マンション投資を始める前に知っておきたい7大リスクと対処法

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銀行預金の超低金利により、預金しても金利収入はほとんど望めない時代が長く続いています。借りる立場から見ると借入金利も下がっています。このような金融環境では、資金を借り入れて投資し、収入を得る方法は賢い検討と言えます。株式投資や債券投資、投資信託など投資対象は色々ありますが、マンション投資は長期投資の対象として有力な選択肢です。

マンション投資はマンションを購入して賃貸に出し収入を得るものですが、他の投資と比べて高額な投資となりますので、失敗した場合には損失も大きくなる可能性があります。

そこでマンション投資を始める前に、そのリスクを知ることはとても重要になります。マンション投資のリスクとその対策方法をご紹介するのでぜひ参考にしてください。

  • 1 2017年の新築・中古マンション市場は?
  • 2 マンション投資における7大リスク
  •  2-1 入居・入居者リスク
  •  2-2 家賃未払いリスク
  •  2-3 マンション価格下落・家賃下落リスク
  •  2-4 自然災害・人的災害リスク
  •  2-5 周辺環境リスク
  •  2-6 賃貸管理会社倒産リスク
  •  2-7 瑕疵物件リスク
  • 3 まとめ

1 2017年の新築・中古マンション市場は?

2017年に全国で新規に販売されたマンションは7万7,363戸で2016年に比べて0.5%増加しました。また販売価格は前年に比べて3.9%増加して4,739万円となりました。首都圏では前年度比0.4%増の3万5898戸のマンションが新規に販売され、価格は5,908万円で前年比7.6%増と堅調な動きを見せています(不動産経済研究所「2017年 全国マンション市場動向」より)。

またこれらの新築マンションに加えて、首都圏の中古マンションの2017年の成約件数は3万7,329戸となり、購入価格で有利な中古マンションの販売戸数が新築マンションを上回りました。

今年3月に発表された国土交通省の地価公示によると、地価は3年連続で上昇。また人手不足による建築費の高騰も影響し、3大都市圏や近畿圏では中古マンションの価格上昇が落ち着きを見せています。

2018年の地価公示の変動率

地域別 2018年 2017年
東京 1.0% 0.7%
大阪 0.1% 0.039%
名古屋 0.8% 0.6%
3大都市圏 0.7% 0.5%
全国平均 0.3% 0.022%

(国土交通省より)

2 マンション投資における7大リスク

マンション購入を自己資金ですべてまかなうことができれば理想的です。さらに余裕資金であれば言うことはありません。しかしほとんどの人は大体ローンを組みます。不動産投資は収益物件に対して投資をするものですので、賃貸収入がなるべく途絶えないような対策を講じなければなりません。マンション投資では地震などの避けられない自然災害や、火事などの人的災害はつきものです。そこで、これから説明する7つのリスクとその対策法を知ることで、着実なローン返済計画を立ててください。

 2-1 入居・入居者リスク

マンションオーナーにとって最大の悩みと言えるのが「入居者が集まらない」ことでしょう。入居者が集まらなければ、購入当初に期待していた家賃収入も得られないというリスクがあります。一般的なマンションやアパートならそのようなことにはほとんどなりませんが、入居率が低い場合(入居率が8割を切るなど)には、ローンの返済が滞ってしまうことになりかねません。

入居リスク対策法

そこで入居率を上げる重要な要素として、物件の立地と魅力、それに入居者募集の広告が挙げられます。つまり、空室リスクの少ない人気エリアを選ぶことが重要です。物件探しの際には、物件の立地と間取りや築年数などが入居者に人気があるかを入居者の目線でチェックしましょう。特に立地の選定は重要です。人口減少が続くなかでも流入超過が続く東京23区内で、たとえば「駅まで徒歩10分以内」の物件であれば、入居希望者の多くがチェックしているはずなので、入居リスクは少なくなると言えます。また入居者募集で実績のある近隣の賃貸管理会社に募集を頼むことも有効です。

