中古マンション投資は、新築時よりも物件価格が低下しているため、比較的に少ない資金でも始めやすい不動産投資です。しかし、新築時にはなかった設備上の問題が出ている可能性が高まっており、失敗してしまうケースもあります。
そこで今回のコラムでは、中古マンション投資に失敗した事例を4つ紹介し、中古マンション投資で失敗しやすい特徴や失敗しないための対策についても解説していきます。
目次
- 中古マンション投資に失敗してしまった事例
1-1.入居者の退去後に家賃を下げることになった
1-2.入居後に給湯器の異常が発生し、交換することになった
1-3.新耐震基準を満たしていなかったので、修繕積立金が高くなった
1-4.物件管理の不備で、入居者から苦情が来てしまった - 中古マンション投資で失敗しないための対策方法
2-1.リスク対策を適切に講じる
2-2.マンションの劣化・不具合などの状況について確認する
2-3.複数の不動産会社の意見を参考にする - まとめ
1 中古マンション投資に失敗してしまった事例
- 入居者の退去後に家賃を下げることになった
- 入居後に給湯器の異常が発生し、交換することになった
- 新耐震基準を満たしていなかったので、修繕積立金が高くなった
- 物件管理の不備で、入居者から苦情が来てしまった
1-1 入居者の退去後に家賃を下げることになった
「同じ入居者が6年間住んでいたオーナーチェンジ物件を購入しました。3年経った頃に退去してしまいましたが、購入後から長年入居者が確保できて軌道に乗せられたと思っていました。しかし、家賃設定が相場よりも高かったため、退去した後は家賃を下げないと入居者を確保できない状況になりました。購入時に比べて手元に残るお金が少なくなってしまったのは想定外でした」(千葉県、40代女性)
オーナーチェンジ物件は家賃が相場より高い場合がある
賃貸経営では物件の年数が経つにつれて、家賃を下げないと入居者が確保しにくくなる傾向があります。事例のように長期間の入居者がいるオーナーチェンジ物件は、特に注意が必要です。
新築時点の入居者のままになっていることがあり、退去後は元の家賃で入居者が決まらない可能性があります。そのため、退去後を見据えた家賃設定や周辺相場を含めた賃料の査定が必要です。
1-2 入居後に給湯器の異常が発生し、交換することになった
「単身者向けの中古マンションを購入して賃貸経営を始めました。入居者がすぐに決まって、いいスタートが切れたと思っていましたが、すぐに給湯器の故障が発覚しました。工事業者の方に、修理するよりも新しいものに交換した方がいいと言われて交換しましたが、家賃収入を得る前に10万円の出費は痛かったです」(東京都、30代女性)
中古マンション投資の特徴②設備や機器なども経年劣化していることがある
中古マンションの引き渡し後に、トラブルが発生しやすいのがこのような付帯設備の故障です。中古マンションで主に付帯される設備は以下のものです。
- 冷暖房設備
- 給湯器
- 厨房機器
- トイレ設備
- 浴室設備
- 洗面設備
- 屋内照明設備
- カーテンレール
- 物干し設備
- 靴箱、など
中古物件は建物だけではなく、こうした設備にトラブルが発生するケースがあります。その場合、明らかな故障であれば、契約不適合住宅に当たる可能性があり、売主が責任を負うこともあります。
ただし、単なる経年劣化であれば、今回の事例のように売主ではなく、買主が責任を負うことが考えられます。内覧などの際に確認するのに加えて、購入する前に設備の導入年月などを売主に確認することも忘れないようにしましょう。
1-3 新耐震基準を満たしていなかったので、修繕積立金が高くなった
「表面利回りが20%超の高利回りの中古マンションを購入しました。新耐震基準が導入される前の建築でしたが、入居者もいたため自己資金をすぐに回収できると思っていました。しかしその後、管理組合で大規模な耐震増強工事を行うことが決定され、修繕積立金を増額する旨の通知が来ました。建物の耐震性能が向上するのは喜ばしいのですが、手元に残るお金が少なくなるのは残念に思っています」(東京都、60代男性)
築年数に応じて修繕工事の規模が大きくなる
中古マンションを購入する際は、入居者に安全な住空間を提供するという意味でも新耐震基準をクリアしているか確認しましょう。新耐震基準が導入された1981年6月1日以前に建てられたマンションでも、後に耐震増強工事を行っているケースがあります。こうした確認も適切に行いましょう。
表面利回りだけを気にしすぎていると、確認し忘れたり、確認しても目をつぶってしまうこともあります。しかし、今回の事例のように後から多額の費用が必要になり、せっかく高利回りの物件を購入しても利益幅が縮小してしまうことになります。
また、中古マンションは築年数によって修繕積立金が高額になっているケースもあります。この場合も毎月の収益を圧縮しますので、修繕積立金の金額の確認と合わせて前回行われた大規模修繕工事の時期や内容、規模を事前に確認すると良いでしょう。
1-4 物件管理の不備で、入居者から苦情が来てしまった
「築年数の浅いワンルームマンションが売りに出ていたので、購入しました。利回りも悪くなく、物件の状態も良かったのですが、マンション内の清掃など管理が適切にされていないようです。玄関やエレベーターなどの共用部分にゴミが落ちていることも多いようで、入居者から快適ではないとクレームが入ってしまいました。管理組合に提案をしても動きが鈍く、今後どうしようか思案中です」(東京都、50代男性)
