マンション投資は数百万円から数千万円という大きな額の投資になります。融資を受けて始めることも多いため、資金面に不安を感じてなかなか一歩を踏み出せないという方もいるのではないでしょうか。
この記事ではマンション投資の際に融資を受けることに不安がある方に向けて、融資審査の申し込み時に注意しておきたいことや、マンション投資で気をつけたい7つのポイントをご紹介します。
目次
- マンション投資でローンを組む際に押さえておきたいこと
1-1.融資額の上限は返済比率で求める
1-2.勤務先や勤続年数は大事な要素
1-3.申し込みをする前に他の借り入れを確認しておく - 融資を受けてマンション投資を進める際に気をつけるべきポイント
2-1.自己資金を残しながら運用する方法
2-2.金利3%以上のローンは避ける
2-3.管理費や原状回復費用などランニングコストが高い物件は避ける
2-4.費用を差し引いた手残り額を多くすることが大切
2-5.エリアと築年数で利回りを絞る
2-6.ローンの借り換えは積極的に検討する
2-7.出口戦略は購入前に検討する - まとめ
1.マンション投資でローンを組む際に押さえておきたいこと
マンションを購入するためのローンを組む際には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。押さえておきたいことを下記の3つにまとめました。
- 融資額の上限は返済比率で求める
- 勤務先や勤続年数は大事な要素
- 申し込みをする前に他の借り入れを確認しておく
それぞれ詳しく見てみましょう。
1-1.融資額の上限は返済比率で求める
金融機関から融資を引く際の融資額の上限は、返済比率を参考にすると良いでしょう。返済比率とは年収に対して返済額がどれくらいあるかという比率のことです。
例えば年収700万円の人が、毎月10万円の返済をしていたとした場合は、以下のように計算します。
返済比率=(10万円×12ヵ月)÷700万円×100=17.1%(小数点第2位以下四捨五入)
この場合の返済比率は17.1%だと言えます。一般的に返済比率が25~35%であれば健全な状態であるとされていますので、上記の例ではまだ借入が出来る余力があると考えられます。
返済比率を計算する際は、これから組むローンの返済額だけでなく、すでに利用しているローンやクレジットカードなどの全ての借り入れ額を算入しますので、既存の借り入れ額にも注意が必要です。
1-2.勤務先や勤続年数は大事な要素
マンション投資でのローンの審査では、勤務先や勤続年数が重要な項目になります。仮に家賃収入が想定通りに得られない場合にも「給与から支払うことが出来るか」「今後安定して返済する能力があるか」という点を審査されているためです。
経営が安定している企業・団体の従業員や勤続年数が長い方は融資時の評価が高くなり、逆に収入の大部分にインセンティブが含まれる営業マンなどは額面通りの評価をされないケースもあります。
このような年収や勤務先、勤続年数といった投資家の情報を属性と言い、金融機関から属性が評価されるほど、融資額の増額、金利の低減、融資年数の長期化など、より良い条件で融資を引くことが可能になります。
1-3.申し込みをする前に他の借り入れを確認しておく
金融機関が返済比率を計算する際には、現状の全ての借入額を算入することには触れました。できるだけ融資がスムーズに受けられるように、他のローンの返済状況をしっかり把握した上で、いくらまでなら借りられるかを事前に確認してからマンション投資に取り組みましょう。
2.融資を受けてマンション投資を進める際に気をつけるべきポイント
ここまでローンを組む際に押さえておきたいことについて解説しました。
次に、融資を受けて購入した投資用マンションはどのように運用すれば良いのか見てみましょう。ここでは7つのポイントに分けて解説していきます。
- 自己資金をあまり使わずに運用する方法に徹する
- 金利3%以上のローンは避ける
- 経費の高い物件を避ける
- 利回りが良い物件を検討する
- エリアと築年数で利回りを絞る
- 借り換えは積極的に検討する
- 出口戦略は最初に検討する
2-1.自己資金をあまり使わずに運用する方法に徹する
マンション投資では、物件の取得後にも自己資金を投入して対応しなければならない場合もあります。例えば、原状回復などのメンテナンス、突発的な修繕、空室時の融資金返済などの際に、今までストックしてきた手残り額だけでは足りない場合です。
このような問題に対応するために、物件の取得時にはローン金利や、自分に残った与信とバランスをとりつつ、出来るだけ融資金を使って購入して、自己資金を残しておく必要があります。
2-2.金利3%以上のローンは避ける
長期的に運用して家賃収入を得るマンション投資では、できるだけ毎月の収支を良くすることが大切です。金利が低ければ、毎月の返済額がそれだけ少なくなり、収支が良くなります。
金利が1%違うと返済額がいくらくらい違うのかを試算してみましょう。融資条件をローン価格2,000万円、返済期間35年とします。この条件で、金利2%でローンを組む場合と3%の場合で比較したものが以下の表になります。
金利 | 月々の返済額 |
---|---|
2% | 6万6,252円 |
3% | 7万6,970円 |
この場合、毎月の返済額が約1万円近く違ってきます。収支が悪い物件の場合、手残り額が1万円くらいというケースもありますので、1%の金利の違いが大きな違いになります。
