SBI証券、外貨建MMFの評判は?メリットやリスク、取扱商品の比較も

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外貨建MMFとは、米ドルなど外貨で運用する投資信託のことをいいます。リスクの低い国債や社債で運用されており、通貨の分散投資先としての運用の他に、外貨建の運用商品を買うときの資金の置き場所としても活用できます。

投資信託のファンドに比べると馴染みのない外貨建MMFですが、SBI証券では、米ドルの他に、南アフリカランド、トルコリラの外貨建MMFが提供されています。当記事では、SBI証券に取扱いのある外貨建MMFのラインナップを紹介します。外貨建MMFの活用方法なども紹介していますので、外貨建MMFについて知りたい方はご確認ください。

※2022年5月21日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※信託報酬など、課税対象となる数値はすべて税込表示としています。

目次

  1. SBI証券で取扱いのある外貨建MMF
    1-1.ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド(米ドル)
    1-2.ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト(米ドル)
    1-3.ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド(米ドル)
    1-4.ゴールドマン・サックス・米ドルファンド(米ドル)
    1-5.ホライズン・トラスト(南アフリカランド)
    1-6.トルコ・リラ・マネー・マーケットファンド(トルコリラ)
    1-7.つみたて外貨MMFの共通概要
  2. 外貨建MMFの役割や活用方法
    2-1.外貨建運用商品の買付に
    2-2.外貨預金としても活用できる
  3. 外貨建MMFを利用するときの注意点
    3-1.為替変動リスクに注意
    3-2.外貨建MMFの取引にかかる税金
  4. まとめ

1.SBI証券で取扱いのある外貨建MMF

SBI証券で取扱いのある外貨建MMFは以下のとおりです。

1-1.ニッコウ・マネー・マーケット・ファンド(米ドル)

通貨 米ドル
利回り 0.464%
買付単位 外貨決済:当初申込み10米ドル以上0.01米ドル単位 追加申込み0.01米ドル以上0.01米ドル単位
円貨決済:当初申込み5,000円以上1円単位 追加申込み1円以上1円単位
売却単位 0.01米ドル単位
約定日/受渡日 約定日:取引日
受渡日:約定日の翌取引日
管理会社 SMBC日興インベストメント・ファンド・マネジメント・カンパニー・エス・エイ

ニッコウマネーマーケットファンドは、フランスの政府系公社債で構成された米ドル建ての外貨建MMFです。2022年4月30日に発行された月次レポートによると、資産構成の85.2%がコマーシャルペーパーで構成されています。

ムーディーズによる格付けは、P-1が85.2%、残りは現金など14.8%です。

構成銘柄の多くを政府系期間のAGENCE CENTRL DES ORGNMSが占めています。7日間の平均利回りは税引前で、0.443%です。SBI証券が扱う米ドルの外貨建MMFでは、比較的利回りは高い点が特徴的です。

1-2.ノムラ・グローバル・セレクト・トラスト(米ドル)

通貨 米ドル
利回り 0.386%
買付単位 外貨決済:当初申込み10米ドル以上0.01米ドル単位 追加申込み0.01米ドル以上0.01米ドル単位
円貨決済:当初申込み5,000円以上1円単位 追加申込み1円以上1円単位
売却単位 0.01米ドル単位
約定日/受渡日 約定日:取引日
受渡日:約定日の翌取引日
管理会社 グローバル・ファンズ・マネジメント・エス・エー

ノムラ・グローバル・セレクト・トラストは、スペインやドイツ、フランスの政府系公社債で構成された外貨建MMFです。資産の内訳は、コマーシャルペーパーが84%、預金や未収金などその他資産が16%で構成されています。

過去7日間の平均利回りは、0.386%。組入銘柄は、スペインの融資機関のINSTITUTO CREDIT OFICIAL、ドイツ農林金融公庫、フランスの社会保障機関中央資金管理事務庁です。

ムーディーズ格付で、INSTITUTO CREDIT OFICIALがP-2、ドイツ農林金融公庫とフランスの社会保障機関中央資金管理事務庁がP-1です。

前述のニッコウ・マネー・マーケット・ファンドと同様に、格付の高いコマーシャルペーパーで構成されています。

1-3.ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンド(米ドル)

通貨 米ドル
利回り 0.059%
買付単位 外貨決済:当初申込み10米ドル以上0.01米ドル単位 追加申込み0.01米ドル以上0.01米ドル単位
円貨決済:当初申込み5,000円以上1円単位 追加申込み1円以上1円単位
売却単位 0.01米ドル単位
約定日/受渡日 約定日:取引日
受渡日:約定日の翌取引日
管理会社 ブラックロック・ファンド・マネジメント・カンパニー・エス・エー

ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンドは、外国の公社債投資信託を組み入れた外貨建MMFです。運用開始は1990年からスタートしており、今年で32年目になります。

資産構成比率は、リバースレポ取引によるものが、75.4%、コマーシャルペーパーが57.1%、政府系機関債4%、CD2.3%となっています。資産構成の中心となるリバースレポ取引とは、債券を担保として資金を借り入れる貸借取引のことを指します。借り手が資金を返済するときに、担保とした債券が返却される仕組みです。

2022年3月末日発行の月次レポートによる、直近6カ月の利回り推移は以下のとおりです。

2022年3月 0.09
2022年2月 0.08
2022年1月 0.06
2021年12月 0.05
2021年11月 0.06
2021年10月 0.05

ブラックロック・スーパー・マネー・マーケット・ファンドの月次レポートは簡易的な内容となっており、資産構成の内訳の記載はありませんでした。

前述の2つのファンドよりも利回りが低い点が特徴的です。

1-4.ゴールドマン・サックス・米ドルファンド(米ドル)

通貨 米ドル
利回り 0.007%
買付単位 外貨決済:当初申込み10米ドル以上0.01米ドル単位 追加申込み0.01米ドル以上0.01米ドル単位
円貨決済:当初申込み5,000円以上1円単位 追加申込み1円以上1円単位
売却単位 0.01米ドル単位
約定日/受渡日 約定日:取引日
受渡日:約定日の翌取引日
管理会社 ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント・ファンド・サービシズ・リミテッド

ゴールドマン・サックス・米ドルファンドは、USドルマスターファンドへの投資を通じて信用度の高い金融市場証券に分散投資するファンドです。資産別構成比率は、国債が57.9%、レポ取引が29.1%、変動利付国債が13.1%です。

月次レポートでは、銘柄構成の内訳などの詳しい報告の記載はありませんでした。

1-5.ホライズン・トラスト(南アフリカランド)

通貨 南アフリカランド
利回り 3.539%
買付単位 外貨決済:当初申込み10南ア・ランド以上0.01南ア・ランド単位 追加申込み0.01南ア・ランド以上0.01南ア・ランド単位
円貨決済:当初申込み5,000円以上1円単位 追加申込み1円以上1円単位
売却単位 0.01南ア・ランド単位
約定日/受渡日 約定日:取引日
受渡日:約定日の翌取引日
為替取引約定日:取引日為替取引
受渡日:約定日の翌々取引日
管理会社 UTI International (Singapore)Pte Ltd

ホライズン・トラストは、南アフリカランド建の外貨建MMFです。3ヶ月物短期金融市場指標に準拠する利回りを目標として運用をおこないます。南アフリカの短期金融市場商品の投資によって、利回り目標の達成を狙う運用方針です。

2022年3月末時点の資産構成は、変動利付債券54.6%、割引証券23.6%、現預金など21.8%となっています。

格付別構成比は、フィッチの短期債券格付によるF1が23.6%、格付なし54.6%、現預金など21.8%。フィッチの短期債券格付は、F1が最も高い短期信用力です。

南アフリカの外貨建MMFは利回りが高い特徴がありますが、為替リスクや信用リスクに注意が必要です。

1-6.トルコ・リラ・マネー・マーケットファンド(トルコリラ)

通貨 トルコリラ
利回り 14.867%
買付単位 外貨決済:当初申込み10トルコリラ以上0.01トルコリラ単位 追加申込み0.01トルコリラ以上0.01トルコリラ単位
円貨決済:当初申込み5,000円以上1円単位 追加申込み1円以上1円単位
売却単位 0.01トルコリラ単位
約定日/受渡日 約定日:取引日
受渡日:約定日の翌取引日
為替取引約定日:取引日為替取引
受渡日:約定日の翌々取引日
管理会社 UTI International (Singapore)Pte Ltd

トルコ・リラ・マネー・マーケットファンドはトルコリラ建の外貨建MMFです。最近ではトルコの政情不安により利回りが高まっています。

2022年4月28日発行の月次レポートによると、ファンドの資産別構成比は、国債15.1%、社債60.5%、現金7.7%、リーバースレポ取引16.6%です。組入銘柄はトルコ国債、社債はトルコのバキフラール銀行、トルコ最大の投資銀行İşYatırım、トルコの銀行QNB Finansbankなど、金融機関が多くを占めています。

構成比率が多い社債の格付は、AAAが23.2%、AAが37.3%、A+が39.5%です。格付は国内比較によるもので、国際比較による格付ではありません。月次レポートには、出典元の格付会社の記載はありませんでした。

