全国21,436地点を対象にした、国土交通省の「令和6年都道府県地価調査」によると、全国の地価変動率は全用途平均で3年連続上昇となっています。地価上昇は不動産経営にとっても追い風要因と言え、「これから不動産投資を始めたい」「どのエリアがアパート経営に適しているのか知りたい」といった方も多いのではないでしょうか。
しかし、地価変動の状況はエリアによって異なり、またその要因にも細かな違いが見られます。そこで今回のコラムでは、都道府県別や都道府県庁所在地別、人口10万人以上都市、東京23区などの地価変動率の動向について詳しく検証し、ランキング形式で解説します。
目次
- 全国的な地価変動の傾向
- 都道府県別住宅地の地価動向
2-1.都道府県別住宅地の地価変動率ランキング
2-2.都道府県別住宅地の地価変動率の上昇傾向 - 都道府県庁所在地別住宅地の地価動向
3-1.都道府県庁所在地別住宅地の地価変動率ランキング
3-2.都道府県所在地別住宅地の地価変動率の上昇傾向 - 人口10万人以上の都市の地価動向
4-1.三大都市圏の人口10万人以上の都市の地価変動率ランキング
4-2.三大都市圏以外の人口10万人以上の都市の地価変動率ランキング - 用地仕入れ・融資に強いアパート経営会社
- 東京23区住宅地の地価動向
- まとめ
1 全国的な地価変動の傾向
まずは全国的な地価の傾向を確認するために、「全国」「三大都市圏」「地方圏」の地価変動率について「全用途平均」「住宅地」「商業地」に分けて表したのが以下の表です。
項目 | 全用途平均 | 住宅地 | 商業地 |
---|---|---|---|
全国 | 1.4% | 0.9% | 2.4% |
三大都市圏 | 3.9% | 3.0% | 6.2% |
地方圏 | 0.4% | 0.1% | 0.9% |
※参照:国土交通省「令和6年都道府県地価調査の概要」より抜粋
今回取り上げたすべての項目が2023年に比べて上昇しています。中でも全国平均は、「全用途平均」「住宅地」「商業地」のいずれも2023年に比べて上昇幅が拡大しているのが特徴です。
また上昇傾向が維持されているのも特徴で、「三大都市圏」の「商業地」は12年連続、「全用途平均」は4年連続、「住宅地」は3年連続、さらに「地方圏」では全項目で2年連続上昇しています。
2 都道府県別住宅地の地価動向
地域ごとの状況を把握できるよう、この項目では都道府県別の地価動向を見ていきましょう。
2-1 都道府県別住宅地の地価変動率ランキング
以下の表は、国土交通省「令和6年都道府県地価調査の概要」から、都道府県別の住宅地の地価変動率について上位10位までを表したものです。
順位 | 都道府県 | 地価変動率 |
---|---|---|
1位 | 沖縄県 | 5.8% |
2位 | 東京都 | 4.6% |
3位 | 福岡県 | 3.8% |
4位 | 千葉県 神奈川県 |
3.2% |
6位 | 愛知県 | 2.3% |
7位 | 大阪府 | 2.0% |
8位 | 埼玉県 | 1.6% |
9位 | 宮城県 | 1.4% |
10位 | 兵庫県 | 1.2% |
※参照:国土交通省「令和6年都道府県地価調査の概要」より抜粋
住宅地の地価が上昇したのは47都道府県のうち18都道府県で、下落したのは28県、地価の変動がなかったのが1県となっています。
首都圏の1都3県はすべて上昇しましたが、名古屋圏は4県のうち1県のみ上昇、関西圏は2府4県のうち上昇は3府県となっています。エリア別に見ると、東北6県のうち1県、北陸4県のうち0県、中国四国9県のうち1県、九州7県のうち5県が上昇しており、九州エリアでは上昇した県が多くなっています。なお、全国平均の変動率は0.9%です。
2-2 都道府県別住宅地の地価変動率の上昇傾向
また、住宅地の地価上昇がどれくらいの期間続いているのか、まとめたのが以下の表です。2024年から遡って統計資料のある2015年までの地価調査において、地価変動率の上昇が何年続いているのかを表しています。
地価変動率が上昇している年数 | 都道府県 |
---|---|
9年連続(2015年〜2024年) | 宮城県、東京都、沖縄県 |
