積立投資は、毎月少しずつの支出から将来必要なお金を貯めたい方や、低リスクで長期的に資産運用を行いたい方に適した投資です。初心者でも実践しやすい資産運用として知られている一方、具体的な商品や金融機関の選び方がわからない方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、積立投資の始め方とその際の銘柄や証券会社の選び方について詳しく解説していきます。積立投資に関心のある方や、商品選びのポイントを知りたい方は、参考にしてみてください。
※本記事は2022年6月9日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- 積立投資とは
- 積立投資ができる銘柄
2-1.「インデックス型」と「アクティブ型」の違い
2-2.銘柄の特徴から選ぶ
2-3.目論見書を確認して最終的に決める - 積立投資ができる金融機関
3-1.取扱銘柄数や最低買付金額
3-2.カード積立、ポイント投資
3-3.ロボアドバイザーの利用可否 - 積立投資の注意点
4-1.含み損が発生する可能性もある
4-2.短期間で大きな利益は得られない
4-3.積立額は余剰資金の範囲内で決める - まとめ
1 積立投資とは
積立投資とは、一定の時期ごとにあらかじめ決めた金額(数量)の銘柄を買付する形で行う投資方法のことです。
積立投資の方法には、おもに「定額で買付する方法」と「定量で買付をする方法」があり、一定の時期ごとに銘柄を一定金額ずつ買付するのが定額買付です。これに対して、一定の時期ごとに銘柄を一定口数(投資信託の場合)、または一定株数(株式の場合)ずつ買付していくのが定量買付になります。このうち、定額買付のことを「ドル・コスト平均法」と呼ぶこともあります。
積立投資のメリットは、少額資金で資産運用を始められる点です。例えば、100万円分の銘柄を一括で買付する場合、同じ金額を用意しなければなりませんが、積立方式で5年かけて60万円分の銘柄を買付する場合、毎月1万7000円程度の支出に収まります。
また、積立投資を実践することで、時間分散による損失リスクの軽減を図ることも可能です。毎月同額ずつ買付を行うと、価格が高い時には購入する数量が少なくなり、価格が低い時は購入する数量が多くなります。それにより、買付価格が平均化され、運用する銘柄の価格が上下する局面で損失リスクを抑えることができます。
積立投資を数十年単位で継続して行うと、金融商品の運用で得られた利益を投資元本に組み入れて運用する複利運用の効果によって、得られる利益も大きくなります。そのため、積立投資は長期的な資産形成に適した投資方法となっています。
2 積立投資ができる銘柄
積立投資は、サービスを提供する証券会社の口座を開設した上で、特定の銘柄を継続的に買付するという手順で行うのが主なやり方です。具体的な銘柄の選び方と証券会社の選び方を確認していきましょう。
2-1 「インデックス型」と「アクティブ型」の違い
積立投資の買付対象となる銘柄は、最初に金融商品の種類とその商品のタイプを選択した後、その中から投資目的に適したものを選ぶのが基本的な流れとなります。証券会社で積立投資できる金融商品は複数ありますが、投資信託もその1つにあげられます。
投資信託とは、複数の投資家から集めた資金をまとめて、運用の専門家が1つまたは複数の資産へ投資し、そこから得られた利益を投資家に分配する仕組みの金融商品です。
投資信託の種類は、大きく分けて「インデックス型」と「アクティブ型」の2つありますが、積立投資を行う場合、インデックス型の投資信託が適しています。インデックス型とは、特定の指数の値動きに連動する形で運用される投資信託です。一方、アクティブ型とは、特定の指数の値動き以上の投資成績を目指して運用される投資信託になります。
インデックス型は、アクティブ型と比較して負担する手数料も安く済むため、長期的に積立投資を行うのに適しているだけでなく、値動きは運用基準である指数とほぼ同じなので、初心者でも把握しやすいのが特徴となっています。
2-2 銘柄の特徴から選ぶ
インデックス型の投資信託銘柄には、おもに特定の資産を投資対象とするタイプと複数種類の資産を投資対象とするタイプの2つがあります。
例えば、投資対象を「株式のみ」「債券のみ」とする銘柄が前者のタイプです。基本的に株式は債券と比較して価格変動幅が大きいため、その分得られる利益や損失リスクも大きくなります。一方、債券は株式と比較した場合、価格変動幅が緩やかであるため、得られる利益や損失リスクも少ないのが特徴です。
積立投資を始める場合、投資家の運用方針に応じて各タイプの銘柄の中から選択していくことになります。リスクを多少取ってでも大きな利益を狙う運用を行いたい場合、投資対象資産が株式単体の銘柄を選択するのが適しています。
これに対して、リスクを抑えて長期的に運用したい場合、投資対象資産が債券単体の銘柄か株式と債券が含まれている資産複合銘柄を選ぶのが適しています。
2-3 目論見書を確認して最終的に決める
各銘柄の目論見書を確認して、最終的に定期買付する銘柄を決めていきます。目論見書とは、その銘柄への投資判断をするために必要な事項が記載されている重要書類のことです。
銘柄選択の目的で目論見書を見る場合、「ファンドの目的や特色」「運用実績」「手数料」などは最低限確認する必要があります。投資対象地域、投資対象資産、運用の対象指数、投資形態など、目標とする投資成果や具体的な投資方法を把握できるので、自分の運用方針との相性を確認できます。
