マンション買取のメリット・デメリットは?仲介との違いも比較

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マンションを確実に売却したい場合は、不動産会社による買取サービスを利用した売却が検討できます。しかし、買取は仲介と何が違うのか、自分には買取と仲介とのどちらが向いているのかわからないという方もいるのではないでしょうか。

買取と仲介とでは、売却額や手続きに必要な期間などが違います。マンション買取のメリット・デメリットとともに、買取による売却が向いているマンションなどについて解説します。

目次

  1. マンションの買取とは?仲介との主な違い
    1-1.マンションの買主
    1-2.マンションの売却価格
    1-3.手続き完了までに必要な期間
    1-4.広告活動の有無
  2. マンション買取のメリット
    2-1.短期間でマンションを現金化できる
    2-2.マンションの内覧対応が不要
    2-3.仲介手数料がかからない
  3. マンション買取のデメリット
    3-1.売却価格が安くなってしまう
    3-2.買取してもらえないこともある
  4. 買取と仲介のどちらが良いか、事例ごとに比較
    4-1.短期間で不動産を現金化したい場合
    4-2.築古物件や旧耐震の物件
    4-3.立地が良いマンション
  5. 高値売却につながるマンション買取業者の探し方
    5-1.複数の不動産会社に見積もりを依頼して価格を比較する
    5-2.エンドユーザーに近い不動産会社へ買取依頼する
    5-3.大手の不動産会社と地域にある中小規模の不動産会社の比較
  6. マンション買取で売却するのに必要な費用
    6-1.マンションの買取売却でかかる主な手数料
    6-2.マンションの買取売却でかかる税金
  7. まとめ

1.マンションの買取とは?仲介との主な違い

取引形態 買主 売却価格 売却活動の期間
仲介 個人もしくは法人 不動産市場の相場価格で売り出す 買主を探すところから始めるため、予測しづらい
買取 不動産会社 不動産会社が買取価格を決める(相場より2~3割程度安くなる) 買取する不動産会社が決まるとスムーズに進められる

マンションの買取は仲介とは違う売却方法です。買主や売却価格に加えて売却期間など、複数のポイントが仲介と異なります。買取と仲介との主な違いについて解説します。

1-1.マンションの買主

買取と仲介における最大の違いは、マンションの買主が誰かという点です。

マンションの買取とは、不動産会社にマンションを売却することを指します。不動産の売買としてイメージされやすいのは仲介のほうで、仲介による不動産売却では個人や仲介会社以外の不動産会社を含む法人の第三者にマンションを売却します。

1-2.マンションの売却価格

不動産会社の買取による売却価格は、仲介でマンションを売却する場合よりも、20%〜30%程度低くなります。不動産会社は、買い取ったマンションをリフォームなどしてから転売するためです。なお、転売時には周辺相場に合わせた価格で売却します。

周辺相場と買取価格の差額については、不動産会社の利益に充当されるほか、リフォームなどの費用として使われます。

1-3.手続き完了までに必要な期間

不動産会社に買取を依頼した場合は、早くて1週間〜1ヶ月程度で売却が完了します。仲介でマンションを売却する場合は、買手を探すところから始めるため、売却が完了するまでにおおよそ3ヶ月~6か月などの時間が必要となり、さらに長期化してしまう可能性もあります。

1-4.広告活動の有無

不動産会社にマンションの買取を依頼する場合は、不動産のウェブサイトに物件情報を掲載するなどの広告活動が不要です。買取の場合は、新たに買手を探す必要がないためです。

例えば、近隣へマンションを売却することをできるだけ知られたくない場合、買取で売却することでウェブサイトやチラシによる広告を行わずに済みます。このような事情がある場合、買取による売却のメリットは大きいと言えるでしょう。

2.マンション買取のメリット

マンションの買取サービスを利用するメリットは、主に売却完了までの期間と手間の少なさにあります。

2-1.短期間でマンションを現金化できる

マンションの買取を利用する最大のメリットは、短期間で売却手続きが完了することです。例えば、転勤が決まっているために売却手続きに時間をかけられない場合などは、買取で売却することを検討してみましょう。

ただし、具体的にいつお金が入ってくるのか、不動産会社と売買契約を結ぶまでに確認することが重要です。契約内容によっては、お金が入ってくるのはマンションを引渡してから1ヶ月後などの場合もあります。

2-2.マンションの内覧対応が不要

仲介でマンションを売却する場合は、買手候補者から希望あった時には内覧の対応をしなくてはなりません。内覧で印象を良くするためには、室内の掃除や整理整頓が必要です。

しかし、買取でマンションを売却する場合は、不動産会社の査定が完了したら室内を誰かに見せる必要がありません。何度も掃除や整理整頓をしなくて済むのがマンション買取のメリットです。

2-3.仲介手数料がかからない

仲介でマンションを売却する場合は、不動産会社に対して仲介手数料を支払います。しかし、買取でマンションを売却する場合は仲介手数料がかかりません。不動産会社がマンションを購入するため、買手を探す必要がないからです。

