中国地方の北部に位置する島根県には650,954人(2023年6月1日時点)が暮らしており、都道府県別では46位に位置しています。県内は約8割が森林ですが、金属加工や樹脂加工、電気電子などの製造業が集積しており、女性の労働力率が高いのが特徴です。令和2年の国勢調査によると、女性の35~39歳の労働力率は87.8%となっており、山形県に次いで全国2位になっています。
今回のコラムでは、このような特徴を持つ島根県で不動産を売却する際に活用できる不動産一括査定サイト4社を比較しながら紹介していきます。また一戸建てなどの不動産市場の傾向、売却時の注意点も合わせて解説していきます。
目次
- 島根県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
1-1.SUUMO不動産売却
1-2.LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
1-3.HOME4U
1-4.RE-Guide - 島根県の不動産売却の傾向
2-1.島根県の中古マンション売買の傾向
2-2.島根県の中古一戸建て売買の傾向 - 島根県で不動産売却をする際の注意点
3-1.新規登録件数に比べて成約件数が少ない
3-2.中古物件を購入する割合が少ない傾向がある - まとめ
1 島根県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
不動産を売却する際に複数の不動産会社に査定をしてもらうことで、「物件価格の相場が分かりやすくなる」「不動産会社を選ぶ際の参考になる」などのメリットがあります。そこで便利なのが、一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できる不動産一括査定サイトです。
下記の表は、島根県内の不動産を売却する際に活用できる代表的な4つの不動産一括査定サイトについて、2023年7月時点の情報をもとに作成したものです。
サイト名 | 参加企業数 | 同時依頼可能数 | 運営会社 |
---|---|---|---|
SUUMO不動産売却 | 約2,000店舗 | 10社 | 株式会社リクルート |
LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス | 4,000社 | 6社 | 株式会社LIFULL |
HOME4U | 2,100社 | 6社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング |
RE-Guide | 900社以上 | 10社 | 株式会社ウェイブダッシュ |
次の項目から、それぞれのサイトについて特徴を解説していきます。
1-1 SUUMO不動産売却
SUUMO不動産売却は、株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイトSUUMO(スーモ)が提供している不動産一括査定サービスです。提携数は約2,000店舗となっており、大手不動産会社から地元で展開している中小不動産会社まで査定を依頼することができます。
主な特徴は下記になります。
- 株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイトSUUMOのサービスの一つ
- 提携数は約2,000店舗
- 同時に依頼できる不動産会社の数は最大10社
対応している物件種別は、「マンション」「一戸建て」「土地」の3つとなっています。「簡易査定」と「訪問査定」のどちらかを選べるようになっているため、「簡易査定は必要ない」と考えている方はすぐに訪問査定の依頼をすることもできます。
同時に依頼できる不動産会社の数は最大10社で、情報を入力した後に依頼できる不動産会社が表示される仕組みです。
1-2 LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
LIFULL HOME’Sは、不動産ポータルサイトLIFULL HOME’S(ホームズ)が提供する不動産売却査定サービスです。2023年7月時点で4,000社が参加しており、今回紹介する不動産一括査定サイトの中では最も多くなっています。
主な特徴は下記になります。
- 株式会社LIFULLが提供する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sのサービスの一つ
- 2023年7月時点で4,000社が参加
- サービスを利用した方は2022年1月時点で838万人
- 不動産会社の情報が見やすいサイトデザイン
査定を依頼できる不動産会社の情報が細かく掲載されているため、特色がわかりやすくなっています。「ひとことアドバイス」や「ココが強み」というコーナーのほか、取り扱いプランもわかるトピックなど、他社との比較がしやすいデザインも特徴的です。
これまでサービスを利用した方は2022年1月時点で838万人となっており、豊富な実績を積み重ねています。
1-3 HOME4U
HOME4Uは、2001年に日本で初めてサービスを開始した不動産一括査定サイトです。運営しているのは、情報サービス業界最大手NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングです。
主な特徴は下記になっています。
- NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営
- 累計売却査定数は2022年11月時点で50万件