また、運用実績では、その銘柄の基準価額や純資産の推移、組入資産の比率や内訳、年間収益率などが記載されており、今後の投資判断の参考基準となります。
また、手数料も銘柄選択における重要な情報の1つです。投資信託銘柄の手数料には、以下のようなものがあります。
購入時手数料 | 銘柄買付時に発生する手数料 |
信託報酬 | 運用中に発生する手数料 |
信託財産留保額 | 銘柄を売却(解約)する時に発生する手数料 |
積立投資を始める場合、購入時手数料および信託財産留保額が無料で、信託報酬は年0.1~0.2%程度のファンドが長期運用に適した銘柄となります。
3 金融機関の選び方
積立投資を行える金融機関は様々ですが、提供するサービス内容は各社によって異なります。積立投資を始める場合、以下のポイントを参考に検討してみましょう。
3-1 取扱銘柄数や最低買付金額
積立投資ができる銘柄の取扱本数が多ければ、運用目的に適した銘柄を探しやすくなります。投資信託で積立投資ができる銘柄の取扱本数は各証券会社によって異なりますが、ネット証券の中には2,000本以上取り扱っているところもあります。
なお、積立投資で定期買付を行う金額は、基本的に自身で決められるものの、最低買付金額が設定されている場合もあります。
そのため、積立投資を行う際に利用する証券会社は、できるだけ最低買付金額が安く設定されているところを選ぶと、資金準備不足で積立投資が継続できなくなるリスクも回避しやすくなります。
3-2 カード積立、ポイント投資
積立投資を行う際、カード積立やポイント投資を利用できる会社もあります。カード積立とは、銘柄の買付代金をカード払いで行う積立方法です。カード払いによるポイント還元で資産運用以外の面でも、経済的な恩恵を受けられるのが主なメリットです。
また、ポイント投資とは、保有している各社のポイントを使用して銘柄の買付を行うことです。ポイント投資によって、現金なしで積立投資を実践できる場合もあるので、資産運用の効率を高められます。
いずれにも対応するサービスとして、SBI証券、楽天証券などがあります。
3-3 ロボアドバイザー
積立投資を行う際にロボアドバイザーを活用することも可能です。ロボアドバイザーとは、投資先の提案、ポートフォリオの作成、銘柄の買付作業などを本人に代わって行ってくれる資産運用サービスです。
WealthNavi(ウェルスナビ)などの投資一任型のロボアドバイザーを活用すると、積立投資を行う際の面倒な作業をお任せできるほか、銘柄選定の知識なども不要なため、普段仕事で忙しい方や初心者の方にも適しています。
ロボアドバイザーの手数料や、お任せできる資産運用作業の範囲、最低買付金額などは、サービス提供会社によって異なります。そのため、これらの利用条件・内容を考慮した上で証券会社を選ぶことが大切です。
4 積立投資の注意点
買付価格の平均化により、低リスクで長期運用を実践しやすいのが積立投資のメリットですが、以下のポイントに注意することも大切です。
4-1 含み損が発生する可能性もある
積立投資の買付対象銘柄となる投資信託などの金融商品は、元本保証の商品ではありません。相場状況によっては商品の価格が下落して、運用中に含み損が発生する可能性もあります。
含み損の発生が長期間に及んだり、急激な価格下落が発生したりすると、狼狽売りを行い、結果として損失に繋がるケースもあるため注意しなければなりません。
4-2 短期間で大きな利益は得られない
積立投資は、定期的に銘柄の買付を行い、長期的に資産をじっくり形成するのに適した投資方法です。運用益も少しずつ積み上がっていく形になるため、株式投資のように短期間で大きな利益を得るのには向かないという特徴があります。
積立投資の運用益は、「投資金額」と「積立する期間」に左右されます。投資金額が大きければ、その分運用される元金も多くなるため、結果的に運用益も大きくなる仕組みです。
しかし、積立投資を始めたばかりの時期は積立された投資金額も少ないため、運用で得られる利益も少なくなります。積立投資だけで得られる運用益を大きくするには、基本的に長期間積立を行って投資元金を増やす必要があります。
4-3 積立額は余剰資金の範囲内で決める
積立投資で得られる運用益を大きくしたいがために、積立金額を大きく設定しすぎると、急な出費や収入減少が生じた場合、家計収支が赤字になる可能性もあります。その結果、積立金の捻出が難しくなり、積立投資の継続を断念せざるを得なくなる場合も出てきます。
そのため、積立投資を始める際は、私生活に影響しない余剰資金の範囲内で積立金額の設定を行うことも大切です。
まとめ
積立投資は、少額資金から始められる上にリスクを抑えた運用ができることから、初心者や経験の浅い方に適した投資方法です。積立投資を始める場合、長期運用に向いたインデックス型の投資信託の中から、組入資産の内容、銘柄の特徴や実績、手数料などを考慮して選ぶことがポイントです。
また、積立投資を始める時に利用する金融機関は、銘柄の取扱本数や提供されているサービス内容を基準に選ぶことが大切です。
ただし、運用中に含み損が発生する可能性や、短期間で大きな利益を得られない等のリスクもあるので、これらを考慮しながら検討してみてください。
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