富士通とPocket RDのブロックチェーン技術連携について解説

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今回は、富士通とPocket RDのブロックチェーン技術連携について、大手仮想通貨取引所トレーダーとしての勤務経験を持ち現在では仮想通貨コンテンツの提供事業を執り行う中島 翔 氏(Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12)に解説していただきました。

目次

  1. 富士通株式会社とは
    1-1.富士通株式会社の概要
    1-2.富士通株式会社の事業内容
  2. 株式会社Pocket RDとは
    2-1.株式会社Pocket RDの概要
    2-2.株式会社Pocket RDのプロダクトやサービス
  3. 両社の技術連携について
    3-1.技術連携の概要
    3-2.技術連携に至った背景
  4. 富士通の「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」とは
    4-1.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」の概要
    4-2.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」開発の背景
    4-3.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」で提供される技術
    4-4.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」によるビジネス創出
  5. Pocket RDの「Digital Double(デジタルダブル)」とは
    5-1.「Digital Double(デジタルダブル)」の概要
    5-2.「Digital Double(デジタルダブル)」の主な機能
  6. まとめ

23年2月6日、XRテクノロジーを用いたプロダクトの展開を行う株式会社Pocket RDは、総合エレクトロニクスメーカー、総合ITベンダー富士通株式会社との技術連携をスタートする旨を明らかにしました。今回の技術連携は富士通が展開している「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」のグローバル提供スタートに伴って発表されました。

Pocket RDが手がける、複数種類のNFTとウォレットに対応した「Digital Double(デジタルダブル)」に、富士通のKYC(本人確認)およびセキュリティ面の技術を組み合わせることで、よりクリーンなビジネス推進を可能にするということです。

そこで今回は、富士通のKYCおよびセキュリティ面の技術と、Digital DoubleのNFT発行技術について、その概要や特徴などを詳しく解説していきます。

①富士通株式会社とは

1-1.富士通株式会社の概要

FUJITSU
富士通株式会社とは、1935年に設立された日本の総合エレクトロニクスメーカーおよび総合ITベンダーのことを指します。世界180か国においておよそ13万人に上る社員を抱えており、日本国内のみならず、グローバル規模での事業展開を進めています。

富士通では自社のパーパスとして「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」を掲げており、この実現に向けた価値の創造に取り組んでいます。

幅広い領域のプロダクトやサービス、ソリューションなどの提供を行っており、ITサービスの分野においては21年度の売上高ベースで日本第一位を獲得しています。

1-2.富士通株式会社の事業内容

富士通株式会社の主な事業内容は、下記の通りです。

・技術・サービスの提供
5G、クラウド、セキュリティ、AIなど最先端のデジタルテクノロジーをはじめ、ビジネスコンサルティングやアプリケーションマネジメントなど、幅広いラインアップのサービスを提供しています。

・ソリューションの提供
流通や金融など各業種に関するソリューションの提供。現場業務で長年に渡り培ってきた経験およびノウハウをもとに、流通や金融などの各業種に関連する特有の課題に対応できるソリューションや、業務に関わる経営企画や生産管理、経理・財務といったソリューションを提供しています。

・製品の提供
高品質なサーバや、パソコンを始めとしたハードウェアやソフトウェア、ネットワークなど、ビジネスの成長を支える製品の開発や製造、販売を行っています。

②株式会社Pocket RDとは

2-1.株式会社Pocket RDの概要

Pocket RD
株式会社Pocket RDとは、17年11月に設立された、XRテクノロジーを用いたプロダクト開発を行っている企業のことを指します。

そもそもXRとは「Extended Reality」の頭文字を取ったもので、「クロスリアリティ」と呼ばれています。XRは現実世界と仮想世界を融合することによって現実にはないものを知覚できるテクノロジーの総称となっており、「VR(仮想現実)」や「AR(拡張現実)」、「MR(複合現実)」といった技術もXRに含まれています。

Pocket RDはそんなXRの可能性を見出し、「ニッポン発。今、ここにない未来を創る」というビジョンのもと、革新的なXRテクノロジーによってリアルとバーチャルが融合する未来を創り上げることに尽力しています。

2-2.株式会社Pocket RDのプロダクトやサービス

株式会社Pocket RDが手がけている主なプロダクトやサービスは、下記の通りです。

・AVATARIUM(アバタリウム)
「AVATARIUM(アバタリウム)」とは、完全自動でオリジナルアバターの作成ができ、アプリから簡単にカスタマイズすることができるアバタープラットフォームです。

