アパート経営を始めるには、「アパートを購入する」「土地を購入してアパートを建てる」「所有している土地にアパートを建てる」という3つの方法があります。
この3つのうち、今回のコラムでは土地を所有している方がアパート経営を始める際のメリットとデメリットを解説します。また、アパートの建築実績が豊富な不動産会社も紹介します。
目次
- アパート経営を土地ありで始める際のメリット
1-1.アパートの建築費だけで始められる
1-2.金融機関からの融資が受けやすい
1-3.エリアの事情を把握している - アパート経営を土地ありで始める際のデメリット
2-1.アパート経営に向いていない土地であるケースも
2-2.土地の面積や形によってアパートの構造に制限が出る - アパートの建築実績が豊富な不動産会社
3-1.シノケンプロデュース
3-2.アイケンジャパン - まとめ
1 アパート経営を土地ありで始める際のメリット
1-1 アパートの建築費だけで始められる
アパートを建てるには土地が必要ですが、すでに土地がある場合は新たに購入する必要がありません。アパートの建築費だけでアパート経営が始められることになり、利回りを高く設定することが可能です。
アパート経営に向いている土地を購入するには、エリアにもよりますが数千万円程度の資金が必要です。例えば、40坪の土地が4,000万円、アパート(1LDK×10室)の建築費が5,000万円とした場合、土地がない場合は9,000万円の資金が必要ですが、土地をすでに持っていれば5,000万円で始められることになります。
利回りが高くなり経営効率が良い
土地購入のための費用がないため、高利回りでアパートを経営することが可能です。前述した例をもとに、土地ありと土地なしでアパート経営を始めた場合の利回りを計算してみましょう。
土地なしの場合 | 土地ありの場合 |
---|---|
土地(40坪):4,000万円 建物(1LDK:60,000円×10室):5,000万円 年間家賃収入:60,000×10×12=7,200,000円 表面利回り:720万円÷9,000万円=8.0% |
土地(40坪): 0万円 建物(1LDK:60,000円×10室):5,000万円 年間家賃収入:60,000×10×12=7,200,000円 表面利回り:720万円÷5,000万円=14.4% |
土地の価格を差し引いた単純な比較ではありますが、土地なしの場合は表面利回りが8.0%に対して、土地ありの場合は14.4%となります。
建築費用や設備に資金を投じることが出来る
土地の購入費用が必要ないため、アパートの建築費や室内設備に資金を使えることになります。そのため、高品質のアパートを建てることができます。
具体的には、下記のようなことが考えられます。
- 高機能の設備機器を導入できる
- 特徴的な間取りの居室にできる
- セキュリティ対策を強化できる
- 壁紙やフローリングなどのグレードを高められる
- 断熱性や遮音性などを高められる、など
建築費や設備に投資することでアパートの質を高めることにつながります。高品質なアパートは家賃を高めに設定することができるため、高稼働かつ利益率が高いアパート経営を目指すことができるのです。
ローン返済が早く完了する
土地購入費用が必要ないため、金融機関からの借入金を抑えることができます。そのためローンの返済期間を短く設定することもでき、利子の総支払額、さらには返済総額が少なくなるというメリットがあります。
またローンの返済が早く完了した後は、手元に残る資金がさらに多くなります。つまり、経営効率がさらに良くなり、アパートの修繕やメンテナンスなどにも資金を使えるようになるほか、2棟目の資金作りも始められるのです。
1-2 金融機関からの融資が受けやすい
金融機関から融資を受ける際は、融資審査に通る必要があります。この際に審査対象となるのが、融資対象物件の事業性と申込者の属性です。
対象物件の事業性とは、アパートの立地や収支見込みなどで判断されます。一方の申込者の属性とは、社会的および経済的な背景のことで、主に下記の項目によって審査されます。
- 年収
- 年齢
- 勤務先
- 勤務年数
- 雇用形態
- 家族構成
- 資産状況
- 借入金の状況、など
