戸建(一軒家)の売却価格の相場は?相場の調べ方や高く売るコツも

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戸建を所有しているオーナーにとって「自分の戸建の売却価格相場がいくらぐらいなのか?」というのは、大きな関心事であると思います。居住用住宅だけでなく戸建投資をおこなって運用している場合も、売却という出口も並行して考え、シミュレーションしておくことが必要です。

実際に売却しようとしている場合は、高く売るために、売り出す前に売却相場を知っておくことが大切になってきます。

本記事では、築年数による戸建相場への影響と主要地域の最新の相場価格、自分で相場を調べる際の方法、高く売るコツについて解説していきます。

目次

  1. 戸建の売却相場の決定要因と相場価格
    1-1.築年数による相場価格への影響
    1-2.立地の影響と主要地域の相場価格
    1-3.全国の戸建価格の推移
  2. 戸建の売却価格の相場を調べる方法
    2-1.成約事例情報サイトから調べる
    2-2.不動産情報のポータルサイトから調べる
    2-3.シミュレーションサイトから調べる
    2-4.土地価格と建物価格から算定する
  3. 戸建を高く売るコツ
    3-1.建物の陳腐化を見極めて売却する
    3-2.相場を知った上で売却戦略を立てる
    3-3.販売力のある不動産会社に依頼する
  4. まとめ

1.戸建の売却相場の決定要因と相場価格

戸建売却価格の相場は、築年数と立地の影響を大きく受けます。戸建の建物は木造で耐用年数も短く、築年数の経過によって価格相場が大きく下落します。また、戸建は土地の価格割合が大きく、立地の地価によって価格相場が大きく変わってきます。

ここでは、首都圏の築年数の経過ごとの相場価格データと、主要地域の戸建価格相場データを紹介します。ただし、個別の戸建の売却相場は、上述のような理由から、個別の立地と築年数の情報ごとに大きく異なることになります。近年の戸建の価格相場の動向についてもあわせて見て行きましょう。

1-1.築年数による相場価格への影響

中古戸建の売却価格相場は、築年数の影響が非常に大きいといえます。REINS TOPIC(2019年)によれば、首都圏の中古戸建の築年帯別平米単価(単位:万円)は、次のようになっています。

首都圏戸建の築年数による平米単価の推移※レインズ(REINS)「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2019年)」を参照し、筆者作成

築年数の経過につれて、中古戸建の平米単価は床面積・土地面積ともに下落傾向にあります。築25年を超えると、築浅時の半分以下まで落ち込んでいます。

ただし、築25年で木造戸建の建物の再調達価格による評価額が下げ止まることから、25年以降の下落幅は少なくなる傾向にあります。なお、首都圏は比較的土地の価格も高く、築古物件であるほど経年劣化による影響は少ないと考えられます。

1-2.立地の影響と主要地域の戸建売却相場

東日本不動産流通機構の「月例速報 Market Watch(2020年11月発表)」を下に、主要地域ごとの最新の戸建売却価格の相場をみてみましょう。

地域 平均成約価格 平均築年数 平均土地面積 平均建物面積
東京 4,374万円 20年 112平米 104平米
神奈川 3,416万円 21年 150平米 110平米
千葉 1,940万円 25年 202平米 112平米
埼玉 2,096万円 22年 153平米 105平米
愛知 2,624万円 23年 190平米 127平米
大阪 1,790万円 29年 101平米 97平米
兵庫 1,907万円 28年 169平米 106平米
福岡 1,955万円 28年 259平米 120平米

