マンションを売却したら税金はいくら発生する?特別控除や軽減税率も徹底解説

マンションを売却すると何の税金がいくら発生するのか、どのように計算すればいいのかを詳しく知らないという方もいらっしゃるでしょう。不動産の売却では、課税される税金の種類や計算方法、節税効果のある税制上の特例措置を知っておくことは、税金を不要に払い過ぎないためにも大切です。

この記事では、マンション売却時にかかる税金の内容および計算方法、またマンション売却で利用できる税制上の特例をご紹介するとともに、節税につながるヒントを解説しますので、ご参考ください。

目次

  1. マンション売却で発生する税金の種類と計算方法
    1-1.譲渡所得税・住民税
    1-2.登録免許税
    1-3.印紙税
    1-4.消費税
  2. マンション売却で利用できる特例
    2-1.特別控除の特例
    2-2.軽減税率の特例
    2-3.特定居住用財産買い換えの特例
    2-4.買い換え時の譲渡損失の損益通算・繰越控除
    2-5.譲渡損失の損益通算・繰越控除
    2-6.事業用資産買い替えの特例
  3. まとめ

※記事内の情報は2019年6月時点のものとなります。

1 マンション売却で発生する税金の種類と計算方法

マンション売却にかかる税金はおもに次の4つがあります。

  • 譲渡所得税・住民税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 消費税

1-1 譲渡所得税・住民税

マンションを売却して譲渡所得が生じた場合、その譲渡所得に対して税金が発生します。一般に譲渡所得税と呼ばれますが、その内訳は所得税と住民税です。譲渡所得税は以下の計算式で求めます。

譲渡所得税={②譲渡価額-(①取得費+③譲渡費用)}×④税率

①取得費は、マンションを取得するためにかかった費用で、次の計算式から求めることができます。

取得費=「物件の購入費用」+「物件を取得するためにかかった費用」-減価償却費

①取得費を求める方法

「物件の購入費用」として認められるものは、マンション(土地・建物分)の購入価額です。「物件を取得するためにかかった費用」には、マンションを購入するための「不動産会社への仲介手数料」をはじめ、様々な必要経費を計上できます。そのため、必要経費となる費用を漏れなく計上して節税を図ることが重要です。

「物件を取得するためにかかった費用」として計上することが認められる経費には、次のものが挙げられます(※のものは、事業用不動産の場合は認められません)。

  • マンション購入のための不動産会社仲介手数料
  • マンション購入のため、以前の所有者等へ支払った立ち退き料
  • 売買契約書に貼付した印紙税額※
  • マンション購入のための登録免許税・司法書士報酬などの登記費用※
  • マンション購入時の不動産取得税※

取得費を求める計算では、最後に減価償却費を差し引きます。マンションなどの建物は、年数を経るごとに経年劣化してその価値が減っていきます。そのため、建物購入にかかった当初の費用から経過年数に応じた価値の減少分(減価償却費)を差し引くことになっています。なお減価償却率は、建物の種類(鉄骨鉄筋・木造など)に応じて決められています。

②「譲渡価額」を求める方法

②「譲渡価額」は、マンションの売却額です。

③譲渡費用を求める方法

③譲渡費用は、「不動産会社の仲介手数料」をはじめ、様々な必要経費を計上することが認められています。そのため必要経費となる費用を漏れなく計上して節税を図ることが重要です。譲渡費用として計上することが認められるものは、次の通りです。

  • マンション売却のための不用品処分費用
  • マンション売却のための不動産会社仲介手数料
  • 売買契約書に貼付した印紙税額
  • マンション売却のための立ち退き料

なお、以下の費用は「譲渡費用」として認められないことに注意が必要です。

  • 修繕・リフォーム費用
  • 住宅ローン弁済費用
  • 抵当権抹消費用
  • 引っ越し費用

④税率について

譲渡所得税は、利益が生じた場合に課税されます。譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間に応じて決まり、不動産の所有期間が5年超か否かで下表の通り異なります。

不動産の所有期間 5年超 5年以下
区分 長期譲渡所得 短期譲渡所得
税率 20.315%
(内訳:所得税15.315%、住民税5%)
39.63%
(内訳:所得税30.63%、住民税9%)

(注)税率には、復興特別所得税が加算されています。

不動産の所有期間は、不動産を売却する年の1月1日時点までで計算されることに注意が必要です。例えばマンション購入時期が「2014年4月1日」で、マンション売却時期が「2019年7月1日」の場合、実質的なマンション所有期間は5年3ケ月ですが、譲渡所得税を算出する場合の所有期間は、マンションを売却する年(2019年)の1月1日時点で計算することになっているため、「4年9ケ月」と判定されます。

不動産の所有期間が5年以下の短期譲渡所得に該当すると、倍近く高い税率が適用されることになります。上記例で長期譲渡所得の適用を受けるには、翌年の2020年1月1日以降に売却する必要があります。

このように譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間に応じて大きく違ってきます。マンションに限らず不動産を売却する場合は、特別な事情がある場合を除き、5年超の所有後に売却すると長期譲渡所得の適用を受けることができ、税金が安くなります。

1-2 登録免許税

売却予定のマンションに住宅ローンの残債が残っている場合は、売却前に住宅ローンを完済し、金融機関が設定した抵当権を抹消しなければなりません。住宅ローンにかかる抵当権は、ローンをすべて返し終わっても金融機関側で抹消してくれないため、自分で抹消手続きを行う必要があります。

抵当権抹消にかかる登録免許税は、原則として不動産1件につき1,000円で、土地と建物は別々にカウントします。区分所有マンションの場合、土地部分と建物(部屋)部分それぞれ1件ずつで合計2件・2,000円になります。一般的な1戸建ての場合は、土地と建物それぞれ1件ずつで合計2件の2,000円になります。

