一棟マンションよりも低価格で取得可能なアパート経営は、土地活用や資産運用の手段となり得ますが、様々な注意点やリスクもあります。
表面利回りだけで物件を選んだり、入居需要の少ない立地にアパートを建てたりすると、投資計画全体の見直しを迫られるケースも見られます。特に、初心者の方はアパート経営の特徴や失敗例についてしっかりと確認することが大切です。
この記事では、アパート経営の特徴、購入する際の注意点、実際の失敗例を詳しくご紹介するので、参考にしてみてください
目次
- アパート経営の特徴
- 新築アパートと中古アパートの違い
- アパート経営の初心者が注意したい5つのポイント
3-1.長期的な賃貸需要の見込める立地を選ぶ
3-2.管理能力のある不動産会社を選ぶ
3-3.実質利回りを確認する
3-4.出口戦略まで考える
3-5.入居者の属性をチェックする - 知っておきたいアパート経営の4つの失敗例
4-1.表面利回りだけを見て物件を買ってしまった
4-2.管理能力のない管理会社を選んでしまった
4-3.大学移転や工場移転で入居者がいなくなってしまった
4-4.事故物件化してしまった - まとめ
1.アパート経営の特徴
アパートとマンションの呼び名の違いに明確な基準はありませんが、主には建物の構造や規模によって異なる使い分けをされています。
マンションは建築に費用のかかる鉄筋コンクリート造(RC造)で建てられており、堅牢性や断熱性、防音性などに優れています。壁をコンクリートで作っているため部屋間の生活音が伝わりにくく、また外気も室内に伝えにくいので、快適な居住性能を入居者に提供することができます。
一方、アパートは木造もしくは軽量鉄骨で建てられています。建築費自体はRC造物件の半額程度ですが、その代わり耐震性・防音性・断熱性などは劣ります。壁が薄く、外気の影響を受けやすいなどの特徴があります。
構造に違いがあるため、購入費用もマンションのほうが大きくなります。物件の取得費用が安くなることから、利回りはアパートのほうが高くなりやすいのが特徴です
2.新築アパートと中古アパートの違い
不動産投資では、新築物件を購入するか、中古物件を購入するかで収益性や運用の対策も大きく異なってきます。アパートを選ぶ時も新築のアパートを購入するか、それとも誰かが既に所有していた中古アパートを購入するかで、運用のポイントは変わります。
新築アパートの主なメリットは、建物が新しく綺麗であることから賃貸需要が見込め、家賃を高く設定できることです。また、デザインや居住性能に優れているため、賃貸物件として長期間運用しやすいのも利点です。
しかし、最新の工法で建てられたアパートは性能に優れているものの、購入価格も高くなるので、価格面がデメリットになります。
一方、中古アパートのメリットは価格の安さと言えます。木造アパートは法定耐用年数の22年を過ぎれば、建物価値も大きく低下します。
築20年を経過したようなアパートであれば建物価値が大きく下がり、土地代に近い価格で購入できることもあります。入居率を維持できれば、高い収益性を維持することも可能です。
しかし、築年数を経過したアパートは、金融機関の評価が低く、融資を受けにくくなります。場合によっては保証会社を利用しないプロパーローンを検討するか、購入資金のほとんどを現金でまかなう必要も出てきます。
また、築年数の古いアパートは、建物の状態も新築時より大きく劣化していきます。築古物件は、外壁や設備の老朽化が進み、リフォームしないと賃貸に出せないこともあるので、修繕費用が多くかかります。
3.アパート経営の初心者が注意したい5つのポイント
アパート経営が初めての場合、以下のポイントに注意することが大切です。
3-1.長期的な賃貸需要の見込める立地を選ぶ
アパートを選ぶ際は、購入時点で収益が上がっているだけではなく、5年後10年後など、将来も継続して需要の見込めるエリアを検討することが大切です。
アパートを購入する時は、人口減少の影響を受けにくいエリアを選ぶことを検討してみましょう。この場合、例えば、人口の多い東京・神奈川・埼玉・千葉の一都三県、また、名古屋・福岡・大阪などの地方大都市圏などが候補になります。
購入する場所も、駅から離れたような不便な場所ではなく、駅から徒歩10分以内など利用しやすい場所を選ぶこともポイントです。
3-2.管理能力のある不動産会社を選ぶ
アパート経営を最初の不動産経営として取り組む場合、物件管理を自身で行うのは難しい場合もあります。特に日中仕事で忙しい方は、入居者のトラブル対応まで行う余裕がないケースも考えられます。
アパート購入後の管理業務は、不動産会社や管理会社に委託することができますが、管理会社に依頼できる業務内容は各社によって様々で、委託費用も異なります。
そのため、入居者のクレーム対応が早かったり、空室が発生した時に清掃や客付けを素早く行ってくれたりする管理会社を選ぶことがポイントになります。
3-3.実質利回りを確認する
不動産サイトの物件情報では、物件の収益性を示す利回りが掲載されています。利回りとは、不動産物件を購入して1年間満室経営をしたときに、購入金額の何%を回収できるかを表した数値です。
