賃料収入を得て利益を上げるマンション投資では、利回りについて詳しく知ることが重要です。利回りには、おもに「表面利回り」「想定利回り」「実質利回り」の3種類があり、不動産のタイプごとでそれぞれの目安や必要な初期費用を把握しておく必要があります。
この記事では、マンション投資を検討している方のために、マンション投資の利回りの目安と物件購入時の必要経費について詳しく解説するので、ご参考ください。
目次
- マンション投資の利回りとは
1-1.表面利回り
1-2.想定利回り
1-3.実質利回り - ワンルームマンション投資の利回りの目安
- 収益物件を選ぶポイントは表面利回りだけではない
3-1.表面利回りが相場以上でも不適切な物件
3-2.表面利回りが相場以下でも選びたい物件 - マンション投資の初期費用
4-1.手付金
4-2.仲介手数料
4-3.印紙代
4-4.ローン手続き関係費用
4-5.登記費用
4-6.火災(地震)保険料 - 初期費用の目安
- まとめ
1.マンション投資の利回りとは
マンション投資の利回りとは、年間で物件購入価格の何%を回収できるかの収益性を示す指標です。利回りには、おもに表面利回り、想定利回り、実質利回りの3種類があるので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.表面利回り
表面利回りとは、収益物件の購入価格に対する年間家賃収入の割合で、「年間の家賃収入÷収益物件の購入価格×100」の計算式で求めることができます。例えば、年間の家賃収入240万円、物件購入価格6000万円の場合、表面利回りは、240万円÷6000万円×100=4%となります。
マンション投資を行う場合、収益物件の維持費や管理費などの諸経費がかかります。また、収益物件を取得する際にも諸費用が発生します。
しかし、表面利回りは、マンション投資で発生する諸経費や諸費用を考慮しないで算出された指標です。収益性を正しくはかれない場合があるため、注意しましょう。
1-2.想定利回り
想定利回りとは、想定される年間の家賃収入をもとに算出される利回りです。具体的には、「想定の年間の家賃収入÷収益物件の購入価格×100」の計算式で想定利回りを算出します。
想定の年間の家賃収入は、利回りの算出時点において、入居者を募集したときに適用される家賃の金額をもとに算出します。例えば、利回りの算出時点で想定される家賃額が月10万円の場合、想定される年間の家賃収入は120万円になります。
賃料は賃貸需要が減少すると、それに伴って下がっていきます。しかし、想定利回りを算出する場合、家賃相場の下落について考慮されません。年間の家賃収入額が相場水準よりも高くなるため、算出される想定利回りも高くなる傾向にあります。
1-3.実質利回り
実質利回りとは、マンション投資を行う際に発生する諸経費を考慮した上で算出される利回りのことです。実質利回りは、「(年間の家賃収入-諸経費)÷(収益物件の購入価格+諸費用)×100」の計算式で算出できます。
年間の家賃収入から諸経費を差し引いて残った部分が、マンション投資の実質的な利益になります。また、収益物件を取得するための支出には、購入価格だけではなく諸費用も含まれます。
諸経費や諸費用も考慮の上で算出される実質利回りは、表面利回りと比べてマンション投資の収益率をより正確に示すことができます。そのため、マンション投資の利回りを把握する際は、実質利回りの計算式で算出することがポイントになります。
2.ワンルームマンション投資の利回りの目安
マンション投資の利回りは、その基準がなければ評価をすることができません。そのため、物件のタイプ別・エリア別に分け、それぞれ利回りの目安を把握しておくことが大切です。
物件にもよりますが、通常、新築マンションの購入価格は中古マンションよりも高いため、ワンルームの利回りは、築年数の浅い物件ほど低くなり、古い物件ほど高くなります。
例えば、東京都市部のワンルームの場合、新築物件の表面利回り相場は3~4%前後です。築年数が20年以内の中古物件の場合は4~5%前後、築年数が経過した中古物件の場合は、5~7%程度です。
ワンルームを収益物件として不動産投資を行う場合、上記相場の割合または少し上の表面利回りを狙うのが目安になります。
ただし、不動産の利回りは築年数だけでなくエリアの周辺環境、施工会社のブランド力、設備、間取り、リフォームの有無などによって大きく変動します。物件購入の際は、利回りを目安としながらもその他の条件とのバランスを取った戦略が重要となります。
物件の維持管理費用が大きくなるケースもあります。表面利回りだけでなく、ランニングコストにも注意を払った実質利回りを比較することが大切です。
3.収益物件を選ぶポイントは表面利回りだけではない
利回りはマンション投資の収益性を示す重要な指標ですが、利回りだけが収益物件を選ぶ基準ではありません。利回りが相場水準以上でも不適切な物件もあれば、利回りが相場水準以下でも検討する価値のある物件もあります。
3-1.表面利回りが相場以上でも不適切な物件
物件所在地が駅から遠かったり、利便性が著しく低かったりする物件は、利回りが相場水準以上であっても、選ばないほうが好ましい場合があります。特に入居付けが難しい物件は、空室リスクが発生する可能性も高くなります。
家賃の下落率を考慮せず、満室の想定で利回りを算出すれば、それだけで利回りが相場水準以上になるため、このような物件は目を引きます。しかし、家賃下落リスクや空室リスクを考慮した上で利回りをあらためて算出すると、相場水準以下になるケースもあります。
例えば、立地があまり良くない中古ワンルームマンションの場合、相場よりも低価格で収益物件を購入でき、利回りが相場以上になるケースがあります。
