サラリーマンが海外不動産投資を始めるメリット・デメリットは?注意点も

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日本国内の少子高齢化や経済成長の鈍化などから、海外不動産投資に注目する方もいます。

しかし、海外不動産投資は日本国内の不動産投資と何が違うのか、最初に抑えるべきポイントは何なのかなど疑問に感じる人も多いのではないでしょうか。

本記事ではサラリーマンの方向けに、海外不動産投資を行う際のメリット・デメリット、注意すべきリスクなどについて解説します。

目次

  1. サラリーマンが海外不動産投資を始めるメリット
    1-1.資産分散によるリスクヘッジが可能
    1-2.一等地の物件を安く購入できることも
    1-3.海外では人口増加の傾向にあるエリアが多い
  2. サラリーマンが海外不動産投資を進めるデメリット
    2-1.日本国内よりもローンの条件が厳しい
    2-2.気軽に現地を見に行けない
    2-3.税制改正により減価償却費の経費計上ができない
  3. サラリーマンの海外不動産投資で要注意のリスク
    3-1.不動産会社に関するリスク
    3-2.空室リスクの見極めは慎重に
  4. まとめ

1.サラリーマンが海外不動産投資を始めるメリット

サラリーマンの方が海外不動産投資を始めるメリットとしては、分散投資ができることや、日本国内よりも安い物件に投資できることなどが挙げられます。

1-1.資産分散によるリスクヘッジが可能

海外不動産投資が持つ代表的なメリットとして、資産分散によるリスクヘッジがあります。

例えば、日本国内の不動産だけに集中投資をしていると、日本の円と物価の価格変動の影響を大きく受けることになります。

このような状況でドル高・円安のような市況になったとき、資産を集中させてしまっているために分散効果が得られず、米ドルで換算すると相対的に資産を目減りさせてしまっているということになります。

一方、海外不動産へ投資をしていると、対象国の外貨で家賃収入や売却益を得ることになります。このような為替リスクや国家間のインフレリスクを回避できる点が海外不動産投資の大きなメリットです。

1-2.一等地の物件を安く購入できることも

海外不動産投資の投資先として選べる国は複数ありますが、一部の国では首都の一等地に立地している物件を日本国内よりも安価に購入できます。

例えばカンボジアやフィリピンなど東南アジアを中心とした新興国では、首都の中心地に立地している物件を1,000万円前後など安価に購入できることもあります。

一方、東京23区内の都心では、25㎡のワンルームマンションが2,000万円以上などの値段で売られていることもめずらしくありません。首都圏内のマンションが比較的安価に購入できる点は大きなメリットといえるでしょう。

またこのような新興国の物件は、比較的に価格が安いものの、日本以上に首都一極集中が起きていることも多く、適切な物件選びができれば住宅需要の拡大とともに売却益を得られることがあります。

不動産投資では家賃収入に対して物件価格が安ければ高利回りになるため、海外不動産投資では日本国内よりも効率的な投資ができる場合も少なくありません。

1-3.海外では人口増加の傾向にあるエリアが多い

2021年時点の日本において、少子高齢化を背景にした人口減少が続いています。このまま人口が減少傾向にあると不動産の賃貸需要も比例して大きく減少してしまうため、国内不動産投資では将来的な賃貸ニーズのシミュレーションが最も重要となります。

一方、海外不動産投資の対象国となりやすいアメリカや東南アジア諸国では、人口増加率や経済成長率が長期的にプラスで推移しており、不動産の値上がりが期待されるエリアも少なくありません。

このような人口増加を背景にした不動産需要の増加を見込める点は、海外不動産投資の大きなメリットといえるでしょう。

2.サラリーマンが海外不動産投資を進めるデメリット

サラリーマンが海外不動産投資を進めるデメリットとしては、ローンによる資金調達が困難な場合もあることや、物件選びが国内不動産投資よりも難しい点などが挙げられます。

2-1.日本国内よりもローンの条件が厳しい

日本国内の不動産投資では、一定の収入を見込みやすいサラリーマンの属性を活用し、不動産投資ローンを利用しながら投資規模を拡大していくことが検討できます。

また、一部の金融機関では中小企業の経営者などよりもサラリーマンの方が一定の収入を見込めるために、ローン審査でプラスに評価されるケースもあります。

一方、海外不動産投資の場合、日本国内の金融機関で海外不動産に対して積極的にローンを提供しているところは多くありません。日本国内と比較して物件価格が安いとしても、自己資金の割合を多く求められる可能性は高いと言えます。

そのほか、日本国内の不動産投資では、ローンを使えれば必要な自己資金は物件価格の30%以下に収まることが多いものです。

しかし、海外不動産投資ではローンを使えても物件評価額の50%が限度融資額となることが少なくありません。必要な自己資金額が日本国内の不動産投資より多い点は、海外不動産投資のデメリットになると考えられます。

