不動産の買い替えで得するために覚えておきたい6つの知識

不動産投資家の大半が「融資厳しくなった」と回答。厳しい投資環境下でも融資を引くための5つのポイント

「子供が独立したので小さな家に移りたい」「親の介護のため実家近くに引っ越したい」など、マイホームを売って新しい土地に移り住むケースは様々です。しかし、不動産の買い替えは、今住んでいる住居の売却と新居の購入を同時に進める必要があるため、「売却前に新居を購入できるのか」「本当に予定通りに売れるのか」などの不安を抱えている方も多くいます。

そこで今回は、不動産の買い替えで事前に覚えておきたい知識として、買い替えの種類、利用できる融資制度、売買契約の内容、節税、業者選びのポイントを解説します。不動産の買い替え方法がわからない方、現在検討している方などはぜひ参考にしてください。

目次

  1. 不動産の買い替えは2パターン
    1-1.「先行売却」と「先行購入」
    1-2.メリットとデメリット
  2. 買い替えローンを活用する
    2-1.買い替えローンとは
    2-2.買い替えローン利用の流れ
  3. 先行購入の「買い替え特約」
    3-1.買い替え特約とは
    3-2.買い替え特約を付けるのは難しい?
    3-3.買い替え特約を付けるには
  4. 買取で不動産を売る方法も検討する
    4-1.買取のデメリット
    4-2.急いでいる場合にメリットがある
  5. 不動産の買い替えで利用できる特例
    5-1.特別控除の特例
    5-2.軽減税率の特例
    5-3.特定居住用財産買い換えの特例
    5-4.居住用財産買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除
    5-5.居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除
    5-6.事業用資産買い替えの特例
  6. 買い替えでは信頼できる不動産会社選びが重要
    6-1.業者選びが重要な理由
    6-2.信頼できる不動産会社の条件
  7. まとめ

1 不動産の買い替えは2パターン

不動産の買い替えでは、今住んでいる住居を先に売る「先行売却」か、新居を先に買う「先行購入」かの2つの方法があります。

1-1 「先行売却」と「先行購入」

先行売却は、新居を購入する前に現住居の売却活動を行う方法です。現住居を先に売却することでまとまった資金を確保できるため、新居購入の資金計画を立てやすいといった特徴があります。

一方、先行購入は、現住居を売却する前に新居の購入活動を行う方法です。先行購入では時間をかけて予算に合う新居を探すことができ、良い物件が見つからなければ買い替えしないというパターンもあります。

1-2 メリットとデメリット

先行売却、先行購入のメリット・デメリットは以下のようになります。

項目 先行売却 先行購入
メリット ・現住居の売却を先行させることで、確保できる資金の目途が立つ ・新居の購入活動に時間をかけることができ、優良物件を安く購入できる可能性がある
・売却活動に時間をかけることができ、高く売却できる可能性がある
デメリット ・現住居の引き渡し時期が決まっているため、新居の購入活動に十分な時間を確保できない場合がある ・新居の購入代金に現住居の売却代金を充当するため、現住居の売却活動に十分な時間を確保できない場合がある
・現住居の引き渡しまでに、新居に入居できなければ「仮住まい」が必要となる ・新居と現住居の2重ローンを抱える可能性がある

先行売却と先行購入のどちらを選ぶかは、当事者の抱えている事情や考え方で異なります。先に売却して資金の目途を立て安全に住み替えたい方には、先行売却がおすすめです。特に、新居の住宅ローンを借りるために、現住居のローンを完済しなければならないケースでは、先行売却をせざるを得ないでしょう。

一方、新居探しに時間をかけて理想的な物件を見つけたい方は、先行購入が向いています。ただし、いずれにしても現住居の売却活動と新居の購入活動を上手に同時進行する必要があります。

2 買い替えローンを活用する

住居を買い換える際には、「買い替えローン」という便利な融資制度を利用することができます。制度利用の流れや注意点について見てみましょう。

2-1 買い替えローンとは

買い替えローンは、現在の自宅を売却してもローンの残債が完済できない場合に、不足分と新居の購入資金をまとめて融資してくれる制度です。ただし、買い替えローンを利用できるのは、自宅を売却してローンの残債に充当しても、完済することができない場合に限られます。

自宅を売却して完済できる方は、買い替えローンではなく通常の住宅ローンを利用することになります。

2-2 買い替えローン利用の流れ

買い替えローンを利用するためには、「現住居の売却」と「新居の購入」の決済日を同じ日にする必要があります。以下、売却先行で買い替えローンを利用する流れを見ていきましょう。

  1. 現住居の売却査定
  2. 不動産業者に売買仲介依頼
  3. 現住居の売却活動開始
  4. 新居購入の資金計画
  5. 新居の購入活動開始
  6. 現住居の売却契約締結
  7. 新居購入の申し込み
  8. 買い替えローン(申込前)の事前審査
  9. 新居の購入契約締結
  10. 買い替えローンの正式な申し込み
  11. 現住居売却・新居購入の決済