しかし、低価格で購入できるのは、立地が悪いだけでなく、マンションの管理費や積立金が相当高くなっていることなどの原因も考えられます。管理費や積立金が相場水準より高くなると、マンション投資の収益率も低下します。
表面利回りが高水準であっても、実質利回りで計算してみると相場以下になるケースも少なくありません。表面利回りは物件比較の際の一つの指標として考えることが重要です。
3-2.表面利回りが相場以下でも選びたい物件
利回りが相場水準より低い場合でも、物件の立地条件などが良ければ検討する価値があります。例えば、都市部で駅近など立地に優れたマンションや築年数の浅いマンションは、入居付けをしやすくなります。
入居需要の多い物件は、購入価格が高く低利回りとなるものの、空室リスクを回避しやすいほか、満室状態を維持しやすく、想定通りの利回りを得られる可能性が高い物件です。
このほか、賃貸需要の多いエリアは土地値が上昇していることも多く、値下がりしにくい物件であるケースも少なくありません。利回りが相場水準以下であっても、低リスクの運用を検討するのに向いた物件となります。
4.マンション投資の初期費用
マンション投資の初期費用としてかかる主な経費と金額の目安は以下の通りです。それぞれ詳しく見ていきましょう。
4-1.手付金
手付金とは、不動産売買契約を締結する際、買主側から売主側に支払われる前金のことです。手付金の支払いは現金払いで行うため、収益物件を購入する際は不動産売買契約時に支払う手付金分の現金を用意しておく必要があります。
手付金の金額は、売主が不動産会社の場合、購入価格の20%以内に収める必要があります。しかし、不動産会社を介して個人の売主から不動産を購入する場合、手付金の設定金額を制限する旨の規定はありません。
個人の売主から不動産を購入する場合、手付金の金額は、慣例上購入価格の5~10%程度になります。例えば、購入価格が3000万円の場合、150万~300万円程度の手付金を支払うことになります。
4-2.仲介手数料
仲介手数料とは、不動産会社に売買取引を斡旋してもらうための手数料です。不動産会社に支払う仲介手数料の上限額は、法律で規定されており、購入価格が400万円を超える金額の場合、「購入価格×3%+6万円」の算出額に消費税額を加算した額が上限額です。
例えば、3000万円の収益物件を購入した場合、96万円+消費税額が仲介手数料の上限額になります。
そのため、数千万単位の収益物件を購入する場合、数十万~数百万円単位の仲介手数料を支払うことになります。
4-3.印紙代
不動産売買契約を締結する際に作成した契約書は課税文書に該当します。そのため、契約書の記載金額に応じて課税される印紙税を納付しなければなりません。
印紙税の納付は、契約書に収入印紙を貼付する方法で行うことになるので、そのための印紙代を初期費用として準備しておく必要があります。不動産の購入価格が数千万円単位になる場合、印紙代は数万円単位になります。
4-4.ローン手続き関係費用
銀行等のローンを利用して収益物件を購入する場合、手続きに必要な事務手数料を支払うことになります。
事務手数料の金額はローンを取り扱う金融機関によって異なりますが、借入額の1~2%程度で設定されています。。例えば、5000万円の融資を受ける場合、事務手数料は50万~100万円程度になります。
また、ローンの融資を受ける際に、保証会社と保証契約を締結するケースもあります。この場合、ローンの保証料を負担することにもなります。
4-5.登記費用
収益物件の名義を新たな買主に変更するためには、登記手続きを行う必要があります。不動産の登記は、司法書士に依頼して手続きをするのが通常です。その際、司法書士に報酬を支払うことになるほか、登記手続きをする際、登録免許税の納付も必要になります。
収益物件を購入する際、司法書士報酬と登録免許税を含む登記費用の総額は、25万~30万円程度となります。
4-6.火災(地震)保険料
購入した収益物件が損害を受けたときのために、火災(地震)保険へ加入するのが通常です。ローンを利用して収益物件を購入する場合、担保として提供することになるため、火災(地震)保険の加入が義務付けられています。
保険料は、建物の種類、構造、築年数などによってその金額が異なります。コンクリート造マンションで災害を幅広くカバーできるタイプの火災(地震)保険に加入したときの保険料は、加入期間1年の場合、1万5000円程度です。加入期間が10年のケースでも、保険料は10万円以内に収まります。
5.初期費用の目安
マンション投資にかかる初期費用の目安は、収益物件の購入価格の8~10%です。例えば、3000万円のワンルームマンションを取得する際は、300万円程度の資金を用意しておく必要があります。
初期費用の資金を準備する余裕がない場合、仲介手数料や火災(地震)保険料を安くしてもらうことも検討できます。
火災(地震)保険料は、契約期間を長くするほど、割引が適用されて支払額が抑えられます。保険契約で保険会社の支払い免責を設定することでも、保険料を安くすることが可能です。また、仲介手数料は不動産会社と交渉することで減額してもらえる場合もあります。
ただし、仲介手数料は不動産会社の主な収益源となり、不動産会社は物件の広告費、契約書の作成費用、物件調査費、仲介交渉の人件費等の多くの経費を負担しています。無理な交渉は行わず、相談という形で考慮可能か聞いてみると良いでしょう。
まとめ
マンション投資で利回りを計算する場合、実質利回りを基準に算出すると、収益率をより正確に把握することが可能です。
マンション投資の利回りは、物件の種類ごとに異なりますが、築年数が経過するほど高くなる傾向にあるのは共通しています。また、マンション投資を行う際、購入金額の8~10%程度の初期費用が必要になるので、余裕を持って準備しておくことが大切です。
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