データからは、地域によって平均的な戸建の土地面積にかなり相違があることがわかります。

東京は、平均土地面積が最低レベルであるのに、平均成約価格が圧倒的に高いのが目立ちます。神奈川も、他地域に比較すると、土地面積の割に価格が高いといえます。

東京、神奈川の地価の高さが戸建売却価格に大きく影響を及ぼしているといえるでしょう。

1-3.全国の戸建価格の推移

国土交通省発表の「不動産価格指数(令和2年10月分)」によると、全国の戸建の価格指数は、2010年頃からほぼ横ばいでほとんど変わっていません。

しかし、戸建の価格は立地面積も多く地価上昇の影響を大きく受けることになります。東京など地価が上昇している地域では、戸建価格も上昇するケースも考えられます。

2.戸建の売却価格の相場を調べる方法

戸建の売却価格相場は、立地する地域や築年数その他の条件によって大きく変わってきます。実際に売却しようとしている戸建の価格相場を知るには、自分で条件が類似した物件の取引事例情報を調べるのがよいでしょう。

まず、レインズマーケットインフォメーションなどの成約事例情報サイトから、類似の戸建事例の価格を調べます。ただし、成約事例の情報は大まかな情報になるため、詳細な情報を得るために、不動産ポータルサイトなどの不動産情報サイトも参考にしてみましょう。以下で詳しく解説していきます。

2-1.成約事例情報サイトから調べる

成約事例情報サイトには、国土交通省運営の「土地総合情報システム」と、前述した不動産流通機構運営の「レインズマーケットインフォメーション」があります。

「土地総合情報システム」は、取引時期、不動産の種類、地域の3ステップで、成約事例情報を検索できるようになっています。

地域は、町名や最寄り駅でも検索対象を絞ることができるようになっており、土地の面積、建物の面積、築年数なども掲載されているため、類似の成約取引事例を細かいところまで調べることが可能です。地図上でみることもできるので、取引事例の比較を直感的に行え、相場を知るには有用です。

「レインズマーケットインフォメーション」は、都道府県、地域の2ステップで検索できるようになっており、それ以上の細かい情報を絞ることもできますが、土地面積・建物面積が「80~100㎡」のように登録されており、正確な情報がわかりません。

特に、土地価格の割合が大きい戸建では、面積の正確性は価格にかなり影響を及ぼすため、参考として利用するとよいでしょう。

2-2.不動産情報のポータルサイトから調べる

スーモ、アットホーム、ホームズなどの実際に売り出されている不動産情報のポータルサイトから、売出事例情報を収集して相場を調べる方法もあります。

地域(市区町村)や最寄り駅、最寄り駅からの距離、土地面積、建物面積、間取り、築年数などの基本的な情報で検索できるほか、設備や土地の特徴などについて細かい条件で設定して検索ができます。

長期優良住宅、リノベーションの有無、駐車場の有無、整形地かどうかなどの条件も指定することができます。

売出事例情報を調べることで、売却しようとしている戸建により近い条件の事例情報を調べることができます。戸建の売却価格は個別性が高いことから、できる限り細かい類似の条件の価格情報を収集して比較したいといえ、このようなサイトも活用するとよいでしょう。

ただし、売出情報は売主の希望価格となるため相場よりも高い値付けがされていることも少なくありません。成約事例と比較しながら参考価格として捉えておくと良いでしょう。

2-3.シミュレーションサイトから調べる

Howmaなどのシミュレーションサイトでは、売却したい戸建の住所や土地面積、建物面積、築年数などの基本的な情報を登録すると、AIが最寄り駅や最寄り駅からの距離を割り出し、周辺地域の類似取引データを自動で収集して、相場価格を算出することが可能です。

自動で数分のうちに相場価格を割り出してくれるため、大まかな価格をすぐに知りたいという場合に役立ちます。

2-4.土地価格と建物価格から算定する

土地価格と建物価格から、売却価格相場を算定する方法もあります。それぞれ、以下のように、計算します。

  • 建物価格=再調達原価×(経済的耐用年数―経過年数)÷経済的耐用年数
  • 土地価格=土地の面積×相続税路線価÷0.8

建物価格は、国税庁の建物の標準的な建築価額をもとに、「今、この建物を再建築したらいくらになるか」を求めて算定します。

このような建物部の価格を算出する方法を「原価法」と言います。なお、木造戸建ての経済的耐用年数は20~25年となります。(※国土交通省「中古住宅の建物評価の実態①」を参照)