【関連記事】海外不動産投資の融資を受けやすい金融機関はどこ?主な3行を紹介

2-2.気軽に現地を見に行けない

不動産投資における物件選びでは、実際に現地を訪問して情報収集することは重要なポイントとなります。スーパーや駅までのアクセスや騒音などの住環境など、実際に訪れることでわかる情報が少なくないためです。

しかし、海外不動産投資ではタイやフィリピンなど東南アジアの国でも、飛行機で6時間程度の移動が必要です。また、コロナウイルス感染症が終息していない2021年9月時点では、海外渡航が困難な場合もあります。

サラリーマンにとっては特に、海外不動産投資では日本国内の不動産投資と違って気軽に足を運べない点がデメリットです。

コロナ下における海外不動産投資で物件を選ぶためには、現地の様子を細かく共有してくれる不動産エージェントを選ぶことが重要なポイントになります。

2-3.税制改正により減価償却費の経費計上ができない

税制改正により、2021年(令和3年)以降は海外不動産の所得を計算する場合に、その経費と所得の合算が損失額となった際、建物の減価償却費は経費として計上できないようになります。つまり、決算上の海外不動産の赤字を他の所得と損益通算できないため、サラリーマンとしての所得を圧縮することができなくなったということになります。

一方、法人が保有する中古の海外不動産は規制の対象となっておらず、法人税については規制が入っていません。簡便法による4年間での減価償却も、法人の事業利益との損益通算も可能です。

個人であるサラリーマンにとって、減価償却費の損益通算ができない点は大きなデメリットといえるでしょう。

※出典:国税庁「第41条の4の3((国外中古建物の不動産所得に係る損益通算等の特例))関係

3.サラリーマンの海外不動産投資で要注意のリスク

サラリーマンが海外不動産投資を進める上で特に注意すべきリスクとしては、慎重に不動産会社を選ばないと失敗する確率が上がる点や、空室リスクなどが挙げられます。

3-1.不動産会社に関するリスク

日々いそがしく仕事をしているサラリーマンの方の中には、不動産投資における情報収集の時間を確保するのが難しいという人も少なくないでしょう。海外不動産投資では特に、不動産会社や物件に関する情報収集の時間を確保することが課題になると言えるでしょう。

海外の情報は英語など現地の言語で作られていることが多い上に、信憑性の高い情報を見極める難易度が上がります。

海外のデベロッパーが建設している物件を選ぶ場合は、ベロッパーの会社規模や分譲実績などを検証することが重要になります。小規模なデベロッパーや分譲実績に乏しいデベロッパーの物件を購入した結果、物件が完成せずに引渡しを受けられないというトラブルが起きることがあるためです。

しかし、専門的な用語も使われることが多い不動産業界の情報を、英語ベースで収集するには大きな手間がかかります。海外不動産投資で不動産会社に関するリスクを軽減するためには、できる限り日本の不動産会社の手を借りることもポイントと言えるでしょう。

3-2.空室リスクの見極めは慎重に

例えば人口増加や経済成長を継続しているエリアでの不動産投資では、物件の値上がり益や将来的な家賃の上昇などを見込めます。新興国では特に、データの上ではこれらの利益を狙える環境が整っている国も少なくありません。

しかし、不動産の収益性はそれぞれの物件によって異なるため、国全体のデータを確認するだけでは投資用不動産を購入しても本当に入居者が入るか検証しきれないのが実態です。空室リスクを検証するためには、個々の収益物件のスペックを確認するなどして、ミクロのデータを検証することも必要になります。

また、海外には日本ほど公的な情報が整備されていないエリアも多く、投資家個人では情報収集が困難な場合もあります。そのほか、賃貸管理を委託する不動産会社によっても空室リスクが左右される点に要注意です。

海外不動産投資で空室リスクを見極めるためには、物件現地の周辺情報に詳しい不動産会社の手を借りることが重要になります。まずは不動産会社の見極めに重点を置いてから、物件の比較を行ってみましょう。

まとめ

海外不動産投資はサラリーマンの属性を活用した資金調達や、日本国内よりも安い物件に投資できることなどのメリットがあります。また、人口増加している国の不動産を所有することで、値上がり益を見込んだ投資が検討できる点もメリットと言えるでしょう。

一方で、投資の資金調達や海外現地の情報収集については注意を要します。物件選びに関するリスクや空室リスクの対策として、パートナーとなる不動産会社を慎重に選ぶことが重要となります。これらのメリット・デメリットを比較しながら、慎重に投資判断をしていきましょう。

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