8年連続(2016年〜2024年) | 福岡県 |
4年連続(2021年〜2024年) | 北海道、愛知県 |
3年連続(2022年〜2024年) | 埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府、佐賀県、熊本県、大分県 |
2年連続(2023年〜2024年) | 茨城県、京都府、兵庫県 |
1年 | 広島県 |
※参照:国土交通省「令和6年都道府県地価調査の概要」より抜粋
資料のある2015年から9年連続で地価変動率が上昇しているのが、宮城県、東京都、沖縄県の3都県です。2015年の地価変動率が上昇していたのは宮城県、福島県、東京都、愛知県、沖縄県の5県のみで、その後も上昇を続けたのが上記の3都県ということになります。
九州7県のうち、福岡県が8年連続、佐賀県、熊本県、大分県が3年連続で上昇となっており、地価の上昇傾向が継続されていることがわかります。
なお、全国平均は2022年の地価変動率から3年連続で上昇しています。
3 都道府県庁所在地別住宅地の地価動向
次に都市の地価について確認するために、都道府県庁所在地の地価動向を見てみましょう。
3-1 都道府県庁所在地別住宅地の地価変動率
以下の表は、同様に国土交通省「令和6年都道府県地価調査」から、都道府県庁所在地別の住宅地の地価変動率について上位10位までを表したものです。
順位 | 都市 | 地価変動率 |
---|---|---|
1位 | 福岡市(福岡県) | 9.5% |
2位 | 東京23区(東京都) | 6.7% |
3位 | 仙台市(宮城県) | 6.3% |
4位 | 大阪市(大阪府) | 4.5% |
5位 | 名古屋市(愛知県) 那覇市(沖縄県) |
4.3% |
7位 | 千葉市(千葉県) | 4.2% |
8位 | 大分市(大分県) | 3.8% |
9位 | 札幌市(北海道) | 3.6% |
10位 | 横浜市(神奈川県) | 3.4% |
※参照:国土交通省「令和6年都道府県地価調査の概要」より抜粋
表を見て分かる通り、都道府県庁所在地では福岡市が1位に位置しています。昨年の8.2%から9.5%に上昇し、ランキングも2位から1位になっています。福岡市は人口増加も続いており、土地に対する需要が高いことが分かります。
また仙台市は3年連続で変動率5%を超えているのが特徴です。これは福岡市と仙台市の2市のみで、安定して地価が上昇していることが分かります。
昨年まで3年連続で変動率が1位だった札幌市は、9位に位置しています。変動率も昨年の12.5%から3.6%となっており、地価変動率の水準は依然として高いものの、一時の高騰に比べて落ち着いたと見られます。
なお、下落した都道府県庁所在地は、前橋市、甲府市、岐阜市、鳥取市、松山市の5市です。いずれも6年連続で地価変動率がマイナスとなっています。
3-2 都道府県所在地別住宅地の地価変動率の上昇傾向
また、住宅地の地価上昇がどれくらいの期間続いているのか、都道府県庁所在地別にまとめたのが以下の表です。2024年から遡って統計資料のある2019年までの地価調査において、地価変動率の上昇が何年続いているのかを表しています。
地価変動率が上昇している年数 | 都道府県 |
---|---|
6年連続(2019年〜2024年) | 札幌市、盛岡市、仙台市、秋田市、山形市、福島市、宇都宮市、千葉市、東京23区、富山市、金沢市、大阪市、神戸市、広島市、福岡市、佐賀市、熊本市、大分市、宮崎市、那覇市 |
4年連続(2021年〜2024年) | 横浜市、名古屋市 |
3年連続(2022年〜2024年) | さいたま市、京都市、奈良市、岡山市 |
2年連続(2023年〜2024年) | 青森市、福井市、静岡市、津市、大津市、高知市、長崎市、鹿児島市 |
1年 | 長野市、和歌山市、高松市 |
※参照:国土交通省「令和6年都道府県地価調査の概要」より抜粋
資料のある2019年から6年連続で地価変動率が上昇しているのが、19都市です。エリア別に見ると、北海道や東北、関東、関西、中国、九州など全国の中核都市で地価上昇傾向が続いていることがわかります。