このほか入居者が自殺や病死、または殺人事件などを起こした場合、いわゆる「事故物件」扱いとなる場合があります。心理的瑕疵のある物件ともいいます。そうなると家賃の大幅な低下は覚悟しなければなりません。他の部屋の入居者への影響も心配されます。新たに入居者を募集するときに、告知する義務があるので希望者がなかなか現れないこともあります。この場合、賃貸価格を下げて事故物件を専門に取り扱う業者に入居者募集を依頼するという方法もあります。

 2-2 家賃未払いと退去リスク

入居者が決まっても、入居者が家賃を支払わないリスクがあります。また、何十年も住んでいた入居者が退去する場合、その修繕費に何百万円もかかることがあります。

家賃未払いと退去リスク対策法

家賃未払いについては、滞納した家賃支払いの督促や滞納家賃の建て替えを行う「家賃滞納保証システム」の利用が有効です。家賃滞納保証システムとは、賃貸管理会社や提携先の家賃滞納保証会社が提供するもので、オーナーが保証委託料を支払う必要があります。家賃収入を削ってでも家賃未払いリスクを避けたい場合、保証会社に委託保証料の見積もりをとってもらい、家賃未払い金額との比較・検討を行いましょう。

退去リスクについては、壁紙の張り替えや清掃のほか、物件が古い場合は外装を修繕する場合もあります。そのような時のために、特に中古マンション投資では修繕費用として長期的な修繕計画をしっかり立て、十分な修繕積立金を用意しておく必要があります。それ以外に補修が必要な場合はその費用も見込んで収支計画を立ててください。

 2-3 マンション価格下落・家賃下落リスク

マンションの価格は変動します。前述したとおり、近年続いていたマンションの価格高騰は高止まりしています。オーナーにとってマンション価格が上昇すれば言うことはないですが、価格が下落する場合には売却時に損失が発生してしまいます。また、物件自体の経年劣化・老朽化、周辺家賃相場の下落により家賃が下落するおそれがあります。

マンション価格下落・家賃下落リスク対策法

そこで、周辺マンションの価格相場の状況を調べて、売却価格をある程度予測しておくことも必要です。特に大きな人口減少が予想されるエリアでは住居需要の減少から売却価格への影響する可能性も高くなります。民間企業や国が公表している資料を参考に、人口上昇が予測されるエリアを選ぶなどの対策を立てましょう。

また、経年劣化や老朽化による家賃下落の対策では、リフォームにより家賃を維持・増加することができます。このほか古い内装を人気のワンルームにしたり、若者に人気のシェアハウス風にしたりするリノベーションも選択肢の一つです。

 2-4 自然災害・人的災害リスク

日本は地震大国です。1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本大地震などは記憶に新しいでしょう。マンションを含む不動産には地震や火事の災害リスクがあります。大地震が発生したときにはマンションの倒壊も大きなニュースとなりますが、このとき注目されるのが「新耐震基準が適用されているか」です。

自然災害・人的災害リスク対策法

新耐震基準では、震度6〜7までの地震に対応することができます。阪神淡路大震災では倒壊した建物の多くが新耐震基準の以前に建てられたものだと言われています。当基準が適用されたマンションは1981年6月1日以降に建設された建物が対象です。もちろん100%安心というわけではないですが、建物倒壊という最悪のリスクを避ける有効な手段となりえます。

また地震保険や火災保険など災害発生に備えた保険への加入も必要です。地震保険は、火災保険とセットで契約する仕組みになっています。保険金額は、火災保険の保険金額の30~50%の範囲内で決めることが可能です。補償金額は建物5,000万円、家財1,000万円までとなります。これらの保険費用もマンション投資の収支に影響しますので、必ず経費として見込んでおくように留意して下さい。