現住居を売却査定に出す

すまいValue』などの不動産一括査定サービスを活用し、複数の不動産会社から提出された査定額を精査することで売却資金でローン残債を完済できるかを判断します。できない場合は買い替えローンの利用を検討します。

不動産業者に売買仲介を依頼する

買い替えローンの利用も含めた全体の計画を不動産会社に説明して、売買仲介を依頼します。買い替えローンの申し込み手順などは、業者のアドバイスに従うと良いでしょう。

現住居の売却活動を開始する

現住居の販売価格を設定し、広告・募集を開始してもらいます。同時に、内覧対策を始めます。

新居購入の資金計画を立てる

現住居の売却活動を通じた集客具合や、内覧時の買い手の希望などを総合的に勘案し、売却可能額の目途を立て新居購入の資金計画を作成します。

新居の購入活動を開始する

あらかじめ目を付けておいた物件の現地確認と下見を行います。売却先行では、現住居の売却活動に並行して、新居のエリア選定や物件探しを行うことが重要です。

現住居の売却契約を締結する

購入希望者との売買契約締結時に手付金を受け取ります。

新居購入の申し込みをする

購入する新居を決めて申し込みを行います。

買い替えローン(申込前)の事前審査

新居購入契約後でも融資を受けられないケースがあるため、買い替えローンの正式な申し込みの前に、融資を受けることができるかを金融機関に事前審査してもらいます。購入ができなくなる事態を防いでおくことが重要です。

新居の購入契約締結

売主との契約締結時に、手付金を支払います。

買い替えローンの正式な申し込み

新居の購入契約を締結した後は、金融機関に買い替えローンの正式な申し込みを行います。

「現住居売却」および「新居購入」の決済を同時に行う

現住居売却では、買主から手付金を除く売却残金を受け取り、物件を引き渡します。同時に、ローン残債を完済します。新居購入では、売主に手付金を除く購入残金を支払い、引き渡しを受けます。同時に「現住居の抵当権抹消」「新旧住居の所有権移転」「新居の抵当権設定」がされることになります。

このように買い替えローンを利用する場合は、売却と購入の決済を同時に合わせる必要があります。売却先行では、現住居の売却可能額を把握した上で新居購入の資金計画を立てることになるため、不動産業者のアドバイスを受けながら、スケジュールに従って売却と購入のステップを手際よく同時に進めていくことが求められます。

3 先行購入の「買い替え特約」

先行して新居を購入する先行購入の場合、現住居が思ったとおりに売却できる保証がないため、「買い替え特約」をつけることができます。

3-1 買い替え特約とは

買い替え特約とは、新居の購入契約締結時に「現住居の売却が予定通りに進まなかった場合、新居の購入を白紙撤回できる」という決め事です。「〇月〇日までに」「〇〇円以上で売れなかったら」など売却期限や最低売却価格が満たされなかった場合に、購入契約を無効にすることができます。

通常、一方的な契約解除には違約金が発生し、払い込んだ手付金は返ってきませんが、買い替え特約では、違約金は発生せず手付金も無事に戻ってきます。ただし、買い替え特約を付けるには、売主と買主双方の合意が必要となります。

3-2 買い替え特約を付けるのは難しい?

現在住んでいる住宅が予定通りに売れない場合、資金計画を見直す必要が生じ、新居の購入を進めることが難しくなることから、買い替え特約は、新居を買う側にとってメリットが大きい契約となります。

しかし、売主側からすると売却活動ができなくなるうえ、売買契約が白紙になる恐れがあります。そのため買い替え特約は、最低売却価格も相場より低く設定されるのが一般的ですが、それでも売主の合意を得るのはなかなか難しいといった事情があります。

3-3 買い替え特約を付けるには

売主にメリットがないと考えられる買い替え特約で合意してもらうためには、仲介業者の力を借りるのが効果的です。新居の購入を依頼する仲介業者と、現住居の売却も専属で任せる「専任媒介契約」または「専属専任媒介契約」を結び、全面的にバックアップしてもらうという方法です。

業者にとっては、新居の購入仲介のみならず現住居の売却仲介も契約でき、専任契約をもらえれば現住居の買主からの手数料も入ることになります。そのため新居の売主との交渉においても、特約を付けられるように動いてくれることが期待できます。過度な期待は禁物ですが、検討してみる余地はあるでしょう。

4 買取で不動産を売る方法も検討する

不動産を売却する場合、不動産業者に仲介を依頼する以外に、業者に直接買い取ってもらうという方法があります。

4-1 買取のデメリット

買取は、不動産を買取業者に買い取ってもらう売却方法です。買い取った業者は、取得した不動産を整地・リフォームなど手を入れ、売りに出します。このような費用がかかることもあり、業者の買取価格は通常の売却相場と比べて1~3割程度安くなります。

4-2 急いでいる場合にメリットがある

一般的には、買取より仲介業者に依頼して売るほうが高い価格で売却できますが、買取には売却までの時間を短縮できるというメリットがあります。仲介方式では、一般の買い手が現れるのを待つ必要があり、売却できるまで一定の時間がかかります。