特に九州7県のうち5市が6年連続、2市が2年連続となっており、九州では都市における地価上昇も顕著に現れています。
4 人口10万人以上の都市の地価動向
都市の状況をより詳しく把握するために、三大都市圏と三大都市圏以外の人口10万人以上の都市(都道府県庁所在地は含まない)の住宅地の地価変動率についても見てみましょう。
4-1 三大都市圏の人口10万人以上の都市の地価変動率ランキング
以下の表は、三大都市圏の人口10万人以上の都市(都道府県庁所在地は含まない)の地価変動率についてまとめたものです。
東京圏では、ファミリー層に人気がある流山市が、唯一の二桁以上の地価変動率で1位に位置しています。または上位5位までが千葉県内の都市であることも注目点です。なお、上位10位までは、千葉県5市、東京都2市、神奈川県3市となっています。
大阪圏における上位11市の割合は大阪府が9市、兵庫県が2市となっています。
名古屋圏で地価上昇の大きい11市は、すべて愛知県内の都市となりました。
4-2 三大都市圏以外の人口10万人以上の都市の地価変動率ランキング
地方の状況をより詳しく把握するために、三大都市圏以外の人口10万人以上の都市(都道府県庁所在地を含まない)の住宅地の地価変動率についてまとめたのが以下の表です。
順位 | 都市 | 地価変動率 |
---|---|---|
1位 | 大野城市(福岡県) | 8.4% |
2位 | 筑紫野市(福岡県) | 8.0% |
3位 | うるま市(沖縄県) | 7.0% |
4位 | 糸島市(福岡県) | 5.9% |
5位 | 春日市(福岡県) | 5.6% |
6位 | 帯広市(北海道) | 5.4% |
7位 | 宜野湾市(沖縄県) 沖縄市(沖縄県) |
5.2% |
9位 | つくば市(茨城県) 明石市(兵庫県) |
4.6% |
11位 | 浦添市(沖縄県) | 4.2% |
12位 | 郡山市(福島県) | 3.8% |
13位 | 苫小牧市(北海道) 江別市(北海道) |
3.6% |
15位 | 草津市(滋賀県) | 2.3% |
※参照:国土交通省「令和6年都道府県地価調査」「第11表 地方圏(三大都市圏を除く地域)の人口10万以上の市の対前年平均変動率」より抜粋
10万人以上の都市でも福岡県内の都市の地価変動率は高く、1位〜5位までのうち4つが福岡県内の都市となっているのが大きな特徴です。また沖縄県も上昇傾向が強く15位までに4市、北海道も3市がランクインしています。
5 東京23区住宅地の地価動向ランキング
最後に、東京23区の住宅地の地価変動率も見てみましょう。上位10位までをまとめたのが以下の表です。
順位 | 区 | 地価変動率 |
---|---|---|
1位 | 中央区 | 12.4% |
2位 | 渋谷区 | 10.2% |
3位 | 目黒区 | 9.6% |
4位 | 港区 | 9.2% |
5位 | 品川区 | 9.1% |
6位 | 千代田区 | 8.8% |
7位 | 新宿区 | 8.7% |
8位 | 豊島区 | 8.6% |
9位 | 墨田区 | 8.5% |
10位 | 文京区 | 8.4% |
※参照:国土交通省「令和6年都道府県地価調査」「第5表 東京圏の東京都特別区及び人口10万以上の市の対前年平均変動率」より抜粋
東京23区すべての区で住宅地の地価が上昇しており、2023年の平均地価変動率4.2%に対して、2024年は6.7%となっています。なお、平均地価変動率より高いのが16区、平均以下が7区となっています。
6.用地仕入れ・融資に強いアパート経営会社
木造アパートはマンションと比較して建物価値の下落スピードが早いため、土地値の上昇下落が資産価値に与える影響が大きい物件タイプと言えます。また、住宅街に建てられるためやや駅から離れた物件も少なくないため、立地選びが非常に重要になります。
地価上昇を狙ったアパート経営を行うには、用地仕入れに強い不動産会社の協力が不可欠であると言えるでしょう。また、立地条件の良い物件は価格も高くなるため、提携する金融機関が多く融資に強いかどうかという点も、不動産会社選びで重視したいポイントと言えるでしょう。
