不動産売却の必要書類と取得方法は?マンション・戸建て・収益物件、それぞれ解説

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不動産売買は契約の上に成立するため、契約に伴うさまざまな書類が必要です。また、物件の種類によって用意する書類が異なるため、準備に手間取ることもあります。

そこで今回は、不動産売却の必要書類をピックアップします。どの種類の不動産売却にも必要な書類と、マンション、戸建て、収益物件、それぞれの売却に必要な書類とに分けて解説していきます。

目次

  1. 不動産の売却に必要な書類と取得方法
    1-1.不動産売却の際に必須の書類
    1-2.不動産売却の際に場合によって必要になる書類
  2. 物件の種類によって必要になる書類と取得方法
    2-1.マンションを売却する際に必要な書類
    2-2.戸建てを売却する際に必要な書類
    2-3.収益物件を売却する際に必要な書類
  3. まとめ

1 不動産の売却に必要な書類と取得方法

どのタイプの不動産を売却する際にも共通して必要となる書類があります。仲介を担当する不動産会社から用意するように依頼されるのは主に4つです。また状況に応じて必要になる書類もありますので、合わせて紹介します。

1-1 不動産売却の際に必須の書類

不動産を売却する際に必要となる書類のうち、必ず用意することになるのが下記の4つです。詳しく見てみましょう。

身分証明書

売却する不動産の持ち主が本人であることを証明するための書類です。顔写真がついている免許証やマイナンバーカード、パスポートなどがふさわしく、コピーを渡すか、不動産会社でコピーを取ることになります。共有名義者がいる場合は、全員分の身分証明書が必要です。

査定をしてもらう際にも提出しますが、売買契約時に改めて用意するように依頼されることもあります。

印鑑証明書(取得場所:市役所や区役所などの役所)

押印する印鑑が正しいことを証明するための書類が印鑑証明書です。登記手続きを行う際に必要となります。

市役所や区役所などの窓口で申請し、発行してもらいます。有効期間は3ヵ月ですので、3ヵ月以内に発行されたものを用意しましょう。

登記済権利書または登記識別情報(取得場所:法務局)

土地や建物の登録名義人を証明する書類で、かつては「権利書」「権利証」と呼ばれていました。しかし2007年の法改正後は登記識別情報と呼ばれています。

用意するのは登記済権利書か登記識別情報通知のどちらでも、手元にある書類で構いません。なお、登記識別情報通知に記載されているのは、次の情報です。

  • 不動産番号
  • 登記の目的
  • 登録名義人
  • 登録名義人の住所
  • 登記識別情報

通常は、不動産を入手したときに移転登記を行いますので、その際に司法書士から提供されます。万が一、紛失している場合は、法務局で申請すると発行してもらえます。戸建てや一棟アパート・一棟マンションの場合は土地分で1通、建物分で1通となります。

固定資産税納税通知書および固定資産税評価証明書(取得場所:市役所や区役所などの役所)

不動産の所有者は、不動産に課せられた固定資産税と都市計画税を納付する義務があります。毎年1月1日に不動産を所有している人に課税され、4月過ぎに各自治体から納税通知書が送られてきます。

この納税通知書には固定資産税評価額が掲載されているので、売却の際に証明書として利用できます。もし納税通知書を紛失した場合は、市役所や区役所などで固定資産税評価証明書を発行してもらうことになります。

1-2 不動産売却の際に場合によって必要になる書類

この項目では不動産売却の際に、場合によって必要になる書類を紹介します。該当しないケースもありますが、ぜひ参考にしてください。

住民票(取得場所:市役所や区役所などの役所)

不動産を登記している住所と、売主の現住所が異なる場合に必要になります。戸建てで転居を先にしたケースや、収益物件を売却するケースなどに当てはまります。印鑑証明と同じく、有効期間は3ヵ月となっています。

ローン残高証明書(取得場所:金融機関)

ローンの支払いが残っている売主は、ローン残高証明書を用意する必要があります。不動産会社や買主に、借入金の状況を伝えるためです。ローン返済予定表(償還表)などでも代用できます。

融資を受けている金融機関から定期的に送付されていますが、紛失している場合は再発行してもらうことができます。売却後は、ローンの抵当権を外すことになりますので、抵当権を抹消するための書類も必要になります。心得ておきましょう。

