実物資産に投資を行う不動産投資において、後に変更が出来ないエリア選びや物件の選定は重要なポイントです。
しかし、これから不動産投資を始める方にとっては、そもそも東京がいいのか地方がいいのか、あるいは地方都市の中でもどこを選ぶのがいいのかなど、悩む人も多いのではないでしょうか。
この記事では、地方都市の中でも名古屋にスポットを当てて、メリット・デメリットや東京都の比較について解説します。
目次
- 名古屋の不動産投資におけるメリット
1-1.リニア新幹線が2027年度に開通予定
1-2.高所得者の入居を期待できる
1-3.人口増加による住宅需要の拡大が期待できる
1-4.東京や大阪と比較して物件価格が安い - 名古屋の不動産投資におけるデメリット
2-1.エリアによって交通利便性に違いがある
2-2.ミクロのエリア見極めに失敗すると空室リスクも
2-3.融資利用できる金融機関が東京と異なる - 不動産投資のエリア、東京と名古屋の比較
3-1.物件の表面利回りが高いのは名古屋
3-2.将来性の比較 - まとめ
1.名古屋の不動産投資におけるメリット
名古屋の不動産市場が持つメリットは、物件や土地の値上がり期待があることと、高所得者層の多さから空室リスクを抑制できることなどです。
1-1.リニア新幹線が2027年度に開通予定
2021年時点、名古屋が不動産投資先として注目されている理由の一つには、リニア中央新幹線の開通予定があります。
リニア中央新幹線は、2027年度の開通を目指して工事および調整が続けられており、路線が開通すれば、東京都の品川駅と名古屋駅との間を約40分で移動可能です。
不動産投資においては、オフィス街までの電車移動時間30分を目安としてエリアを評価することもあります。東京へ40分程度でアクセスできることになれば、名古屋の賃貸需要が増加する可能性は高いと言えるでしょう。
また、家賃や住宅価格の差、新型コロナウイルスの影響によるオフィスワークからテレワークへの移行などを考慮すれば、東京都内で勤務する人が名古屋で家を探す可能性もあります。住宅需要が拡大すれば、住宅は値上がりするため、名古屋では物件の値上がりを期待できます。
1-2.高所得者の入居を期待できる
厚生労働省が発表している労働統計要覧によると、都道府県別現金給与総額にて、愛知県は全国2位です。愛知県の給与は神奈川県や大阪府よりもやや高くなっています。
令和元年の都道府県別月収(事業所規模5人以上)
順位 | 都道府県 | 月収 |
---|---|---|
1位 | 東京都 | 41万4,600円 |
2位 | 愛知県 | 34万8,400円 |
3位 | 神奈川県 | 34万円 |
4位 | 大阪府 | 33万3,300円 |
5位 | 茨城県 | 32万2,300円 |
※参照:厚生労働省「労働統計要覧」
東京都とは大きな差がありますが、地方都市の中では、愛知県には高所得者が比較的多いと言えます。愛知県の県庁所在地である名古屋では、高所得者の入居も期待可能です。
物件オーナーにとって、高所得者が入居する主なメリットは、家賃の滞納リスクが低いことです。入居者の所得が高いほど、家賃の滞納リスクは下がります。
1-3.人口増加による住宅需要の拡大が期待できる
名古屋市では直近10年間で人口が増加傾向にあります。今後、人口減少局面に入る可能性はありますが、リニア新幹線の開通予定なども考慮すると、他県と比較して減少幅は比較的軽微で済むものと予測されます。
※参照:名古屋市「人口の推移(市制施行(明治22年)以降)」
国際連合の統計によると、2015年〜2020年における日本全体の人口増加率は-0.2%です。一方で、同期間における名古屋市の人口増加率は1.42%となっており、名古屋市の人口増加率は日本全体を大きく上回っています。
人口が増加しているエリアでは住宅需要の拡大を見込めます。人口が増加傾向にあり、空室率の低い投資と物件価格の上昇を期待できる点は、名古屋で不動産投資をするメリットと言えます。
1-4.東京や大阪と比較して物件価格が安い
日本で最も不動産が高いのは東京です。愛知県は大阪府と並ぶ地方都市ですが、東京・大阪・愛知の比較においては、愛知県の中古マンション成約価格は最安になっています。
都道府県 | 2021年2月の中古マンション平均成約価格 |
---|---|
東京都 | 4,727万円 |
大阪府 | 2,641万円 |
愛知県 | 2,117万円 |
※参照:東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー」
愛知県の中古マンション成約価格は、東京都の半額以下で大阪府と比較しても500万円以上低くなっています。成約物件の平均面積を見ても、東京都と大阪府は60㎡台ですが、愛知県は約75㎡と、比較して広いことが分かります。人口増加傾向にある都市で物件を低価格で買えるのは大きなメリットと言えます。
2.名古屋の不動産投資におけるデメリット
名古屋は大きな都市ですが、交通利便性などはエリアによって異なる点に要注意です。空室リスクを下げるためには、ミクロのエリア分析が重要になります。
2-1.エリアによって交通利便性に違いがある
名古屋市は、中村区や中区など市の中心部ではJRのほかに地下鉄も整備されているなど、交通利便性が高いと言えます。しかし、市の外縁部では中心部と比較すると利便性が落ちるため、立地の見極めには要注意です。
また、東京と違い電車ではなく車が主要な交通手段になっているエリアもあります。駐車場の有無が入居者募集の成否を左右するケースもあるので要注意です。
2-2.ミクロのエリア見極めに失敗すると空室リスクも
