マンションを売却する際、立地や管理状態などで物件価格は上下しますが、依頼する不動産会社の違いも売却価格や売却までの時間に大きく影響してきます。
この記事では売却の際に、どのようにしたら信頼できる不動産会社を見つけることができるかをご紹介します。
目次
- 最も高い査定価格を提示する不動産会社を選ぶ
1-1.不動産一括査定サイトを利用する
1-2.訪問査定まで複数の不動産会社を利用する
1-3.不動産会社が高く売却しようとしているかどうか - 契約の仕方や不動産会社を変えてみる
2-1.専属専任媒介契約
2-2.専任媒介契約
2-3.一般媒介契約 - 売却に強い不動産会社かを確認する
- 大手不動産会社の特徴
4-1.支店数や顧客数が多い
4-2.購入客をすでに抱えている可能性がある
4-3.問題が発生した時に対応が可能
4-4.営業マンの融通が利かない可能性がある - 中小の不動産会社の特徴
5-1.地域密着型で地域の顧客を抱えている可能性がある
5-2.いざという時に融通が利く
5-3.問題が発生した時に不利 - 不動産会社が積極的かどうか
- まとめ
1.最も高い査定価格を提示する不動産会社を選ぶ
マンションを売却する際は不動産会社に査定を依頼し、売り出し価格を見積もります。その中で最も高い価格を提示した不動産会社に依頼するという方法があります。査定の依頼の仕方について見てみましょう。
1-1.不動産一括査定サイトを利用する
自分で複数の不動産会社を当たって査定を依頼するには、その都度アポイントを入れたり、資料を準備したりしなければいけないため、手間暇がかかります。効率的に複数の不動産会社に査定を依頼するには、不動産一括査定サイトを使うと良いでしょう。
不動産一括査定サイトでは、一度情報を入力すれば複数の不動産会社がその情報から売買価格を査定してくれる仕組みになっています。そこで最も高い査定価格を出した不動産会社に依頼するという考え方もあります。
主な不動産一括査定サイト
名称 | 運用開始 | 提携不動産会社数 | 利用者数・件数 |
---|---|---|---|
すまいValue | 2016年 | 6社 | 2023年度の成約件数11万件以上 |
LIFULL HOME’S | 不明 | 1,783社 | サービス利用者数476万人以上 |
イエウール | 2014年 | 1,800社以上 | 利用者数1,000万人以上、売却成立サポート件数年間20万件 |
HOME4U | 2001年 | 約1,300社 | 売却査定数・累計35万件以上 |
1-2.訪問査定まで複数の不動産会社を利用する
しかし、査定価格が出そろったからと言って、すぐに1社に絞るのはあまりおすすめできません。査定は2回行われるからです。
売却の際の査定は、簡易査定と訪問査定の2回に分けて行われます。簡易査定は机上で価格を試算したもので、その価格で話を進めても良い場合には訪問査定に移ります。訪問査定は机上ではなく、不動産会社の担当者が実際に物件を見て価格を査定する方法です。この2回の査定で売り出し価格を決めることになります。
査定を依頼した際に注意したいのは、簡易査定で最も高い価格を出した不動産会社が訪問査定でも最も高い価格を提示するとは限らないということです。簡易査定で低い価格を出した不動産会社が、訪問査定では高い価格を提示する可能性もあります。そこで、訪問査定が終わるまでは複数の不動産会社に査定を依頼して判断することが大切です。
不動産会社の中には、最初は依頼を受けるために高い査定価格を提示し、あとで低い価格に下げる、という不動産会社もあります。そのような会社を除外するためにも、初期段階ではあまり焦らないようにしましょう。
1-3.不動産会社が高く売却しようとしているかどうか
不動産会社が高い価格で売却しようとしているかどうかも、価格に影響してきます。不動産会社の中には価格を下げて売れやすくし、買主と売主の両方から手っ取り早く仲介手数料を得ようとする会社もありますので、急に価格を下げる提案を受けた場合は注意が必要です。
逆に積極的に高い価格で売却をしようとする不動産会社もありますので、そのあたりの見極めも必要になってきます。
2.契約の仕方や不動産会社を変えてみる
仲介を依頼する際の不動産会社との契約方法には3種類あります。それぞれメリットとデメリットがありますので、募集の反応を見ながら契約方法も検討することが大切です。3種類の契約方法について見てみましょう。
2-1.専属専任媒介契約
この契約では、仲介を1社の不動産会社にしか依頼することができません。また、自分で見つけてきた買主であっても不動産会社を通して仲介をしてもらうことになりますので、3種類の契約方法の中では最も縛りが強い契約と言えるでしょう。
この契約では不動産会社にも、不動産会社が共通して使用するネットワークに物件情報を掲載する義務と、1週間に1回以上売主に販売活動の状況を報告する義務が発生しますので、不動産会社にとっても縛りがある契約と言えます。
2-2.専任媒介契約
この契約も専属専任媒介契約と同じように、仲介を1社にしか依頼できません。専属専任媒介契約との違いは、自分で探した買主はその会社を通さずに契約しても良い点と、ネットワークに掲載するまでの期限が数日だけ長くなる点、販売活動を報告すべき回数が減る点です。
2-3.一般媒介契約
この契約では仲介の依頼を複数の不動産会社にすることができます。自分で探した買主との契約もその会社を通さずにできますし、不動産会社はネットワークに情報を掲載する義務や、販売活動の報告義務がなく、他の契約法と比較すると双方に縛りが少ない契約です。
以上のように、仲介を依頼する不動産会社との契約には3種類の契約方法があります。それぞれの契約でメリットやデメリットがあります。
例えば、一般媒介契約では複数の不動産会社に依頼できますので告知できる範囲が広がりますが、不動産会社からすると、他の不動産会社で仲介が決まった場合に販売活動が無駄になる可能性があるため、あまり積極的に販売活動をしない可能性も考えられます。