そのほかの書類

これまで紹介してきた書類の他にも、用意できると便利なものもいくつかあります。下記で確認してください。

  • 購入時のパンフレット
  • 購入時の契約書
  • 重要事項説明書
  • 耐震診断報告書
  • アスベスト使用調査報告書
  • 住宅性能評価書、など

特に性能を示すものがあれば用意しましょう。専門家による住宅の評価になりますので、売却しやすくなる可能性があります。

2 物件の種類によって必要になる書類と取得方法

ここの項目では、売却する物件の種類によって異なる必要書類を紹介します。物件の種類は、マンション、戸建て、収益物件です。

2-1 マンションを売却する際に必要な書類

マンションを売却するには下記の書類が必要になる場合があります。必須ではありませんが、仲介する不動産会社や買主の求めに応じて用意しましょう。

マンションの管理規約

マンションの管理規約は、マンションに住むためのルールが記載されている書類です。主に下記のようなことが記されています。

  • 共用部分の使用方法
  • 理事会の運営や参加について
  • 建て替えや修繕工事について
  • ペット飼育の可否、など

マンションの管理規約は、買主候補にどのようなマンションか知ってもらうために必要になります。通常はマンション所有者に配布されますが、紛失した場合は管理組合に問い合わせて入手しましょう。

そのほかの書類

1棟のマンションにはたくさんの世帯が居住していますので、明確なルール作りが行われます。それが前項で紹介した管理規約ですが、それ以外にもさまざまなルールがあり、それらの書類も合わせて用意しておきます。具体的には下記について記されている書類が必要です。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 管理組合費
  • 町内会費
  • 施設使用料

前項のマンション管理規約に記載されているケースもありますが、分けているケースもありますので、入居当時にもらった書類を確認して用意しましょう。

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2-2 戸建てを売却する際に必要な書類

戸建ての場合は、必ず提出する書類はありません。ただし、売却しやすくなることもありますので、用意できるものは提供しましょう。

建築確認済証および検査済証

建築確認済証は、対象の戸建てが建築基準法に則っていることを証明する書類になります。また現地で検査を行い、適合が確認されると発行されるのが検査済証です。

通常は、検査の後に施工会社から渡されるものですが、紛失してしまった場合は「建築計画概要書」や「建築確認台帳記載事項証明書」を役所で発行してもらいます。

建築設計図面および工事記録書

戸建てを建てる際に作成された建築設計図面や工事記録書があると、どのように設計・施工されたかが分かります。そのため、リフォームや配管の修繕などをする上でも役立つため、買主が求めるケースがあります。

売買契約にかかわる法的な手続きには必要ありませんが、買主側の購買意欲を高めることにもつながるため、用意しておくと良いでしょう。

土地測量図および境界確認書

前述の書類と同様に、戸建てを建てた際に施工会社から渡される書類です。土地測量図は土地の形状や広さを図面に起こしたものです。また境界確認書は隣接地との境界線を明確に示した書類です。

どちらの書類も売却の際に必ず必要な書類ではありませんが、売買成立後にトラブルが起きるのを防ぐために買主が要望することがあります。紛失した場合は、土地測量図は法務局で取得できますが、境界線の確認は新たに測量し直す必要があります。

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2-3 収益物件を売却する際に必要な書類

収益物件の場合、一棟所有物件と区分所有物件がありますが、一棟物件の場合は前述の戸建て、区分所有の場合は前述のマンションの項目を参考にしてください。そのほかに必要になるのが下記の書類です。

賃貸借契約書

賃貸物件の所有者が変わった場合、入居者は同じ住居に住み続けられることが「借地借家法第31条」などの法律で定められています。つまり、退去を希望しない入居者の賃貸借契約は、買主にそのまま引き継がれるのです。そのため入居時に締結した賃貸借契約書を買主に引き継ぎます。

なお、管理会社が預かっているケースもあり、その場合は管理会社が用意してくれます。

保証会社契約書

入居者の身分を保証するために締結した保証会社との契約書も、賃貸借契約書と同様に買主に引き継ぎます。こちらも管理会社が預かっているケースがあります。

また、買主が管理規約の提出を求める場合もあります。買主がどのように管理をするのかは売主としては関与しませんが、「入居者のために管理規約を大きく変えたくない」という意向を持っている場合もあります。その場合は要請に応じて、管理規約を提出するようにしましょう。

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まとめ

不動産を売却する際に必要な書類を紹介しました。どの不動産を売却するかによって用意する書類が異なる上に、書類には有効期間があるものもあります。自宅を売却するとなると、引っ越しの準備なども必要になります。

忙しい中で用意するのは大変ですので、チェックシートなどを作成するなどして滞りなく準備を進めましょう。

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倉岡 明広

経済学部経済学科卒業後、出版社や編集プロダクション勤務などを経てフリーライターとして独立。雑誌や新聞、インターネットを中心に記事を執筆しています。初心者が抱く不動産投資の疑問や質問を解決できるよう丁寧な記事を執筆していきます。