ただし、広告で利用されている利回りの多くは、表面利回りとなるため注意が必要です。例えば、表面利回り10%で、物件価格1,000万円の場合、年間100万円となりますが、ここから維持管理のための経費が発生するため、実際の手残り金ではありません。
表面利回りの高い物件は掘り出し物にも見えますが、中古で売りに出ているアパートは、「入居率が低い」「維持費がかかるようになった」などの事情を抱えていることもあり、実際購入してみれば空室が多く、また、人に貸し出すためにはかなりの修繕費がかかる物件もあります。
賃貸需要の減少が起きているような地方では満室経営をすることが難しく、家賃を下げても空室が埋まらないこともあります。
そのため、利回りを見るときには表面利回りの数字だけではなく、直近1~2年間の家賃収入の金額や物件維持管理のための費用を加味し、実質利回りを確認することがポイントです。
3-4.出口戦略まで考える
アパート経営に限らず、不動産投資は必ず出口戦略を考えてリスク対策を行うことが大切です。出口戦略とは、最終的に物件をどのように・いつ手放すかという計画です。
例えば、土地価格の上昇が見込める立地のアパート物件を購入した場合、購入時よりも10年後のほうが高くなっている可能性があります。そのような場合、物件の利回りが多少低くても、売却した時、最終的に利益を得られる可能性があります。
一方、地方で人口が減っているエリアのアパートを購入すると、最初はうまく経営できていても、売却のタイミングで物件価格が下落してしまい、売却に苦戦してしまう可能性が高まります。
長期的な計画になるほど将来を予測するのは難しいと言えますが、物件を何年所有するのか、何年後にどの程度の価格で売るのか、ある程度の範囲で想定しておくことがポイントです。
3-5.入居者の属性をチェックする
アパートの入居者は、学生や社会人、カップルや夫婦、子供がいる・いないなど様々です。自分が購入するアパートには、どのような入居者が多いのかという特徴を知っていると、建物の内装プランを考えたり家賃設定を検討したりする際に役立ちます
例えば、地方や郊外にあるアパート物件は、駐車場付きであることが重要な項目になることがあるほか、共働き世帯では宅配ボックスなどの需要が増加します。
そのエリアに多い属性の入居者にとって使いやすいアパートにできれば、空室も埋まりやすくなります。
4.知っておきたいアパート経営の4つの失敗例
次に、アパート経営の初心者が注意しておきたい失敗例をご紹介します。物件や立地選びのご参考にしてみてください。
4-1.表面利回りだけを見て物件を買ってしまった
アパート経営や投資初心者の場合、表面利回りのみを重視して物件を選ぶ場合があります。
しかし、購入した後で高額の修繕費を必要としたり、大規模な広告をかけないと入居者を集めることができないケースでは、実質利回りが低い物件であることがあります。
また、表面利回りの高い物件は、物件価格を値下げせざるを得なかった物件などもあり、そのままで満室経営を維持できないこともあります。なぜ利回りが高いのか原因を確認し、リスク対応ができるかどうか慎重に検討する必要があります。
4-2.管理能力のない管理会社を選んでしまった
管理会社の能力が低いと入居率に影響してくるケースもあります。例えば、「入居者のクレーム対応が素早くできていない」「清掃や植栽をきちんとしてくれず見た目が汚い」などの管理の行き届いていないアパートは、空室を生みやすくなります。
アパート経営が初めての場合、管理会社を適切に選ぶのは難しいポイントとも言えます。複数の管理会社に問い合わせて比較したり、友人や知り合いに大家がいる場合はその人にアドバイスを求めるのも一つの方法です。
4-3.大学移転や工場移転で入居者がいなくなってしまった
大学や工場の近くにアパートがあれば、そこに通う人たちの入居需要を見込むことができますが、移転すると入居需要が急激に落ちて経営自体が難しくなる可能性もあります。
そのため、入居者を一つの学校や施設だけに依存するのではなく、幅広い場所から入居者を呼び込めるような立地を選ぶのもポイントです。
4-4.事故物件化してしまった
最近多く見られる社会問題の一つが、単身入居者の孤独死による事故物件化です。特に高齢の単身者世帯が増加しており、身寄りもないまま一人で生活しているといつのまにか孤独死するケースがあります。
遺体の発見が遅れれば部屋に悪臭が漂い、大幅なリフォームをしなければならない場合もあります。また、自殺者や事件が起きた物件を嫌がる人は多く、一斉に退去されるケースもあります。
このような事故物件化を防ぐためには、孤独死保険に入っておくか、また定期的に巡回を行うなどの対策が必要になってきます。
まとめ
この記事ではアパート経営の初心者が気をつけるべきポイントについて詳しくご紹介しました。
アパート経営では、物件や立地選びから購入後の管理業務に至るまで気を付けたいポイントが様々あり、特に利回り重視で中古アパートを選ぶ際は、入居需要や修繕履歴などをしっかりと確認することが大切です。
不動産会社や管理会社に相談することで解決できる問題もあります。信頼できるビジネスパートナーを見つけておくこともアパート経営を成功させるポイントです。
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