このように、それぞれの契約にメリットとデメリットがありますので、なかなか売却できない場合は状況を見ながら契約方法を変え、いくつかの不動産会社で売却を試すことも考えた方が良いでしょう。以下に契約方法と特徴の一覧を記載しておきます。
項目 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 一般媒介契約 |
---|---|---|---|
複数の不動産会社への依頼 | × | × | ○ |
自分で見つけた買主との直接契約 | × | ○ | ○ |
情報ネットワーク(REINS)への登録(媒介契約からの日数) | 5日以内 | 7日以内 | 義務なし |
販売活動報告の頻度 | 1週間に1回~ | 2週間に1回~ | 義務なし |
3.売却に強い不動産会社かを確認する
不動産会社が行う業務には賃貸や販売、仲介など種類が豊富にあり、基本的には一つの不動産会社が全ての業務を行っているわけではありません。そのためマンションの売却の際は、依頼する不動産会社が売却に強い会社であるかどうかも、売却価格や売却が完了するスピードに影響します。それを見分けるには、売買実績を見ることが大切です。
賃貸だけを行っていたり、売買でも新築の販売だけを行っていたりする会社では売却のノウハウがなく、依頼をしてもうまく売却できない可能性があります。中には売買をしたことがないのに、依頼を受けるだけ受けるという不動産会社もありますので、注意が必要です。なるべくサイトなどで調べて、売却実績が豊富な会社に依頼することが大切です。
4.大手不動産会社の特徴
不動産会社には全国に支店を持つような大手の会社もあれば、地域密着を会社の方針に掲げ、数人で営業をしているような小さい会社もあります。それぞれに特徴があり、不動産の売却にも影響してきます。まずは大手不動産会社の特徴について見てみましょう。
4-1.支店数や顧客数が多い
大手不動産会社の場合、色々な場所に支店を持っていますので、支店のネットワークが使える分、広い地域から買主を見つけやすいことが考えられます。
4-2.購入客をすでに抱えている可能性がある
大手不動産会社は支店が多く顧客数も多いという特徴から、マンション購入を検討しているという顧客を一定数抱えている可能性があります。また、すでに不動産を保有している顧客が住み替えや投資用不動産として買い増しを検討している場合もあるでしょう。
4-3.問題が発生した時に対応が可能
大手の不動産会社はグループ内に多くの会社を抱えているケースが多くなりますので、物件の売却期間中に何か問題が発生した場合に、ワンストップで対応できることが考えられます。その場合、他の不動産会社を探したり、引継ぎをしたりする手間暇が省ける点でメリットになります。
4-4.営業マンの融通が利かない可能性がある
大手の場合、ちょっとしたことでも上司の許可を得たり、マニュアル通りに物事を進めたりしなければいけない可能性があります。そのため、融通が利かず、話を進めるのに思った以上に時間がかかることが考えられます。
全ての場合でそのような対応になるというわけではありませんが、大手には複雑なマニュアルなどがあるため、必ずしも柔軟な対応が期待できるわけではないことを知っておきましょう。
5.中小の不動産会社の特徴
大手の不動産会社の場合には支店などがあり、ネットワークの広さがメリットになりますが、中小の不動産会社には支店がないことが多くなります。中小の不動産会社には、どのような特徴があるのかを見てみましょう。
5-1.地域密着型で地域の顧客を抱えている可能性がある
中小の場合、大手のように支店展開をしていないため、地域に密着した営業活動をしていることが多くなります。地域の顧客の中には、そのエリアの物件を購入したい、という人がいることも考えられるため、そのような場合は条件が合えばすぐに売却できる可能性が高くなります。
5-2.いざという時に融通が利く
中小企業であれば、社員と社長との距離が近い可能性があり、いざという時にも即決をしてくれたり、融通が利いたりする可能性があります。即断即決がしやすい点が大手とは違う部分になります。
5-3.問題が発生した時に不利
大手であれば、管理会社や仲介の会社など、グループ内にいくつもの会社を抱えている可能性が高いため、分野の違うことを依頼しても対応をしてくれることが考えられます。
しかし、中小の場合、グループ企業が無いことが多くなりますので、分野が違うとその会社では対応できないことが考えられます。その場合は、その部分だけ他の会社に依頼する手間が増えることになります。
6.不動産会社が積極的かどうか
マンションの売却がすぐに決まるかどうかは、物件の条件などだけではなく不動産会社の担当者が積極的かどうかも影響します。最初に買主と直接話をするのは不動産会社の担当者です。買主が最初に問い合わせた際に不動産会社が積極的かどうかで、内覧など次のステップに進むかどうかが違ってきます。
大手か中小かに関わらず、不動産会社が積極的に売却活動をしてくれなければ話はスムーズに進みませんので、担当者の積極性などを見て依頼することも、スムーズに売却活動を行うためには重要な要素と言えます。
まとめ
マンションを売却する際の不動産会社の見つけ方についてご紹介しました。売却に失敗しないためには、仲介をする不動産会社が売却実績のある会社かどうかといったことや、不動産会社が売却に積極的かどうか、といったことが大きく関係してきます。
できるだけ早く、高い価格で売却するには、売却において実績と信頼のある不動産会社を選ぶことが大切です。不動産会社を探す際は、あわてずに不動産会社を見極めながら探すようにしましょう。
西宮光夏
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