不動産投資のなかでも、マンション投資は比較的取り組みやすい投資です。ただ、そうは言っても投資を成功させるために注意すべきポイントも多いため、この記事では「マンション投資を始めてみたいけど、何から手を付けていいか分からない」という方向けに、マンション投資の大まかな流れと各ステップでのポイントをご紹介していきたいと思います。
- マンション投資の本やサイトで情報収集をする
- 複数のセミナーや個別相談に申し込んで話を聞く
- 購入するエリアを検討する
- 新築マンションか中古マンションかを比較検討する
- ローンの融資金利を確認し、イールドギャップを計算する
- 購入価格の値引きや金利の引き下げを交渉する
- 出口戦略(売却タイミング)を検討する
マンション投資の本やサイトで情報収集をする
まず初めに行うのは、マンション投資に関する情報収集です。不動産投資に関する本やサイトには、2つのケースがあります。一つは、中立的な立場で不動産投資の特徴を客観的にまとめているケース、もう一つは不動産投資会社が自社の認知を上げるための広告ツールとして本やサイトのコラムなどをリリースしているケースです。両者を見分ける方法としては、著者名に「株式会社○○ 代表取締役」などのように会社名が含まれているケースや、本の中に「弊社では~」「弊社のサービスでは~」といった文言が入っているケースはPR本、セールス本となります。
ただ、中立的なものとセールス目的のもののどちらが良い悪いという話ではなく補完的な関係となりますので、まずは前者で不動産投資の全体像を大まかにつかみ、後者の本やサイトで自分の投資スタイルにマッチしていそうな会社やサービスをピックアップしていくという流れで進めていくと効率的です。
なお、その際に情報源を一つに依存しないことが大切です。記載されている情報が古いケースもありますし、一つの物事に対して偏った見方をしてしまっているケースもあります。
複数のセミナーや個別相談に申し込んで話を聞く
本やサイトを見て書かれていることなどに納得や共感ができたら、セミナーや個別相談に申し込んでみましょう。このとき、セミナーや個別相談には3つ以上申し込むことをおすすめします。
たとえば、3社に話を聞く場合、新築マンション投資2社と中古マンション投資1社のように分散をしておくことで、新築マンションと中古マンションのメリット・デメリットをそれぞれ聞くことができ、新築マンションのなかでも異なるマンションブランドの強み・弱みや異なるエリアにおける投資の良し悪しを知ることができます。マンション投資では、正確な情報を入手することや、十分な比較検討を行うためにも、情報源を1社に依存しないということが非常に大切です。
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購入するエリアを検討する
セミナーや個別相談に申し込むと、物件やエリアのイメージもつかめてくるかと思います。たとえば、都内のマンション投資においては、主なエリアの選択肢に上がるのは下記のようなものとなります。
- 都心の一等地(港区・中央区・千代田区)」
- 準一等地の都心エリア(目黒区・品川区・渋谷区・新宿区など)
- 上記エリアに隣接する都内の区(文京区、豊島区、江東区など)
- それ以外の区・市(荒川区・八王子市など)
それぞれの特徴としては、都心の一等地であれば、購入価格が高く利回りが低い代わりに、資産価値としての安定性が高い、準一等地であれば、一等地に比べて購入価格が安いが都市開発計画などでエリア内の物件価値が上昇する可能性がある、都心の隣接エリアに関しては都心に比べて購入価格が安く利回りが高い、都心に比べてアパート投資の比率が高くなってくるといった特徴があります。
どのエリアに投資するかにあたっては、ご自分の投資目的や投資スタイルを整理し、資産を減らさずに安定した資産運用を行いたいのか、利回りの高い物件に投資をして毎月の家賃収入を得たいのか、値上がり益も期待した積極的な投資をしたいのか、といったことを明確にしておくことをおすすめします。
また、エリア選びの際の注意点としては、地方の方で都内の土地勘がないが東京の物件を探しているという場合、たとえば新宿区の物件であっても「新宿区の外れにある駅徒歩10分の物件」といった、都内に多少詳しい方であれば手を出しにくい物件をすすめられることもありますので、個別相談の際には「聞いたことがあるエリアだから大丈夫そう」とは思わずに、エリアについてきちんと自分で調べるということを習慣化しておいたほうがよいでしょう。
新築マンションか中古マンションかを比較検討する
エリアがある程度かたまったら、新築マンションか中古マンションかを比較検討しましょう。新築マンションと中古マンションの主な特徴を比較してみると、以下のようになります。
比較項目 | 新築マンションのメリット・デメリット | 中古マンションのメリット・デメリット |
---|---|---|
物件価格 | × 物件の取得価格が高い | ◎ 物件価格が新築より2割~3割安い |
仲介手数料 | ◎ 購入手数料がかからない | × 物件価格×3%+6万円が上限でかかる |
利回り | × 物件の利回りが低い(3%~5%) | ◎ 物件の利回りが高い(5%~8%) |
賃料価格 | ◎ 新築プレミアムで高く設定できる | × 築年数が立つほど賃料は低くなる |
賃料下落率 | × 購入時からの家賃の下落率が大きい | ◎ 購入時からの家賃の下落率が少ない |
ローン返済期間 | ◎ ローン返済期間を長く設定できる | × ローン返済期間が短くなってしまう |
担保余力 | ○ 担保余力が高い | × 担保余力が低い |
償却期間 | ○ 減価償却期間が長い | × 減価償却期間が短い |
設備 | ○ 最新設備が設置されている | × 設備が古くなっている |
維持コスト | ○ 修繕費などが少なくて済む | × 設備などの修繕費がかかる |
