将来の資産づくりのためにマンション投資を検討しているサラリーマンの方は多いですが、マンション投資の始め方や仕組みがよくわからず、踏み出せずにいるという方も少なくありません。
そこで今回は忙しいサラリーマンの方のために、マンション投資の始め方に関する情報をわかりやすくまとめました。「マンション投資の仕組み」「メリット・リスク」「新築か中古か」など、特に不動産投資初心者の方が気になる点を中心に解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1 マンション投資の仕組み
マンション投資とは簡単に言えばマンションを購入し、それを他人に賃貸することで得る収入(=インカムゲイン)と、売却して得られる売却収益(=キャピタルゲイン)を目的とする投資です。それぞれを詳しく見ていきましょう。
1-1 家賃収入(インカムゲイン)
マンション投資の主な収入は、入居者が毎月支払う家賃です。しかし、家賃収入が定期的に得られる一方、建物の階段や室外機といった共用部分の清掃費用や点検費用などの管理費も支出として毎月必要になります。
このほか、外壁の塗装や大規模な修理に備えた修繕積立金、建物を所有することで発生する固定資産税などの各種税金も経費となります。
そのため、マンション投資の総合的な収支(インカムゲイン)は、これらの年間の収入と支出の差額となります。
インカムゲイン(年間収支)=年間家賃収入-年間経費等
なお、インカムゲインがプラス(黒字)である場合、それを蓄積することでローンの返済や別の物件への投資資金に充てることができます。
1-2 売却による収入(キャピタルゲイン)
マンション投資のキャピタルゲインとは、所有している物件を売却した時の収益のことです。
マンション価格も株式などのように変動します。購入時よりも売却額が上回るケースもあれば、逆に下回るケースもあります。マンション価格は経済状況や不動産市況により相場が上下しますが、建物は経年劣化するため資産価格は長期的には下落するのが一般的です。そのため売却損が出ることは珍しくありません。
- 購入時よりも売却額が上回る=売却益
- 購入時よりも売却額が下回る=売却損
しかし、人口増加が望めて都市開発が進むエリアなどではマンション価格が上昇することもあります。人口減少が進む地方ではなかなか難しいですが、都心の一部では再開発などで土地価格、マンション価格の上昇が見られます。
1-3 マンション投資で成功といえるポイント
前述のとおり、マンションは長期的に見れば資産価格が下落しやすいため、売却した場合に売却損となる可能性があります。
マンションという建物の性質上その点はやむを得ないため、マンション購入に要した投資額は、売却するまでのインカムゲインとキャピタルゲインの合計で回収することになります
つまり、マンション投資で成功と判断するポイントは、インカムゲインとキャピタルゲインの合計がマンション購入に要した金額を上回ることになります。
インカムゲイン+キャピタルゲイン>購入に要した投資額
もちろんマンションを購入してから資産価格が大幅に上昇した際に売却してキャピタルゲインを狙う方法もありますが、初心者の方が資産価格の高騰を予想するのは難しいため、まずはリスクが低く、かつ安定的な収入が見込める家賃収入を中心としたマンション投資を検討したほうが良いでしょう。
2 マンション投資の種類
マンション投資といっても「区分マンション投資」「1棟マンション投資」「新築マンション投資」「中古マンション投資」など種類はさまざまです。それぞれを見ていきましょう。
2-1 区分マンション投資と1棟マンション投資
マンション投資の区分(所有)投資とは、マンションを1室単位で購入して賃貸することをいいます。一方、1棟投資はマンションをまるごと1棟購入して賃貸することを指します。
マンションの1室か、マンション全体かという投資単位の違いにより、購入にかかる資金や収入は大きく異なります。
区分投資では数百万円〜数千万円の資金で投資できますが、1棟投資の場合は中古物件でも1億円以上となるケースが一般的です。
2-2 新築マンション投資と中古マンション投資
では投資初心者は新築と中古のどちらから始めれば良いのでしょうか。物件により価格は異なりますが、一般的には新築のほうが中古よりも高額です。
そのため、サラリーマンが取り組みやすい区分投資で考えた場合、資金的な面では中古投資のほうが始めやすいでしょう。
しかし、実際は中古物件の適正評価は簡単ではありません。なぜなら中古物件には築年数経過による「修繕リスク」「空室リスク」「マンション価格の下落リスク」が新築物件よりも大きくなるからです。詳しくは「3-2 マンション投資のリスク」で後述します。
3 マンション投資のメリットとリスク
マンション投資にはメリットが多くある一方、損失につながるリスクもあります。
3-1 マンション投資のメリット