マンション投資のような長期投資の場合、このような小さなパーセンテージの違いが後々大きな差となって表れてきます。
2-3.管理費や原状回復費用などランニングコストが高い物件は避ける
マンションの管理費や、退去時の原状回復費用など、継続的に発生する費用が高くなりそうな物件は避けておくのが無難です。例えば、室内面積が広いために高い家賃設定が出来るマンションの場合、原状回復しなければならない範囲が広く、ワンルームなどと比べると原状回復費用は高くなりがちです。
このような経費を検証せずに見た目の利回りだけで判断してしまうと、将来想定通りのキャッシュフローが出せなくなってしまう可能性が上がります。出来るだけ経費のかからない物件を選ぶ、もしくは出費のリスクを十分に補えるほど収入が大きい物件を探すという方法で対応しましょう。
2-4.費用を差し引いた手残り額を多くすることが大切
手元に残るキャッシュを多くするには、収入に対する月々のローンの返済比率や諸経費を抑えることが大切です。家賃収入が多い物件でも、原状回復費用などの経費が掛かりすぎてしまうとキャッシュフローは悪化してしまいます。
また、マンション投資の特徴として立地や築年数という物理的な条件は、購入後に変更することが出来ません。利回りと経費、将来的な賃貸需要、これらのバランスを現状から考えることが、収支をできるだけ良くするポイントになります。
2-5.エリアと築年数で利回りを絞る
物件が建っているエリアや、物件の築年数によって平均利回りは異なります。以下は、不動産投資と収益物件の情報サイト「健美家」の資料から抜粋して作成した表です。こちらの表では2019年7月~9月の一都三県の各エリアの区分マンションの平均利回りを確認することができます。
エリア | 平均利回り |
---|---|
千葉主要都市 | 10.27% |
埼玉主要都市 | 8.19% |
東京市部 | 8.08% |
横浜市 | 8.03% |
川崎市 | 7.32% |
東京23区 | 5.80% |
*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家作成「四半期レポート2019年7月~9月期」をもとに筆者作成
このようにエリアによって平均利回りは異なります。次に築年数別の利回りを見てみましょう。
築年数 | 東京23区 | 東京市部 | 千葉主要都市 | 埼玉主要都市 | 横浜市 | 川崎市 |
---|---|---|---|---|---|---|
築10年未満 | 4.53% | 4.74% | 5.55% | 5.07% | 4.69% | 4.63% |
築10年~ | 4.99% | 5.33% | 6.14% | 5.53% | 5.38% | 5.34% |
築20年~ | 6.73% | 9.26% | 11.29% | 9.58% | 9.04% | 8.49% |
*不動産投資と収益物件の情報サイト健美家作成「四半期レポート2019年7月~9月期」をもとに筆者作成
こちらの表からどのエリアも築年数が多く経過している物件ほど、利回りが高いことが確認できます。2つの資料から、都市部エリアの入居率が安定している地域の築浅の物件は利回りが低く、逆に郊外の築古物件は利回りが高くなる傾向があります。
利回りが高いマンションは一般的にハイリスク・ハイリターンの物件になります。上記でご紹介したエリア・築年に対して利回りが著しく高いケースや著しく低い物件は、リスクが隠されているケースや物件価格が不当に高いケースもありますので、注意をして見るようにしましょう。
2-6.ローンの借り換えは積極的に検討する
借り換えとは、新たな金融機関で今よりも良い条件(金利・毎月の返済額など)で現在の残債分を借り入れ、そのお金で現在の借入先に全額繰り上げ返済をすることです。
返済が順調に進んで与信が増える、マンションのキャッシュフローが安定している、購入時から年収が増えるなど、このようなプラス情報があれば条件の良い他行のローンに借り換えられることがあります。
金利が高くキャッシュフローを圧迫している場合にはローンの借り換えを積極的に検討し、収支が良くなる工夫をするようにしましょう。
2-7.出口戦略は購入前に検討する
マンション投資における出口戦略とは、購入したマンションを相続するか、売却するか、売却するとすればどのタイミングか、などを検討することを言います。
マンション投資の出口戦略は購入前から検討することが大切です。なぜなら購入後に売却戦略を立てても、売却価格の査定でローンの残債以下の価格がついてしまった場合には、自己資金を投入しない限り手放すことが難しくなってしまうからです。
また、投資マンションを含む不動産は売却までに早くとも1~3ヶ月の期間を必要とし、売買価格の規定もないため、株式のように即時・定量的に現金化することが出来ません。このようにマンション購入後にはとれる戦略が限られてしまいます。売却を想定するのなら出口戦略まで含めて最初に検討するようにしましょう。
まとめ
融資を受けて効率的にマンション投資をするコツについてご紹介しました。自己資金が少ない状態でスタートした場合は、日頃の運用の中でキャッシュをストックしていくことが大切です。
資金を増やしていくには少しでも収支を良くすることが求められますので、できるだけ金利の低いローンを組むか、経費を削減する視点を持つと良いでしょう。
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