積立投資は、定期的に一定額の金融商品を買い付けして積み立てていく方法のことを言います。長期的に積み立てることでリスクを軽減でき、着実に資産形成をしていくことが可能な点から、投資初心者の方にも注目を集めています。
今回は、そんな積立投資について、メリットや投資する方法をいくつか見ていきたいと思います。
目次
- 積立投資とは?
1-1.積み立ては投資初心者にも身近な投資方法
1-2.色々なところに積立投資をする方法がある - 税制を有効活用して自分の将来に投資する
2-1.優遇税制を活用して積立投資を行う
2-1-1.つみたてNISAとはどういう制度?
2-1-2.iDeCoとはどういう制度?
2-2.税制を利用した投資で気をつけたいことは - 積立投資を長続きさせるためには
3-1.自分に一番合った積立方法を見つける
3-2.時には運用を見直すことも必要 - まとめ
1.積立投資とは?
積立投資とは、ある投資商品を定期的に決まった額を買い付けていく投資手法で様々なところで用いられています。例えば銀行では、自動積立定期預金がありますし、会社員の方なら、会社で財形貯蓄などを導入しているところもあリます。
なお財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄は、税制面での優遇があります。また、百貨店などでは「友の会」なども積立の仕組みが利用されています。
1-1.積み立ては投資初心者にも身近な投資方法
積立投資は、これから投資を始めるという際にも身近な投資方法として知られています。
投資の運用は、「長期・積立・分散」が基本です。積立投資は、長期間かけて金融商品を積み立て購入していくことで、リスクを分散し逓減させる効果があります。このことから、投資の運用の基本にかなっていると言われています。
また、積立投資では投資する金額を少額から設定することができ、無理なく始められることから、初心者の方にも向いていると言われています。
1-2.色々なところに積立投資をする方法がある
積立投資は様々な金融商品で行うことが出来ます。株式投資では、昔から利用されている「るいとう(株式累積投資)」と言われるものが代表的です。
株式の最低購入価格は売買単位によるので、高いものでは数百万円近くもします。例えば、任天堂の株式を購入しようと思うと、40,290円(2019/8/30時点の株価)×100株=4,029,000円が必要です。一気に購入するのはハードルが高いですが、例えば、毎月40,000円ずつ積み立てていくことで、仮に今の株価水準で行けば9年後ぐらいには、単元株として保有することが出来る可能性があります。
投資信託の積み立てであれば、株式以外の様々な商品に投資することが出来ます。さらに、保険商品でも貯蓄性の高い積立商品もあります。その他、コモディティだと金やプラチナなどの積立もあります。
金やプラチナなどは、実物に投資する方法もありますが、最低購入金額が高いので、積み立てという方法で購入することも有効です。いずれも口座を開設して積み立て金額を設定することで、自動的に引き落として投資に回すことが出来ます。
2.税制を有効活用して自分の将来に投資する
金融商品を積立投資する方法は様々あります。どれにしようか迷うことも多いと思いますが、一つの提案として、優遇税制などを利用した積立投資を行うことで、より効率的な運用を行うことが出来ます。
優遇税制を行っている背景としては、日本人はお金を投資よりも貯蓄や貯金に回す人が多く、投資に対しての知識や経験も少ないと言われていることがあります。そのため政府は投資教育に力を入れ始め、貯蓄から投資へ回すことを後押ししているのです。
このように、積立投資に対する優遇税制は将来のための資産形成を後押しする制度として設立されました。最近は、大学でも学生に対し資産運用の勉強をする機会を積極的に設けるということもあります。政府が投資の後押しをすることで、今後ますます投資は広がっていくことになるでしょう。
2-1.優遇税制を活用して積立投資を行う
優遇税制を活用出来る積立投資として、つみたてNISAとiDeCoがあります。NISAとつみたてNISAは共に優遇税制がありますが、非課税優遇期間など若干内容が異なるので、ここではつみたてNISAを取り上げます。またiDeCoは、将来のための年金を自分で作る制度です。
2-1-1.つみたてNISAとはどういう制度?
つみたてNISAは、つみたてNISAの口座内で定期的に一定額の積み立てを行うことで、買い付けた商品の分配金や配当、売却益にかかる税金が非課税になる制度です。買い付け金額は年間40万円までで、積立方法は、年に1回でも月1回でも選択して設定することが出来ます。非課税期間は、投資をした時から20年間有効です。
通常、株式投資の配当金や分配金、売却益に対してかかる税金は、20%(復興税を入れると20.315%)です。なので、非課税ということはかなりのメリットになります。
しかし一方で、投資できる商品が株式・投資信託と限られていること、扱う金融機関によって取扱数も手数料も異なるなど、不便だという声も出ています。また、税金は利益に対してかかりますので、損失になった時はこの制度のメリットは活かせません。
なお、つみたてNISAは20歳以上から利用することが出来ます。
2-1-2.iDeCoとはどういう制度?
