不動産査定の査定価格・売出価格・成約価格の違いは?不動産売却の流れも

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不動産売却の段階によって「査定価格」「売出価格」「成約価格」というように、不動産価格を表す言葉が変化していきます。

初めて不動産売却をする方は混同することもあるでしょう。そこで今回のコラムでは、それぞれの価格の意味を解説していき、どの段階で使われるのか、価格が異なる背景についても詳しく解説して行きます。

目次

  1. 不動産売買の際に用いられる4つの価格
  2. 不動産売却の段階によって価格が変わる流れ
    2-1.不動産の売却相場
    2-2.査定価格
    2-3.売出価格
    2-4.成約(売却)価格
  3. まとめ

1 不動産売買の際に用いられる4つの価格

不動産売却をする際、売却の段階によって1つの物件に対する価格の呼び方が変わります。代表的な価格とその意味を、下記の表にまとめました。

価格 価格の意味
相場価格 物件が市場で取引されているおおよその価格
査定価格 不動産会社が物件の状態を調査して設定する価格
売出価格 不動産市場で販売を開始する際の価格
成約(売却)価格 売主と買主の間で不動産売買が成立した価格

このようにたくさんの価格が使われるのは、不動産売買が主に仲介によって行われており、売主と買主による1対1の相対取引という側面があるからです。

不動産市場で販売される中古物件には製造コストや流通コストがなく、売出価格は売主の言い値になります。価格をつける際に参考にする価格や、実際に市場で売り出すときの価格、成約するときの価格といったように複数の価格があるのです。

不動産の売却にはいくつかステージがありますが、その段階に合わせてこのように価格が変わっていきます。次の項目で見ていきましょう。

2 不動産売却の段階によって価格が変わる流れ

不動産売却がどのように進むのか理解すると、価格の名称と意味が変わっていく理由が分かりやすくなります。不動産売却は主に下記のような流れになります。

  1. 過去の成約事例やポータルサイトで価格を調べる(相場価格)
  2. 不動産会社を探して査定を依頼する
  3. 査定価格が提示される(査定価格)
  4. 売却活動を行ってもらう不動産会社を選ぶ
  5. 媒介契約を結ぶ
  6. 価格を決めて売却活動を始める(売出価格)
  7. 内覧などに対応する
  8. 買主候補からの価格交渉に対応する
  9. 買主が見つかったら売買契約を結ぶ(成約価格)
  10. 物件を引き渡す

それぞれの価格についてより詳しく見てみましょう。

2-1 不動産売却の相場価格

相場価格は、過去の取引事例や現在の売出状況などから判断される価格です。相場価格を知ることで、いくらで取引されているかが分かるため、査定価格、売出価格、成約価格などを判断する際に役立ちます。

相場価格を調べるには下記のような方法があります。

成約事例情報サイトで調べる

成約事例情報サイトで、類似物件の取引事例を調べることでおおよその相場価格を知ることができます。代表的な成約事例情報サイトは、国土交通省から依頼を受けて運営している不動産流通機構の「レインズマーケットインフォメーション」です。

エリアや沿線、駅、専有面積、築年数などを、売却を予定している物件と同じにして検索をすると、1年間で成立した取引の販売価格や成約価格が掲載されます。これらの価格からおおよその相場価格を探ることができます。

不動産情報ポータルサイトで調べる

SUUMOなどの不動産情報ポータルサイトには、販売中の不動産情報が多数掲載されています。この不動産情報ポータルサイトで、「地域」「物件種別」「専有面積」「最寄り駅」「間取り」「築年数」などの条件を売却予定の物件に合わせて検索を行います。

販売中の物件が一覧で表示されるので、その価格の平均値を探っていくことでおおよその相場価格が分かります。

2-2 査定価格

査定価格とは、不動産会社が物件を査定して提示する価格です。不動産会社では、物件の状態のほか、相場価格などを独自で調べて計算しています。

査定価格は「◯◯円であれば売却できる可能性がある」という推測の価格で、不動産会社や営業担当者によって差があります。複数の不動産会社に査定してもらったり、査定の根拠についてヒアリングすることでより適正な相場価格を導き出すことができます。

複数の不動産会社に査定をしてもらうには、不動産一括査定サイトを活用すると効率的です。下記の表に代表的な不動産一括査定サイトをまとめていますので、査定を依頼する際は利用を検討されてみると良いでしょう。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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2-3 売出価格

不動産市場で売り出す際に初めてつけた価格を売出価格と言います。この売出価格は、相場価格や査定価格をもとにしながら、高めに設定することがあります。それは買主候補が価格交渉をすることがあるためです。

例えば、5,000万円で販売されていた物件に対して、買主候補が4,500万円なら購入するといった価格交渉を持ちかけることがあります。このとき、売主が了承すれば売買交渉が成立することになります。

このような価格交渉を「指値交渉」と呼び、指値に備えて相場よりもやや高めに売出価格を設定するケースが多くなっています。ただし、相場よりも高く設定しすぎると買主の候補に挙がらず、なかなか反応が得られない可能性があることに注意が必要です。

2-4 成約(売却)価格

成約価格は、その名称通り、売主と買主の間で売買の契約に合意した価格です。これまで紹介したように不動産価格は価格交渉などで変動するため、成約価格が、査定価格や売出価格と異なることは少なくありません。

例えば、下記のような例もあります。

  • 不動産会社が提示した査定価格:5,000万円
  • 販売を開始したときの売出価格:5,500万円
  • 半年間売れなかったので値下げした後の販売価格:5,200万円
  • 買主候補からの価格交渉の金額:4,800万円
  • 契約に合意した成約価格:4,900万円

不動産を売却するには、このように価格が変動していくこととなります。その都度相場価格や不動産市場の状況を判断しながら、売主として適切に価格を設定することで納得のいく不動産売却を目指していくことが重要なポイントとなってきます。

まとめ

物件が同じでも、不動産売却のステージによって価格の種類がいくつもあります。今回は大きく4つに分けられることを紹介しました。不動産売却の際に混同しないように、適切に覚えておくことが大切です。

特に、不動産会社による査定価格は大きな差が生まれやすいポイントと言えます。不動産一括査定サイトを活用するなどして、出来るだけ複数社の査定結果を比較されてみると良いでしょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。