不動産投資のリスク対策には、分散投資が有効な手段です。都心で複数のマンションを同時に運用するのも、分散投資に関する選択肢と言えます。
しかし、都心のマンションには物件価格や利回りなどの点で特徴があるため、デメリットやリスクも把握しておかないと、期待したほどの利益が出ない結果になることがあります。
この記事では、都心でマンションを複数運用するメリットや要注意のデメリットなどについて解説します。
目次
- 都心のマンションを複数運用するメリット
1-1.空室リスクの対策になる
1-2.キャピタルゲインの期待も大きい
1-3.単身者向けの投資なら管理の手間が少ない - 都心のマンションを複数運用するデメリットや注意点
2-1.郊外の物件と比較して低利回りになる
2-2.不動産会社の比較が難しい
2-3.不動産投資ローンの使い過ぎに要注意 - まとめ
1.都心のマンションを複数運用するメリット
都心のマンションを複数運用するメリットは、空室リスクを抑制させられる点と、再開発によるキャピタルゲインを狙える点などです。
1-1.空室リスクの対策になる
マンション投資では特に空室リスクに注意する必要があります。アパート投資とは違って1戸ずつ運用していくため、空室期間中は収入が入ってこないためです。都心は人口の多いエリアであり、不動産投資において人口が多いエリアで投資することは、空室リスクの抑制につながります。
賃貸需要の多い都心で複数のマンションを運用していれば、1つの住戸で空室が発生したとしても、他の住戸から入ってくる家賃収入で損失を穴埋めできます。これらの背景があることから、都心で複数のマンションを同時に運用する手法は、空室リスクの低い運用方法と言えるでしょう。
1-2.キャピタルゲインの期待も大きい
市街地再開発によるキャピタルゲインも狙える点は、都心のマンション投資が持つ大きなメリットです。市街地再開発によって都市の利便性が向上すると、人口が集まってくるため、住宅需要も増加します。
また、都心のマンションは、駅から近いエリアなど利便性の高い場所に建っていることが多く、市街地再開発の恩恵を受けやすいものです。再開発によって住宅需要が増加すれば、もともと利便性の高いエリアに立地しているマンションでは、キャピタルゲインを期待できます。
1-3.単身者向けの投資なら管理の手間が少ない
郊外と比較すると都心には単身者が多いため、都心のワンルームマンション投資では空室率の低い運用を期待できます。
例えば、東京都「令和2年国勢調査人口及び世帯数(速報)」によると、東京23区内における2020年の世帯当たり人口は1.87人です。また、東京23区では2015年から2020年にかけて人口が471,794人増加した一方、増加世帯数は408,803世帯となっています。
増加した世帯当たりの人口は1.15人となることから、2015年から2020年にかけて東京23区内で増加した世帯の大半は単身者世帯であることがわかります。大学や法人などの数が多いため、都心には新たに大学生となった人や新社会人などが集まってくるものです。都心は単身者向けの投資に向いたエリアと言えます。
1人で賃貸マンションに住んでいる入居者は、日々忙しく仕事をしていることから、あまり家にいないことも多いものです。子持ち世帯が入居するファミリー向けマンションと比較すると、管理会社やオーナーなどの対応を要する要望・問い合わせなどが少なくなります。
できるだけ管理対応の手間を少なく複数の物件を運用するのであれば、都心で単身者向けのマンションは適した選択肢の一つと言えるでしょう。
2.都心のマンションを複数運用するデメリットや注意点
都心のマンションを複数運用する上では、利回りやキャッシュフローなど利益の管理が重要なポイントになります。また、ローンの返済額や支払金利にも要注意です。ローンの利用額が膨らむと、毎月の利益は少なくなってしまいます。
2-1.郊外の物件と比較して低利回りになる
都心のマンション投資が持つ最大のデメリットは、地方エリアの物件と比較すると、表面利回りやキャッシュフローなどが比較的低い点です。キャッシュフローとは、家賃収入から管理費・支払金利など諸経費を差し引いた後の手残りがいくらになるかという、資金の流れを指しています。
都心のマンション投資で表面利回りが下がるのは、物件価格が高いことが原因です。家賃収入を物件価格で割り戻して計算するため、物件価格が高くなれば利回りは低くなります。
また、都心で新築のマンションに投資すると、毎月の手残りが赤字になってしまうケースも少なくありません。複数のマンションに投資することで、赤字額が拡大してしまうこともあるので要注意です。
都心のマンションに投資する場合は、必ずキャッシュフローを確認してから物件を選ぶことが重要になります。
2-2.不動産会社の比較が難しい
人口や法人が集中している分、都心には投資用物件を販売している不動産会社も多くなっています。状態が良く利回りも高いなど好条件の物件を探し当てるためには、良い不動産会社を選ぶことも重要です。
しかし、都心には不動産会社も多いため、どの不動産会社を選べばよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。実際に、顧客に与信枠限度までローンを使わせて、「自社が売りたい物件」を買わせ続ける不動産会社も存在しています。
不動産会社が売りたい物件は必ずしも投資家にとって良い物件とは限らず、物件とともに不動産会社の見極めができないと、不動産投資に失敗する確率が上がります。
顧客本位で物件を提案してくれる不動産会社を選ぶことも、不動産投資で成功するためのカギとなります。不動産会社を見極めるためには、まず投資家が自ら投資目的や方針を固めることが重要です。
不動産投資によって獲得したいキャッシュフローや、排除したいリスクの優先順位などを具体的に決めることで、条件に合わない物件を提案されても明確に断れるようになります。
複数の不動産会社へ問い合わせたり、セミナーを受講するなどして、それぞれの特徴を比較しながら、投資家の目的や方針を汲み取って物件を提案してくれる不動産会社を探してみましょう。
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2-3.不動産投資ローンの使い過ぎに要注意
サラリーマンは不動産投資ローンの審査を比較的通過しやすい職種です。しかし、銀行によって諸条件は異なるものの、不動産投資ローンの利用限度額はおおむね決まっています。
1件目のマンションに投資して運用が軌道に乗ったところで、ローンを利用して2件目・3件目と物件を買い足していくことを検討している場合、複数の物件を購入したところでローンの利用額が限度額に達し、投資規模の拡大に行き詰まるケースもあります。
また、都心のマンションは郊外と比較すると高いため、ローンの利用額も大きくなりがちです。ローンの利用額が大きくなると、返済額や支払金利も高くなるため、毎月の返済負担が重くなります。規模拡大の際は、返済比率にも注意しながら投資戦略を立てることが重要です。
なお、複数マンションを所有して投資規模が大きくなると、全体的な投資リスクは増大していきます。分散投資によるリスクの抑制を目的にしていた場合には、規模拡大だけを優先させず、資金のバランスを考慮した投資を心がけてみましょう。
まとめ
都心のマンションを複数運用するメリットは、空室発生時の損失を他の物件運用で補える点や、市街地再開発によるキャピタルゲインを狙える点などです。
しかし、物件価格が高いことからローンの利用額が大きくなる点や、赤字運用に陥る可能性などには注意を要します。
都心のマンションを複数投資運用する上で要注意のポイントは、個々の物件に関するキャッシュフローを確認してから購入することです。また、長期的な投資計画に基づいてローンを利用することも重要なポイントになります。
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