iDeCoは、自分で年金を積み立て運用していく制度です。そのため原則20歳以上60歳未満の方が対象で、60歳までお金を引き出すことは出来ません。掛け金が所得から控除される他、運用益も非課税になります。また、60歳からの年金を受け取る際の選択によっても控除があります。
毎月の掛け金は5,000円~68,000円の間で設定できますが、その人の勤務形態(自営業なのか会社員なのか等)によって掛け金の限度額は決まっています。iDeCoの利用は60歳になるまでなので、早く始めた方がこの税制メリットを享受できる割合が多くなります。
2-2.税制を利用した投資で気をつけたいことは
つみたてNISAの制度は、NISA同様に期間が限定されています。つみたてNISAの場合は、2037年12月の投資期間までが対象になっています。つみたてNISAで投資できる金融商品は株式と投資信託ですが、扱っている商品数なども利用する金融機関によって異なるので、その辺りも調べる必要があります。また、税務署での手続きもありますので、通常の口座開設よりも手続きに時間がかかります。
また、つみたてNISAであっても途中売却は可能になっていますが、損失が出ている状況で売却することにより、その年の株式投資が赤字になった場合には、通常株式投資や投資信託でできる損益通算が出来ないことも注意しておく必要があります。
なお税制は毎年変更があります。積立投資の優遇税制も途中で制度が変わる可能性もあるため注意が必要です。また、iDeCoは年金を作る制度なので、原則60歳まで引き出しが出来ないことや、積立投資は全て投資である行う以上、元本割れになる可能性もあるということも把握すべきポイントです。
3.積立投資を長続きさせるためには
積立投資は、長期が基本の投資スタイルです。最初、気合いを入れて頑張ろうという気持ちで始めたのは良くても、積立額を多めに設定してしまうと後が続かなくなり、途中で解約してしまったというような事例も見てきました。
積立金額の設定は後からでも変更可能です。最初は少額で設定し、その後慣れてきたり収入が増えてきたら少しずつ増やしてみるという方法の方が長続きしやすいかもしれません。
また、長期、分散投資の効果でリスクは抑えられるとはいえ、投資になるため元本割れのリスクはあることも認識しておく必要があります。含み損が出たからといって焦らず、むやみに損切りをしないことが大切です。
3-1.自分に一番合った積立方法を見つける
税制にメリットがある積立投資を案内しましたが、積立投資はNISAとiDeCoを組み合わせて使うといったことも出来ます。
例えば、長期の試算運用はiDeCoで将来の年金として積み立てを行い、一方で結婚資金や奨学金返済、住宅購入の頭金などに充当する目的のための積立投資を行う、といった形です。
保険や金などの商品にも積み立ての仕組みがあります。それぞれに合わせた積立方法を選択していくことで、自分に合った投資スタイルが見つかってくると思います。なおNISAとつみたてNISAは併用することができませんので、その点は注意が必要です。
3-2.時には運用を見直すことも必要
計画を立てて運用をしていても、なかなかその計画通りに行かないこともあります。長い人生の中では、自身の収入状況や結婚や出産などのライフイベントによっても、当初計画していた状況を変えざるを得ないということも出てくるかもしれません。
一度設定したら、そのまま運用できるのが積立投資のスタイルですが、自分の人生の設計や目的が変わったり、また税制なども毎年変更があったりするので、その都度、設定金額や投資対象商品などの見直しをして軌道修正をすることも必要です。
まとめ
積立投資を開始するまでには、口座開設や購入する金融商品、積み立て金額の設定など、色々と面倒なことが多いと感じることもあるかもしれません。始めるまでは少し大変かもしれませんが、始めると原則自動引き落としで投資を行ってくれるため、そんなに煩わしいと感じることはなくなると思います。
投資を始めると、その投資商品の動向や世界の動きなどへの関心も高くなってくるはずです。投資だけでなく、経済や暮らしの動きなどにも敏感になるとまた違った世界が見えて、あなたの視野が広がるはずです。
現在は税制の優遇制度もありますし、資産形成と合わせて自分の世界を広げることにも繋がる積立投資を、まずは無理のない範囲でスタートしてみてはどうでしょうか。
- 1万円以下から投資できるロボアドバイザーサービス
- 手数料が安いロボアドバイザーサービス
- スマホでかんたんに積立投資ができるサービス
- 少額で株式投資ができるサービスの比較・まとめ
- ポイント投資・ポイント運用ができるサービス
- 大手が運営しているロボアドバイザーサービス
河合志保
最新記事 by 河合志保 (全て見る)
- ポイント投資はどこがおすすめ?メリット・デメリットや各社比較も - 2022年6月19日
- 投資信託の利回りはどれくらい?利回りが決まる要素とポイントも解説 - 2022年2月10日
- SDGs・ESG投資とは?SDGsとESGの関係や違いも解説 - 2021年4月12日
- ベテランに学ぶ、株式投資で含み損を抱えてしまった時に考えたいこと - 2020年12月14日
- ロボアドバイザーの種類・投資商品・手数料は?各社サービス内容のまとめ - 2019年10月1日