タイ・バンコクでコンドミニアムを購入するには?リスクや失敗例も解説

税金対策や資産形成のために海外不動産を検討する方は多くいますが、なかでも経済成長が見込める東南アジアの物件は根強い人気があります。特にタイは2018年第1四半期における住宅価格の上昇率が6.1%と好調です(Global Property Guideより)。

とはいえ、海外物件の購入にはさまざまな困難が伴います。外国人に対する購入規制や転売・賃貸に対する制限などチェックすべきポイントも多くなります。そこで今回は、タイ・バンコクでのコンドミニアム購入に関する規制やリスク、注意点などについて情報をご紹介していきます。

目次

  1. タイ・バンコクの最新コンドミニアム事情
    1-1.プレビルドの値上がりは期待できる?
    1-2.バンコクの物件は中国人が買い占めている
  2. 出口戦略を考えて物件を選ぶことが重要
    2-1.プレビルド物件と完成物件の違いとは
    2-2.プレビルドと完成物件のどちらを購入すべきか
  3. プレビルドのコンドミニアム購入における注意点
    3-1.タイのバンコクは雨期の災害に注意する
    3-2.デベロッパーの資金力をチェックする
    3-3.円バーツの為替相場に注意する
    3-4.金融機関の動きに注意する
    3-5.資金計画に注意する
  4. 中古のコンドミニアムを購入する場合のポイント

1 タイ・バンコクの最新コンドミニアム事情

まず、タイの首都バンコクで中古不動産の購入を検討する場合に注意が必要です。中には劣悪な品質の物件もあり、高品質の物件であっても割高となっているケースがある、といったように中古市場は日本のように整備されていません。

そこで新築のコンドミニアムが候補に挙がりますが、新築市場はすでに供給過多の状況にあります。2018年には12万ユニット、5000億バーツを超える供給が予想される一方で、この数年で需要は減速しており、高層ビルが立ち並ぶサトーン地区ではコンドミニアムの割引広告も目立ち始めています。

1-1 プレビルドの値上がりは期待できる?

他の東南アジア諸国同様に、バンコクでもプレビルド物件(着工前に購入する物件)は人気です。その理由は「購入金額全てをすぐに振り込む必要がない」「建設の最中にも値上がりが期待できる」からです。

世界中の住宅市場を調査する「Global Property Guide」によれば、タイの不動産価格は2017年に一時的な落ち込みは見られたものの、右肩上がりを維持しています。供給スピードが落ちない中で2017年から2018年の上昇率が特に大きくなっており、物件をしっかりと選べば、プレビルド物件の値上がりも期待できる状況にあると考えられます。

1-2 バンコクの物件は中国人が買い占めている

現在タイのコンドミニアムを購入している外国人の中で、その半数は中国人が占めます。バンコクは中国で最も人気のあるリゾート観光地の一つとされており、中国人旅行者向けの賃貸貸しを目的とした購入が相次いでいます。

また、バンコクは、資本・企業・人口・インフラ・貿易の面で中国と深くつながっている都市であるため、バンコクには中国企業が次々と進出し、そのスタッフが投資目的で購入しています。

中国人バイヤーのほとんどが、観光客に人気のスクンビット地区にある約600万バーツのコンドミニアムを購入しており、バンコクの中央ビジネス街とメコン川沿いのエリアでは、高級コンドミニアムを購入するUHNWI(資産3000万ドル以上の超富裕層)が増え続けているとされます(米不動産コンサルティング会社JLLより)

2 出口戦略を考えて物件を選ぶことが重要

タイ・バンコクで新築のコンドミニアムを購入する場合、プレビルド物件もしくは完成物件のどちらを選ぶのかを決める必要があります。それぞれで保有の仕方が違い、出口戦略(利益の出し方)も異なるためです。

2-1 プレビルド物件と完成物件の違いとは

プレビルドのコンドミニアムは、建設前に販売が開始されて建設の段階に応じて代金を分割で支払うのが一般的です。完成時に残金を支払って登記します。一方で、完成物件は購入時に代金をすべて支払って登記します。

プレビルド物件と完成物件の大きな違いは、「いつ売却するか」ということです。バンコクでもコンドミニアムを保有し売却すれば、譲渡益に対して税金が発生します。なお、日本でも申告が必要であり、その場合には海外税額控除を利用することでタイでの納税額を控除することが可能です。

