福島県は、都道府県別で3番目に広い13,784.14㎢の総面積を持つ、東北地方の一番南にある県です。県内には59の市町村があり、2023年8月1日時点で1,769,884人(750,058世帯)が暮らしています。県庁所在地の福島市よりも、太平洋側にあるいわき市、県中央に位置する郡山市の方が人口が多いのも特徴です(出典:福島県ホームページ)。
今回のコラムでは、このような特徴を持つ福島県で不動産を売却する際に活用できる不動産一括査定サイト4社を比較しながら紹介していきます。また不動産市場の傾向、売却時の注意点も合わせて解説していきます。
目次
- 福島県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
1-1.SUUMO不動産売却
1-2.LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
1-3.HOME4U
1-4.RE-Guide - 福島県の不動産売却の傾向
2-1.福島県の中古マンション売買の傾向
2-2.福島県の中古一戸建て売買の傾向 - 福島県で不動産売却をする際の注意点
3-1.全国1位の増加率で住宅が増えている
3-2.中古一戸建ての売買には築年数は大きく影響しない - まとめ
1 福島県の不動産売却で活用できる不動産一括査定サイト
不動産を売却するには複数の不動産会社に査定をしてもらい、査定価格の比較をすることが大切です。複数の不動産会社に査定を依頼するのは手間と時間がかかりますが、不動産一括査定サイトを活用することで一度の入力で複数の不動産会社に査定依頼をすることができます。
下記の表は、福島県内の不動産を売却する際に活用できる代表的な4つの不動産一括査定サイトについて、2023年9月時点の情報をもとに作成したものです。
サイト名 | 参加企業数 | 同時依頼可能数 | 運営会社 |
---|---|---|---|
SUUMO不動産売却 | 約2,000店舗 | 10社 | 株式会社リクルート |
LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス | 4,102社 | 6社 | 株式会社LIFULL |
HOME4U | 2,100社 | 6社 | 株式会社NTTデータ・スマートソーシング |
RE-Guide | 900社以上 | 10社 | 株式会社ウェイブダッシュ |
次の項目から、それぞれのサイトについて特徴を解説していきます。
1-1 SUUMO不動産売却
- 株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイトSUUMOのサービスの一つ
- 提携数は約2,000店舗
- 同時に依頼できる不動産会社の数は最大10社
- 福島県で不動産査定を依頼できる不動産会社は10社(店)
SUUMO不動産売却は、株式会社リクルートが運営する不動産ポータルサイトSUUMO(スーモ)の不動産一括査定サービスです。提携している企業は、大手不動産会社から地元で展開している中小不動産会社までと幅広く、提携企業数は全国で約2,000店舗となっています。このうち福島県の物件の場合、査定を依頼できる不動産会社は10社(店)となっています。
物件や依頼者の情報を入力した後に依頼できる不動産会社が表示される仕組みで、同時に依頼できる最大不動産会社は10社です。「開店10年以上」「買い取り制度あり」といった項目で検索をすることも可能なので、ご自身の意向に沿った不動産会社の絞り込みができます。
不動産会社の詳細ページには店舗所在地や営業時間などのほか、「店舗の特徴」「売却実績」「スタッフ紹介」「購入希望者」「売却Q&A」といったコーナーも用意されています。特徴を把握したり、他社と比較する際に役立ちます。
1-2 LIFULL HOME’S不動産売却査定サービス
- 株式会社LIFULLが提供する不動産ポータルサイトLIFULL HOME’Sのサービスの一つ
- 2023年9月時点で4,102社が参加
- サービスを利用した方は2023年9月時点で1,000万人
- 不動産会社の情報が見やすいサイトデザイン
- 福島県で不動産査定を依頼できる不動産会社は16社(店)
LIFULL HOME’Sは、不動産ポータルサイトLIFULL HOME’S(ホームズ)が提供する不動産売却査定サービスです。2023年9月時点で4,102社が参加しており、サービスを利用した方は累計で1,000万人を数えています。
サイトデザインが見やすく、査定を依頼できる不動産会社の情報が細かく掲載されているのが特徴的です。「ひとことアドバイス」や「ココが強み」というコーナーのほか、取り扱いプランもわかるトピックなど特色がわかりやすくなっており、幅広い情報から不動産選びをすることができます。
なお、福島県の物件の場合、査定を依頼できる不動産会社は16社(店)となっています。
1-3 HOME4U
- NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営
- 累計売却査定数は2022年11月時点で50万件
- 2,100社の優良企業を掲載
- 年間1,400万人が利用
- 情報の入力はチャット形式でできる
HOME4Uは、情報サービス業界最大手NTTデータグループの株式会社NTTデータ・スマートソーシングが運営する不動産一括査定サイトです。2001年に日本で初めてサービスを開始した不動産一括査定サイトで、2022年11月時点で50万件の査定実績を築いています。
また、物件や依頼者に関する情報の入力を、チャット形式で行うのが特徴的です。オペレーターの質問に回答していく形で入力していくことができ、不安なく作業をすることができます。
