不動産投資の勧誘を上手に断る手順は?トラブルにならない3つのポイント

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不動産投資は金融機関の融資を活用することで、手元の資金の少ない方や、サラリーマンのような一定の年収がある方にとって始めやすい投資方法として知られています。

しかし、不動産投資にはリスクがあり、悪質な業者の勧誘によって投資に失敗してしまう事例も少なくありません。不動産投資に興味がある方でも、悪質な不動産業者からの勧誘に対して、どのように断るのが良いか悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで今回のコラムでは、悪質な不動産会社からの投資の勧誘を上手に断る手順と、トラブルにならないための4つのポイントについて解説していきます。

目次

  1. 不動産投資の勧誘に関するトラブルとは
  2. 悪質な不動産投資会社の勧誘の断り方・手順
    2-1.明確な理由をつけてキッパリ断る
    2-2.法律に則った案内をしてもらうよう指摘する
    2-3.会社名と名前を確認する
    2-4.公的な機関に訴えることを告げる
  3. 悪質な不動産投資会社を回避する3つのポイント
    3-1.不動産投資の勧誘を断ることができるタイミング
    3-2.複数の不動産投資会社を比較してみる
    3-3.会う前に不動産会社について調べておく
  4. まとめ

1 不動産投資の勧誘に関するトラブルとは

独立行政法人国民生活センターが2019年に発表した「20歳代に増える投資用マンションの強引な勧誘に注意!」という報道資料では、投資用マンションに関する相談件数が2018年度の1年間で1,350件あったと報告されています。また、20代の相談者が契約した金額は、2013年度の2,491万円から2018年度には2,776万円となっており、若い人を中心にトラブル件数が増えていることも分かります。

不動産投資に関する相談は2005年度から増加しており、最も多かったのは2009年度の5,355件です(独立行政法人国民生活センター「ますますエスカレートするマンションの悪質な勧誘」より)。

その後、トラブルが増加したことで法改正が行われ、注意喚起もされるようになったことで減少に転じています。2011年10月1日に改正・施行された宅地建物業法には、禁止項目として下記の内容が追加されています。

(法施行規則第16条の12第1号)
ハ 当該勧誘に先立つて宅地建物取引業者の商号又は名称及び当該勧誘を行う者の氏名並びに当該契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げずに、勧誘を行うこと。
二 宅地建物取引業者の相手方等が当該契約を締結しない旨の意思(当該勧誘を引き続き受けることを希望しない旨の意思を含む。)を表示したにもかかわらず、当該勧誘を継続すること。
ホ 迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問すること。
へ 深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。

※引用:国土交通省「宅地建物取引業法施行規則(昭和三十二年建設省令第十二号)(抄) 法施行規則第16条の12第1号のハ〜ヘ

上記の内容を要約すると、会社名と氏名を名乗らないで勧誘をした場合は違法、ということになります。また「不動産投資の勧誘に関する話」ということを告げなかったり、契約しないと意思表示をしたのにさらに勧誘を続けたり、迷惑な時間に電話や訪問をした場合も違反行為となる、といった内容です。

また国土交通省でも「宅地建物取引業者からの悪質な勧誘電話等にご注意ください。」によって注意喚起を行っています。それによると、下記のような勧誘を受けた場合は、行政庁への報告を促しています。

  • 断ったにもかかわらずしつこく電話をかけてくる
  • 長時間にわたって電話を切らせてくれなかった
  • 深夜や早朝に電話をかけられた
  • 脅迫めいた発言があった
  • 自宅に押しかけられ契約等を迫られた など

不動産会社から投資の勧誘を受けた場合、上記に該当していないか慎重に検証することが重要です。悪質な不動産投資会社からの勧誘を断る手順について次から見ていきましょう。

2 悪質な不動産投資会社の勧誘の断り方・手順

不動産投資を始める際は、投資家自らも投資の知識を持って、複数社の提案内容や物件の収益性、自身の投資目的に合致しているかなど、比較することが重要です。

投資目的に合致しない場合や、悪質な不動産投資会社からの勧誘である場合、自身で投資判断を行う知識が無い場合などでは、勧誘を断ることも大切なポイントとなります。

  1. 明確な理由をつけてキッパリ断る
  2. 法律に関する知識があることを匂わす
  3. 会社名と名前を確認する
  4. 公的な機関に訴えることを告げる

明確な理由を告げて断り、それでも勧誘を続けるようであれば違反行為であることを告げます。非常に悪質な場合は、監督行政庁への報告を行うことも検討することになります。

2-1 明確な理由をつけてキッパリ断る

不動産投資会社へ断りを入れる場合、明確な意思表示を行うことが大切です。「今は時間がないので」といったように曖昧な言い方ではなく、「今は不動産投資を始めるつもりはない」「他の物件と比較して収益性が低かった」のように明確な理由をもって断りましょう。