トルコリラ建の外貨MMFは、信用リスクと為替リスクが懸念点として挙げられます。南アフリカランド建と同様に、投資を検討するときは投資環境をよく確認しましょう。

1-7.つみたて外貨MMFの共通概要

外貨建MMFは、通貨の分散投資先としても有効利用できます。SBI証券のつみたて外貨建MMFの概要は以下のとおりです。

設定金額 5,000円以上1円単位
積立設定日 [毎月コース]1日~27日、月末のいずれかを指定
[ボーナス月コース]年2回まで任意の月日を指定
決済方法 円貨決済

2.外貨建MMFの役割や活用方法

外貨建MMFの特徴を利用した活用方法などを紹介します。

2-1.外貨建運用商品の買付に

外貨建MMFは、米ドル、南アフリカランド、トルコリラ建の社債や国債、株式など外貨建の金融商品を買うときに便利な金融商品です。外貨建の金融商品を買うときは、円から外貨へ両替したうえで購入する必要があります。先々、外貨建の金融商品を買う計画がある場合、事前に外貨建MMFで運用しておくとスムーズな買付が可能です。

また、投資信託の分配金や外貨建金融商品を売却したときの払い出し先としても外貨建MMFを活用できます。売却時に為替差損が出ている場合、とりあえず外貨建MMFに払い出ししておき、円安を待って円に両替する活用法も有効です。

2-2.外貨預金としても活用できる

外貨建MMFは外貨の運用先として活用することも可能です。外貨預金と似ている点もあります。外貨建MMFと外貨預金の主な違いを表にまとめました。

項目 外貨建預金 外貨建MMF
金利 変動金利 運用による利回り
解約のタイミング いつでも いつでも
想定されるリスク 為替リスク・信用リスク 為替リスク・信用リスク・価格変動リスク
元本保証 外貨ベースで元本保証 元本の保証はなし
資産保護 預金保険対象外のためなし 分別管理による保全あり

主な違いは、インカムゲインの詳細と、想定されるリスク、資産保護です。

外貨預金は通常の預金と同じく利息による定期的な利払いがあります。外貨建MMFの収益源は運用益です。どちらも変動しますが、運用による利回りのほうが変動は大きくなります。外貨建MMFは投資信託と同じ運用をおこなうため、基準価額の価格変動リスクや、金利変動の影響をうける金利リスクにも注意が必要です。

外貨預金は、日本の預金と違いペイオフ制度がありません。したがって、金融機関が破綻したときの預金保証はありません。外貨建MMFは、分別管理による資産保護を行っているため、販売会社や運用会社が破綻しても資産は保護されます。

銀行による外貨預金と外貨建MMFでは、為替手数料が大幅に違う場合がありますので、検討の際はよく比較検討するようにしましょう。

3.外貨建MMFを利用するときの注意点

外貨建MMFに投資するときに注意したいポイントを2点ピックアップしました。

3-1.為替変動リスクに注意

外貨建MMFには、為替リスク・信用リスク・価格変動リスクの3つのリスクが介在しますが、中でも運用にもっとも影響を与えるのは為替リスクです。

  • 1万ドル買付 円/ドル 130円 130万円
  • 1万ドル売却 円/ドル 110円 110万円

円安時に買い付けて、円高時に売却すると130万円-110万円=20万円の為替差損です。

為替変動によって差損が運用益を超える可能性もあります。逆に110円のときに買付、130円のときの売却をおこなうと為替差益20万円となります。為替の変動は誰にもわからず変動幅が大きくなるケースもあるため、ハイリスクとされています。

3-2.外貨建MMFの取引にかかる税金

外貨建MMFの売却や償還時に発生した譲渡益、為替差益に対して、譲渡所得として、20.315%の税金がかかります。分配金は利子所得として源泉徴収され、税引き後の分配金が再投資されます。外貨建でも日本の税制が適用される点に注意が必要です。

外貨建MMFも特定口座へ組み入れることができます。したがって、株式や投資信託との損益通算が可能です。

4.まとめ

SBI証券が扱う外貨建MMFは米ドル、南アフリカランド、トルコリラの3つの通貨で運用されています。

主に、外貨建金融商品を買うときの資金プール、売却や償還、分配金の払い出し先として利用されるケースが多くあります。通常は外貨預金として運用しておき、外貨建金融商品を買い付けるタイミングで適宜使うのが効率的な使い方です。

ファンドは低リスク運用ですが、為替変動によっては大きな差損を被ってしまう可能性もありますので、外貨建MMFへの投資を検討する場合、為替リスクへの理解を深めておく必要があります。

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sayran

「資産形成をより身近に」をモットーに、証券会社にて投資信託を中心にリスクの低い資産形成をオススメしていました。 テキストではよりわかりやすくみなさんの興味分野を解説し、資産形成の理解を広めていきたいと思っています。