例えば、土地を所有していると資産状況が良好と見なされ、審査に通りやすくなります。特に抵当権が設定されていない土地の場合は担保として活用することもできるため、より良い条件で融資が受けることも可能です。
1-3 エリアの事情を把握している
土地を所有した経緯はそれぞれで異なるものですが、例えば、親から相続した土地であれば、幼少期から青年期にかけてご自身が住んでいたという方も多いでしょう。このような場合はエリアの特徴を実体験として把握しているため、どのような賃貸ニーズがあるのか検証する際にも役立ちます。
「街灯が暗い」「日中は車通りが多い」「公園が近い」といったようにその地域ならではの事情を熟知しているのであれば、こうした情報をもとに入居者のターゲット層を決めたり、また実際に入居者募集をかける際のアピールポイントとして訴求することもできます。
2 アパート経営を土地ありで始める際のデメリット
一方、土地の所有者がアパート経営を始める際のデメリットも確認しましょう。代表的なのは次の2つです。
2-1 アパート経営に向いていない土地であるケースも
元々、持っている土地でアパートを始めるということは、土地を選べないということでもあります。アパート経営に向いている土地であれば良いのですが、以下のような場合はアパート経営に向いていないことも考えられます。
- 最寄り駅から遠い
- 道路事情がよくない
- 長方形や正方形ではない
- 傾斜している
- 日当たりが良くない
- 風通しが良くない、など
アパート経営に向いていない土地の場合、想定通りに入居者を集めることが出来ずに空室が続き、赤字経営に繋がるリスクもあります。このようなリスクを回避するためには、まずは土地がアパート経営に向いているかどうか周辺エリアの賃貸需要を調査したうえで、入居者のターゲット層を決めてアパートをデザインすることが大切です。
例えば、大学が近いエリアであれば学生向けの賃料を低く設定できるワンルームタイプのアパートが良いと考えることができます。一方で駅から遠く車移動がメインとなる立地であれば、駐車場の設置や家族が住める間取りの設計が必要になると想定することができます。
2-2 土地の面積や形によってアパートの構造に制限が出る
土地を選べないということは、理想のアパート経営にはならない可能性があるということです。それは、土地の状況に合わせてアパートを建てる必要があるからです。
例えば、ファミリー向けの2LDKを主体にしたアパートを建てたいと思っていたとしても、土地の事情により単身者向けのコンパクトなアパートしか建築できない可能性もあります。
土地と建物の両方を購入するアパート経営では無数の選択肢があり、その時々の市場動向に合わせ、入居者のターゲティングに合わせたアパート経営を始めることができるメリットがあります。土地ありのアパート経営では、所有している土地のポテンシャルに大きく依存してしまうため、注意が必要です。
3 アパートの建築実績が豊富な不動産会社
土地ありでアパート経営を検討するにあたっては、所有している土地がアパート経営に向いているかどうかの診断を行ったうえで、そのエリアに合わせた入居者のターゲティングを行う必要があります。
アパート建築の実績が豊富な不動産会社では、土地の特徴や周辺の生活環境に合わせたアパートを建築してくれます。ここでは土地ありからのアパートの建築実績が豊富で、アパート建築に向いているかどうかの土地診断や投資プランの提案を行ってくれる2社の不動産会社を紹介します。
3-1 シノケンプロデュース
シノケンプロデュースは、一般投資家向け賃貸住宅経営のパイオニアとして、土地の選定から企画、設計、施工、引き渡し後の賃貸管理まで一貫したサービスを提供している不動産会社です。
シノケングループは日本で初めて新築アパート経営において独占提携ローンを提供しており、融資に強いという特徴があります。オーナーの属性によっては、金利1%台、RC物件と同程度の35年の返済期間の融資プランも用意されています。中には100%融資が可能な金融機関もあります。
これまでに全国で7,000棟超のアパートを供給
シノケンプロデュースでは、これまでに7,000棟超のアパートを全国で供給しています。全国賃貸住宅新聞の「賃貸住宅に強い建築会社ランキング」では、8年連続(2015年度から2022年度)で自社開発物件部門でのNo.1を獲得しています。
