壁紙を自身で貼り替えるDIYは比較的初心者でも挑戦しやすい内装工事の壁紙張り替えですが、最初は手順や壁紙の選び方が分からず戸惑う方も多いのではないでしょうか。
そこで当コラムでは実際に築50年近くの物件をDIYで修繕し賃貸している、築古不動産投資家の筆者が壁紙の基本的な張り替え手順や選び方・注意点などを解説していきます。これから壁紙の張り替えDIYに挑戦したい方に、参考としてご活用頂ければ幸いです。
目次
- 壁紙(クロス)を自分で張り替えるDIYで必要な道具
1-1.カッター・刃折り器
1-2.地ベラ
1-3.メジャー・スケール
1-4.撫でバケ・ローラー
1-5.ジョイントコーク - 壁紙(クロス)を自分で貼り替える手順
2-1.下地処理・既存壁紙の撤去
2-2.採寸
2-3.壁紙を貼る
2-4.撫バケで接着
2-5.余分な壁紙を切り取る - 張り替える壁紙(クロス)の選び方
3-1.壁紙の選択で特にこだわりが無い際には「SP9717」が無難
3-2.アクセントクロスで部屋の印象を変える - 壁紙(クロス)の張り替えDIYの注意点
4-1.生ノリ付きの壁紙は放置すると乾燥する
4-2.初心者は生ノリ付きが便利
4-3.天井のクロスは難易度が高い
4-4.砂壁は下地処理が必要 - 壁紙(クロス)の張り替えをプロに頼んだ時の費用の相場
- まとめ
1.壁紙(クロス)を自分で張り替えるDIYで必要な道具
1-1.カッター・刃折り器
壁紙の張り替えで、最も使用する頻度が高い道具はカッターです。また切れ味が悪いカッターで壁紙を切ると切り口をボロボロに痛めてしまうため、スムーズに作業するためにも切れ味の良いカッターを準備することが大切です。
カッターと共に、替刃と刃折り機も、クロスの張り替えでは欠かせません。また複数人で作業を同時進行する場合には予備として沢山準備しておくと効率よく作業を進めることができます。生のり付きの壁紙を切る機会が多くありますが、ベトベトとして汚れやすいため、消耗品と捉えて別作業で使用するカッターと使い分けると良いでしょう。
1-2.地ベラ
地ベラはカッターをまっすぐ動かすため、定規のような役割を果たす道具です。壁の際まで壁紙を貼り付けるためにも使用します。
普段使い用の大型の地ベラと、エアコンの周辺やトイレといった狭い区画での壁紙張り替え用に使用する小さい地ベラの2つを使い分けると効率よく作業ができます。地ベラは古い塗料やパテなど、ケレンにも利用が可能です。
厚みのある製品と薄い製品がありますが、専門の職人はクロスの厚さにあわせて地ベラを使い分けます。DIYや不動産投資で使用する場合には、自身が使用する壁紙の厚さにあわせて地ベラを選ぶと失敗が少ないでしょう。
1-3.メジャー・スケール
クロスを貼る壁や、切り出すクロスの採寸に利用します。採寸が甘いと余った部分を処分するためクロスを無駄にしたり、逆に足りなくなったりします。
無駄なく壁紙を使用するためにも、メジャーやスケールを使用した丁寧な採寸が求められます。100均などのメジャーは柔らかく採寸が大変なので、伸ばしても途中で折れないタイプの物を使用すると時間短縮になり便利です。
1-4.撫でバケ・ローラー
撫でバケやローラーは、壁紙を貼った後、空気を抜くために使用します。撫でバケは尺が長いものほど広い面積を効率よく空気抜きができるので、大きめの道具を購入すると良いでしょう。
ローラーは指が入らないような、壁紙の端を圧着するために使用します。ただし、撫でバケでも代用できるため、初めて壁紙の張り替えに挑戦する際はまず初めに撫でバケを準備しておき、ローラーは必要に応じて買い足すと無駄がありません。
1-5.ジョイントコーク
ノリが乾燥してしまった壁紙の端や、壁紙の継ぎ目などに補填する仕上げ材です。壁紙が剥がれやすい場所に、詰め物として補填するのにも使用します。
マスキングテープで養生しシーリングのように補填し内装の隙間を埋めるなど用途が広いため、壁紙を貼る際には準備しておきたい建材です。
2.壁紙(クロス)を自分で貼り替える手順
2-1.下地処理・既存壁紙の撤去
壁紙を貼り替えたい壁に既存の壁紙が備わっている場合には基本的には剥がします。理由としては、既存の壁紙表面に付着した汚れにより短期間での剥がれといった不具合が発生する可能性があるためです。
壁紙を剥がす際には、コンセントカバーなど壁に取り付けてあるものは一旦取り外しを行いましょう。下地を傷つけてしまった場合はジョイントコークを補填しヘラでならして下地調整を行います。
また壁紙を剥がす際には下地を傷つけないよう、カッターの歯は力を入れすぎないよう注意して作業を進めていきましょう。
2-2.採寸
貼り替えたい壁を採寸し、適切な幅のクロスを切り出します。壁紙を切る際には表面が汚れてしまわないよう、養生した場所で作業するといった工夫が必要です。なお、壁紙によっては生ノリ側に備わっているバックフィルムに、簡単な長さ目安が書かれている製品があります。
2-3.壁紙を貼る
壁紙は上から順番に施工を進めていくのが基本です。壁紙を貼る際には生ノリ付きの製品であれば上から半分ほど剥がして貼り付けて、残りのフィルムを剥がしていくと効率よく作業ができるでしょう。
施工方法が良く分からない方はYouTubeを活用すると、実際の作業方法や細かい工法まで確認できます。初めて自分で壁紙の張り替えに挑戦する際には活用していきましょう。
2-4.撫バケで接着
