海外不動産投資、キャピタルゲイン(売却益)が狙える国は?データで検証

近年、首都一極集中が進む日本の不動産市場では今後不動産の売却益を狙うのは難しいと考え、日本でも成長性が高い海外不動産投資が少しずつ浸透してきていると言えます。

しかし、海外のデータを集めるのはハードルが高く、どの国ならばキャピタルゲインを狙えるのか、客観的に判断する材料が欲しいと考える方もいるのではないでしょうか。

この記事では、複数の国をピックアップして、データとともにキャピタルゲインが狙える可能性を探ります。

目次

  1. 海外不動産投資、キャピタルゲインを狙える4ヵ国のデータを検証
    1-1.アメリカ
    1-2.フィリピン
    1-3.マレーシア
    1-4.オーストラリア
  2. まとめ

1.海外不動産投資、キャピタルゲインを狙える4ヵ国のデータを検証

海外不動産投資を検討する際、「どの国の不動産に投資をするのか?」ということを精査することは重要なポイントです。

そこで、キャピタルゲインを得られる可能性のある海外不動産投資先として、それぞれの国の人口推移や不動産価格指数を調査し、データを検討していきます。今回、取り上げているのは下記の4ヵ国です。

  • アメリカ
  • フィリピン
  • マレーシア
  • オーストラリア

それぞれの国について詳しく見て行きましょう。

1-1.アメリカ

アメリカは世界的にもめずらしい人口増加を持続している先進国です。人口が増加している国では住宅需要も増えるので、不動産投資でキャピタルゲインを得られるかどうか判断する際に評価できるポイントです。

2011年6月時点の住宅価格と2020年6月の住宅価格とを比較すると、アメリカでは多くの大都市圏で住宅価格が上がっています。特に住宅価格が上がっているエリアは以下のとおりです。

※Zillow「Housing Data」を参照し筆者作成。

最も価格が上がっているのはアイダホ州のボイシで、10年間で住宅価格が約2.7倍まで上がっています。その他、アリゾナ州都のフェニックスやネバダ州のラスベガスなども10年間で住宅価格が2倍以上まで上がりました。

なお、その他の主だった都市圏では、住宅価格上昇率は以下のようになっています。

アメリカ各都市圏の住宅価格上昇率(2011年6月と2020年6月との比較)

都市圏 上昇率
テキサス州 ダラスフォートワース 86.80%
ワシントン州 シアトル 77.20%
テキサス州 オースティン 69.50%
カリフォリニア州 ロサンゼルス / ロングビーチ / アナハイム 68.90%
テキサス州 ヒューストン 62.60%
テネシー州 メンフィス 49.30%
オハイオ州 コロンバス 43.10%

※Zillow 「Housing Data」を参照。

2020年9月現在、アメリカでは住宅価格が過去最高を記録するなど、住宅市場がこれまでにない活況を呈しています。原因は過去にも事例の少ない低金利政策だと考えられます。

アメリカでは、コロナウイルス感染症拡大によって景気そのものは悪化しています。しかし、FRBは経済対策として金利を引き下げており、長期金利の引き下げに伴って住宅ローン金利も史上最低水準まで下がっている状況です。

また、テレワークの拡大によって郊外の広い住宅を求める人が増えており、特にニューヨークやサンフランシスコなど都心に住んでいる人が、郊外へ移動しています。低金利と働き方の変化がアメリカの住宅市場に大きな変化をもたらしています。

住宅の取引数自体は減っているエリアもありますが、価格は上がっているのがアメリカの現状です。2020年9月6日時点のアメリカ全体における住宅価格中央値は$319,178で、対前年比で13%上がっています。

【関連記事】【7分で分かる】アメリカで不動産投資を始めるための10のステップ

1-2.フィリピン

フィリピンも人口増加が著しく、不動産投資のキャピタルゲインを狙える国と言えます。フィリピン全体のコンドミニアム価格指数は以下のように変化しています。

※BANGKO SENTRAL NG PILIPINAS「Residential Real Estate Price Index (RREPI)」を参照し筆者作成。

こちらは、2014年第1四半期の価格を100とした場合のコンドミニアム価格指数変化です。2020年第1四半期のコンドミニアム価格指数は179.5となっています。

2019年前半までは緩やかに上がっていましたが、同年後半に入って急激に上昇しました。2019年第3四半期は、対前期比で約18%上昇しています。第4四半期は調整局面となったものの、2020年に入って再び持ち直している状況です。

フィリピンでも、コロナウイルス感染拡大に伴う景気対策として、長期金利が引き下げられています。住宅ローン金利の低下が住宅需要を下支えしており、2020年第1四半期時点では、住宅価格は落ち込みを見せていません。

