親族から土地を譲渡されたり、家族が持つ土地の管理を任されたりして、土地活用について考え始めている方も多いのではないでしょうか。
しかし、いざ土地活用を始めようと思っても、何から始めれば良いのか分からないことは少なくありません。土地活用には様々な方法があり、そのリスクやリターン、管理に必要な労力なども大きく異なります。
そこでこの記事では、土地活用の検討にあたり、知っておきたい大まかな流れや成功事例、失敗事例、注意点について詳しく解説します。眠っている土地を有効活用したい方、時代に合った土地活用の方法を検討している方は、ご参考ください。
目次
- 土地活用を始める流れと手順
1-1.専門家に相談
1-2.市場調査
1-3.計画・提案検討
1-4.契約
1-5.建築・施工
1-6.完成、運用開始 - 土地活用の3つの成功事例
2-1.駐車場経営のケース
2-2.トランクルーム運営のケース
2-3.太陽光発電のケース - 土地活用の3つの失敗事例
3-1.収支のシミュレーションが甘かったケース
3-2.市場のニーズに合わなかったケース
3-3.土地活用の方法を決めつけていたケース - 土地活用をする際のポイント
- まとめ
1.土地活用を始める流れと手順
土地活用とは、利用していない土地を活用して利益を生み出す活動のことを指します。土地活用では、アパート・マンション経営や駐車場経営、トランクルームや賃貸など様々な方法が行われています。
以下、土地活用を始める際の流れについて確認してみましょう。
1-1.専門家に相談
土地活用について知識がある方を除けば、まずは専門家に相談することから始めてみましょう。土地活用における専門家とは、土地活用のコンサルタントや不動産会社などです。
また、税制や資産の有効利用という側面から、税理士やファイナンシャルプランナーに相談することも可能です。
専門家に相談することで、土地が持っている資産価値や専門的な知見に基づいた活用方法について知ることができます。なお、相談相手によって強い分野や持っている事例は異なるため、複数の専門家に相談すると、異なる立場から専門的な情報を得ることができます。
1-2.市場調査
土地活用を行う場合にしっかりと行っておいたほうが良いのが市場調査です。市場調査は不動産会社や建設業者、建設コンサルタントに依頼します。立地や周辺情報、土地の大きさなどから、重要と考えられる情報を提供してもらえます。
市場調査を行うことで、その土地に対してどのようなニーズが考えられるのかが見えてきます。逆にニーズがなく、土地活用が難しいといった判断ができる場合もあります。
なお、どのような土地活用が適しているか悩む場合は「HOME4U(土地活用)」の利用を検討してみましょう。HOME4Uでは、土地情報を登録することで複数業者から土地活用のプラン提案を受けることができ、効率的に土地活用方法を比較することが可能です。
HOME4U(土地活用)
HOME4Uはマンション経営やアパート経営、駐車場経営、賃貸併用住宅、大規模施設など土地の活用方法を選択することで、最大7社からの収益最大化プランを比較することできるサービスです。
また、土地の利用規制についてもHOME4Uを通して無料で診断できるため、土地調査の手間を省くことが出来ます。「どのような活用手段があるのか知りたい」「複数の活用手段を比較したい」という場合には、利用を検討してみると良いでしょう。
1-3.計画・提案検討
土地活用の方向性や方法についての計画を立てます。この段階では、業者から土地活用プランについて提案を受けることになります。提案内容をベースにして、自身の希望とすり合わせながら計画をブラッシュアップしていきます。
計画を立てる中で、おおよその費用や、必要になる資金調達の方法、回収期間などの資金面も見えてくるので、収支シミュレーションを重ねて現実的な形を模索します。また、複数の専門家から提案を受けることで様々な方向性を検討することができます。
1-4.契約
相談してきた専門家と工事費用や様々な条件面で合意できれば、施工を行う業者と契約を行います。契約には専門家に間へ入ってもらい、初心者でもスムーズに話を進められるようにすることが大切です。
1-5.建築・施工