2-2 法律に則った案内をしてもらうよう指摘する

2011年10月1日に改正・施行された宅地建物業法では、契約を締結しない意思を表示した後に勧誘を継続することが禁止されています。明確な断りを入れた後に勧誘を継続された場合は、法律に則った案内を行うよう指摘しましょう。

2-3 会社名と名前を確認する

宅地建物業法では、勧誘時に会社名と名前を表示することが義務付けられています。これらの表示が無かった場合には、再度確認しましょう。

2-4 公的な機関に訴えることを告げる

宅地建物取引業者は、宅地建物業法の規制を受けています。悪質な勧誘を辞めてもらえない場合には監督行政庁への通報も検討しましょう。監督行政庁では、悪質な勧誘を行う不動産会社への指導や営業停止、免許取り消しといった処分を行っています。

実際に通報する場合に備えて、法律違反を犯しているような勧誘電話が来た際には相手の会社名や氏名、電話番号、電話の時間や勧誘された内容などをメモしておくのもいいでしょう。

3 悪質な不動産投資会社を回避する3つのポイント

不動産投資の悪質な勧誘を断る場合の手順を紹介しました。しかし、不動産投資に興味のある方や、これから不動産知識をつけて自身でしっかりと判断したい方にとって、どのようにして不動産会社を見極めれば良いのか悩む方もいらっしゃるでしょう。

不動産投資を検討する際は、適切な不動産知識を持ち、複数の不動産投資会社を比較して問題がないか確かめることが重要になります。詳しいポイントについて次から詳しく見て行きましょう。

3-1 不動産投資の勧誘を断ることができるタイミング

不動産投資では、原則として売買契約を締結する前であればいつでも勧誘を断ることができます。勧誘を受けてから他社比較などをして他に気になる物件がある場合は、どれだけ丁寧な案内を受けていたとしても、断りを入れて問題が無いということになります。

しかし、すでに売買契約を締結しているのであれば、手付放棄などあらかじめ売買契約書に示されている方法でしか契約解除をすることができません。不動産会社の案内に問題がなく、自己都合での契約解除を行いたいのであれば、原則的には売買契約を締結する前に限られているという点に注意しましょう。

3-2 複数の不動産投資会社を比較してみる

不動産投資の勧誘を受けてトラブルに発展してしまう事例には、1社からの案内のみを鵜呑みにしてしまい、購入後に相場よりも価格が高い物件・リスクの高い物件を購入してしまったことに気づく、というケースがあります。

不動産投資の初心者の方であれば、1社だけでなく複数社の不動産会社の話を聞き、それぞれの内容を比較検証することが大切です。また、複数社と同時にコミュニケーションを取ることで、1社からの案内に不安な点がある場合には他社へ相談することも容易になります。

3-3 会う前に不動産会社について調べておく

営業手法の中には「一度、会ってお話を聞いてくれませんか?」といった勧誘の仕方があります。会って話を聞くことは双方にとってメリットもありますが、悪質な不動産会社である場合には強引な勧誘をされてしまうリスクもあります。

そこで、まずは会う約束をする前に不動産会社について調べておくと良いでしょう。例えば、業歴や資本金、上場企業であるかどうか、インターネット上で悪い評判が出ていないかなどの調査を行うことが大切です。

その他、「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」では、過去のトラブル事例がないか事業者名から検索することも可能です。

ただし、悪質な不動産会社の場合は事業者名を変更したり、新規に法人を設立しているケースもあります。調査で特に悪い点が見つからなくても、実際に会って話を聞く際は慎重に検討するようにしましょう。

まとめ

今回のコラムでは、不動産投資に関する勧誘トラブルについて解説しました。不動産投資を始める際は、このような悪質な勧誘を行う不動産会社を避け、見分けていくことが重要になります。

不動産投資にはリスクがあり、悪質な業者によって投資に失敗してしまう事例もあります。適切な不動産知識の獲得や、信頼できる不動産会社との比較を行い、悪質な不動産業者からの勧誘に対してはしっかりと断りを入れましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。