タイではキャピタルゲイン税は保有年数に応じて譲渡益の控除が増える仕組みになっています。8年以上保有して売却すれば所得金額は50%控除されます。税率は所得額により異なりますが、できる限り長く保有してから売却したほうが税金は安くなります。

減価償却による節税もできますが、年間償却費は最大5%と償却効果は高くなります。つまり完成物件の購入後は、節税効果が高い期間は保有し続け、最大8年間保有してから売却するなどの選択肢がありえます。

一方、プレビルド物件の場合、完成前に転売することも可能となります。代金を全て支払うまでは登記せず、完成前に売却することでキャピタルゲイン税が発生しないため、大きな利益を得ることができます。完成前に売却をする場合は、賃貸貸しを目的としないため空室リスクはありませんが、工事が途中で止まってしまい売却できなくなるというリスクもあります。

2-2 プレビルドと完成物件のどちらを購入すべきか

出口戦略によってプレビルド物件と完成物件のどちらかを選ぶわけですが、その前にそれぞれのリスクも知っておく必要があります。

まずプレビルドのコンドミニアムの場合、デベロッパーの資金難が原因で建設が途中でストップすることがあります。場合によっては建設中止となるケースもあり、投じたお金が無駄になるリスクがあります。

またコンドミニアムの周辺開発を見込んで購入したものの、周囲の開発が進まずに入居者がなかなか付かないというケースもあります。投資価値が低い物件では高い値段で売却できません。

一方、完成したコンドミニアムであれば、建設がストップするリスクはなく、賃貸需要の程度を確認することもできます。しかし、優良物件とされるものについては、すでに値上がりした割高な状態で購入することになるため、購入後にどれだけの利ざやを稼ぐことができるかは不透明というリスクがあります。

3 プレビルドのコンドミニアム購入における注意点

プレビルド物件にはいくつかのリスクはあるものの、少ない投資金額で大きなリターンが期待できるため投資対象として魅力があります。プレビルドの購入では次の5点に注意するのが良いでしょう。

3-1 バンコクは雨期の災害に注意する

バンコクでコンドミニアムを購入する時は、特に雨期の災害に注意しましょう。例えば日本人が多く住むスクンビット地区は、水路を埋め立てた場所が多いことから水害に見舞われやすいことでも知られます。2011年には「50年に1度」とも言われる大洪水が発生し、タイ北・中部に甚大な洪水被害をもたらしました。

このように雨期になると冠水しやすいエリアは、賃貸付けに苦労することになります。賃貸の利回りにも影響するので、売却にも苦労する可能性があります。「アソーク駅周辺」「ソイ23」なども冠水しやすいことで有名です。バンコクでコンドミニアムを探す時には、このような情報も事前にチェックする必要があります。

3-2 デベロッパーの資金力をチェックする

バンコクにはすでに数多くの国内外デベロッパーがコンドミニアム建設を計画しています。

注意したいのは投資家からお金を集めた時点で建設をスタートさせるケースがあることです。そのようなデベロッパーは購入者である投資家からの支払い代金を得ながら建設を進めるため、支払いが滞るようなことがあれば資金がショートしやすく、建設が頓挫する可能性もあります。あるいは建物は完成しても、付属設備のプールなどが手つかずの状態で賃借人が付けられないといった事例もあります。

プレビルドのコンドミニアムを購入する場合には、タイでも有名なデベロッパーを選ぶことが大切です。例えばタイ国内の2016年度売上高で第2位のSansiri(サンシリ)社はタイの不動産業界で唯一、仲介や管理のアフターサービスまでをワンストップで行う不動産会社です。

また、東急電鉄と合弁会社を設立して日本人向け賃貸住宅の運営・管理を行っています(東急電鉄より)。コンドミニアム開発の実績が豊富で、物件のクオリティの高さにも定評があります。あるいは野村不動産のように、タイでのコンドミニアム開発に取り組む日本の業者を選ぶと安心できるでしょう。

3-3 円バーツの為替相場に注意する

円バーツ相場では、2017年からの世界的な景気回復により輸出が好調だったため、タイバーツ(THB)が対円に対しても上昇するなど「円安バーツ高」が続いていました。これは、同じタイバーツの物件を購入するのに、円安となればより多くの円が必要になるため、バンコクでコンドミニアムを購入する側から見るとデメリットに見えます。