仲介でマンションを売却すると、売却価格の3.3%+6.6万円(税込み)を仲介手数料として不動産会社に支払います。マンションを売却するための経費が少なく済むのは、マンション買取のメリットです。

3.マンション買取のデメリット

買取でマンションを売却するデメリットは、売却価格が仲介よりも安いことと、不動産会社が必ずしも買い取ってくれるとは限らないことです。

3-1.売却価格が安くなってしまう

マンションの買取を利用する最大のデメリットは、売却額が仲介よりも安くなってしまうことです。立地がとても良いなど、不動産会社から見て高く売れるポイントを持っているマンションは、買取額が上がる可能性もあります。

しかし、大半の場合は安くなってしまうので、売却完了までの時間に余裕がある場合や、できるだけ価格を優先した場合には、仲介で売却することを検討してみると良いでしょう。

3-2.買取してもらえないこともある

買取による売却は、仲介では売りにくいマンションを売りたい場合にも適しています。しかし、不動産会社はどんなマンションでも買い取るわけではありません。

不動産会社がマンションを買い取るのは、後に転売する予定であることが大半となります。転売できる見込みが薄いと判断された場合は、買取に対応してもらえないこともあります。

4.買取と仲介のどちらが良いか、事例ごとに比較

買取、または仲介が向いているマンションについて、事例を挙げながら解説します。

4-1.短期間で不動産を現金化したい場合

買取と仲介とでは、売却が完了するまでの期間に大きな違いがあります。短期間で売却を完了させたい場合は、買取で売却することを検討してみましょう。

マンションを売却する時には、どの程度売却活動に時間をかけられるのか、あらかじめスケジュールを立てておくと、買取か仲介かで迷わずに済みます。

なお、一部の不動産会社は、仲介で一定期間が経過しても買手が見つからなかった場合は不動産会社が買取る「買取保証」というサービスを展開しています。時間はあるものの確実に売却を完了させたい場合は、買取保証サービスの利用を検討しておきましょう。

4-2.築古物件や旧耐震の物件

極端に築年数が経過しているマンションや、旧耐震基準で建てられたマンションなどを売却する場合も、買取による売却が適しています。築古のマンションや旧耐震基準で建てられているマンションなどは、購入にあたって住宅ローンを使えない場合が多いためです。

購入に住宅ローンを利用できないマンションは、仲介による売却の難易度が高くなります。また、売出し期間が長期化しているマンションは、買手から選ばれにくいものです。「なかなか売れないのは何か理由があるのだろう」と思われてしまう可能性もあります。

売却期間の長期化を避けるためにも、購入に住宅ローンを利用できないマンションは、買取で売却することを検討しておくと良いでしょう。

4-3.立地が良いマンション

築年数が多少経過していても、駅から近いなど立地が良いマンションは仲介での売却を検討してみましょう。

マンション購入希望者の多くは、利便性を重視して家を比較します。好立地で利便性の良いマンションは、仲介で売却する場合でもすぐに買手が見つかる可能性が高く、住宅ローンの融資を活用しやすい物件であるためです。

5.高値売却につながるマンション買取業者の探し方

マンション買取では、仲介売却と比較して売却価格が低くなってしまうというデメリットがあります。そこで出来るだけ高値で売却に繋げられるコツについて解説します。

5-1.複数の不動産会社に見積もりを依頼して価格を比較する

買取を不動産会社に依頼するには、まずは買取額を決めるために不動産会社の査定を受けることになります。買取額の妥当性を判断するためにも、複数の不動産会社から査定を受け、査定価格を比較してみましょう。

下記は複数の不動産会社へ査定依頼ができる不動産一括査定サイトの一覧です。下記のサイトは全国エリアに対応しており、悪徳業者の排除を積極的に行っている特徴があります。

主な不動産一括査定サイト

サイト名 運営会社 特徴
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5-2.エンドユーザーに近い不動産会社へ買取依頼する

自らが長期に利用するために不動産を取得する利用者のことを「エンドユーザー」と言います。不動産取引では、このエンドユーザーにたどり着くまでに複数の不動産会社を介することが少なくありません。

買取で売却した不動産会社がエンドユーザーから遠いと、いくつかの不動産会社を介するために各社の利幅の分だけ買取価格が下がることになります。

例えば、ワンルームなどの投資用マンションであればエンドユーザーは不動産投資家であることが想定できます。この場合、投資家向けに不動産を販売しているマンション投資会社に買取依頼をしてみるのが一つの方法となるでしょう。一方、ファミリータイプの居住用マンションであれば投資用としては販売されづらいため、居住用住宅の販売や管理を多く取り扱う不動産会社が適していると言えます。

エンドユーザーに近いかどうか、という点は複数の不動産会社へ見積もり依頼をして価格を比較する際に、どのような物件を扱っているのか不動産会社のウェブサイトで普段の事業形態を確認されてみると良いでしょう。