そこでここでは用地仕入れに強く、融資付けに強いアパート経営会社「シノケンプロデュース」をご紹介します。地価上昇を狙ったアパート経営を検討している方はご参考ください。
株式会社シノケンプロデュース
会社名 | 株式会社シノケンプロデュース |
セミナーURL | https://www.shinoken.com/ |
本社所在地 | 東京都港区浜松町二丁目3番1号 日本生命浜松町クレアタワー |
売上高 | 1,045億25百万円(2022年12月期) ※グループ全体 |
社員数 | 1,107名(2022年12月末現在) ※グループ全体 |
シノケングループは、首都圏、福岡、大阪、名古屋、仙台など全国の主要都市でアパートを企画・開発している大手企業です。
シノケンプロデュースのセミナーは、「人生100年時代を支える資産づくり」をメインテーマに、不動産投資のリスクや回避方法、自己資金を抑える方法、満室経営のポイントなどがわかるアパート経営セミナーとなっています。
セミナーでは、「将来が不安だけど何から取り組んでいけばいいか分からない」という方や「不動産投資に興味はあるけど失敗するのが怖い」という方でも、実際の失敗事例や最新の業界情報に触れながら、資産形成や不動産投資をどのように始めればいいかのエッセンスを得ることができます。
老後までにいくら必要か、年金はいくらもらえるか、今後の日本はどう変わっていくのか、その状況に対して資産形成や資産運用にどう取り組んでいけばいいか、といったことなどについても改めて学ぶことの多いセミナーです。
参加特典として不動産投資のノウハウブックと漫画を無料でもらうことができます。また、東京以外にも名古屋・大阪・札幌など全国どこへでもセミナー講師が駆けつける無料の個別相談会も利用可能です。
シノケンプロデュース一棟アパート経営の特徴
主要エリア | 首都圏・福岡・名古屋・大阪・京都・神戸・仙台 大都市圏のターミナル駅から電車で30分圏内、駅徒歩10分圏内 |
投資対象 | 新築アパート |
販売実績 | 7,000棟以上 |
管理戸数 | 47,000戸以上(2023年12月末時点) |
入居率 | 98.56% (2023年年間平均入居率) |
シノケンプロデュースのアパート販売実績は5000棟以上、グループ会社のシノケンファシリティーズでは管理戸数47,000戸以上(2023年12月末時点)の実績があり、入居率98.56% (2023年年間平均入居率)を実現しています。
シノケンプロデュースのアパートはグッドデザイン賞や住宅性能表示制度(劣化対策等級2相当)、金融機関(木造アパートで融資期間35年)など第三者機関からの評価を多数獲得しています。1990年の創立から30年以上経った2023年時点まで、震度7クラスの地震を経験しても倒壊半壊・液状化による被害が0棟という実績もあり、高い耐震性にも強みがあります。
また、アパート経営は区分マンション投資と比較して多額の資金が必要になりますが、シノケンプロデュースは資金調達にも強みがあり、シノケンのオーナーは約4割が自己資金500万円未満となっています(2018年調査時点)。自己資金をあまり用意できない・資金はできるだけ手元に残しておきたいという方でも始めやすくなっています。
まとめ
国土交通省が公表した「令和6年都道府県地価調査」の地価変動率をもとに、都道府県別や都市別にランキングにして紹介しました。全国的に地価は上昇傾向にあり、福岡県を中心とした九州、都市でいえば仙台市などで地価の上昇傾向が顕著になっていることがわかります。
地価が上昇しているということは不動産経営において大きなメリットですが、土地の購入代金が高くなると物件価格が高額になり、融資のハードルが高くなるという注意点もあります。好立地での不動産経営を検討されている方は、アパートローンの融資付けに強い不動産会社に相談されてみると良いでしょう。
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倉岡 明広
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