一方、買取では業者が直接買い取ってくれるため、仲介よりもスピーディーに現金化できます。そのため、先行購入で新居を見つけて購入決定したものの、現住居を売りに出しても買い手がつきそうもないケースなどの場合、売却価格が多少下がっても許せる状況であれば、買取を検討してみても良いでしょう。

5 買い替えで利用できる特例

不動産の買い替えでは節税につながる様々な特例を受けることができます。

5-1 特別控除の特例

自宅を売却した場合に、一定の要件を満たせば、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円までが控除されます。ただし、売却時に住んでいなかった家屋や敷地等は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることが要件とされています。

5-2 軽減税率の特例

所有期間が10年超(売却した年の1月1日現在)の自宅を売却した場合、一定の要件を満たせば、3,000万円の特別控除の特例を適用した後の譲渡所得に対して、長期譲渡所得の税率よりも低い軽減税率が適用されます。

5-3 特定居住用財産買い換えの特例

自宅を売却して他に買い替える場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができます。税額が安くなるなどではなく、あくまでも課税の繰り延べになりますが、転居に伴って何かとお金もかかることを考えると、翌年に支払う税額を少なくできるのはメリットと言えます。

5-4 居住用財産買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除

買い替えのため自宅を売却して売却損(譲渡損失)が生じた場合、一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得など他の所得と損益通算できます。また、譲渡の年に損失を控除しきれなかった場合に、翌年以降最大3年間にわたり損失を繰り越すことができます。

この特例の適用を受けるには、「平成31年12月31日までに売却すること」、また、「売却時に住んでいなかった家屋や敷地等は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること」が要件とされています。

5-5 居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除

住宅ローンが残っている自宅を住宅ローンの残高を下回る価格で売却して売却損(譲渡損失)が生じた場合、一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得など他の所得と損益通算できます。また、譲渡の年に損失を控除しきれなかった場合に、翌年以降最大3年間にわたり損失を繰り越すことができます。

この特例は「居住用財産買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除」と異なり、買い換えを行う必要はありませんが、譲渡損失が生じた自宅に住宅ローン残高があることが要件となっています。

5-6 事業用資産買い替えの特例

個人が、事業用の不動産(土地・建物等)を譲渡して、一定期間内に買換不動産を取得し、その取得の日から1年以内に買換不動産を事業用として利用したときは、一定の要件を満たせば、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます。

事業用とは、農業、製造業など様々な用途がありますが、アパート経営や駐車場経営など不動産賃貸も該当します。ただし、譲渡益が非課税となるわけではなく、あくまで課税を将来に繰り延べるものであることに留意してください。

6 買い替えでは信頼できる不動産会社選びが重要

住居の買い替えでは、信頼できる不動産会社に仲介してもらうことも重要なポイントとなります。

6-1 業者選びが重要な理由

不動産の単なる売却や購入と異なり、買い替えは売却・購入両方の連携を図りながら、時間的に近接して行う必要があります。そのため信頼できる不動産会社の力を借りることがとても大切です。

仮に買い替えにあたって十分な資金力があり、新居の購入を先行しても現住居の売却を急ぐ必要がないなどの場合では、新居の購入と現住居の売却は別々の業者に依頼し、じっくりと取り組むほうが有利な場合もあります。

しかし、一般的には現住居の売却資金を新居の購入資金に充てる場合や、借り替えローンを利用するケースが多く、そのためには売却と購入の密接な連携が求められます。そのため、買い換え実績が豊富で信頼ができる業者1社に絞って依頼するほうが良い結果を招くこともあります。

6-2 信頼できる不動産会社の条件

売却を依頼する場合は、複数の業者に査定を依頼し、査定額の根拠や担当者の対応などを見て信頼できそうな業者を決めていきます。また、購入の仲介をしてもらう場合は、紹介物件の豊富さや情報提供の内容・質などをみて決めることになります。

一方、現住居の売却と新居の購入両方を任せる買い替えの場合は、買い替え実績が豊富な業者の中で、無理のないスケジュールや有益なアドバイスを提供してくれる業者が候補となります。買い替え時に頼りになる不動産会社の条件には次のものが挙げられます。

  • 住宅の買い替え実績が豊富
  • 依頼する物件のジャンルが得意(戸建て・マンションなど)
  • 物件所在地域の不動産相場や情報に精通している
  • 査定額に信頼が置ける
  • 営業員が熱心で親身になってくれる

7 まとめ

一般の方にとっては、不動産の売却や購入はどちらか一方を行うだけでも大変な仕事となります。しかし、買い換えは売却と購入の両方をほぼ同じ時期に行わなければなりません。

スムーズに買い替えを行うには事前に不動産買い換えのパターンや流れを把握し、丁寧にスケジュールを立て、確実に各手順を踏んでいくことがポイントです。

また、仲介業者との連携が特に重要になるため、経験豊富で信頼できる業者に依頼し、アドバイスを受けながら上手に買い替えを進めましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」