- 2,100社の優良企業を掲載
- 情報の入力はチャット形式でできる
大手不動産会社から地域に精通した中小不動産会社まで2,100社の優良企業が掲載されており、NTTグループならではの独自の基準を設けて提携先を審査しているのが特徴です。
情報を入力する際は、チャット形式で行われる仕組みになっています。オペレーターの質問に回答していく形式になっており、戸惑うことなく入力が完了します。
1-4 RE-Guide
リガイド(RE-Guide)は、2006年に「SBI不動産ガイド」としてスタートした不動産一括査定サイトです。独自審査によって掲載企業を厳選しているのが特徴で、現在は大手不動産会社から中小不動産会社の900社以上が参加しています。
主な特徴は下記になっています。
- 大手不動産会社から中小不動産会社の900社以上が参加
- 同時に査定を依頼できるのは最大10社
- 独自の審査で掲載企業を厳選
- 日々、プロの目でサービスをチェック
情報を入力する際は、Yahoo!やFacebookのユーザー情報を自動入力することが可能です。そのため面倒な入力も簡単に終わらせることができます。同時に査定を依頼できるのは最大10社となっており、多くの不動産会社に査定をしてもらいたいケースではメリットとなります。
2 島根県の不動産売却の傾向
不動産を売却する際、スケジュールにある程度の余裕があれば、不動産事情がどういう状況なのかについても確認されておくと良いでしょう。情報を把握することで、不動産をスムーズに、また適切な価格で売却できる可能性が高くなります。島根県ではどのような不動産が取引されているのか、その傾向を見ていきましょう。
2-1 島根県の中古マンション売買の傾向
島根県での中古マンション売買の傾向を確認するために、東日本レインズ(公益社団法人東日本不動産流通機構)が公表している市況レポートを紹介します。下記の表は、「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、2022年の月別の成約動向を抜粋したものです。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 1件(−50.0%) | ―(―) |
2022年2月 | 3件(−25.0%) | 1,440万円(−23.5%) |
2022年3月 | 3件(0.0%) | 2,133万円(1.3%) |
2022年4月 | 3件(0.0%) | 2,265万円(55.8%) |
2022年5月 | 2件(―) | 2,990万円(―) |
2022年6月 | 5件(−16.7%) | 1,750万円(−17.6%) |
2022年7月 | 3件(200.0%) | 1,960万円(42.0%) |
2022年8月 | 5件(25.0%) | 2,128万円(3.7%) |
2022年9月 | 3件(50.0%) | 1,727万円(−1.3%) |
2022年10月 | 10件(100.0%) | 2,136万円(4.4%) |
2022年11月 | 4件(0.0%) | 2,225万円(11.8%) |
2022年12月 | 6件(500.0%) | 1,880万円(29.7%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
2022年における島根県の中古マンションは、成約件数が毎月1〜10件の間で変動しています。数は多くありませんが、7月以降は前年同月比がプラスで推移しており、成約件数が増えていることがわかります。
成約価格も7月以降は上昇傾向にあり、前年同月比がプラスとなっている月は6月中5月となっています。ただし、他府県と比較して成約の総数が少ないために成約価格の振れ幅も大きいという点には注意しましょう。
2-2 島根県の中古一戸建て売買の傾向
次は中古一戸建ての売買について見ていきましょう。同じく、東日本レインズの「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、島根県の中古一戸建ての成約件数と成約価格の平均値を抜粋したのが下記の表です。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 7件(40.0%) | 2,069万円(30.9%) |
2022年2月 | 6件(−25.0%) | 1,325万円(−4.7%) |
2022年3月 | 6件(−33.3%) | 1,162万円(−25.9%) |
2022年4月 | 3件(50.0%) | 1,767万円(−9.4%) |
2022年5月 | 4件(33.3%) | 1,298万円(−36.4%) |
2022年6月 | 13件(1,200.0%) | 997万円(−40.7%) |
2022年7月 | 7件(16.7%) | 1,391万円(90.7%) |
2022年8月 | 5件(400.0%) | 947万円(−62.9%) |
2022年9月 | 6件(50.0%) | 1,402万円(11.8%) |
2022年10月 | 4件(0.0%) | 765万円(−43.5%) |
2022年11月 | 8件(60.0%) | 1,195万円(−10.7%) |
2022年12月 | 10件(233.3%) | 1,269万円(−14.7%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