・i avatar(アイアバター)
「i avatar(アイアバター)」とは、写真一枚で、さまざまな世界観で構成された顔パーツアセットからスタイライズドされたアバター生成が可能な「BaaS(Backend as a service)」です。

・Pocket Collection(ポケットコレクション)
「Pocket Collection(ポケットコレクション)」とは、デジタルデータの権利をブロックチェーン技術によって保護することができる、クリエイターの創作活動のためのプラットフォームです。

・Digital Double(デジタルダブル)
「Digital Double(デジタルダブル)」とは、複数のNFTとウォレットに対応している「Web3 BaaS(Backend as a service)」のことを指し、主にNFTおよびアイテム管理機能、ユーザー管理機能、販売・取引機能などを搭載したサービス構築をサポートしています。

なお、今回の技術連携においても、このDigital Doubleの技術が採用されています。

・事業共創
Web3、NFT、メタバースなどの事業化を検討している企業もしくはテコ入れを検討している企業に対して、顧問やコンサルティングという一歩引いた立場ではなく、共感と共汗をモットーとした「伴走型事業企画支援」を提供しています。

③両社の技術連携について

3-1.技術連携の概要

Partnership
冒頭でも触れた通り、23年2月6日、Pocket RDが富士通との技術連携をスタートさせる旨を明らかにしました。

今回発表された技術連携では、前述したPocket RDの「Digital Double(デジタルダブル)」に、富士通が展開している「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」のKYC(本人確認)およびセキュリティ面の技術を組み合わせることで、安心且つ安全で、よりクリーンなビジネス推進が可能な環境を提供するとしています。

3-2.技術連携に至った背景

今回の技術連携は、富士通が展開している「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」の立ち上げに伴って発表されました。

PocketRDは元々、22年10月に富士通の高度なコンピューティング技術とソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」を活用したパートナープログラムである「Fujitsu Accelerator Program for CaaS」への参画を発表しました。

PocketRDが自社で手がける「Web3 BaaS(Backend as a service)」の「Digital Double」との掛け合わせによって、社会課題の解決につながるサービスを企画・検討してきました。そんな中、富士通が23年2月6日にFujitsu Web3 Acceleration Platformを発表。Web3の新サービスの企画や実証実験などを共創するパートナーを対象として23年3月より日本国内で無償提供します。PocketRDはこの機会を利用するために、技術連携に至ったというわけです。

なお、このFujitsu Web3 Acceleration Platformは23年度以降、順次グローバルに向けても無償提供を開始していくということで、業界からは大きな注目が集まっています。

④富士通の「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」とは

4-1.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」の概要

「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」とは、23年2月6日にリリースされたばかりの富士通の新たなWeb3プラットフォームのことを指します。Fujitsu Web3 Acceleration Platformは、富士通が開発したWeb3要素技術、開発環境の提供により、個人や企業が信頼をもってつながり、安全なデータ流通と活用を実現するエコシステムづくりの場を提供します。

富士通が開発したWeb3要素技術の代表例としては「Fujitsu Computing as a Service Data e-TRUST」があり、企業や個人の間でセキュアなデータ流通と活用を実現するブロックチェーンなどを搭載したトラスト機能群となっています。

富士通ではFujitsu Web3 Acceleration Platformを通して、個人や企業が安心してつながり貢献し合うことによって、サステナブルな世界の実現に向けて、社会に必要な価値が自律的に生まれる社会システムへリデザインしていくと語っています。

4-2.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」開発の背景

近年、ブロックチェーンをはじめとする分散ネットワーク技術を活用することで、デジタル空間において個人や企業が互いにつながり、新たな価値を共創できるWeb3が大きな注目を集めています。Web3を駆使することによって、より透明性の高い情報の伝達や活用が可能となり、新たなビジネスモデルの誕生やさまざまな社会問題の解決が期待されています。

そんな中、富士通はFujitsu Web3 Acceleration Platformを通してWeb3開発環境を提供し、新しい体験や価値の創出と、それらを安全に交換、共有、再分配できるエコシステムの構築を強力にサポートしていくとしています。

4-3.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」で提供される技術

Fujitsu Web3 Acceleration Platformでは、企業や個人の間でセキュアなデータ流通と活用を実現する「Data e-TRUST」に加え、「Fujitsu Computing as a Service HPC」や「Fujitsu Computing as a Service Digital Annealer」といった富士通の高度なコンピューティング機能や、アプリケーション機能をAPIとして提供するということです。