名古屋市全体の人口は長期的に増加傾向にあるものの、市の中でもエリアによって人口にバラつきがあります。
例えば、名古屋駅南側の中川区や豊明市に接する緑区などでは人口が20万人を超えています。その一方で、中川区の東に隣接する熱田区は人口が6万6,000人と市の中で最小です。また、中川区の北東に接する中区も人口が9万人弱と少ない部類に入ります。熱田区や中区は都心に近く利便性は高いものの、人口は多くありません。
このように、実際に投資する対象エリアによってどのような人が多く住んでいるのか、どのような賃貸需要が見込まれるのか、同じ名古屋市内でも違いがあることが分かります。
実際に不動産を購入する前に現地調査を行って駅までのルートや近隣の雰囲気を確かめたり、周辺の家賃相場の推移を確認しておくなど、ミクロの視点からも投資判断をすることが重要です。
2-3.融資利用できる金融機関が東京と異なる
不動産投資は金融機関の融資を利用し、手元の運用資金以上の物件を取得することができるメリットがあります。
ただし、融資条件は金融機関によって異なります。融資条件の一つには、投資対象の不動産と融資を受ける借主の住所が管轄であるかどうかという点も重視され、管轄外であると融資を受けるハードルが高くなることがあります。
特に、名古屋在住でない方が名古屋の投資物件を購入しようと考えた場合、金融機関の選択肢が限られてきます。東京の不動産投資で利用できた金融機関が使えないケースがあることに注意が必要です。
不動産投資ローンが利用できない場合の対策
名古屋の不動産投資を検討しているものの不動産投資ローンが利用できない場合には、不動産投資型クラウドファンディングで少額投資をするという選択肢もあります。
不動産投資型クラウドファンディングは、複数の投資家が小口出資するファンドを組み、間接的に不動産投資ができる仕組みのことです。実際に不動産を取得することが出来ないデメリットがありますが、1~10万円などの少額資金から投資検討が可能です。
名古屋の物件を扱う不動産投資型クラウドファンディングには「信長ファンディング」があります。運営元の株式会社ウッドフレンズは、東京証券取引所(東証)スタンダード市場と名古屋証券取引所(名証)に上場しており、不動産開発や販売だけでなく生活環境に関連する事業なども行っている企業です。地元の名古屋を中心とした東海エリアでの建売住宅の販売などで実績が豊富な企業です。
名古屋の不動産投資に興味があるものの、不動産投資ローンの利用が難しい場合には検討してみると良いでしょう。
【関連記事】信長ファンディングのメリット・デメリットは?投資の始め方も
3.不動産投資のエリア、東京と名古屋の比較
投資先を東京と地方都市とのどちらにするかは、多くの投資家が悩むポイントでもあります。利回りと都市の将来性について東京と名古屋とを比較します。
3-1.物件の表面利回りが高いのは名古屋
総務省統計局が発表している小売物価統計調査によると、2021年2月時点における東京特別区の民営家賃は1坪あたり8,811円です。一方で名古屋市の民営家賃は1坪あたり4,661円となっています。
東京特別区と名古屋市とで20坪(66㎡)の中古マンションにおける想定表面利回りを比較すると、以下の表のようになります。
東京特別区 | 名古屋市 | |
---|---|---|
20坪あたり月額民営家賃 | 176,220円 | 93,220円 |
66㎡の中古マンション価格 | 5,108万4,000円 | 1,853万9,400円 |
想定表面利回り | 4.14% | 6.03% |
※参照:総務省統計局「e-stat」
※参照:東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー」
東京特別区は日本で最も物件価格が高いこともあり、想定表面利回りは名古屋市の方が高いことが分かります。ただし、東京との比較では家賃がかなり安いため、手残り金がいくら残るか事前のシミュレーションが重要になります。
3-2.将来性の比較
東京都内の人口は増加傾向にあることから、人口減少傾向にあるエリアと比較して東京都の地価下落リスクは低いと言えます。
例えば、地方では転出超過による人口減少や、東京本社の企業の支社・支店が移転となるなど、様々な要因による地価下落リスクが考えられます。
人口増加傾向にある東京都内ではこれらに起因する地価下落リスクは相対的に低く、長期的な不動産投資を検討する際に適したエリアと言えます。ただし、今後の新型コロナウイルスの動向や地方や郊外への移動の動きについては注視していく必要があります。
一方、名古屋も2020年はコロナの影響で人口増加率が大幅に下がりましたが、増加傾向は維持しています。また、リニア中央新幹線の開通には大きな期待がかかっており、都市としての将来性は高いと言えます。
ただし、同じ名古屋市内でもエリアによってその特徴が大きく異なります。ミクロの視点で投資物件を比較し、慎重に投資判断をすることが大切です。
まとめ
名古屋の不動産マーケットは、リニア中央新幹線の開通、増加傾向にある人口など明るい材料が多く、将来性に期待できます。また、東京や大阪よりも物件価格が安く、想定利回りが高いのは名古屋で不動産投資をするメリットです。
その一方で、市内でもエリアによっては交通利便性や人口の増減に違いがある点に要注意です。空室リスクを下げるためには、ミクロ視点のエリア分析が重要と言えるでしょう。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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