瑕疵担保責任 | ◎ 瑕疵担保責任の保証期間が10年 | × 瑕疵担保責任は購入後数ヶ月程度 |
新築マンションのほうが空室リスクは少なく担保価値も高い、融資を引きやすいといったメリットがあるものの、購入価格が高くなってしまって利回りが低くなるというデメリットがあります。
一方、中古マンションは、購入価格が安く利回りが高い、賃料が大きく下落しづらく安定しているというメリットが有る一方で、担保余力が低く融資を満額で引くことが難しい、設備が古く物件の競争力が新築に劣るので空室リスクがやや高くなることや、購入後に修繕費などのメンテナンスコストがかかるといったデメリットがあります。
両者の特徴を踏まえると、新築マンション投資は空室リスクが低く初心者向き、中古マンション投資は購入時のチェックすべきポイントなどが多くやや経験者向きとなるかと思います。ただ、中古マンション投資でどの物件を購入すればよいかといった点については、不動産投資会社にサポートをしてもらうこともできますので、初心者だから必ず新築マンション投資をしたほうが良いというわけではなく、先ほどエリアでもお伝えさせていただいた投資目的や投資スタイルによってどちらを選ぶかは異なってくるかと思います。
ローンの融資金利を確認し、イールドギャップを計算する
不動産投資において、最終的な利益を大きく左右するのが融資金利です。マンションの表面利回りはアパートと比べると4%~5%前後と低いので、金利も低い水準でなければ毎月の返済でほとんど利益が出ないということになってしまいます。このローンの融資金利と物件の表面利回りの差をイールドギャップと呼びます。
マンション投資には、ローン返済以外にも、毎月の管理費・積立修繕費などのコストや固定資産税などの税金もかかってきます。それらを考慮すると、イールドギャップは2%前後確保しておいたほうがよいでしょう。
たとえば、表面利回り5.5%の中古マンションを購入する場合、融資金利を3%~3.5%におさえたほうが良いということになります。逆に、融資金利が4%を超える場合は、他の金融機関を開拓するか、もっと利回りの高い物件に投資をする必要があります。
購入価格の値引きや金利の引き下げを交渉する
最低限のイールドギャップが確保できたら、成功の可能性を引き上げるために購入価格の値引き交渉や金利の引き下げを交渉してみましょう。
新築マンションであれば、申し込みのタイミングや申し込みの状況によって、値下げを実現できる可能性は十分にあります。もともと新築マンションの価格には、ディベロッパーの利益が上乗せされているため、多少値引きをしても利益が残るように価格設定がされています。ですので、購入時には営業マンや会社に遠慮せずに「○○万円でならぜひ購入したいと思っている」と強気に交渉をしてみることをおすすめします。
また、中古マンションにおいては、仲介会社が抱える売り主の物件を紹介された場合は、大きく値下げを実現できる余地があります。なぜなら、仲介会社が自社で買い手と売り手をマッチングするケースでは、買い手と売り手の両方から仲介手数料をもらうことができるため、通常の案件よりも利益が2倍となるためです。
そのため、仲介会社には、売り手側に値引きを要求してでも、目の前の買い手と早く売買を成立させたいというインセンティブが働くこととなります。それを踏まえると、買い手としては「○○万円で購入できないようだったら、他の仲介会社ですすめられている他の物件を検討しようかと思っている」としっかりと購入意思を示しつつ、他の購入選択肢も匂わせることで、仲介会社の「いまこの人に売りたい」という気持ちを高めることができ、購入金額の引き下げに動いてもらうことができるようになります。
新築マンション、中古マンションいずれにおいても、物件を割安に購入するということは非常に大切です。物件購入価格が安ければ、利回りが高くなると同時にローンの返済金額や仲介手数料なども引き下げることができますので、失敗する確率を大きく下げることができるようになります。
出口戦略(売却タイミング)を検討する
最後に、マンションを購入した後にどのタイミングで手放すかについてもしっかりと想定をしておきましょう。ヴィンテージマンションと呼ばれるような本当に良いマンションは、数十年が経っても資産価値が落ちないため、保有し続けることで利益を生み出し続けてくれますが、多くの場合は年数が経過するととともに建物の経年劣化が進み、物件価値も下がっていきます。
家賃収入(インカムゲイン)を主体とした安定的な投資を行いたいというケースであっても、必ずしも今保有している物件だけで実現しなければいけないわけではありません。むしろ、保有するマンションを適宜入れ替えながら、エリアや物件タイプの最適なポートフォリオを構築していくほうが、家賃収入を安定させることや増やすことができるようになるかと思います。
購入時に「この物件は○年後に○○万円になっていたら売却しよう」「家賃収入からの利益と売却した時の利益の総額が○○万円を超える時に売却をしよう」とあらかじめ決めておいて、いざそのタイミングが訪れた時に迅速にアクションできるように備えておきましょう。
まとめ:マンション投資で成功するために
マンション投資は、要点をおさえて始めることで成功する確率を大幅に高めることができます。本やサイトでの情報収集に始まり、セミナーや個別相談への参加、購入エリアと物件の検討、ローンの融資金利と表面利回りの確認、購入価格や金利の交渉、出口戦略の検討などを一つ一つ着実に行って、マンション投資を成功させましょう。
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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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