日本の事業用不動産投資額は7720億円、2期連続増。CBRE調査

不動産サービス大手のCBREが11月14日に発表した2019年第3四半期の投資市場動向で、世界の商業用不動産投資額は対前年同期比2%減の2600億米ドル(約28兆円)、Q1~Q3の累計投資額も同5%減少となった。企業買収ならびに大型取引が減少した。地域別では米州の今期投資額は1480憶ドル(約16兆円)で同7%減、欧州・中東・アフリカ(EMEA)は770憶ドル(約8兆円)で同5%減といずれも減少。累計投資額でもそれぞれ3%、13%減少した。政治不安、低利回り、景気後退に対する懸念が影響したと見られる。

一方、アジア太平洋地域(APAC)の今期投資額は340億米ドル(約4兆円)で、同49%増、累計投資額では同6%の増加に。「英国のEU離脱問題や貿易問題などによる景気後退懸念があったが、消費の底堅さや低金利を背景に、これまでのところは大きな落ち込みは抑えられている」という見立て。「ただし、企業の姿勢がやや慎重である中、企業買収や大型の取引が増えるとは考えにくく、投資額が前年を上回る可能性は低い」として、19年の年間投資額は18年から数%減での着地を予想している。

日本の投資市場では、事業用不動産の投資額は増加した。10億円以上の取引を対象、土地取引およびJ-REIT(不動産投資信託)のIPO時の取得物件を除いた投資額は前年同期比14%増の7720億円で、2期連続で前年同期を上回った。投資主体別で最も大きかったのはJ-REIT(42%)だったが、投資額は前年同期からほぼ横ばい。投資額が最も増加したのはJ-REIT以外の国内投資家で、前年同期比80%増。一方で海外投資家は同25%減少した。アセットタイプ別ではオフィスを除く主要アセットタイプ全てが前年同期を上回った。増加率が最も大きかったのは商業施設で、同153%増の1580億円、次いでホテルが同53%増の1320億円だった。いずれもJ-REITとその他国内投資家による取得が伸びを牽引した。

同日発表されたCBREが四半期ごとに実施している「不動産投資に関するアンケート 期待利回り(2019年10 月時点)」によれば、東京の期待利回り(NOIベース)の平均値は物流施設、マンション(ワンルーム)、ホテル(運営委託型)で低下、その他のアセットタイプは横ばいだった。地方都市のオフィス期待利回りは福岡を除く全都市で低下。福岡をふくめ、いずれの地方都市も過去最低水準となっている。

10月時点の東京Aクラスビルを対象としたCBRE短観指数(DI)は、「金融機関の貸出態度」と「NOI」(純収益)が前期より改善したが、その他の項目は悪化した。悪化の理由は、「不動産取引量」については「減少」の回答率が増加、その他の項目では「前期と変わらない」の回答率が増加したため。一方、物流施設(首都圏、マルチテナント型)のDIは、「不動産取引量」と「売買取引価格」を除く全項目で改善した。特に「空室率」は6期連続で、「賃料」は4期連続で改善した。Q1からQ3までの累計投資額は2.5兆円で、対前年同期比6.7%増加。取引件数は前年同期を12%下回ったが、100億円以上の比較的大型の取引件数が同17%増加したことが要因。「年末にかけて、さらに複数の大型案件が成約することが見込まれているため、年間総投資額は2018年を上回る」と予想している。

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HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム

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