5-3.大手の不動産会社と地域にある中小規模の不動産会社の比較

買取を行っているのは、大手の不動産会社と地域にある中小規模の不動産会社の2つのタイプがあります。どちらにも特徴があるので、理解した上で依頼するようにしましょう。

不動産会社のタイプ 特徴
全国組織の大手企業 ネームバリューがあり、社歴も長く資本も大きい
地元密着型の中小企業 地域の特性や傾向などを把握している。地域の地主と取引があるケースも

なお、「東急リバブル」などの大手不動産会社では、買取サービスも設けています。情報を入力するだけで査定価格を提示してもらうことも可能なため、まずは大手不動産会社の査定を受けてみたい方は利用検討されてみると良いでしょう。

その他、大手6社に限定して査定依頼できる不動産一括査定サイトの「すまいValue」も、大手不動産会社から優先して依頼していきたい時には便利なサービスです。

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6.マンション買取で売却するのに必要な費用

マンションを買取で売却した場合、仲介手数料がかからないというメリットがあります。しかし、仲介手数料以外にも発生する費用があるため、あらかじめ確認しておきましょう。

6-1.マンションの買取売却でかかる主な手数料

  • 登記に関する手数料
  • ローン繰上返済手数料

登記を司法書士へ依頼した場合の手数料

マンションに金融機関のローンが残っている場合は抵当権がついており、売却時にはこちらを抹消する必要があります。抵当権抹消登記を司法書士に依頼した場合の手数料は、1.5万円程度が相場になります。

また、売主の現住所と登記住所が異なる場合にも、これを一致させる必要があります。住所変更登記を司法書士に依頼した場合の手数料は、1万円程度が相場になります。

相続や贈与によって取得した不動産を買い取りしてもらう場合、被相続人や贈与者から所有権移転登記をおこなう必要があります。相続や贈与の所有権移転登記を司法書士に依頼した場合の手数料は、5万円~10万円程度が相場です。

ローン繰上返済手数料

マンションにローンの残債がある場合、繰上げ返済をする必要があり、金融機関によっては繰上げ返済をする場合に手数料がかかることがあります。数千円のケースから、返済元金の2%程度のケースまで様々です。

返済元金に対して数%の手数料がかかる場合、残債の金額によっては数十万円の手数料になりますので注意しましょう。

6-2.マンションの買取売却でかかる税金

  • 印紙税
  • 各種登記の登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 住民税

印紙税

不動産の売買価格によって印紙税の金額は次のようになっています。なお、令和6年(2024年)3月31日までに作成される「不動産譲渡契約書」の印紙税は、軽減措置により原則の半額となっています。

売買価格 印紙税額
1万円未満 非課税
1万円超50万円以下 200円
50万円超100万円以下 500円
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 10,000円
5,000万円超1億円以下 30,000円
1億円超5億円以下 60,000円
5億円超10億円以下 160,000円
10億円超50億円以下 320,000円
50億円超 480,000円

※引用:国税庁「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

登録免許税

登録免許税とは、不動産の登記情報を変更する際に発生する税金です。司法書士に依頼せずに自身で対応する場合にも必ず発生する税金となっているため注意しましょう。

登記の種類 登録免許税額
抵当権抹消登記 不動産1個につき1,000円 
住所変更登記 不動産1個につき1,000円 
相続による所有権移転登記 不動産の固定資産税評価額×0.4% 
贈与による所有権移転登記 不動産の固定資産税評価額×2%

譲渡所得税

不動産の売却について利益が出た場合、売却した年の翌年3月15日までに確定申告をおこない、その利益(譲渡所得)につき譲渡所得税が課されます。譲渡所得は、次の算式によって計算されます。

譲渡所得=譲渡価格-(取得費+売却費用)-特別控除

税額は、取得期間に応じて下表のようになっています。

税金の種類 短期譲渡税 長期譲渡税
所得税 30.63% 15.315%

(※上記所得税には、復興特別所得税2.1%が上乗せされています)

ただし、マイホームのマンションを売却した場合には、「マイホームを売ったときの特例」があります。これは自宅の売却によって譲渡益が生じた場合に3,000万円までは非課税となる特例です。建物の所有期間の長短に関係ないため、適用しやすい特例と言えるでしょう。

住民税

譲渡所得には、住民税も課されます。住民税は、所得税の確定申告に基づき、売却した年の翌年6月以降、各市区町村が賦課します。税率は、譲渡所得に対して次表のようになっています。

税金の種類 短期譲渡税 長期譲渡税
住民税 9% 5%

まとめ

マンションの買取は、仲介よりも短期間でマンションを現金化できるメリットを持っているものの、売却額は仲介よりも安くなるデメリットを持っています。

このため、マンションの売却活動に時間をかけられない人は買取が向いており、とにかく高くマンションを売却したい人は仲介での売却が向いていると言えます。マンションを売却する上で重視しておきたいポイントを整理し、優先順位を明確にしてから売却方法を選んでみましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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