建物や設備の建築・施工を専門業者が行う段階です。このとき、オーナーも自ら足を運んで工事スタッフや近隣住民とコミュニケーションを取っておくことも重要です。周囲との良好な関係作りは、トラブル防止にもつながります。
また、アパートやマンションなどの賃貸事業を行う場合、ある程度建物ができてきたら入居者の募集を先に行っておきます。不動産業者などと事前によく計画を相談しておきましょう。
1-6.完成、運用開始
土地の工事が終わったら引き渡しを済ませて土地活用のスタートです。このとき、管理業務を自身で行うのか、専門業者に委託するのかも決めておきます。管理会社を利用する場合でも、オーナーとして土地の管理・運用に関わる姿勢が大切です。
2.土地活用の3つの成功事例
土地活用は土地の形状や場所、広さなど様々な要素が関連するので、成功事例や失敗事例を知り、よく研究しておくことで土地に合った使い方を考えることが重要です。
2-1.駐車場経営のケース
事前調査で付近の人の流れや属性をよく把握し、徹底的なシミュレーションを行ったケースがあります。
この事例では、平日と休日の車や人の往来、日中と夜間の違いなどを測定し、「コインパーキングのほうがニーズを見込める」と確信できた結果、実際の運営に乗り出すことができました。
また、周辺のコインパーキングを調べ、競争力のある価格設定にしたことで、多くの利用者を得ることができました。自販機の設置や看板での注意呼びかけなど、同様の事例についても事前によく研究していたことでトラブルも少なく、高収益な駐車場運営になっています。
土地活用の中でも駐車場経営を選ぶケースは多いですが、駐車場を作ればどこでも収益化できるとは限りません。駐車場経営では、大きく分けて月極駐車場を運営するかコインパーキングを運営するかを考えることになります。
住宅地では月極駐車場のニーズが見込め、オフィス街ではコインパーキングが有利と言えますが、立地により収益性が大きく異なることもあります。周辺の相場を調べ、期待する収益が得られるかどうか慎重に調査してみましょう。
【関連記事】駐車場経営のメリット・デメリットは?始め方や手順も解説
2-2.トランクルーム運営のケース
トランクルームの運営で成功したケースでは、5年内にオーナーが別の土地に家を建てることが決まっており、それまでに土地を処分したいというニーズがありました。そのため、土地活用の中でも特に初期投資の費用が少なく、資金の回収期間が短いトランクルームを運営することになりました。
駐車場を作るには不便な地域でしたが、トランクルームの需要はまずまずで、3年で投資額を回収し、4年目にトランクルームごと土地を売却して売却益まで得ることに成功しました。
不動産業は初期費用が高くなることが多いため、時間をかけて投資を回収することになります。
しかし、様々な事情により、初期投資を抑えたい場合や、資金の回収を早めに行いたいこともあります。その場合には期間を限定し、期間内での投資回収を考えることが大切です。
土地活用では年々の利回りや収益額も大事ですが、最終的に土地の処分をどうするかという出口戦略も考えることが大切です。「いつか」と考えているうちに土地や建物の評価額が落ちて高コストになることもあるため、しっかりと期限を決めて考えるのがポイントです。
【関連記事】トランクルーム経営のメリット・デメリットは?土地活用の手順も解説
2-3.太陽光発電のケース
アパート・マンション経営や駐車場経営などの土地活用は難しい土地もあります。例えば、地方では需要がほとんどない遊休地の活用に悩むケースです。こうした場合、様々な土地活用の方法を検討してみる必要があります。
相続により、親族から田舎の広い土地を管理することになった事例では、地元の不動産会社の担当者からは土地活用が難しいと言われました。
しかし、偶然見かけた太陽光発電事業の広告から着想を得て、業者と太陽光発電の方向で相談したところ、収益化が可能との見込みが立ちました。天候次第な面もありましたが、売電によって設備投資のローン支払や固定資産税をまかなうことができています。
このように、立地条件や求める収益性によって土地活用の方法は様々となります。当初自分が考えていた方法に縛られず、多角的な視点から検討してみることが大切です。
【関連記事】太陽光発電投資のメリットとデメリットは?2020年以降のFIT制度も解説
3.土地活用の3つの失敗事例