Fujitsu Web3 Acceleration Platform

これによって、信頼が担保されたデータをもとに、高度なシミュレーションや組み合わせ最適化技術を活用して、さまざまな社会課題を解決に導く複数のシナリオ(選択肢)を提示することが可能になるとしています。

さらに、これらの「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」上において、Web3に関連する富士通の先進テクノロジーである透過的トラスト技術および「コネクションチェーン」を実装した研究段階の機能や、共創パートナーのサービスも段階的に機能として提供していくということです。

4-4.「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」によるビジネス創出

①分散型自律組織(DAO)による共創社会の実現

  • さまざまな目的に応じて、参加者同士の自律的な合意形成によりプロジェクトが構成され、活動が推進される新たなWeb3サービスの試行開発と実践が可能になる。
  • それぞれの活動の貢献や価値が見える化され、活動の成果として獲得される利益もその貢献度に即して適切に分配される新たなエコシステムを創出する。

②デジタルコンテンツにおける権利管理および利活用

  • 画像や映像といったデジタルコンテンツにおけるクリエイターの権利を保護するため、デジタル上で本物の裏付けを行ったうえで、その流通を拡大させる新たなWeb3サービスの試行開発と実践が可能になる。
  • クリエイターの権利と正当な対価を獲得できる仕組みによって、二次創作や再利用によってさまざまなコンテンツが生み出され、自由に流通できる新たなエコシステムを創出する。

③デジタルトラストの実現

  • より透明性の高い情報の伝達や活用を実現するため、個人情報の漏洩や不正取引などのリスクを回避し、情報への信頼度を担保する新しいWeb3サービスの開発と実践が可能になる。
  • デジタル上における詐欺または詐称を撲滅し、さまざまな取引やデータ・ナレッジの共有に真実性を保証することによって、個人や企業が信頼をもってつながることができる新しい社会を創出する。

⑤Pocket RDの「Digital Double(デジタルダブル)」とは

5-1.「Digital Double(デジタルダブル)」の概要

Digital Double
「Digital Double(デジタルダブル)」とは、複数のNFTとウォレットに対応し、Registrarで「DID(分散型ID)」とトークンを掌握できる「Web3 BaaS(Backend as a service)」のことを指します。

ブロックチェーン技術の活用方法は多岐にわたりますが、Pocket RDでは今後、DIDへの十分な理解とその技術浸透、またそれを管理するウォレットの存在が重要になると考えています。

そこで「新しい概念のビジネス」を進めるクライアントに対して、最先端の技術をBaaSとして提供することで、「DAO(分散型自律組織)」の組成サポートも推進していくということです。

5-2.「Digital Double(デジタルダブル)」の主な機能

①NFTの発行および管理機能

  • トークンの使い分け機能
  • NFTの大量発行機能
  • 収益分配機能
  • Edition機能
  • GATE機能
    NFTと認証が完了しているユーザーに対し、指定したアドレスに設置されているコンテンツを公開することが可能。
  • DID機能
    NFTで付与と紐付けられたデータの権利関係、創作の積み重ね関係を保持。

また、.jpg .png .gif .mov .mp4 .wav .mp3 .glbなど、多くのファイル形式に対応しているため、利便性の高いサービスとなっています。

②ユーザー管理機能

  • ユーザーシステム
    NFTを保有するユーザーをサービス上で管理することが可能。
  • ウォレット連携
    「メタマスク(MetaMask)」などの他のウォレットと連携することが可能。
  • サービス統一ウォレット
    サービスで統一したウォレットの作成が可能。
  • ユーザー単独ウォレット
    「SBT(Soul Bound Token)」などを対象にウォレットをユーザーごとに用意し、アドレス発行が可能。

③販売・取引機能

  • マーケットプレイス機能

⑥まとめ

今回、富士通とPocket RDが技術連携をスタートしたことによって、Web3分野に対して新たな価値提供が可能になると期待されています。

具体的には富士通の「Fujitsu Web3 Acceleration Platform」とPocket RDの「Digital Double(デジタルダブル)」の技術が掛け合わされるということで、富士通が持つKYCおよびセキュリティ面の技術と、Pocket RDのNFT発行技術によってよりクリーンなビジネス推進が可能になるということです。

今回の技術連携によって、今後より安全性の担保されたWeb3のビジネス環境が整備されると見られているため、引き続きその動向に注目していきたいと思います。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12