不動産売却で買主から売却理由を聞かれた際の上手な回答法は?

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不動産を購入するにあたって、売主が不動産を売りに出している理由を尋ねる買手は少なくありません。また、理由の伝え方によっても買主の印象は大きく変わるものです。

不動産を売却するのであれば、できる限り高く売りたいと思う人は多いのではないでしょうか。高値売却を意識するのであれば、売却理由の伝え方も1つのポイントになります。

この記事では、不動産売却の理由としてよく聞かれるものをご紹介するとともに、理由ごとに注意すべきポイントなどについて解説します。

目次

  1. 不動産を売る時に多いポジティブな売却理由
    1-1.結婚など家族構成の変化による住み替え
    1-2.家族の通勤・通学を便利にするため
    1-3.転勤や転職によるもの
  2. 不動産を売る時に多いネガティブな売却理由
    2-1.ローン返済に行き詰まったため
    2-2.離婚したため
    2-3.相続物件の売却
  3. 不動産売却で「伝えなくても良いこと」と「必ず伝えるべきこと」
    3-1.プライベートな理由は必ずしも伝える必要がない
    3-2.物件の瑕疵(欠陥)に該当する場合は伝える義務がある
  4. まとめ

1.不動産を売る時に多いポジティブな売却理由

不動産を売るにあたって多くみられるポジティブな売却理由をご紹介します。ここからご紹介するのは、そのまま売主に伝えても「売り急いでいる」と思われる可能性が低いものです。

1-1.結婚など家族構成の変化による住み替え

不動産売却のポジティブな理由として代表的なものの1つは、結婚や子どもの独立などに伴う住み替えです。近年では独身のうちにマイホームを購入する人も少なくないため、結婚を機に2人で住める家に住み替えるといったケースは多くみられます。

また、反対に子どもが独立して一人暮らしを始めたために、夫婦2人で住むには家が広すぎるなどの理由もあります。

そのほか、例えば戸建住宅に住んでいると家のメンテナンスには手間と資金がかかるため、高齢化に伴って、メンテナンスの手間が少ないマンションに住み替えるといった理由も良く聞かれます。

1-2.家族の通勤・通学を便利にするため

例えば子どもが私立学校に入学した結果、通学先が遠方になるため家を売却して住み替えるといったケースがあります。そのほか、家族の通勤を楽にしたいなどのケースも同様です。

通勤・通学は毎日のことなので、勤務先や学校の近くに引っ越したいという理由は多く聞かれます。

1-3.転勤や転職によるもの

通勤・通学を理由としたものに近い理由となりますが、世帯主の転勤や転職に伴う住み替えも多いものです。この場合は、もともと住んでいた家を賃貸に出して、転勤先などで別途家を用意することもあります。

しかし、住んでいた家がそもそも賃貸に適していない場合や、新たに家を買う場合などは、もともと住んでいた家を売却して購入資金に充てるケースも少なくありません。

2.不動産を売る時に多いネガティブな売却理由

ポジティブな理由がある一方で、家を売却して早めに資金を用意しなければならないネガティブな理由もあります。ネガティブな理由によって不動産を売却する場合は工夫が必要です。

2-1.ローン返済に行き詰まったため

住宅ローンの返済に行き詰まった場合は、任意売却によって残債を圧縮するのも1つの選択肢です。任意売却は金融機関の同意を得ないと進めることができず、また手続きの関係から少なくとも不動産会社には必ずその事情が知られることになります。

この理由も「やむを得ない事情に迫られて家を売却しようとしている」という印象を与える可能性があるため要注意です。しかし、不動産業者の買取サービスなどを利用する場合は、査定に基づいて早急に話がまとまる可能性もあります。

不動産買取サービスは通常の仲介取引と比較して売却額が低くなるものの、売却を早期完了させたい場合には有効です。とにかく早くローンを返済したい場合には、選択肢の一つと言えるでしょう。

2-2.離婚したため

離婚は「家族構成の変化」であり、それ自体が不動産売却に直接ネガティブな影響を与えるわけではありません。しかし、離婚調停や慰謝料の支払いなど大きなお金が絡む場合もあるほか、共働きでないとローン返済が困難になる場合などはネガティブな理由と捉えられます。