次に、土地活用で見られる失敗事例をご紹介します。どのようなケースで失敗するかを先に知っておくことで防げることもあるので、参考にしてみましょう。
3-1.収支シミュレーションが甘かったケース
「投資をした後は手放しで儲かる」といった考えを持って土地活用に取り組むと失敗することがあります。特に、計画段階で収支シミュレーションを行っていても、シミュレーション通りにいかない場合があります。
例えば、土地活用を始めたものの、「思ったように入居者がつかなかった」「修繕費が多くかかった」「家賃の滞納があった」などの様々なトラブルが発生することがあります。また、管理を委託したことで収支シミュレーションとは異なる結果になることもあります。
収支のシミュレーションは一度行って終わりではありません。事業のオーナーとして収支状況には常に気を配り、定期的にシミュレーションを行い、適切な対応を行っていくことが大切です。
3-2.市場のニーズに合わなかったケース
土地活用では、市場のニーズに合わず期待していた利回りにならないこともあります。この場合、事前の市場調査を怠り、先入観や営業マンのセールストークにそのまま乗って土地活用の方法を決めるケースが見られます。
しかし、地域によって需要は違う上、家賃相場も異なります。社会人向け・学生向けで土地活用に求められる設備やグレードも違ってきます。周辺地域の人口や年齢・年収等の属性をよく把握しておかないと、需要を適切に分析するのは難しくなります。
最近は都心部を除いて土地は余ってきているため、市場のニーズをしっかりと把握し、利用者にメリットを提案できるような土地活用が求められています。
3-3.土地活用の方法を決めつけていたケース
土地活用の方法について最初から決めつけていたために、より良い活用方法が見出せないケースもあります。
この事例では、オーナーが「オシャレなデザイナーズマンションのオーナーになるのが夢だった」という理由から、業者の反対を押し切って変形地にマンションを建築しました。近代的な外観で建築当初は注目を集めましたが、入居者が長続きしない状況が続き、年を追うごとに家賃は下がり、修繕費が上がっていきました。
その結果、初期の建築費用も高額だったために回収ができず、変形地であることから売ることも難しい状況になりました。
オーナーの意向も大切ですが、土地活用は土地の特性や地域性などによって様々な方法があります。希望はあっても決めつけず、様々な提案やアイデアを柔軟に取り入れることも失敗しないためのポイントです。
4.土地活用をする際のポイント
土地活用とは、おもに未活用の土地を収益化させる目的で行う事業の一つなので、オーナーには経営に取り組むという覚悟が求められます。
経営責任を担い、利益確保や周囲との関係作りなどを主体的に行います。業者に依頼する場合でも、業者任せにせず、業者のマネジメントを行う姿勢が大切です。
土地活用の専門家は土地や建物の知識だけでなく、土地活用の様々な成功・失敗の事例を知っているので、疑問があれば積極的に相談してみましょう。
また、すでに土地活用を行っている経験者の話も役立つことがあります。話の中にはオーナー目線でしかわからない苦労や、成功のポイントが含まれている場合もあります。土地を扱う事業は地域と密接に関係するので、周囲とのコミュニケーションも重要です。
このほか、お金をあまりかけずに土地活用を行いたいというニーズもありますが、いきすぎたコストカットは手抜き工事の原因になったり、利用者にとってメリットの乏しい施設を作る原因になったりします。
必要な部分はしっかり予算を立てて拠出し、不要な部分のコストを節約するといった事業運営の考え方が求められます。
まとめ
土地活用は利用していない土地をアパート・マンションや駐車場などにして収益を生む事業です。土地活用には様々な方法があり、そのリスクやリターン、管理に必要な労力なども大きく異なります。
地主はオーナーとなり、事業経営に責任を負う立場になります。土地活用で投資する金額は小さくないので、成功事例や失敗事例をよく調査し、周囲の意見を参考にしながら計画を立て、予算を決定していくことが大切です。
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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