NTTグループならではの独自の基準を設けており、掲載企業は厳格な審査を通過した大手不動産会社から、地域に精通した中小不動産会社まで2,100社となっています。
1-4 RE-Guide
- 大手不動産会社から中小不動産会社の900社以上が参加
- 同時に査定を依頼できるのは最大10社
- 独自の審査で掲載企業を厳選
- 日々、プロの目でサービスをチェック
- 福島県で不動産査定を依頼できる不動産会社は20社(店)
- 福島県の不動産査定依頼実績:一戸建て62.07%、マンション4.19%、土地27.83%
リガイド(RE-Guide)は、2006年に「SBI不動産ガイド」としてスタートした不動産一括査定サイトです。査定を同時依頼できる企業の数は最大10社となっており、多くの不動産会社に査定をしてもらいたい場合は特に便利なサイトです。
独自審査によって掲載企業を厳選しており、大手不動産会社から中小不動産会社の900社以上が参加しています。福島県の物件の場合、査定を依頼できる不動産会社は20社(店)となっています。
情報を入力する際は、Yahoo!やFacebookのユーザー情報を自動入力することができるため、簡単に入力できるのも特徴です。
2 福島県の不動産売却の傾向
スケジュールにある程度の余裕があれば、不動産事情がどういう状況なのかについても確認されておくと良いでしょう。
この項目では、福島県ではどのような不動産が取引されているのか、東日本レインズ(公益社団法人東日本不動産流通機構)が公表している市況レポートから、傾向を解説していきます。情報を把握することで、不動産をスムーズに、また適切な価格で売却できる可能性が高くなります。
2-1 福島県の中古マンション売買の傾向
福島県での中古マンション売買の傾向を確認するために、東日本レインズ(公益社団法人東日本不動産流通機構)が公表している市況レポートを紹介します。下記の表は、「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、2022年の月別の成約動向を抜粋したものです。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 8件(−52.9%) | 1,335万円(−15.5%) |
2022年2月 | 17件(30.8%) | 1,901万円(−3.6%) |
2022年3月 | 14件(−17.6%) | 1,564万円(−15.4%) |
2022年4月 | 14件(−12.5%) | 2,051万円(38.2%) |
2022年5月 | 11件(−26.7%) | 1,946万円(62.7%) |
2022年6月 | 12件(0.0%) | 2,012万円(−1.4%) |
2022年7月 | 19件(46.2%) | 1,539万円(17.4%) |
2022年8月 | 12件(20.0%) | 1,716万円(−22.7%) |
2022年9月 | 11件(57.1%) | 1,993万円(26.4%) |
2022年10月 | 12件(9.1%) | 1,144万円(−39.0%) |
2022年11月 | 13件(18.2%) | 2,202万円(81.4%) |
2022年12月 | 19件(280.0%) | 1,715万円(22.6%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
2022年における福島県の中古マンション売買は、成約件数が毎月8〜19件の間で変動しています。前年同月比は12月中7月でプラスとなっており、成約件数が増えていることがわかります。特に12月は、2021年の5件から2022年は19件に大幅に増えており、前年同月比は280.0%です。総数でも、2021年の147件から2022年は162件と、15件の増加(前年比110.2%)となっています。
一方、成約価格は、前年同月比がプラスとなっている月とマイナスになっている月が6月ずつあります。ただし月別中央値を見ると、2021年の1,643万円から1,760万円と117万円の上昇(前年比107.1%)となっており、上昇傾向になっています。
2-2 福島県の中古一戸建て売買の傾向
次は中古一戸建ての売買について見ていきましょう。同じく、東日本レインズの「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、福島県の中古一戸建ての成約件数と成約価格の平均値を抜粋したのが下記の表です。
年月 | 成約件数(前年同月比) | 成約価格(前年同月比) |
---|---|---|
2022年1月 | 33件(−2.9%) | 1,277万円(−20.0%) |
2022年2月 | 41件(2.5%) | 1,805万円(10.2%) |
2022年3月 | 48件(17.1%) | 1,423万円(−1.1%) |
2022年4月 | 40件(42.9%) | 1,779万円(−8.6%) |
2022年5月 | 50件(22.0%) | 1,508万円(−4.9%) |
2022年6月 | 39件(−32.8%) | 1,464万円(−7.0%) |
2022年7月 | 38件(0.0%) | 1,638万円(10.4%) |
2022年8月 | 35件(−18.6%) | 1,801万円(26.3%) |
2022年9月 | 49件(19.5%) | 1,545万円(3.8%) |
2022年10月 | 53件(76.7%) | 1,725万円(−5.0%) |
2022年11月 | 39件(−15.2%) | 1,684万円(21.2%) |
2022年12月 | 38件(15.2%) | 1,669万円(12.1%) |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
