購入するアパート物件のめどが立ったら、次いで重要なのが管理会社選びです。入居者募集や賃料の回収、物件の維持管理などを円滑におこなってくれる管理会社に任せれば、不動産投資の収支改善や物件の資産価値の維持につながります。
今回の記事では、管理会社の基本的な役割や質の高い管理会社を見つけ出すメリットを紹介したうえで、管理会社の選び方の7つのポイントを紹介します。はじめての管理会社選びに戸惑っている方はぜひ参考にしてください。
目次
- アパートの管理会社とは?
1-1.アパートの管理会社の役割
1-2.よい管理会社を利用するメリット - 管理会社選びの7つのポイント
2-1.業務範囲が自分のニーズにあっているか
2-2.空室発生時の集客力があるか
2-3.物件がある地域に詳しいか
2-4.対応力は高いか
2-5.管理物件数はどの程度か
2-6.対応が丁寧か
2-7.管理費は適正水準か - アパート管理までワンストップで依頼できるアパート経営会社
3-1 アイケンジャパン
3-2 シノケンプロデュース - まとめ
1 アパートの管理会社とは?
アパートの管理会社について、「物件管理をしてくれる」という漠然としたイメージがある一方で、具体的にどんな役割を担う会社なのか正確に知らない人も多いでしょう。
まずは、管理会社の役割や、よい会社と契約することで得られるメリットを紹介します。
1-1 管理会社の役割
現代において管理会社の役割を並べると次のようになります。
仲介業務
- 入居者の募集活動
- 内見の案内
- 入居者との賃貸借契約の締結
管理業務
- 入居者の退去立ち合い
- 入居者トラブルの対応
- 共用部の清掃や点検
- 共用設備の点検
- アパート全体のメンテナンス計画の立案
物件自体の維持・管理だけでなく、入居者募集や入居・退去時の対応、トラブル解決などその業務領域は多岐にわたります。全てを管理会社に任せれば、日常生活においてアパート管理に関して投資家が作業・対応を求められる場面はかなり少なくなります。
また、管理会社が担う業務は、入居者関連の対応である「仲介業務」と狭義の「管理業務」に分類されます。管理会社の中には「仲介業務」のみをおこなう会社、「管理業務」のみをおこなう会社も存在するので、管理会社選びにおいては注意しましょう。なお、仲介業務・管理業務を一貫対応できる会社も多数あります。
1-2 よい管理会社を選ぶメリット
管理会社選びを成功させれば、投資家は次のようなメリットを享受できます。いずれも不動産投資を効率化し、収益性を高めるうえで重要な要素です。だからこそ、管理会社選びはアパート経営において重要といえます。
- 空室期間を短縮できる
- 空室頻度を減らせる
- 資産価値を維持できる
- 修繕を効率的におこなえる
- 管理コストを圧縮できる
入居者の「客付け」が上手な管理会社を利用すれば、空室が出ても早期に埋めることができ、空室期間の短縮化につながります。さらに、入居者トラブルの解決能力が高く、また物件を汚損・破損のない状態に維持できれば、入居者の発生頻度の抑制にも寄与するでしょう。
さらに日頃の物件の維持・管理は中長期的な資産の劣化を遅らせる効果があります。資産価値の維持と、修繕コストの削減にもつながっていきます。最後に、効率的かつ効果的な修繕計画を提示し、また質が高く割安な施工業者とのリレーションを持つ管理会社であれば、コストを抑えながら効率よく修繕に対応することが可能です。
最後に管理費も不動産投資の収支を決定づける重要なファクターです。物件管理の手数料は通常、家賃の数%と契約前に定められます。物件管理の質との天秤にはなりますが、仮に管理の質が同程度の会社が複数社あるなら、管理費を比較して委託先を検討することも重要です。このように、管理会社の質が高ければ、短期的にみても中長期的にみても不動産投資の収益性向上や管理コストの抑制に役立つのです。
2 アパート管理会社選びの7つのポイント
アパート管理を効率的におこなってくれる、質の高い管理会社をうまく選ぶためには、次の7つのポイントをもとに選別していくとよいでしょう。
物件の立地や重視するポイントなどによって最適な管理会社は人によって変わってくるので、重視するポイントを意識しながら、自分が保有する物件において最適な管理会社をみつけてください。
2-1 業務範囲が自分のニーズにあっているか
