かります。
※参照:国際連合「World Population DashboardViet Nam」
なお、2019年にベトナム政府が実施した国勢調査によると、2019年のベトナムにおける人口密度は290人/㎢でした。2009年の人口密度は31人/㎢と比較して、10年間で人口密度が大幅に上がっています。
2019年時点では、ベトナムはフィリピン・シンガポールに次いで東南アジアで3番目に人口密度が高い国となりました。人口密度が高い国では、コンドミニアムなど集合住宅での高い入居率を期待できるメリットがあります。
※参照:国際連合「RESULTS OF THE POPULATION AND HOUSING CENSUS 2019」
1-2.ホーチミンの人口推移
つづいて、ホーチミンの市役所が発表しているレポートに基づき、ホーチミンの人口推移を検証します。ホーチミン市の10年毎の人口推移は以下グラフの通りです。ホーチミン市では、10年毎に市民調査が行われています。
※参照:「ホーチミン市役所」
ホーチミン市では、特に1999年以降に人口増加の勢いが強まった様子が伺えます。ホーチミン市の人口は2019年時点で約900万人まで増加しました。ベトナム全体の人口のうち、10%弱をホーチミン市の人口が占めている計算になります。
人口増加率の推移を検証すると、人口増加率が高いのは1999年〜2009年の期間です。1999年〜2009年の期間に、ホーチミン市の人口は29.3%増加しました。なお、直近の期間となる2009年〜2019年の人口増加率は20.8%です。
2009年〜2019年の人口増加率を平均化すると約2%となるため、ホーチミンの人口増加率は、ベトナム全体よりも高めで推移している様子が伺えます。
2.ベトナム・ホーチミンの住宅マーケットについて
ホーチミンでは、コロナの影響が強かった2020年も小幅ながら住宅価格が上昇しました。ホーチミンの住宅マーケットについて、価格推移と特徴を解説します。
2-1.ホーチミンの住宅価格推移
ホーチミンでは、2020年の第1四半期〜第3四半期にかけて、住宅価格が以下グラフのように推移しました。
※参照:ベトナム建設省
2020年は多くの国でコロナウイルス感染症の影響が経済に現れていましたが、ホーチミンの住宅価格は上昇しました。しかし、上昇幅は非常に小さなものにとどまっています。
また、ベトナム建設省が発表したレポートによると、2020年第3四半期時点で、ホーチミンのコンドミニアム販売価格は1㎡あたりVND3,000万〜VND5,000万の範囲となっています。
なお、ベトナムの首都ハノイでは、コンドミニアムの販売価格が1㎡あたりVND2,480万〜VND3,770万でした。2020年第3四半期の時点で、ホーチミンのコンドミニアムはハノイよりも高額です。
物件の供給量を見ると、2020年はベトナム全体で住宅供給量が減少しており、2020年第4四半期の住宅供給量は前年同期比で24%のマイナスとなっています。
2-2.ホーチミンに住む賃貸世帯の割合
ベトナム政府が実施した国勢調査によると、ベトナム全体で11.7%の人が賃貸住宅に住んでいます。2009年の7.1%と比較して、ベトナムでは10年間で賃貸住宅に住む人が4.6%増加しています。
なお、ホーチミンでは賃貸住宅に住む人の割合が32.8%です。ハノイの賃貸割合は15.8%なので、ホーチミンではハノイよりも多くの人が賃貸住宅に住んでいると言えます。
また、市内に大規模な工業地帯もあるホーチミンには、他の地方から移り住んで来る人も多く、地方からの移住者のうち43%の人は賃貸住宅に居住しています。ホーチミンで賃貸住宅に居住している人の中には、地方から仕事を求めて引っ越した人も多いことが伺えます。
※参照:国際連合「RESULTS OF THE POPULATION AND HOUSING CENSUS 2019」
3.ベトナム・ホーチミンには日系企業と在留邦人数が多い
ホーチミンが持つ特徴の1つは、日系企業も多数進出している点です。日系企業と日本人が多く、不動産投資においては日本人駐在員の入居も狙える点が大きな特徴です。
現地にはホーチミン日本商工会議所が組織されており、会員社数は2020年4月時点で1,040社となっています。ホーチミン商工会議所では、毎年会員社数が増え続けている状況です。
※参照:ホーチミン日本商工会議所「沿革・会員数の推移」
ベトナムにはホーチミン以外にも日本商工会があり、外務省によると、ベトナム全土で商工会に参加する日系企業の総数は2018年6月時点で1,905社です。
一方、ホーチミンの日本商工会議所では、2018年4月時点で会員社数が970社でした。2018年時点では、ベトナムの日本商工会議所に参加する日系企業の半数以上が、ホーチミン日本商工会議所に参加していたことになります。ベトナムに進出している日系企業の多くが、進出先にホーチミンを選んでいると言えます。
また、ホーチミン市内には日本人街として日本人が集まっているエリアもあります。外務省が発表している海外在留邦人数調査によると、2019年時点で、ホーチミン在住の日本人数は11,581人です。
首都ハノイの在留日本人数は7,752人なので、ベトナムではハノイよりもホーチミンの方に日本人が集中しています。なお、別の国の都市と比較すると、韓国の首都ソウルや台湾の首都台北がそれぞれ約12,000人なので、ホーチミンの在留邦人数はこれらの都市にも引けを取りません。
※参照:外務省「海外在留邦人数調査統計 統計表一覧(令和元年(2019年)以前)」
まとめ
ホーチミンではベトナム全土のペースを上回る勢いで人口が増加傾向にあります。また、2019年時点におけるホーチミンの人口は、ベトナム全土の人口のうち10%弱を占めるまでになっています。
ホーチミンの住宅価格についても、コロナの影響もあって小幅な値動きとなりましたが、2020年も上昇傾向にあります。
そのほか、日系企業と日本人が多い点はホーチミンの大きな特徴です。ホーチミン日本商工会議所の会員社数は増加傾向にあり、2019年時点では、ベトナムで最も日本人が集まっている都市はホーチミンです。
このように、海外不動産投資を検討するうえでポジティブな要素の多いベトナム・ホーチミンですが、新興国での不動産投資はカントリーリスクや通貨下落のリスクが高く、先進国と比較してハイリスクになる傾向があります。
人口や住宅価格の推移は過去の実績であり、将来の動向を約束するものではありません。海外不動産投資を検討する際の一つの要素としてとらえ、リスクとリターンのバランスをとった投資判断を行えるように情報収集を行っていきましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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