グループ会社のシノケンファシリティーズの管理戸数は47,000戸以上(2023年12月末時点)、入居率98.56% (2023年年間平均入居率)と高い水準を維持しています。質の高いアパートを提供していることに加えて、5,000店舗以上(2024年5月時点)の仲介業者と提携し、良好な関係を築いていることも要因の一つです。
豊富なプランを用意し、敷地に合わせたアパートを提案
シノケンプロデュースのアパートは、専属デザイナーが土地の形状や条件、建築のトレンドを生かしつつデザインを施していきます。特徴的なのは、独立洗面化粧台、サーモスタット付水栓、システムキッチン、カラーモニター付きインターフォンなど快適性を向上させる住宅設備が標準装備していることです。2016年にはグッドデザイン賞をダブル受賞しており、デザイン力の高さも各方面から高い評価を受けています。
どのような敷地でも効率よく居室を配置できるように、アパートブランドを各種用意しているのも特徴です。中でも「ライズ」シリーズは、ダブルロフト付きのスキップフロアで、快適な空間を創造することが可能です。またスマートロックのほか、エアコン、TV、照明、空気清浄機、お掃除ロボ、電動カーテンなどをスマートフォンで一元管理できる先進的な「シノケンインテリジェントアパート」も供給しています。
3-2 アイケンジャパン
アイケンジャパンは、「堅実なアパート経営」をコンセプトとして掲げ、新築アパートの企画・設計・販売・管理をワンストップで提供している不動産会社です。
特徴的なのは、女性の社会人を意識したプランを得意にしていることです。アパートとは思えないような追い焚き機能付き浴室乾燥機やビルトインキッチン、温水洗浄便座、浴室テレビといった快適性と機能性に優れた設備を標準としていることにも高い評価が寄せられています。
アパートの累計供給棟数は1,000棟超
アイケンジャパンでは、「GRANDTIC(グランティック)」「REGALEST(レガリスト)」などのアパートブランドを展開しており、2021年12月には累計供給棟数が1,000棟を突破しています。
2023年3月末時点で8,313戸の賃貸管理を行っており、2022年1月から12月までの平均入居率は99.4%です。なお、空室を埋める方法にはフリーレントや家賃の値下げといった対策がありますが、これらはオーナーの負担が大きく効果が一時的なデメリットがあります。アイケンジャパンの高い入居率は、これらの対策をせずに維持しているという特徴があります。
また、供給しているアパートの実績を表すために、同社では収益稼働率を公表しています。収益稼働率とは新築時に提案した年間の想定家賃収入に対して、実際の家賃収入の割合を示す数値のことで、2023年6月末時点で98.6%となっています。
競争力の高い複数の個性的なプランを用意
アイケンジャパンが供給するアパートは、シンプルかつ高級感のあるデザインに優位性があります。さまざまな土地形状に合わせられるよう、以下のような複数のアパートブランドを用意しているのも特徴です。
1LDKが標準の「REGALEST」のほか、1LDKに使い勝手のいいロフトが設けられている「GRANDTIC L-STYLE」、キッチン、サニタリー、ダイニングスペース、ロフトを階段によって区切っている3階層の「RIZEST(ライゼスト)」など、競合物件との差別化も目指せる個性的なプランになっています。
まとめ
所有している土地をアパート経営に活用する場合、アパートローンを利用しやすいうえ、アパートそのものに資金を割くことができる、賃貸ニーズを理解しているなどのメリットがあります。そのため、高利益率でのアパート経営を目指すことも可能です。
一方で、アパート経営に向いていない土地である可能性もあるため、いきなりアパートの建築計画を進めるのではなく、まずは土地診断と入居者のターゲティングを含めた投資プランを策定することが重要です。
今回のコラムでは、アパートの建築実績が豊富な2社の不動産会社も紹介しました。両社ともアパート経営に関する資料の提供や無料セミナーを開催しています。より詳しく知りたい方は、検討されると良いでしょう。
倉岡 明広
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