管理会社は大まかに次の3つのパターンにわかれます。
会社のタイプ | 業務範囲 |
---|---|
仲介管理会社 | 入居者管理から物件の維持・管理まで全てをおこなう |
仲介専門会社 | 入居者募集や契約など仲介業務を中心におこなう |
管理専門会社 | 入居後の住民対応や物件の維持・管理を中心におこなう |
すなわち「仲介」「管理」の両方の業務を一貫対応できる会社と、いずれか一方を中心とする会社が存在します。また、細かい業務範囲や得意とする領域は管理会社によってさまざまで、仲介管理会社だが特に客付けが得意である、あるいはその逆に物件の資産価値の保全を強みとしているなどといったケースもあります。
自分が保有する物件の立地や特性などもふまえて、どの部分の管理を特に重視するかによって、最適な管理会社は変わってきます。管理会社を比較するときは、かならず管理会社の業務範囲や強みとする領域を確認しながら契約先を探しましょう。
なお、初心者の場合は、そもそも管理のどの部分に軸足をおくべきかわからない人も多いでしょう。そのため、まずは仲介管理会社で、仲介も管理も満遍なく対応できる会社を選ぶのがよいでしょう。
2-2 空室発生時の集客力があるか
入居者募集や契約を取り付ける仲介業務についても、管理会社に任せたいと考える方が多いでしょう。仲介業務においては、短期間で多くの入居希望者を募り、また契約締結まで進められる集客力が重要になります。
長期間にわたって賃貸経営をおこなっていれば、空室の発生を完全に避けることはできません。物件の質を維持していても、入居者の都合で転居せざるを得ない時があるからです。そのため、空室リスクを最小化し、収益力を維持するためには、早期に入居者を募り空室を埋める力のある管理会社と契約するのが有効です。
多店舗展開している大手の仲介会社は、より多くの人から入居者を募ることができるので、集客力は高いと期待できます。また、地元密着型の会社でも、長年その土地で管理をおこなっていれば、その地域の適正な賃料設定や効率的な集客方法を熟知しているので、集客力があると考えられます。
また管理会社によっては自社が管理する物件の平均の空室期間などを公表している場合もあります。空室期間が平均的に短い会社は、集客力において信頼がおけるでしょう。
2-3 物件がある地域に詳しいか
物件がある地域の特性を深く理解している管理会社の方が、効率的で適切な管理が期待できます。
例えば、集客において、街の特性や最寄り駅までの経路の特徴などを理解していた方が、スムーズに入居希望者に案内ができます。物件の魅力と地域の魅力をあわせて伝えることでスムーズな契約獲得に繋がるでしょう。
また、その地域の人口動態を理解していれば入居者の傾向にあった物件管理も可能になります。女性が多く住む地域であればセキュリティ面の強化、お年寄りが多く住む地域であれば、高齢者をターゲットにした物件管理の工夫などを提案してもらえます。
地域の立地と賃料の傾向を深く把握していれば、高すぎず・安すぎずの最適な賃料の設定が可能です。
このように物件のある地域に詳しい管理会社のほうが、スムーズで効率的な物件管理をおこなってもらえます。その地域に本拠地をおく管理会社や、支店や支社をもつ管理会社を重点的にみていくとよいでしょう。
2-4 対応力は高いか
入居者間のトラブルや汚損・破損はいつ起こるかわかりません。深夜に災害が発生して一刻も早く駆けつけなければならない事態になる可能性もあります。
どのような時でも早急に対応ができる能力のある管理会社を選べば、トラブルや汚損・破損などによるダメージを最小限に食い止め、空室発生や資産価値の毀損を防げるでしょう。
例えば、次のような特徴がある管理会社は、いざという時に迅速な対応が期待できます。まずは以下の3点を満たす管理会社を探されてみると良いでしょう。
- 24時間365日対応している
- 物件の近くに本支社や管理事務所がある(車で30分以内が目安)
- 貸借人専用ダイヤルがある
2-5 管理物件数はどの程度か
物件管理数は原則として多い会社の方がよいでしょう。物件管理が多いということは管理実績も豊富なので、仲介・管理いずれの部分においても一定の品質で管理業務をおこなってくれると期待できます。