まず、マンション投資の主なメリットは次の6つになります。
- サラリーマンでも始められる
- 老後の備えに役立つ
- 物件の管理を委託できる
- 生命保険の代用になる
- 相続税対策になる
- 所得税の節税効果がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①サラリーマンでも始められる
マンション投資を区分投資で始める場合、中古なら数百万円台、新築なら3,000万円台といった物件から投資することができるため、年収が低くて不安だというサラリーマンの方でも取り組みやすい投資といえます。
自己資金がない方でも不動産会社と提携している金融機関のローンなら、マンション購入にかかる費用の全てを低金利で借り入れること(=フルローン)も可能です。
株式投資やFXなど他の投資では融資を利用した投資は基本的にできませんが、マンション投資は事業の一環であり、建物自体を担保とすることができるため年収が低いサラリーマンの方でも融資可能となっています。
また、自己資金があればローン資金と合わせて、より高額な物件や複数物件への投資が可能となります。
②老後の備えに役立つ
マンション投資で順調に成果を上げることで、定年退職後には投資で得られる収入を毎月の生活費に充てるなど年金代わりとすることも可能です。
日本生命が行ったアンケート調査によると、定年退職後に夫婦二人がゆとりをもって生活するには月35万円が必要だとされています。しかし、高齢夫婦無職世帯の年金受給額の平均は約19万円です(総務省「平成29年度 家計調査報告 速報版より」)。
そこで、老後の足りない生活資金としてマンション投資が注目されています。また、退職前後などの適切な時期に物件を売却してその売却額を生活費に回すこともできます。ほかにも、売却額と退職金等とを合わせて別の高額物件に投資してより多くの年間収支を得るという方法も考えられます。
③物件の管理を委託できる
マンション投資で貸家業を開始すると、「入居者の募集」「家賃の集金」「共用部の管理」などの管理業務が必要になりますが、本業で忙しいサラリーマンの方が行うのは大変です。そこで、管理業務の一部もしくは全てを不動産管理会社へ委託すれば、多くの時間を割かれることはありません。
また、空室率や家賃滞納率の対処に優れた管理会社に依頼することで、家賃の減収リスクを最大限抑えることも可能です。
④生命保険の代用になる
マンション投資でローンを利用して団体信用生命保険に加入しておけば、投資家本人が亡くなった際、保険によりローンが返済されます。そのため投資家の家族は借金の返済義務を負うことなく貸家業を継続することができる上、家賃収入が生活費の心強い味方にもなります。
つまり、マンション投資は実質的に生命保険と収入保障保険のような役割を果たすことも可能です。不動産投資を始めるにあたって、現在加入している生命保険を解約して、浮いた保険料でローン返済に充てるという方もいます。
⑤相続税対策になる
マンションは、現金や有価証券などと異なり、時価評価ではなく別の基準で相続税が決まるため節税効果があります。
マンションの土地は実勢価格よりも低い「路線価」、建物は「固定資産税評価額」で評価されます。路線価とは市街地の土地の価値を算定する方法で、固定資産税評価額は建物の価値を算定する方法です。一般的に路線価で評価される場合は実勢価格の7〜8割程度、固定資産税評価額は実勢価格の6〜7割程度の価格になることが多くなります。
例えば土地5000万円、建物5000万円の合計1億円の価値があるマンションを相続する場合、土地の評価額は3500万円程度、建物は3000万程度の計6500円が課税対象となります。一方、現金では1億円全てが課税対象となります。
また、第三者にマンションを賃貸すると、さらに評価が下がるため現金で相続する場合と比べて相続税評価額が3分の1~4分の1程度になることもあります。
⑥所得税の節税効果がある
マンション投資は貸家業という事業の一種です。投資にかかった経費や減価償却費などは利益から控除できるため、節税効果が期待できます。
なお、減価償却費は“支出しない”費用であるため、所得税等の税率分だけ現金が多く手元に残るというメリットもあります。
また、高額物件などで年間の収益が赤字になる場合などは、サラリーマンの所得と相殺して税金を計算する「損益通算」ができます。その場合、高所得で多くの税金を支払っている方などは多額の還付金を受けることもあります。
3-2 マンション投資の4つのリスク
マンション投資には損失につながる次の4つのリスクに注意しなければなりません。
- 空室リスク
- 家賃下落リスク
- 建物や設備の老朽化リスク
- 売却リスク
①空室リスク
貸家業では借り手の入居・退去が繰り返されることになりますが、退去してから次の入居者が決まるまで空室となるため家賃収入は減少します。空室リスクはマンション経営における最大のリスクとも言われています