土地価格は、国税庁の財産評価基準書・路線価図、あるいは、一般財団・地価評価システム研究センターの全国地価マップから、建物が面する道路の路線価(平米単価)を調べ、その路線価に土地面積(平米数)を乗じて求めます。

相続税路線価は市場価格の80%程度となる傾向にあるため、おおよその市場価格はこれを0.8で割り戻すことによって算定できます。

ただし、戸建の売却価格を左右する土地の価格は、土地の形状・接道状況によって大きく変わってきます。形状は、整形地や高低差のない土地の方が高くなります。

また、接道については、私道より公道である方が、そして、幅が狭いより広い方が価格は高くなるといえます。接道が建築基準法の道路でない場合、建物の再建築ができず、周辺相場の半分以下の価格になることもあるので注意しましょう。

3.戸建を高く売るコツ

戸建の売却価格相場を知ることで、売却戦略を立てることができ、結果的に高く売ることができるようになるでしょう。また、販売力のある不動産会社に依頼することも高く売るには重要となります。

3-1.建物の経年劣化を見極めて売却する

木造戸建は建物の評価額が経年劣化により下落していきます。また、前述のグラフのように法定耐用年数の築22年前後まで、建物価格の下落スピードが速い傾向があります。

新築・築浅で購入した戸建を売却するのであれば、このような下落傾向から時期を見極めることが大切です。ローンで購入した場合は残債と査定価格のバランスを見ながら、売却タイミングを推し測ってみましょう。

3-2.相場を知った上で売却戦略を立てる

戸建を高く売るには、売出価格をいくらで設定し、価格交渉が入ったときはいくらまで妥協するのか、あるいは、売出価格をいつどのくらい下げるのか、などの売却戦略を立てることが重要です。

そのためには、事前に適切な相場価格を把握することが重要となります。また、戸建は個別性が特に高いことから、建物や土地の個別条件をどのようなターゲットに対してアピールしていくのか、どのように価格に織り込んでいくかが売却戦略の大きなポイントになります。

3-3.販売力のある不動産会社に依頼する

不動産の売却は、不動産会社によって得意不得意があります。戸建の売却を専門としている、もしくは売却しようとしている戸建と似たような物件の売却実績がある不動産会社に売却を依頼することを検討してみましょう。

不動産会社の販売力を推し測る際は、売却に関する提案力があるかどうかも判断要素とすることも重要です。

売却依頼する不動産会社を探すのであれば、不動産一括査定サイトを利用することで効率的に進めることができます。不動産一括査定サイトは、複数の不動産会社へ同時に査定依頼ができ、査定結果や査定の根拠、担当者の対応力を比較することが可能です。

下記、主な不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは悪徳な不動産会社の排除を積極的に行い、全国エリアに対応している特徴があります。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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なお、不動産一括査定サイトで査定を受けたとしても、その後必ず売却しなければならないわけではありません。査定価格が希望に届かない場合や、価格次第で売却を検討する際にも利用できるため、定期的に査定を受け、価格下落の傾向を調査することも検討してみましょう。

まとめ

戸建の売却価格相場は、成約事例情報サイトや売出事例情報サイトを利用して、地域、最寄り駅、最寄り駅からの距離、土地面積、建物面積、築年数、の項目が類似する物件の価格と比較して相場を調べることが可能です。

また、原価法によって土地の路線価と建物の再調達原価から価格を算定する方法や、不動産会社による査定を定期的に受ける方法も検討できます。

不動産の売却相場を知ることで、戸建の売却戦略に生かすことができます。個別性の高い戸建を高く売るには、相場から建物の経年劣化による価格下落のタイミングを見極め、慎重に検討していくことが重要と言えるでしょう。

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佐藤 永一郎

筑波大学大学院修了。会計事務所、法律事務所に勤務しながら築古戸建ての不動産投資を行う。現在は、不動産投資の傍ら、不動産投資や税・法律系のライターとして活動しています。経験をベースに、分かりやすくて役に立つ記事の執筆を心がけています。