マレーシアは東南アジアの中でも経済成長率や人口増加率などが高く、海外不動産投資の対象国として選択肢に上がりやすい国の一つです。
この記事では、エリア別のマレーシア不動産価格推移とともに、外国人向けの規制内容などについて解説します。
目次
- マレーシア不動産の物件価格
1-1.州別のマレーシア不動産価格
1-2.マレーシアにおける住宅価格の長期的な推移 - マレーシア不動産投資の注意点
2-1.不動産の最低購入価格に関する規制
2-2.州政府の許認可について
2-3.物件売却時には不動産譲渡税が課税される - まとめ
1.マレーシア不動産の物件価格
マレーシア不動産の物件価格について州別に解説します。マレーシアも日本と同様に、首都クアラルンプールの物件価格が最も高くなっている点が特徴的です。
1-1.州別のマレーシア不動産価格
マレーシアの不動産価格中央値について、州別の推移をグラフ化すると以下のようになります。
日本銀行によると、2021年10月に適用される外国為替レートでは、RM1=26.07円の計算になります。最新のデータに該当する2021年第2四半期の州別物件価格を円換算すると、以下の通りです。
クアラルンプール | ジョホール州 | ペナン州 |
---|---|---|
1,251万3,600円 | 886万3,800円 | 821万2,050円 |
※参照:日本銀行「報告省令レート(令和3年10月分)」
シンガポールとの国境に接するジョホール州およびタイとの国境に近いペナン州では、それぞれ物件価格が1,000万円を切っていることがわかります。
なお、首都クアラルンプールでは、物件価格が両都市の約1.5倍となっており、地方都市とは大きな価格差があります。
2020年時点における物件価格の平均値を州別に比較すると、以下の表のようになります。
クアラルンプール | ジョホール州 | ペナン州 |
---|---|---|
RM778,143 | RM363,691 | RM438,301 |
2,028万6,188円 | 948万1,424円 | 1,142万6,507円 |
※参照:マレーシア政府 統計局「Key Statistics」
クアラルンプールとペナン州とでは、中央値と平均値とに大きな開きがある点が特徴的です。なお、中央値とは最大値と最小値とのちょうど中間の値のことを指しており、平均値は物件価格の総和を物件数で割り戻した値のことを指しています。
高額な物件が多い場合は平均値も高くなる傾向があります。しかし、中央値は全体的な傾向に影響されにくい値なので、海外では中央値が重視されることが多いものです。
クアラルンプールとペナンとでは、中央値と平均値とに大きな開きがあることから、両エリアでは他の物件と比較して高額な物件も多いことがわかります。
クアラルンプールまたはペナンにおいて、投資目的で物件を購入する場合は、物件価格と周辺相場とを比較してから検討することも重要なポイントです。
1-2.マレーシアにおける住宅価格の長期的な推移
つづいて、マレーシア全体における住宅価格指数の推移を解説します。2016年以降における住宅価格指数の推移は以下グラフの通りです。
こちらのグラフは、2010年の平均住宅価格を100とした場合の住宅価格指数推移を表しています。マレーシアの住宅価格は、2019年頃までの約10年間で2倍まで上がってきたことがわかります。
しかし、2019年の後半以降は横ばいの状態です。2021年第2四半期は、同年第1四半期と比較して約1.6%価格が下がっています。
マレーシアには華僑と呼ばれる中国系の富裕層も住んでおり、中国からの投資マネーが不動産市場へ大量流入してきた過去があります。マレーシアの住宅市場は、外資の流入量に影響されやすい側面を持っていることも事実です。
2020年に拡大し始めたコロナウイルス感染症は、2021年に入っても収束の兆しを見せておらず、各国の経済状況に大きな影響を与えています。2021年にマレーシアの住宅価格が下落したのは、世界経済の影響も受けている可能性があり、今後の動向には注意が必要です。
2.マレーシア不動産投資の注意点
ここまでマレーシア不動産の価格について解説してきましたが、マレーシア不動産投資を進めるのであれば、外国人向けの規制などについても把握することが重要です。
2-1.不動産の最低購入価格に関する規制
2021年10月時点、マレーシアにおいて外国人はRM100万(約2,600万円:RM1=26.07円換算)未満の不動産を購入できません。
なお、こちらの最低購入価格に関する規制は州によって金額が異なっており、RM50万まで緩和されているエリアもあります。また、マレーシアでは外国人も土地を保有できるため、集合住宅であるコンドミニアムと土地付き戸建住宅とによっても金額が分かれています。
時期とエリアによって最低購入価格の規制が異なるため、物件購入を検討するのであれば、その都度不動産エージェントへの確認が必要です。
2-2.州政府の許認可について
マレーシアでは、外国人が不動産を購入するためには州政府の許認可を得る必要があります。許認可を得るためには審査を受けることが必要です。
一般的な不動産投資において、審査を通過できないことはほとんどありませんが、審査には数ヶ月単位の時間がかかることもあるため、完成済みのコンドミニアムなどを購入する場合は、引き渡し時期との兼ね合いに要注意です。
2-3.物件売却時には不動産譲渡税が課税される
マレーシア不動産を売却すると、マレーシアでも発生した売却益に対して不動産譲渡税が課税されます。税率は物件取得から5年目までが30%で、6年目以降は10%です。
マレーシアは日本と租税条約を締結しているため、日本国内との二重課税にはなりません。しかし、超過納税分が返還されるのは、確定申告をした後になります。
物件の売却益によってローンの返済を考えている場合は、税金の支払いによって資金が足りなくなることもあるので要注意です。万一資金不足になる場合は、自己資金を一時的に投下する必要があります。
まとめ
マレーシア不動産は2010年以降、約2倍の水準まで上がってきましたが、2021年に入ってからは少し価格が下がっています。
また、クアラルンプールやペナンなど一部のエリアでは、高額な物件の方がマーケットに多くなっている傾向も見受けられます。両エリアで物件を購入する場合は、物件価格と相場価格との照合が必要です。
そのほか、マレーシアでは外国人に対して不動産の最低購入価格に関する規制が課せられています。進めている取引が規制に抵触しないか、高額な物件を購入しても利益が出るのか、確認することも重要です。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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