中古一戸建ての成約件数は、12月のうち8月で前年同月比増となっており、増加傾向が見られます。総数でも、2021年の473件から2022年は503件と、30件の増加(前年比106.3%)となっています。
一方の成約価格は、前年同月より上昇した月と下落した月が6月ずつとなっています。月別中央値を見てみると、2021年の1,573万円から2022年は1,610万円となっており、37万円上昇しています。前年比102.4%となっており、微増ながら成約価格は上昇傾向にあると言えます。
3 福島県で不動産売却をする際の注意点
次に、福島県での不動産売却における注意点についても見ていきましょう。
3-1 全国1位の増加率で住宅が増えている
福島県の「住生活基本計画」によると、2013年から2018年の5年間で福島県内の住宅は約8万戸増えており、これは全国1位の増加率になっています。
順位 | 都道府県 | 増減率 |
---|---|---|
1位 | 福島県 | 10.1% |
2位 | 沖縄県 | 8.2% |
3位 | 栃木県 | 5.4% |
4位 | 宮城県 | 5.3% |
5位 | 福井県 | 5.1% |
― | 全国 | 2.9% |
※出典:埼玉県「平成30年住宅・土地統計調査結果埼玉県分の概要」より抜粋
2018年10月1日時点の福島県の総住宅数は861,300戸で、2013年の782,300戸から5年間で79,000戸の増加となっています。増加率は10.1%で、上記の表の通り、全国1位の数値となっています。
福島県では、持ち家の取得方法として新築(建て替えを除く)が37.7%を占めており、建て替えの21.3%と合わせて住宅を新築するケースが6割となっています。これに対して、中古物件を購入したのは9.0%で、全国平均の14.7%よりも低い数値になっています。
福島県の2018年時点の空き家率は14.3%となっており、2013年の調査時に比べて2.6ポイント上昇しています。中古物件を購入する層が少ない状況にあることも、空き家率が上昇している要因の一つと考えられます。
3-2 中古一戸建ての売買には築年数は大きく影響しない
福島県では、中古一戸建ての成約に築年数は大きく影響しないという傾向が見られます。
下記の表は、東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」から、2022年の成約物件と在庫物件の築年数を抜粋したものです。
年月 | 成約物件の築年数 | 在庫物件の築年数 |
---|---|---|
2022年1月 | 32.73年 | 31.12年 |
2022年2月 | 23.91年 | 31.33年 |
2022年3月 | 33.06年 | 30.78年 |
2022年4月 | 28.65年 | 30.57年 |
2022年5月 | 28.34年 | 30.66年 |
2022年6月 | 30.54年 | 29.69年 |
2022年7月 | 28.30年 | 30.36年 |
2022年8月 | 27.67年 | 30.70年 |
2022年9月 | 32.58年 | 30.91年 |
2022年10月 | 28.13年 | 31.27年 |
2022年11月 | 24.19年 | 31.63年 |
2022年12月 | 30.25年 | 31.15年 |
※出典:東日本レインズ「月例マーケットウォッチ全国版2023年1月度」より抜粋
2022年の月別に見ると、在庫物件よりも成約物件の方が平均築年数が長い月が4月あります。例えば1月は、成約物件の平均築年数が32.73年なのに対して、成約できなかった物件の平均築年数は31.12年と1.61年も築年数が浅くなっています。
同様に、3月は成約物件が33.06年に対して在庫物件が30.78年、6月は成約物件が30.54年に対して在庫物件が29.69年、9月は成約物件が32.58年に対して在庫物件が30.91年となっています。つまり、築年数が経っていることが成約できない大きな理由ではないという傾向があるのです。
このような背景から福島県で中古一戸建てを売却する際は、築年数以外の強みを持たせて売却活動をするといったように工夫が必要と考えられます。
不動産会社を探す場合は、前述した不動産一括査定サイトを利用するなどして、効率的に不動産会社を比較されると良いでしょう。一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼することができるので、査定価格や不動産会社の対応力をしっかり調査する際に便利に活用することができます。
不動産会社を選ぶ際は下記の点がポイントになります。
- 物件のあるエリアに精通している
- スピーディーな対応をしている
- 売却する物件タイプを得意としている
- 豊富な実績がある
- 親身になって相談に乗ってくれる
- 知識に基づいたアドバイスをしてくれる、など
また宅地建物取引業免許を確認したり、行政処分歴がないかチェックすることで、より信頼のおける不動産会社を選ぶことができます。
まとめ
福島県では、住戸数が増えている、中古物件は選ばれにくい、中古一戸建ての売買に築年数は大きく影響しないといった傾向があります。
不動産を売却する際に便利なのが不動産一括査定サイトです。複数の不動産会社に一度の入力で査定依頼ができる上に、査定を通じて複数の不動産会社と接することで、不動産会社選びに役立てることもできます。
今回ご紹介した不動産一括査定サイトは全て無料で利用することができるため、複数サービスを並行して利用することも可能です。使い方やサービス内容、提携している不動産会社などにも違いがあるため、比較しながら使いやすい不動産一括査定サイトを選びましょう。
倉岡 明広
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