壁紙を貼り付ける際には、撫でバケで中の空気を外に逃しながら圧着していきます。2枚目以降は、初心者の第一関門と呼べる継ぎ目の施工が必要です。継ぎ目の施工で修正ができるのは、ノリが乾燥する前までです。施工前に施工方法を十分にチェックして、作業を進めていきましょう。
2-5.余分な壁紙を切り取る
壁紙を圧着した後は、余分な壁紙を撤去していきます。ノリの付着などにより切れ味がすぐに落ちてしまうため、小まめに刃を折りながら作業を進めていきましょう。
3.張り替える壁紙(クロス)の選び方
3-1.壁紙の選択で特にこだわりが無い際には「SP9717」が無難
壁紙の選択で特にこだわりが無い際には、サンゲツの「SP9717」を選択すると良いでしょう。理由としては安価なのに厚みがあり、傷に強くコストパフォーマンスが良いためです。
難点として若干古臭い見た目というデメリットがありますが、丈夫で耐久度があるため、家具の搬入でぶつけてしまった際にも傷になりにくい壁紙です。特に薄くて切れやすいクロスは傷に弱いため、モノをぶつけてしまうと目立ってしまいます。
実際に筆者が初めて壁紙の張り替えDIYを実施した際には「SP9717」を中心に使用しました。SP9717は初心者でも仕上げやすく耐久性が高いため、初めて壁紙張り替えを実施する際は扱いやすい壁紙です。
3-2.アクセントクロスで部屋の印象を変える
白一色の壁紙を避けたい場合には、アクセントクロスで部屋の印象を変える方法もあります。アクセントクロスとは壁の一部にデザイン性のあるクロスを張り、部屋の印象を変えるクロスです。
白一色のシンプルな部屋よりお洒落な雰囲気が出せるメリットがあります。デメリットとしては、SP9717より厚みの薄い壁紙がほとんどなので、傷が目立ちやすい点です。
また部屋の一部だけを貼り替えるため、購入する壁紙の配分が少し複雑になるのもアクセントクロスで注意したいポイントでしょう。
4.壁紙(クロス)の張り替えDIYの注意点
4-1.生ノリ付きの壁紙は放置すると乾燥する
壁紙は生ノリ付きであれば初心者でも取り扱いやすく、失敗しにくい壁紙です。一方で密封していないと、塗布されているノリが乾燥してしまいます。
注文すると密封された袋に包まれて到着しますが、取り出してそのまま放置すると乾燥してしまう可能性もあります。一度開封した生ノリ付きの壁紙は早めに使い切る必要があるため、最初は特に注意が必要です。
4-2.初心者は生ノリ付きが便利
壁紙は「生ノリ付き」と、「ノリなし」の2種類があります。初めて壁紙の張り替えを行う場合は、生ノリ付きの壁紙を選ぶと失敗が少ないでしょう。
理由としては、ノリなしの壁紙はムラなく均等にノリを塗布する必要があるためです。配分が均等にできていないと、ボコボコとした不自然な仕上がりになったり、剥がれてしまったりする恐れがあります。
一方で最初から適量のノリが塗布されている生ノリ付きの壁紙であれば、最初から適量のノリが塗布されています。ノリを塗布する工数もないため、時間削減に繋がるのも生ノリ付き壁紙のメリットです。
4-3.天井のクロスは難易度が高い
天井も壁紙を貼り付けてクロス仕上げにしたい方は、壁と比べて難易度が一段と上がるため注意しましょう。天井は施工の際に仮止めした壁紙が自重で落下してしまい、作業が進まない恐れがあります。
筆者がDIY改装を進めた際には、天井のクロスを諦めて最初から塗装で仕上げていきました。また天井は壁紙と異なり脚立では作業ができない可能性が高いため、足場の確保が伴う点にも事前に確認しておきたいポイントでしょう。
4-4.砂壁は下地処理が必要
築年数が経過した住宅の和室に多い砂壁は、そのまま壁紙は貼れません。砂壁に壁紙を貼るためには接着剤で砂壁を固めてしまうか、上から石膏ボードなどの下地を貼り付けるなど下地処理が必須です。
砂壁を固める場合はシーラーやノリなどを塗布すると、ノリの付着を阻害する砂を固めることができます。
5.壁紙(クロス)の張り替えをプロに頼んだ時の費用の相場
ここまでDIYで壁紙を張り替える手順についてご紹介しましたが、準備にかかる手間を考えて億劫に感じている方や綺麗に壁紙を張り替える自信のない方もいるでしょう。壁紙の張り替えはリフォームの中でも比較的にコストが低いため、プロの専門業者へ依頼するのも一つの方法です。
どのような壁紙を選ぶのかによって費用は異なりますが、おおよその目安として1㎡当たり800~1,200円が相場となります。例えば、ワンルームマンションなどで部屋全体の壁紙の張り替えを行うと、40,000~50,000円程度かかるといった費用感となります。
仕上がりや実際にかかる費用については、依頼する業者によっても異なります。複数のリフォーム会社へ見積もりを依頼し、料金や提案内容を比較されてみると良いでしょう。
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まとめ
壁紙の張り替えは注意点を押さえておけば、初心者でも比較的挑戦しやすいDIYです。準備する道具も比較的安価で失敗してもやり直しがききやすく、手軽に部屋の雰囲気を変えることができます。
なお、壁紙の張り替えは専門の職人に依頼しても比較的コストが低い項目なので、短時間で高品質な壁紙の張り替えを実施したい場合にはプロに依頼するのも選択肢となります。双方の選択肢を踏まえた上で、最適な壁紙の張り替えを検討してみましょう。
HIROTSUGU
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