ただし、バーツ高が続く場合は、より多くの円に換金できるため売却時に大きな利益につながることもあります。このように為替相場の流れをみてタイミングをはかることも、タイ・バンコクでのコンドミニアム購入には必要です。特に、バーツ高の時に購入し、バーツが下落する中で売却すると大きな損失につながるため注意しましょう。

またバーツ高の現状にはタイの家計債務残高が大幅に膨らんでいるなどの懸念材料もあります。これ以上の借り入れが難しいという状態であるとすると、消費の低迷も予想されます。さらに設備投資が過剰状態となっており、今後の生産効率化と産業構造の高度化が求められていますが、現状はそのような兆候は見られません。そうなると輸出産業の低迷から経済成長の鈍化につながり、「タイバーツ下落」というシナリオも考えられます。

前述した通り、コンドミニアムの転売時にバーツ安円高となれば、大きな損失が避けられません。こういったリスクを踏まえて、コンドミニアムの購入と利益確保の出口戦略の画策が必要となるでしょう。プレビルド物件が完成したあとの賃貸付けも、場合によっては家賃の下落リスクもあるため注意が必要です。

3-4 金融機関の動きにも注意する

タイ国内の金融機関の動きをチェックしておくと、物件選びの際にも役立ちます。例えばCBREによると、スーパーラグジュアリーと呼ばれるバンコクのハイエンドのコンドミニアムを香港の投資家が多く購入しています。それを受けて金融機関は、そのようなハイクラスのコンドミニアムへの融資を控える動きを見せました。

通常なら大きな収益につながるため融資枠を増やすところですが、タイ金融機関は、特に平米単価20万バーツを超える物件は短期売却を前提にした中小企業のオーナーが多いと判断し、やがて転売市場に多くの物件が流れ込むことを予測。その結果、ハイエンドのコンドミニアム市場が下落し、転売できずにローンの不履行が増えることを見込んだのではないかと考えられます。

このように金融機関の動向も随時チェックすることで、購入したコンドミニアムが好条件で転売できるかを判断する指標となります。

3-5 資金計画に注意する

完成前の転売を目的にプレビルドのコンドミニアムを購入する場合、資金計画にも十分な注意が必要です。最後まで支払う見込みを立てておかないと、仮に転売できない状態となった際に支払いができなくなるからです。

プレビルドのコンドミニアムは建設の段階に応じて購入代金を分割で支払います。もしその支払いができないとなれば、それまでに投じたお金は違約金として没収されることになります。購入者が支払えなくなり、デベロッパーが再販するというケースもあるため、購入資金は十分に準備しておくことが大切です。

4 中古のコンドミニアムを購入する場合のポイント

タイでは不動産の中古市場は日本ほど十分に整備されていません。逆に言えば、好条件で購入できるケースもあるため、中古のコンドミニアムを狙うというのもひとつの方法です。

バンコクでは日本のように場所によって不動産の平米単価を査定することはありません。例えばコンドミニアムで人気の高い「スクンビット通り・ソイ24」周辺においても、築年数に関わらず同じ平米価格で売り出されている物件もあります。

1981年に竣工した最も古いコンドミニアムである「Grand Ville House I」と、1994年に竣工した総戸数351戸の「The President Park」が、同じ平米単価60,000バーツで売り出された部屋があったという事例もあります(CBRE Thailand「Will Prices Rise in Old Bangkok’s Condominium Buildings?」より)。

つまり基準とする単価がないため、多くの物件を調査して自分なりに適正価格を見出す必要があります。

さらにバンコクの中古コンドミニアムで注意が必要なのは、建設した年代によっては粗悪な品質の物件がある点です。1997年のアジア金融危機までに建設されたコンドミニアムは、バンコクの中心地にあっても設計上問題がある物件が多くあります。立地によっては建物の修繕が難しい物件もあります。

また、改修する際、所有者による意思決定が必要な点にも要注意です。中には共同所有者の間で改修をめぐる対立が起こり、争いにまで発展した事例もあります。このように改修が難しい点も踏まえて、中古物件を選ぶことが必要です。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チームは、不動産投資や金融知識が豊富なメンバーが不動産投資の基礎知識からローン融資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融メディア「HEDGE GUIDE」