また、清掃や細かい補修などは、多くの物件を一手に引き受けることでコスト削減が可能なケースもあります。大規模に管理している大手の方が人的リソースや施工業者との豊富なリレーションがあるため、コストを抑えて効率的な修繕計画が提示できます。
2-6 対応が丁寧か
管理物件数に着目したときにリスクとなるのは、管理物件が多いゆえにショートスタッフ、リソース不足などにより対応が雑な会社にあたってしまうことです。管理を任せてみないとわからない部分もあるので、このリスクを100%回避することは難しいものの、オーナーである自分との対応の質によってある程度推し量ることができます。
ショートスタッフな管理会社は、1人で多くの物件管理を担っているため、一件一件の対応が雑になったり、レスポンスが遅い、期限を守らないなどの小さなミスが発生しがちです。逆に、管理物件が多いにもかかわらず対応が丁寧で迅速な管理会社は信頼がおけます。
長い付き合いになる管理会社なので、対応が悪い会社と付き合いを持つのはストレスやトラブルの元にもなります。対応が丁寧で、快くコミュニケーションが取れる会社を選ぶことが大切です。
2-7 管理費は適正水準か
ここまで紹介した各ポイントを満たす管理会社であることを確認したうえで、最後に管理費をみていきましょう。管理費ばかりを意識して、業務範囲が不足していたり、粗悪な管理会社に任せてしまうことのないように注意してください。
管理費の相場は、冒頭に紹介した業務を一貫対応する場合で、満室時の賃料収入の5%程度が目安となっています。但し、入居者をWeb上で募るときの広告費などは別途かかる場合も少なくありません。毎月発生する管理費のほか、付帯的にかかる費用についても確認のうえ契約を進めましょう。
近年ではより低水準の管理費を設定しているケースも少なくありません。ただし一方で、管理業務の範囲が限定されていたり、臨時でかかる費用が多かったりと制約がある場合もあるので注意が必要です。
ここまで紹介したポイントをふまえて、あくまで自分のニーズをしっかりと満たす管理会社の中から、適正な管理費を提示してくれる管理会社を選びましょう。
3 アパート管理までワンストップで依頼できるアパート経営会社
以下ではアパート購入後の管理まで依頼でき、管理実績も豊富なアパート経営会社をご紹介します。
3-1 アイケンジャパン
アイケンジャパンは、京と福岡の二拠点を本社とする不動産会社で、新築アパートの企画・販売、土地活用コンサルティング、不動産仲介、建築の設計や施工、管理などを行っています。入居者が入り続けるエリアや土地を厳選し、建物には入居者のターゲットである「社会人女性」がよろこぶ充実の設備を標準搭載することで、アパート経営を長く継続できるようにしています。
アイケンジャパンのアパートは、入居率99%以上という実績があります。(※2021年12月時点、アイケンジャパンが企画開発を手がける物件の入居率)。物件の収益率は経年によって下がるため、この収益稼働率も低下していくことになりますが、アイケンジャパンの物件は築10年以上経っても98.7%(2024年6月末時点)の高い収益率を維持しています。
3-2 シノケンプロデュース
シノケンプロデュースは「シノケングループ」の100%子会社です。シノケンプロデュースでは、入居需要が多い駅徒歩10分以内の立地にこだわることで、築25年以上の物件も含めてグループ全体で入居率98.56% (2023年年間平均入居率)を実現しており、グループ会社のシノケンファシリティーズでは管理戸数47,000戸以上(2023年12月末時点)の実績があります。
その他、独占提携ローンを利用した不動産購入が可能であることや、1990年の創業以来、提携金融機関に対して数多くの紹介実績と信用がある点も特徴的です。
まとめ
管理費用は不動産投資においてコストになるため、収益性を維持するために「コストを圧縮する」ことに意識がいきがちです。
しかし、質の高い管理によって空室を減らし、物件の資産価値を維持することは、不動産運用において非常に重要であるため、いたずらに月々発生する管理費の圧縮ばかりに目を向けるのは適切ではありません。
管理会社の業務範囲や、得意とする領域、管理能力や物件管理の実績などを総合的に勘案したうえで、適正な費用を提示する管理会社を選びましょう。
伊藤 圭佑
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