2050年も化石燃料41〜55%、マッキンゼー最新予測で脱炭素目標達成困難に

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マッキンゼー・アンド・カンパニーが10月13日に発表した「Global Energy Perspective 2025」によると、2050年時点でも化石燃料が世界のエネルギー消費の41〜55%を占める見通しだ。現在の64%から減少するものの、従来予測より高い水準となっており、パリ協定の1.5℃目標達成は全シナリオで困難との見方を示した。

同レポートが示す3つのシナリオにおける2100年までの予想気温上昇は、最も楽観的な「持続可能な変革」で1.9℃、中間の「継続的モメンタム」で2.3℃、「緩慢な進化」で2.7℃となった。いずれも昨年の予測から約0.1℃上昇しており、世界の温室効果ガス排出量は過去1年で記録的な水準に達したことが要因とされる。脱炭素政策への実際の取り組みと目標との乖離が広がっている現状を反映した。

エネルギー需要は2050年まで約10%増加し、その成長はインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)、アフリカが牽引する。人口45億人を抱えるインドは、2050年までに1人当たりエネルギー消費が39%増加し、世界第3位のエネルギー消費国になると予測される。一方、中国や欧州、北米のエネルギー需要はほぼ横ばいで推移する見込みだ。特筆すべきは、米国における電力需要の急増で、データセンターが最大の牽引役となり、2030年までに米国の電力需要の14%を占める可能性がある。世界全体では、2050年までに電力消費が2023年比で2倍に達する見通しだ。

再生可能エネルギーは2050年までに世界の電力供給の61〜67%を占めると予測されるものの、天然ガスも電力セクターで年2%のペースで成長を続け、2050年には現在より50%増加する。石炭の使用は緩やかに減少するが、中国、インド、インドネシアでは2030年代まで増加が続く見込み。水素などの代替燃料は、政府の義務化がない限り、2040年以前の広範な普及は困難とされる。同レポートは、エネルギーの手頃な価格と供給安全保障が保証されなければ、エネルギー転換は実現しないと強調している。

【参照記事】Global Energy Perspective 2025

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HEDGE GUIDE編集部 ESG・インパクト投資チーム

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