なお、マンションの場合は、土地部分が複数の土地にまたがって建てられているケースもあります。複数の異なる地権者が所有する土地の上に建物が建てられている場合です。このようなとき、土地の登録免許税は1筆につき1件・1,000円と計算されます。建物が4筆の土地にまたがって建てられているなら、土地分4,000円+建物(部屋)分1,000円で合計5,000円となります。

このほかマンション売却では、買主への所有権移転登記も必要になりますが、その費用(登録免許税・司法書士報酬)は買主が負担することもあれば、双方で負担することもあります。後のトラブルを避けるために、契約内容にどちらが負担するかを明記しておくと良いでしょう。

1-3 印紙税

マンションを売却する場合、不動産の売買契約書を作成し、そこに収入印紙を貼付する必要があります。収入印紙を購入して契約書に貼ることで、印紙税を納税することになります。

売買契約書は売主と買主が1通ずつ保管するため、収入印紙は2セット必要で、費用は売主と買主が1セット分ずつ負担します。印紙税額は、契約金額に応じて次の通り定められています。

売買価格(※契約書に記載の額) 印紙税額
500万円超~1,000万円以下 5,000円
1,000万円超~5,000万円以下 10,000円
5,000万円超~1億円以下 30,000円
1億円超~5億円以下 60,000円

(注)契約金額が10万円を超える不動産売買契約書は、2020年3月31日までの間に作成されるものについては軽減税率が適用されています

なお、買主が原本を保管し、売主側はコピーの副本を保管すれば、1セット分の節約も可能です。

1-4 消費税

マンションの売却時には不動産会社に仲介手数料を支払います。なお仲介手数料には消費税がかかり、不動産の売買価格に応じて、以下のように上限額が決まっています。

売却価格が400万円を超える場合 売却価格×3%+6万円+消費税
売買価格が200万円超400万円以下 売買価格×4%+2万円+消費税
売買価格が200万円以下 売買価格×5%+消費税

マンションの売却額が高くなれば仲介手数料も上がり、消費税額も高くなります。例えばマンションの売却額が5,000万円なら、仲介手数料は(5,000万円×0.03+6万円)×1.08=168万4,800円(内消費税12万4,800円)となります。

また、前述した抵当権抹消のため司法書士に手続きを依頼する場合は、その報酬にも消費税がかかります。

このほか、建物本体にも消費税がかかる場合があります。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える法人または個人事業者が事業用の不動産を売却する場合は、建物分に消費税がかかります(土地分は非課税)。

個人であっても、マンション経営などを行い売上高要件が満たされていれば、賃貸用マンションの売却時には消費税がかかります。その場合の消費税は、買主が負担することになります。

2 マンション売却で利用できる特例

不動産売却で用意されている様々な特例を利用すれば、課税所得を引き下げ、支払う税金を抑えることができます。

2-1 マイホームを売ったときの特例

マイホーム(居住用財産)の売却で、一定の要件を満たせば、所有期間にかかわらず譲渡所得から最高3,000万円までが控除されます。

売却時に居住していなかった家屋や敷地等は、居住しなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること、また、家屋を取り壊した場合は、取り壊した日から1年以内にその敷地の売却契約が締結されていることが要件となっています。

2-2 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

所有期間10年超のマイホームの売却で、一定の要件を満たせば、3,000万円特別控除の特例適用後の譲渡所得に対し、長期譲渡所得の税率より低い軽減税率が適用されます。売却時に居住していなかった、または家屋を取り壊した場合の取り扱いは、「マイホームを売ったときの特例」と同じです。

2-3 特定のマイホームを買い換えたときの特例

マイホームを2019年12月31日までに売却して他に買い換える場合、一定の要件を満たせば、譲渡所得に対する課税を将来に繰り延べることができます。ただし、買い換える対象は、「床面積50㎡以上」「土地面積500㎡以下」で、旧マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年の間に買い換えることが要件となっています。

2-4 マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除

マイホームを2019年12月31日までに売却して新しいマイホームに買い換えた場合、旧マイホームに譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得など他の所得と損益を通算できます。

また、譲渡の年に損失を控除しきれない場合は、翌年以降最長3年間にわたり損失を繰り越すことができます。買い換えるマイホームは、床面積が50㎡以上で、旧マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年の間に買い換えることが要件となります。

2-5 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算・繰越控除

住宅ローンが残っているマイホームについて、住宅ローン残高を下回る価格で売却して譲渡損失が生じた場合、一定の要件を満たせば、給与所得や事業所得など他の所得と損益を通算できます。また、譲渡の年に損失を控除しきれない場合は、翌年以降最長3年間にわたり損失を繰り越すことができます。

上記の「マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算・繰越控除」とは異なり、マイホームの買い換えを行うのではなく、売却契約を締結した日の前日時点で、譲渡損失が生じたマイホームに償還期間10年以上の住宅ローン残高があることが要件となっています。

2-6 事業用の資産を買い替えたときの特例

個人が、事業用の不動産(土地・建物等)を譲渡して、一定期間内に特定の地域内にある買換不動産を取得し、取得の日から1年以内に買換不動産を事業用として利用したときは、一定の要件を満たせば、譲渡益の一部に対する課税を将来に繰り延べることができます。

3 まとめ

マンションの売却では様々な税金が発生し、中でも税額の大きいものは譲渡所得税・住民税となります。しかし、物件の所有期間による長期譲渡所得の適用や税額の算出における各種の必要経費計上、さらに、税制上の様々な特例の適用により譲渡所得税・住民税を圧縮したり、繰り延べたりすることができます。

マンション売却を予定されている方は、この記事を参考に、税金がいくら発生するのかを試算してみると良いでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」