また、例えば夫が主たる債務者となっている場合は、妻が連帯保証人となっているケースもあります。この場合、夫が返済できなくなった場合は、妻に返済義務が生じるため要注意です。

共働き家庭で家を購入していた場合は、離婚協議の中で家の売却またはローン返済についても整理しておく必要があります。

2-3.相続物件の売却

相続という事情自体はネガティブというわけではありません。しかし、相続が発生すると、相続税の納税や場合によっては遺産分割などが必要になり、相続税の納税期限は相続の発生を知った時から10ヶ月以内と定められています。

納税期限を過ぎると延滞税が発生するため、納税期限と売却を始めるタイミングによっては急いで売却を完了させる必要に迫られます。

このような事情を売主に知られると、売り急いでいると思われて値下げ交渉を持ちかけられることもあるので要注意です。相続という事情自体はそれほどネガティブな理由ではありませんが、相続税の納税期限に対して余裕を持ったスケジュールで売却活動を始めることが重要になります。

3.不動産売却で「伝えなくても良いこと」と「必ず伝えるべきこと」

ここまで不動産売却の理由として多いものについてご紹介しましたが、「不動産売却の理由はどうしても伝えなくてはいけないのか」と疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。売却理由の申告義務について解説します。

3-1.プライベートな理由は必ずしも伝える必要がない

例えば、ローン返済が苦しい・離婚したなどプライベートの事情が売却理由に該当する場合は、必ずしも売主に伝える必要はありません。

しかし、売主から売却理由を聞かれた場合には、何かしらの理由を伝えないと「何か言えない事情があるのではないか」と思われて敬遠されてしまうことも考えられます。

このため、少なくとも不動産会社の担当者には正確な事情を伝えたうえで、売主への伝え方について相談することが必要です。正直に事情を伝えることで、買主も信頼して取引に応じてもらえることもあります。

例えば、相続が発生してできるだけ早く売却をしたい場合、買主へは相続が売却理由であることをそのまま伝えつつも、「売却するかどうかは価格次第で決め、不動産のまま相続する可能性もある。」という回答も付け加えておくことで、売り急いでいることを理由に理不尽な指値交渉を避けることができます。

このような回答や折衝については、不動産取引のパートナーである不動産会社の協力が不可欠となります。複数の不動産会社を比較するなどして、売却依頼する不動産会社の対応力なども確認しておくと良いでしょう。

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3-2.物件の瑕疵(欠陥)に該当する場合は伝える義務がある

既に解説した通り、売主のプライベートな事情を買主に伝えるかは選択の余地があるものの、その理由が売却物件の瑕疵(欠陥)にあたる場合は、売主は買主に事情を伝える義務(※契約不適合責任)を負います。「売却物件の瑕疵にあたる事情とは、例えば以下のようなものです。

  • 地盤沈下や耐震強度の不足など建物の構造に問題がある場合
  • 再建築不可物件や消防法違反物件など建物が法律上の問題を抱えている場合
  • 物件内での事件の発生など人によっては心理的な抵抗を感じる事情がある場合
  • 隣人トラブルや反社会的勢力の有無など環境的な問題を抱えている場合

それぞれの事情についてどこまで詳細に伝える必要があるかは、法律などで具体的に定められていません。しかし、売却完了後のトラブルを避けるためには、可能性のあるものは全て正確かつ具体的に伝えておくことが重要です。

なお、建物の構造上問題がある場合などは、インスペクションと呼ばれる建物の点検にて明らかになることがあります。インスペクション自体が義務化されているわけではありませんが、実施有無に関しては買主へ交付する重要事項説明書の記載事項となっているため、事前に実施しておくことも検討されてみると良いでしょう。

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まとめ

不動産を売却するに当たっては、理由次第で買主からの値下げ交渉に発展してしまうことがあります。トラブルを避けるまたはできる限り高値で売却するためには、正確な理由を不動産会社へ伝えておくとともに、買手への伝え方について打合せしておくことが必要です。

また、内容によっては買主へ伝える義務が発生するものもあるので、こちらも併せて不動産会社へ確認しておくことがトラブル回避のコツとなります。

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