管理体制をすぐに変えられるとは限らない
過去に運用歴のある中古マンションであれば、これまでの管理状況がわかります。そのため、物件を見学に行く際は、部屋だけではなく、マンション全体の管理状況も確認しておきましょう。今回の事例のように物件管理が疎かにされていると、入居者を確保することはできても、長期間にわたって住んでもらうことは困難になることも考えられます。
また、中古マンションでは管理組合がすでに設置されています。マンションの管理体制については管理組合に決定権があるため、1人のオーナーが管理体制の改善に向けて意見を言っても、通らないことが考えられます。そのため適切に管理が行われているかどうか、事前に管理体制や管理組合が機能しているかどうかという点について確認しておくことが大切です。
2 中古マンション投資で失敗しないための対策方法
中古マンション投資で失敗した事例を4つ紹介しました。中古マンション投資で失敗する特徴を踏まえて、この項目では中古マンション投資で失敗しないための対策を解説していきます。
2-1 リスク対策を適切に講じる
不動産投資にはリスクがありますが、特に中古マンションは築年数を重ねているため老朽化など不利になりやすい条件があります。そのためリスク対策を適切に講じて、回避するようにしましょう。
中古マンション投資で特に気をつけたい主なリスクと、代表的なリスク対策は下記のようになります。
代表的なリスク | リスク対策 |
---|---|
空室リスク |
・賃貸需要のある物件を選ぶ ・相場に合わせた家賃設定をする ・入居者付けに強い管理会社を選ぶ ・特典をつけるなどで入居者募集を工夫する |
修繕リスク |
・メンテナンスや設備の交換などを適切に行う ・資金に余裕を持って運営する ・耐久性能の高い設備を導入する |
資産価値下落リスク |
・適切な時期にメンテナンスを実施する ・土地価格が下落しない場所を選ぶ ・資産価値が下がる前に売却をする |
家賃下落リスク |
・入居希望者が多い物件を選ぶ ・リフォームやリノベーションを行う ・人気のある設備を導入する ・空室対策に強い管理会社を選ぶ |
このほか、家賃滞納リスク、金利変動リスク、災害リスクなどのリスクもあります。これらの対策は、新築マンションと同様に適切に講じるようにしましょう。
2-2 マンションの劣化・不具合などの状況について確認する
マンションに限らず、中古物件を購入する際は物件が契約に適合しているのか、適切に確認するようにしましょう。購入後のトラブルを避けるためには、内覧の際に売主や仲介業者に疑問に思ったことは質問し、曖昧にしておかないことが肝心です。
それでも不安な場合は、インスペクション(専門家による住宅調査)の活用を検討してみましょう。インスペクションを行うことで、不備や不具合がないか適切に判断することができます。賃貸物件として長期間運用するためにも、物件の不具合あるいは不安は事前に解消するようにしましょう。
その他、不動産売買契約書に記載されている契約不適合責任の範囲や期間について事前に確認することも大切です。契約不適合責任を免責とする文言が入っている場合には、売却価格も含めた売主への交渉を行ってみると良いでしょう。
不動産会社の中には、中古マンションの設備について保険を付けている会社があります。例えば、東京の投資用中古マンション販売を手掛ける「エイマックス」では、購入後5年間は査定家賃80%保証、家賃滞納100%保証、購入後3年間は設備保証も設定されているなど、購入後の保証が充実している点が大きな特徴です。
【関連記事】A-MAX(エイマックス)の不動産投資の評判は?入居率・実績や注意点も
2-3 複数の不動産会社の意見を参考にする
中古マンション投資は、物件選びと同様に仲介役を担ってくれる不動産会社選びも重要です。購入時だけではなく、購入後に管理を任せるケースもあり、長年付き合えるパートナーとなることもあるためです。
複数の不動産会社とパイプを持っておくと、いろいろな角度から比較検討ができます。予算や嗜好に合わせて各不動産会社から物件を紹介してもうことができ、1社からの案内に疑問点や不安点が出てきた場合には他の不動産会社から意見をもらうこともできます。失敗を回避するためにも、幅広い意見を参考にして物件選びを行うようにしましょう。
まとめ
中古マンション投資は、初心者でも始めやすい不動産投資ですが、失敗するリスクもあります。今回は4つの失敗事例を取り上げ、中古マンション投資ならではの特徴も紹介しました。
また失敗しないための対策方法として、「リスク対策」「インスペクションの活用」「不動産会社の活用」の3つについて解説しました。中古マンション投資で失敗しないためにも、過去の失敗事例を参考に、対策や準備を行っていきましょう。
倉岡 明広
最新記事 by 倉岡 明広 (全て見る)
- 不動産売却はどこがいい?大手不動産会社5つの比較や不動産査定サイトの使い方も - 2024年11月11日
- 不動産売却の実績が多い大手不動産会社は?10社の実績ランキングを比較 - 2024年11月11日
- 不動産売却で「東急リバブル」と「住友不動産販売」の違いは?評判・実績を比較 - 2024年11月11日
- 住友不動産販売の不動産売却査定の評判・口コミは?申込み手順も - 2024年10月3日
- 地価上昇が続くエリアはどこ?好立地の用地仕入れに強いアパート経営会社も - 2024年9月30日