なお空室率は、物件の交通の便や周辺環境などの立地条件、人口、建物自体の魅力(人気設備の有無等)などに左右されます。例えば、渋谷、代々木、三軒茶屋、中目黒などは、交通の便が良く、人口も多く、若者にも人気の高いエリアであることから、空室率を抑えたマンション経営ができると考えられます。
②家賃下落・経費上昇リスク
物件により異なりますが、マンション等の賃料は築年経過で下落する傾向があります。また家賃下落は空室リスクの要因とも重なります。立地が悪く、人口が少なく、人気設備のない物件は下落幅が大きくなります。
このほか区分所有の場合、建物が古くなると管理費や修繕積立金、管理会社への委託管理費等の諸経費が上昇します。また、固定資産税等の軽減措置が期間切れとなると税負担が重くなります。
このような経費等の負担増は物件や不動産会社によって異なるため、物件および事業者の選定を間違えると想定外に費用が多くなり、収益を圧迫しかねないため、物件選びは慎重に行うことが大切です。
③建物や設備の老朽化リスク
マンションの建物や設備は経年劣化するものですが、定期的にきちんとメンテナンスしないと築年数以上に悪い状態となります。その結果、マンションの資産価格や家賃が相場以上に下落したり、入居者が寄り付かなくなるなど、大きな減収につながることも考えられます。
④売却リスク
物件購入時にエリア選定で需要が低い場所を選ぶと、マンションを売却する際に想定以上に安い価格でしか売れないことがあります。また、物件管理を怠っていたり、売却実績が豊富でない不動産会社を選んでしまう場合なども、売却額は期待を下回るでしょう
このほか、マンションは株式やFXと異なり短時間で売買できるものでないため、現金が急に必要になった場合、対応は難しいでしょう。
マンションを売却する場合、不動産会社を介して行うのが一般的ですが、「不動産会社の選定・契約」「購入者の募集」「売出計画の立案・実行」といった流れで売買が進められます。購入者の募集開始から成約まで1年以上かかることもあるため、売却に向けた手続きは早めに行うことが大切です。
4 サラリーマンがマンション投資を始める際の2つのポイント
たとえ本業が忙しくても物件は適当に選んではいけません。マンション投資のリスクを回避するためには、次の2つのポイントを押さえることが大切です。
4-1 需要の高い物件を選ぶ
マンション投資で成功するためには、「リスクが小さい物件を選ぶこと」、「投資額が回収できるか事前に慎重に検討すること」が求められます。
不動産会社が勧める物件を言われるままに購入して失敗するケースは少なくありません。投資家の利益よりも自社の利益を優先しようという会社や営業マンもいるため、投資家にも物件の良否を見極める力が求められます。
そのためにはまず、前述したリスクに関する知識を学び、さらに収支計算で物件の投資成果を判定できることが必要です。リスクについては既に紹介した内容をもとに知識を高めましょう。
なお、物件の収益性を判断する指標のひとつに「利回り」があります。利回りには、「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があります。
表面利回りは、年間の家賃収入を物件価格で割ったものです。
表面利回り=年間家賃収入÷物件価格×100
一方、実質利回りは、表面の利回りの計算式に購入にかかった経費や修繕・管理に要した費用を考慮して算出したものになります。
実質利回り=(年間家賃収入-年間諸経費)÷(物件価格+購入時諸経費)×100
不動産屋の収益物件の広告に出されている利回りは、ほとんどが表面利回りです。しかし、物件の利回りを判断する際は、実質的な収益性をあらわす実質利回りで判断するようにしましょう。
4-2 信頼できる不動産会社を選ぶ
マンション投資は不動産会社を通じて行うケースが一般的なため、リスクの少ない物件を選ぶには、不動産会社からの適切なサポートが欠かせません。つまり物件を紹介する不動産会社が信頼できるかどうかも重要なポイントです。
そのような不動産会社を見極めるには、まずは複数の事業者の資料を取り寄せて比較してみたり、不動産セミナーや相談会などに参加して、業者の特徴や専門分野を比較してみると良いでしょう。
主なマンション投資会社
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不動産会社によって専門分野は異なります。マンションではなく戸建が得意だったり、商業施設や倉庫・事務所ビルなどの開発がメインの不動産会社もあります。また、「収益物件としてのマンション販売の実績が多いのか」「企画や開発まで手掛けているのか」「平均的な実質利回りはどれほどか」なども確認することも大切です。
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