中古一戸建ての成約件数も数は少ないですが、12月のうち10月で前年同月比増となっており、増加傾向が見られます。中でも100%以上の増加になっている月が3月あり、特に6月は前年の1件から13件になっており、前年同月比1,200%となっています。ただし成約価格は、12月のうち9月で前年同月から下落しており、注視しておきたい点です。
3 島根で不動産売却をする際の注意点
次に、島根県での不動産売却における注意点についても見ていきましょう。
3-1 新規登録件数に比べて成約件数が少ない
2022年に成約した件数を中古マンションと中古一戸建てのそれぞれで合計すると、中古マンションが1年間で48件、中古一戸建てが1年間で79件となっています。合わせると1年間で127件の成約件数となっており、月平均では10.6件の成約があったことになります。
これに対して、下記の表は2022年における島根県内の中古マンションと中古一戸建ての新規登録件数の推移です。
年月 | 中古マンション | 中古一戸建て |
---|---|---|
2022年1月 | 6件 | 40件 |
2022年2月 | 8件 | 28件 |
2022年3月 | 11件 | 31件 |
2022年4月 | 5件 | 39件 |
2022年5月 | 10件 | 32件 |
2022年6月 | 11件 | 52件 |
2022年7月 | 7件 | 44件 |
2022年8月 | 5件 | 45件 |
2022年9月 | 8件 | 30件 |
2022年10月 | 14件 | 48件 |
2022年11月 | 10件 | 42件 |
2022年12月 | 6件 | 28件 |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
新規登録件数の合計は中古マンションが101件、中古一戸建てが459件となっており、合わせると560件となります。毎月46.7件程度が新規登録されているのに対して、成約件数が10.6件となっており、中古物件の在庫が増え続けている状況にあると考えられます。
要因として考えられるのは、島根県の持ち家率が高いことです。「平成30年島根県土地・住宅統計調査結果の概要」によると、島根県の持ち家率は70.2%と全国平均の61.2%よりも高くなっています。そのため、住宅の購入需要は多いとは言えず、在庫が増えていると考えられます。
3-2 中古物件を購入する割合が少ない傾向がある
島根県が2017年3月に発表した「第3次島根県住生活基本計画(島根県住宅マスタープラン)」によると、持ち家の取得状況は建て替えを除く「新築」が最も高く、中古住宅を購入するケースは6.3%となっています。全国平均に比べて半分程度の割合となっており、元々中古物件を購入する層が少ないことがわかります。
下記の表は、島根県における持ち家の取得状況(平成25年度)をまとめたものです。
取得方法 | 島根県の割合 | 全国平均 |
---|---|---|
新築を購入 | 4.4% | 21.1% |
中古住宅を購入 | 6.3% | 13.7% |
新築(建て替えを除く) | 34.2% | 30.6% |
建て替え | 26.0% | 20.6% |
相続・贈与 | 22.5% | 9.2% |
その他 | 6.7% | 4.8% |
※出典:島根県「第3次島根県住生活基本計画(島根県住宅マスタープラン)」より抜粋
島根県の特徴が現れているのが、「相続・贈与」が全国平均の2倍以上になっていることです。元々、持ち家率が高いことから、家族や親族から住宅を引き継いでいる方が多いということがわかります。建て替えをする方も全国平均より多く、中古住宅を購入する必要がない人が多いと想定されるのです。
島根県で不動産を売却する際には、こうした傾向を理解して売却活動する必要があります。そのため、島根県の不動産売却に精通した不動産会社のサポートを得るようにしましょう。
不動産会社を探す場合は、前述した不動産一括査定サイトを利用するなどして、効率的に不動産会社を比較されると良いでしょう。一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼することができるので、査定価格や不動産会社の対応力をしっかり調査する際に便利に活用することができます。
不動産会社を選ぶ際は下記の点がポイントになります。
- 物件のあるエリアに精通している
- スピーディーな対応をしている
- 売却する物件タイプを得意としている
- 豊富な実績がある
- 親身になって相談に乗ってくれる
- 知識に基づいたアドバイスをしてくれる、など
また宅地建物取引業免許を確認したり、行政処分歴がないかチェックすることで、より信頼のおける不動産会社を選ぶことができます。
まとめ
不動産一括査定サイトの大きなメリットは、複数の不動産会社に一度の入力で査定依頼ができることです。また査定を通じて複数の不動産会社と接することで、不動産会社選びに役立てることもできます。
島根県では持ち家率が高く、中古住宅を購入するケースが元々少ないという傾向があります。そのため島根県の住宅事情に合わせた売却活動をしてくれる不動産会社を選ぶようにしましょう。
今回のコラムでは、島根県の不動産売却の際に活用できる不動産一括査定サイトを紹介しました。提携している不動産会社やサービスの特徴にも違いがあるため、不動産一括査定サイトを比較しながら選んでいきましょう。また、今回ご紹介した査定サイトは全て無料で利用することができるため、対応できる範囲で複数サービスを並行して利用することも検討すると良いでしょう。
倉岡 明広
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