地震保険の保険金

全損 地震保険の保険金額の100%
大半損 地震保険の保険金額の60%
小半損 地震保険の保険金額の30%
一部損 地震保険の保険金額の5%

(財務省「地震保険制度の概要」より

このほか窃盗やいたずらにより窓ガラスの破損やドア・その他の設備を破損させられる被害もあります。マンションであれば監視カメラが設置されている場合が多いですが、なければ被害防止のため監視カメラ設置を検討する必要があります。また被害にあった場合の保険加入の費用も見込んでください。

 2-5 周辺環境リスク

購入したマンションの周辺環境にもリスクがあります。例えば高速道路の騒音、ドブ川の悪臭や、マンション近辺に高層建築物ができて日照権問題が発生するといった場合です。
また近隣住民の生活スタイルも広い意味で環境リスクとなります。夜中に出す大音量の音楽や、ゴミ屋敷などはワイドショーでも取り上げられているとおりです。

周辺環境リスク対策法

マンションを購入する前に物件を見て周辺の状況を見極め、さらに近隣の開発計画を確認することが必要です。近隣住民との音に関するトラブルは警察に相談してもすぐに解決する見込みは高くありません。このような場合には、賃貸管理会社経由で穏やかな話し合いにより解決することが大原則です。

特に音に過敏な人は、隣接する道路の車の騒音よりも小さい音量の音楽でも「音楽がうるさくて耳鳴りがする」とクレームを付け、警察を呼ぶ場合もあります。このような場合、条例に違反しなくても警察から連絡が来ますが、冷静に対処するよう心がけましょう。

 2-6 賃貸管理会社倒産リスク

賃貸管理会社が倒産すると、賃貸外管理会社経由で入金されるはずの家賃が取り戻せない可能性があります。また敷金を不動産会社に預けているような場合も同様です。

賃貸管理会社倒産リスク対策法

賃貸管理会社を選ぶときは経営実績を重視するようにしましょう。「入居者への対応がずさん」「家賃の入金が遅れる」など、管理会社として基本的な仕事ができていない場合は何らかの問題が発生している可能性があります。賃貸管理会社にすぐ状況を問い合わせて、賃貸管理会社を変更するなどの対処を行ってください。

 2-7 瑕疵物件リスク

購入したマンションで雨漏りや水漏れ・亀裂・カビなど色々な不具合が発生する可能性があります。特に中古マンションの場合は、経年劣化によりシロアリが発生する場合もあります。このような場合、売主の瑕疵担保責任を追及することができます。

欠陥マンション対策法

民法では、売買契約において取引物に隠れた瑕疵があった場合、買主は売主に対して損害賠償責任を求めることができます。隠れた瑕疵とは、取引時に買主が注意しても確認できなかったキズや欠陥のことです。この欠陥が重大である場合には契約を解除することも可能です。瑕疵担保責任を追及できる期間は、買主が隠れた瑕疵を知ってから数ヶ月~1年程度(売主との契約内容によって異なります)となります。

なお、中古住宅の売買を対象とした保険に「既存住宅売買瑕疵保険」があります。これは国土交通省の住宅瑕疵担保責任保険法人が取り扱うサービスで、売主が買主に対して負担する損害について保険金を支払うものです。

支払い対象と保険期間は次のようになります。

保険対象 保険期間
構造耐力上主要な部分 5年間、または2年間
雨水の浸入を防止する部分
給排水管路
給排水設備・電気設備

(住宅瑕疵担保責任保険協会)

中古マンションでは購入時に瑕疵がある場合がありますので重要事項説明書に記載されている事項は細かくチェックして下さい。その上で購入前に物件の細かな確認を行う事が必要です。重要事項説明書に記載されていない不具合がある場合は販売主に連絡し対応を求めることになります。しかし記載され説明を受けていればその不具合も含めた契約です。契約書の内容はすべて把握するよう努めましょう。

まとめ

中古マンションは購入価格が安い一方で、修繕費用が高額になるなどのデメリットがあります。また新築マンションは購入価格が高い一方で、税金面でさまざまな控除を受けられるといったメリットがあります。どちらの物件にしても、これまで述べた7大リスクを考慮して慎重に選ぶようにしましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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