フィリピンの人口密度

1990 2000 2010 2018
1㎢あたり人口 207.6 261.6 315.1 357.7

※世界銀行「Country Profile」を参照。

フィリピンでは人口密度も上昇を続けていることが分かります。2018年の人口密度は2000年の約1.38倍で、1990年から2010年の変化率の約1.5倍と比較すると20年間の増加ペースは少し落ちています。しかし、ペースは落ちていても増加を継続している状態です。

人口密度が高まれば住宅需要も増加するため、フィリピン不動産は今後もキャピタルゲインを期待できる国の一つであると言えるでしょう。

【関連記事】フィリピンで不動産投資を始めるメリットとデメリットは?手順も解説

1-3.マレーシア

マレーシアは数年前から中国系資本が大量流入した結果、住宅が供給過剰状態にあり、政府が対策に乗り出しています。

CBREが発行した「Real Estate Market Outlook 2020 Malaysia」によると、マレーシア首都圏では、政府のホームオーナーシップキャンペーンによって、28,000ユニットが売却されました。

キャンペーンによって売却されたユニットの約40%はRM500,000〜RM750,000の住戸です。日本円に換算すると約1,350万円〜約2,000万円となります。次いで多い価格帯はRM300,000〜RM500,000(約810万円〜約1,350万円)で全体の25%を占めました。

また、四半期ごとの価格帯別不動産取引数を見ても、2019年から2020年第1四半期にかけて、中心価格帯が下がっていることがわかります。

※National property information centre「Key Statistics」を参照して筆者作成。

マレーシアでは、すでに解説したアメリカやフィリピンとは違い、現在、過熱していた住宅市場の適正化が進んでいます。在庫住宅の解消が進んでいることや、販売価格帯が落ち着いてきたことから、今後は現地の実需に見合った状態になっていく見通しです。

マレーシアの人口推移(単位:100万人)

1990 2000 2010 2018
人口 18.03 23.19 28.21 31.53

※世界銀行「Country Profile」を参照。

市場の適正化に伴って住宅価格が落ち着く一方で、マレーシアでも人口も増加傾向にあり、今後住宅需要が旺盛になっていく可能性があります。長期的には、一旦落ち着きを見せた住宅価格が需要に後押しされ、再度上がっていく可能性も少なくありません。

1-4.オーストラリア

オーストラリアでは、2020年に入ってからの住宅価格推移について、都市ごとの違いがとても明確です。シドニー・ブリスベン・アデレード・メルボルン・パースの5都市について、2020年1月以降の住宅価格指数は以下のように変化しています。

※Michael Yardney’s property update.com「This week’s Australian Property Market Update – Latest Data, State by State 14th September」より引用

こちらは、2020年1月時点の住宅価格を100としたときの住宅価格指数推移です。2020年第1四半期までは各都市とも価格が上がっていますが、4月〜5月頃を境にメルボルンとパースとでは価格指数が大幅に下がっています。

特にメルボルンは、5都市の中ではかなり急激に下がっている状況です。なお、シドニーも5月頃を境に価格指数が下がってはいるものの、8月末時点では100を上回っています。メルボルンで住宅価格が急激に下がった原因の1つはコロナウイルスの感染拡大に伴うロックダウンであることが考えられます。

一方で、長期的な目線でメルボルンの住宅価格を見ると、2〜3年ごとに大幅な上下動を繰り返していることがわかります。

※Michael Yardney’s property update.com「This week’s Australian Property Market Update – Latest Data, State by State 14th September」より引用

コロナウイルスの感染拡大は少なからず住宅市場に影響を与えていると思われるものの、メルボルンの住宅価格下落は、サイクルに乗った動きである可能性があるとも言えます。

コロナウイルスの現状と価格のサイクルを確認する限り、メルボルンでは今後もしばらく住宅価格が下落し続ける可能性は低くありません。しかし、将来的に価格が底打ちした後は、再び回復してくることも考えられます。

マーケットの動きを注視しながら時期を見極めれば、オーストラリアでもキャピタルゲインを狙える可能性はあると言えるでしょう。

まとめ

2020年9月現在、世界各国では新型コロナウイルスの影響も大きく経済状況が悪化していますが、多くの国では金利の引き下げが住宅価格を下支えしている状況です。

特にアメリカでは、景気動向に相反して不動産価格が過去最高額を更新しています。低金利が続くうちは、勢いが鈍化することはあっても価格上昇は続きそうな状況です。

また、フィリピンでも2020年第1四半期は住宅価格が下がっていません。一方で人口は増加し続けているので、今後の市場動向に注意は必要ですが、まだキャピタルゲインを狙える状況といえるでしょう。

そのほか、マレーシアやオーストラリアなどでは、順調に不動産価格が上昇しているわけではありません。しかし、市場動向を注視していれば、キャピタルゲインを狙えるタイミングはやってくると考えられます。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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